fc2ブログ

マレーシアの投資状況 - 2020年第1四半期

mida_logo.png

7月16日、マレーシア工業開発庁(MIDA)が2020年第1四半期の国内投資状況を発表した(プレスリリース)



まず、MIDAに認可された合計投資額は374億リンギットとなり、前年同期比で30.6%の減少であった。892件のプロジェクトがMIDAによって認可され、19,100人の新規雇用創出が期待されている。合計投資額の内、海外からの直接投資は111億リンギット(30%)であり、スイス、シンガポール、米国、中国、日本からの投資が82%を占めた。

2020q1_mida_invest_01.png

業種別では、金額ベースで製造業が全体の67.4%を占める252億リンギットとなり、マレーシアの投資をけん引した。対して第1次産業は3億リンギット(0.8%)にとどまっている。州別では、上位5州(サバ州、ペナン州、セランゴール州、ジョホール州、KL)に投資が集中した。

2020q1_mida_invest_02.png


製造業
製造業向け投資額は252億リンギットで、42%が海外直接投資であった。また、同期は国内直接投資が前期比で180.8%増となる146億リンギットを記録している。

2020q1_mida_invest_02.png

1億リンギット以上の資本集約型案件が23件となり、これだけで製造業全体の86.5%を占めている。また、認可された投資件数は214件であったが、上位5州に176件もの投資案件が集中している。

2020q1_mida_invest_03.png

金額ベースでは、上位5州(サバ州、ペナン州、ジョホール州、セランゴール州、ケダ州)が製造業全体の91.1%を占めており、12,300人以上の新規雇用創出が期待されている。中でも、サバ州とペナン州向け投資額が突出しているのが同期の特徴となっている。

2020q1_mida_invest_04.png

サービス業
サービス業向け投資件数は669件あり、全体の75.0%を占めた。サービス業では投資額において国内直接投資の比重が大きいのが特徴であり、海外直接投資は3億リンギットでしかなかった。さらに、第1四半期はサポートサービス、金融サービス、グローバル事業所以外の主要部門は大幅に減少ししたことが指摘されている。

2020q1_mida_invest_05.png

部門別でみると、冷え込んでいるとされている不動産投資が84億リンギットで他部門を圧倒している。成長率で見ると、グリーン技術活動と総合物流サービスの大幅な伸びによってサービスサポート部門が前年同期比で178.5%もの成長を記録した。

2020q1_mida_invest_06.png

第1次産業
第1次産業は、海外直接投資が国内直接投資を若干上回り、投資総額は2.8億リンギットであった。

2020q1_mida_invest_08.png

今後の展開
アズミン・アリ貿易産業相は、2020年はCOVID-19の影響から、前年の水準を維持することは難しいとの見解を示した。ただ、マレーシア政府は経済刺激策を展開しており、海外直接投資においては、

• 製造業へ3億~5億リンギットの新規投資:10年間税率0%
• 製造業へ5億リンギット以上の新規投資:15年間税率0%
• 3億リンギット以上の施設をマレーシアへ移転:3年間100%の投資税控除
• 製造・特定農業活動:特別再投資手当
• 国内投資戦略基金の充実
• 一部製造認可を2営業日で発行

といった政策を発表、海外からの投資誘致促進を目指している状況にある。

マレーシアの経済概況 - 2020年第1四半期

bnm_logo.jpg

2020年5月13日、マレーシア中央銀行より2020年第1四半期のマレーシア経済及び金融動向『Economic and Financial Developments in the Malaysian Economy in the First Quarter of 2020』が発表された。

マレーシアでは、1月25日に初の新型コロナウイルスの感染者が確認された。3月中旬までは持ちこたえていたが、3月14日より感染者が大幅な急増に転じたこともあり、ムヒディン政権下で3月18日より活動制限が布かれた。そして3月26日には1日当たりで235名の新規感染者を記録したものの、徹底した活動制限の影響もあり、第2四半期には新規感染者が減少に転じ、5月4日には経済活動が一部緩和されている。

