MIDA、2016年投資認可額発表

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3月2日、マレーシア工業開発庁から年次報告書『MALAYSIA Investment Performance Report 2016』が発表された。Dato 'Sri Mustapa Mohamed通商産業大臣は発表に際し、「2016年、マレーシアは引き続き投資成長の勢いを維持しています」と述べ、マレーシアが投資先として好調を続けていることを示した。

まず全体の投資認可額はRM2,079億(前年比+7.7%)、案件数4,972件(前年比-4.5%)であり、153,060人の雇用創出となっている。投資比率については、国内投資がRM1,489億で全体の71.6%を、そして海外直接投資はRM590億で同28%となっている。外国直接投資は前年がRM361億であったので、63.4%も増加していることになる。また、マレーシアへの主要投資国は、米国とオランダ、中国、日本、シンガポール、韓国、英国であり、総投資額の55.8%を占めている。産業別でみると、第3次産業が1,412億で全体の68%を占め、2015年から23%も増加している。逆に。第2次産業は2015年のRM747億から2016年にはRM585億と22%の大幅減。

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製造業においては、2016年は733件のプロジェクトが認可(2015年は680件)されたものの、投資額は2015年から大きく落ち込んでいる。また、ペトロナスがジョホール州とサラワク州で手掛ける石油精油及び石油化学プロジェクトがRM353億となっており、製造業における全投資額であるRM585億の6割を占めている。さらに、RM10億超の大型投資は10件を記録。

セクター別での直接投資を見ると、石油製品がRM159億で全体の27%を、電子・電気製品はRM92億で16%となっている。以前は電子・電気機器がマレーシア経済の花形産業であったが、周辺諸国との厳しい競争から、投資対象国としての魅力を失いつつあると言えるだろう。私が知っている日系及び現地製造業は、いずれも事業規模の縮小を余儀なくされている。

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次に製造業における州別の直接投資先を見ていくと、ジョホール州がRM264億と他を圧倒していることが分かる。ジョホール州については、今年2月にSaudi Aramco社とペトロナス社が石油精製・石油化学コンビナート事業へRM310億という大型投資で合意に至っており、2017年も更なる拡大が期待されている。

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また製造業向け直接投資国は、中国がRM47億で首位に位置しており、日本はRM19億で7番目となっている。マレーシアの中国寄りは最近顕著になってきており、昨年11月にナジブ首相が中国を訪問した際には、マレー半島横断鉄道建設計画、サラワク州の鉄鋼プラント開発、クアンタン工業団地でのシリコン太陽電池生産、サバ州石油ガスパイプライン建設計画など、14項目に渡る約RM1,440億規模の官民プロジェクトに合意している。シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道事業に関しても、国内では中国が日本より優勢の印象が強い。企業レベルでも、産業用機械などは中国メーカーが存在感を示している。確かに、品質や機能、耐久性などは日本メーカーが優れているが、現地企業としては必要最低限の機能と品質を低価格で提供している中国企業の方が魅力的であり、また言語コミュニケーションによる障害が少ないことも影響しているだろう。私自身、日本の産業用設備メーカーの販売を支援しているが、日系企業以外だと必ず中国企業との比較されてしまい、日本企業がアピールする付加価値や機能にはあまり興味は示されない。

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サービス業における投資については、不動産分野がRM640億とサービス業全体の45%を占めており、依存度の高さが分かる。2016年の認可件数は4,199プロジェクト、88,110名の雇用を創出している。サービス産業向けの海外からの投資については、米国がRM68億、香港RM19億、日本RM18億、シンガポールRM12億、オランダRM9億となっており、日本が2番目の規模に。日本からの投資額も、製造業向けRM19億に対してサービス業がRM18億と拮抗している。また、最近のトレンドとしてマレーシアが多国籍企業における域内のプリンシパル・ハブとして注目されており、2016年には13のプリンシパル・ハブをMIDAが承認している。

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近年、マレーシアの事業環境においては、 中国の存在感が年々増しているのが特徴だろう。企業レベルでだけでなく、政府レベルでも明らかに中国との緊密な関係構築を重要視している。昨年、マレーシア政府は南シナ海問題でも中国に歩み寄りを見せているし、先日はアリババグループのジャック・マー会長とe-hub構想を発表、大きな話題となっている。ナジブ首相も、中国は真の友人であり、戦略的パートナーであると明言する程、両国の関係はこれまでにないぐらい良好な状況にある。マレーシア企業にとっても、ビジネス慣習が大きく異なる日本企業よりも、中国企業の方が付き合い易いと認識している印象が強い。現地企業の経営者と話をしていても、日本企業は決断に時間がかかり過ぎるし、理解できないことが多いとしている。逆に、中国企業は決断が早く、ビジネス品質も満足できるレベルにあると言われている。多分、インフラ開発などの大型案件については、今後益々中国への依存度が増していくだろう。



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