malaysia_eco_2020q1_01.png

活動制限の影響により、2020年3月の製造指数は-4.2%、鉱業指数は-6.5%、電力指数は-7.0%といずれもマイナスとなり、鉱工業生産指数(IPI)は前年同月比で-4.9%であった。製造部門で特に落ち込みが大きかったのは、電気・電子機器(-5.0%)、非金属鉱物製品、基礎金属・加工金属製品(-9.8%)、食品・飲料・タバコ(-9.9%)となっている。鉱業部門のマイナス成長は、天然ガス指数(-6.0%)、原油・コンデンセート指数(-7.1%)による影響となっている。結果として、2020年第1四半期のIPIは年同期比で0.4%となった。
また、2020年3月の卸売・小売業の売上高は合計で1,032億リンギットを記録し、前年同月比で5.7%減少した。特に小売業が29億リンギット(-6.6%)の減少となったことが大きく、他にも自動車が19億リンギット(-15.3%)、卸売業が14億リンギット(-2.7%)の減少であった。卸売・小売業出来高指数は120.1ポイントを記録し、前年同月比で-6.1%であった。部門別では、卸売業-2.5%、小売業-7.5%、自動車-14.4%となり、自動車は2桁のマイナスとなっている。
全体的な不振もあり、実質GDP成長率は2019年第4四半期の3.6%から2020年第1四半期は0.7 %にまで落ち込んだ。これは、2009年第3四半期以来で最低の成長率となる。

malaysia_eco_2020q1_02.png

部門別では、サービス部門が3.1%の成長(2019年第4四半期:6.2%)で引き続き主要な推進力となった。同部門の業績は情報・通信、卸売・小売業、金融・保険サブセクターに支えられ、情報・通信サブセクターはMCO期間中の在宅勤務において通信セグメントが主導した。
製造業部門の成長率は、前四半期の 3.0%に対して1.5%と鈍化し、これは2013年第1四半期(0.6%)以来の最低成長率となった。石油・化学・ゴム・プラスチック製品(2020年第1四半期:3.9%)、電気・電子・光学製品(同:2.2%)、木製品・家具・紙製品・印刷(同:1.3%)が成長に寄与した。
鉱業・採石部門は、原油・コンデンセートと天然ガスの生産が改善したため、今四半期は-2.0%(2019年第4四半期:-3.4%)となった。
農業部門は-8.7に落ち込み、パーム油や林業・伐採、漁業、ゴムの低迷が主因となっている。特にパーム油サブセクターは22.0%(2019年第4四半期:-16.9%)減少したが、これはパーム原油(CPO)の生産量縮小によるものとなっている。
建設セクターは前四半期の1.0%から-7.9%へ落ち込み、1999年第2四半期(-7.9%)以来の低成長となった。

malaysia_eco_2020q1_03.png

今期の労働市場の状況については、マレーシアの雇用者数は1.6%に増加して1,524万人となった。ただ、失業率は前期の3.2%から3.5%へ増加しており、失業率の上昇は主に移動規制令(MCO)が影響を与えたことに起因している。因みに、マレーシアで最も高い失業率を記録したのは1986年の7.4%となっている。

malaysia_eco_2020q1_04.png

今後のGDP成長率見通しについては、国際通貨基金が2020年4月14日に発表した『World Economic Outlook, April 2020: The Great Lockdown』によると、2020年のマレーシアの実質GDP成長率は-1.7%に落ち込むが、2021年には9.0%へ回復する見通しが示されており、中国と同水準の高成長が見込まれている。

malaysia_eco_2020q1_05.png

次にCOVID-19に対するマレーシアの景気刺激策の財政支出内訳を見ると、賃金補助が138億リンギット、現金支給が136億リンギットとなり、所得と生活支援に重点が置かれた内容となっている。またGDPに対する財政支出の規模では、マレーシアはドイツやフランスを上回る2.5%と高い水準にある。

malaysia_eco_2020q1_06.png


マレーシアの小売店業界と宅配業界

(実店舗とオンラインショップ)
ユーロモニターの報告書によると、マレーシアのオンラインベースの小売業の売上高は2011年の10億リンギットから2016年には2.4倍となる24億リンギットへ大きく増加した。対して実店舗ベースの売上高は、2011年の1,480億リンギットから2016年は1,740億リンギットと僅かな増加が見られた。また、オンラインの売上高は小売り産業全体の1~2%程度でしかないが、、2017年以降の年間成長率では実店舗が3%台の成長であるのに対して、オンラインは18%超で且つ右肩上がりの成長が見込まれている。
同時にモバイル端末でのオンラインショッピングも急速に成長しており、2020年の利用率は22%、購入金額10億6,000万リンギットで2016年の約3倍となることが予測されている。

[小売り産業の成長率推移]
retail_201902_01.png

[小売り産業の売上高]
retail_201902_02.png

[モバイル端末でのオンラインショッピング]
retail_201902_03.png


(POSマレーシア)
POSマレーシアの年次報告書によると、郵便事業の収益は下降を続けており、2018年には郵便事業が7億3,400万リンギットであったのに対し、宅配事業は7億7,500万リンギットと収益構造が逆転した。また宅配業務の拡大に伴い、2017年の車両保有台数が3,286台と2014年比で49%増、さらにディスパッチ人員も2018年には9,881人と前年比で24%増員している。以上のように、POSマレーシアは宅配業務の需要増によって設備の人員の拡充を進めている。

[POSマレーシアの収益構造変化]
retail_201902_04.png

[POSマレーシアの車両数]
retail_201902_05.png

[POSマレーシアのディスパッチ人員数]
retail_201902_06.png


(マレーシア宅配業界)
マレーシア通信マルチメディア委員会の報告書によると、2017年の宅配ライセンス数は128件、ディスパッチ人員7,945人、車両数8,058台であることが示された。全体的な増加傾向を見ると、おおむね2016年に宅配業界が大きく成長していることが分かる。
また、マレーシア大手宅配業者GD Expressの経営状況を見ると、2018年の売上高は2億9,300万リンギットとなり、これは2014年比で84%もの増加となっている。オンラインショッピングの利用が拡大していることに伴い、同社の需要も拡大を続けており、2019年の投資額は過去最大となる5,000万リンギットが見込まれている。
こうした老舗的な宅配業者だけでなく、近年は様々な特徴を持った宅配業者の活躍が目立ってきている。フードデリバリーを行うフードパンダや配車サービスのGrabが展開するGrabFood、他にもハラルフードに特化したデリバリーサービスなど、特徴をもった宅配業者が参入してきている。また、スーパーの食品を宅配するHappy Freshやhonestbeeなどはクランバレー内では当たり前に目にすることができるし、小売店もこうした宅配業者と積極的に提携している状況にある。

[マレーシア国内の宅配事業者]
retail_201902_07.png

[GD Expressの売上高と投資額の推移]
retail_201902_08.png

[マレーシア国内の主要な宅配業者]
retail_201902_09.png


(東南アジア)
こうした傾向はマレーシアだけでなく、東南アジア全体に共通しているといえる。Googleの調査では、東南アジア各国のネット経済規模はいずれの国も13~49%の2桁成長にあり、オンライン輸送と食品輸送市場も16~58%の高成長が見込まれている。中でもインドネシアの成長率と市場規模が際立っており、マレーシア企業もインドネシアへの投資を加速している状況にある。

[東南アジア諸国の配送市場規模]
retail_201902_10.png


(総括)
マレーシアでは、国民所得の上昇と共にブロードバンドに接続されたスマートフォンの利用率が高いこと、そして首都圏においては夫婦共働きなど時間の有効活用が求められる状況にあることから、オンラインショッピングを活用する傾向が強まっていると言える。これに伴い、宅配業者の需要が2016年以降から大きく拡大しており、各社とも倉庫や車両、人員に対して投資を増やしている。


2017年におけるマレーシアの不動産事情

2018年5月に入って、2017年の不動産統計がいくつリリースされた。これまで投資案件としても活況を呈していたマレーシアの不動産市場だが、2017年下期に入ってから過剰供給と不動産価格高止まりによって停滞傾向となっている。

まず住宅総戸数については、2017年は前年から2.5%増となる5,428,053戸となっており、2018年には5,500万戸を超える見通し。特に2016年は前年から38万戸もの増加で大きく伸びている。また人口増加も続いているので、供給戸数はまだ増加を続けていくだろう。

2017_property_01.png

住宅種類別シェアでは、2~3階建てのテラスハウスが22.0%、平屋テラスハウス18.8%となっており、テラスハウスだけで全体の4割を占めている。コンドミニアムやアパートについては14.9%だけとなっており、こうした集合住宅はKL市などの都市部に集中している。やはり、マレーシア人の憧れは、コンドミニアムよりもテラスハウスのような土地付きの物件であると言える。ただ、新規物件では平屋のテラスハウスはあまり目にしなくなったので、今後、平屋だけは市場シェアが縮小していくと思われる。

2017_property_02.png

州別では、セランゴール州の住宅戸数が国内最大の1,494,222戸。これは全州の27.5%に当たり、またKL市内の総住宅戸数の約3倍にもなる。セランゴール州ではまだ大規模な住宅開発が進んでおり、住宅戸数はまだ増加していくだろう。同時に、KL市内或いはセランゴール州への通勤圏としてネグリ・センビラン州での住宅開発も大きく増えている。住宅価格も首都圏のクランバレーよりも比較的安価であり、十分な広さが魅力的となっている。

2017_property_03.png

2010年を100とした住宅価格指数では、2017年第2四半期まではほぼ右肩上がりで上昇続けていることが分かる。しかし、2017年第3四半期から横這い、或いは下落の傾向が見られており、市場がスローダウンしているとの見方が広がっている。2018年5月時点でも、状況が好転しているようには感じない。セランゴール州にある私自身の持ち家の不動産価格を調べてもらったが、1年前の価格と比較すると、やはり少し落ち込んできている。また、近所の方が売り家の広告を出しているが、数ヵ月待っても全然買い手が見つからないと言っている。3年程前であれば、同じ通りの家が売り家の広告を出すと直ぐに買い手が見つかっていたが、値下げをしても中々売れなくなってきている状況にある。不動産エージェントの知人も以前ほどの羽振りではなく、明らかに不動産市場が停滞していることを実感している。

2017_property_04.png

実際、売れ残り物件の推移を見ていくと、2017年は24,728戸、金額ベースでRM156億が売れ残りとなっている。この数字、2014年の売れ残り物件数で比較すると2.8倍にもなる。州別では、不動産開発を積極的に進めてきたジョホール州が全体の19.2%を占めており、物件別だとコンドミニアム/アパートが38.4%、テラスハウス38.4%となっている。価格別では、RM50万~100万の少し高級な物件が全体の22.7%を占めている。こうした状況を受け、連邦制は2017年12月に高額不動産開発の許認可を一時凍結する決定を出している。

2017_property_05.png

一般的な消費者は、世帯所得の上昇率よりも不動産価格の上昇率が高すぎること、併せて燃料価格上昇による物価上昇や補助金削減によって生活が以前より苦しくなったと感じており、不動産購入は慎重姿勢になっている。ナジブ政権下では、経済指標上はマクロ経済が好調であることが強調されていたが、一般消費者は景気が良いとは感じておらず、それが住宅市場にも大きく影響が及んでいたと言える。それでも、住宅購入を購入したい消費者はまだ多数存在しており、高級物件は過剰供給となっているものの、中間所得者向け住宅は不足していると感じる。今後、住宅価格がある程度落ち着き、マハティール政権下で世帯所得が目に見えて改善されれば、不動産市場は再び活発化すると考える。


MIDA、2016年投資認可額発表

mida_logo.png

3月2日、マレーシア工業開発庁から年次報告書『MALAYSIA Investment Performance Report 2016』が発表された。Dato 'Sri Mustapa Mohamed通商産業大臣は発表に際し、「2016年、マレーシアは引き続き投資成長の勢いを維持しています」と述べ、マレーシアが投資先として好調を続けていることを示した。

まず全体の投資認可額はRM2,079億(前年比+7.7%)、案件数4,972件(前年比-4.5%)であり、153,060人の雇用創出となっている。投資比率については、国内投資がRM1,489億で全体の71.6%を、そして海外直接投資はRM590億で同28%となっている。外国直接投資は前年がRM361億であったので、63.4%も増加していることになる。また、マレーシアへの主要投資国は、米国とオランダ、中国、日本、シンガポール、韓国、英国であり、総投資額の55.8%を占めている。産業別でみると、第3次産業が1,412億で全体の68%を占め、2015年から23%も増加している。逆に。第2次産業は2015年のRM747億から2016年にはRM585億と22%の大幅減。

MIDA_2016_01.png


製造業においては、2016年は733件のプロジェクトが認可(2015年は680件)されたものの、投資額は2015年から大きく落ち込んでいる。また、ペトロナスがジョホール州とサラワク州で手掛ける石油精油及び石油化学プロジェクトがRM353億となっており、製造業における全投資額であるRM585億の6割を占めている。さらに、RM10億超の大型投資は10件を記録。

セクター別での直接投資を見ると、石油製品がRM159億で全体の27%を、電子・電気製品はRM92億で16%となっている。以前は電子・電気機器がマレーシア経済の花形産業であったが、周辺諸国との厳しい競争から、投資対象国としての魅力を失いつつあると言えるだろう。私が知っている日系及び現地製造業は、いずれも事業規模の縮小を余儀なくされている。

MIDA_2016_02.png

次に製造業における州別の直接投資先を見ていくと、ジョホール州がRM264億と他を圧倒していることが分かる。ジョホール州については、今年2月にSaudi Aramco社とペトロナス社が石油精製・石油化学コンビナート事業へRM310億という大型投資で合意に至っており、2017年も更なる拡大が期待されている。

MIDA_2016_03.png



また製造業向け直接投資国は、中国がRM47億で首位に位置しており、日本はRM19億で7番目となっている。マレーシアの中国寄りは最近顕著になってきており、昨年11月にナジブ首相が中国を訪問した際には、マレー半島横断鉄道建設計画、サラワク州の鉄鋼プラント開発、クアンタン工業団地でのシリコン太陽電池生産、サバ州石油ガスパイプライン建設計画など、14項目に渡る約RM1,440億規模の官民プロジェクトに合意している。シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道事業に関しても、国内では中国が日本より優勢の印象が強い。企業レベルでも、産業用機械などは中国メーカーが存在感を示している。確かに、品質や機能、耐久性などは日本メーカーが優れているが、現地企業としては必要最低限の機能と品質を低価格で提供している中国企業の方が魅力的であり、また言語コミュニケーションによる障害が少ないことも影響しているだろう。私自身、日本の産業用設備メーカーの販売を支援しているが、日系企業以外だと必ず中国企業との比較されてしまい、日本企業がアピールする付加価値や機能にはあまり興味は示されない。

MIDA_2016_04.png

サービス業における投資については、不動産分野がRM640億とサービス業全体の45%を占めており、依存度の高さが分かる。2016年の認可件数は4,199プロジェクト、88,110名の雇用を創出している。サービス産業向けの海外からの投資については、米国がRM68億、香港RM19億、日本RM18億、シンガポールRM12億、オランダRM9億となっており、日本が2番目の規模に。日本からの投資額も、製造業向けRM19億に対してサービス業がRM18億と拮抗している。また、最近のトレンドとしてマレーシアが多国籍企業における域内のプリンシパル・ハブとして注目されており、2016年には13のプリンシパル・ハブをMIDAが承認している。

MIDA_2016_05.png

近年、マレーシアの事業環境においては、 中国の存在感が年々増しているのが特徴だろう。企業レベルでだけでなく、政府レベルでも明らかに中国との緊密な関係構築を重要視している。昨年、マレーシア政府は南シナ海問題でも中国に歩み寄りを見せているし、先日はアリババグループのジャック・マー会長とe-hub構想を発表、大きな話題となっている。ナジブ首相も、中国は真の友人であり、戦略的パートナーであると明言する程、両国の関係はこれまでにないぐらい良好な状況にある。マレーシア企業にとっても、ビジネス慣習が大きく異なる日本企業よりも、中国企業の方が付き合い易いと認識している印象が強い。現地企業の経営者と話をしていても、日本企業は決断に時間がかかり過ぎるし、理解できないことが多いとしている。逆に、中国企業は決断が早く、ビジネス品質も満足できるレベルにあると言われている。多分、インフラ開発などの大型案件については、今後益々中国への依存度が増していくだろう。




<<前のページ | ホーム | 次のページ>>
Page Top↑
▲ Page Top