2018年までに高速道路は電子料金収受システムへ

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公共事業省は、2018年までに高速道路の全ての料金所に電子料金収受システムを導入、現金支払い窓口を廃止すると発表。つまり、高速道路ではTouch'n GoかSmartTagといったキャッシュレスシステムしか使用できなくなる。Rosnah副大臣によると、こうした電子料金収受システムの導入により、交通渋滞が30〜50%緩和されたという。

私がマレーシアで働き始めた2003年には、既にこのキャッシュレスシステムは稼働していたので、歴史はかなり古い。Wikipediaを見ると、システムそのものは1997年に導入されているので、19年もの歴史があることになる。Touch'n Goはプリペイド方式のキャッシュレスシステムで、公共交通機関や駐車場、コンビニでの支払いも可能となっている。また、Touch'n Goの機能は全ての国民が所有しているMyKadにも搭載されており、ある意味全ての国民が享受できるサービスといえる。また、このTouch'n GoカードをSmartTagに挿入することで、数メートルの非接触通信が可能となる。



しかし、高速道路では未だ現金払いの料金所に長い列ができており、利用頻度は期待した程ではなかったのかも知れない。こうした背景もあり、連邦政府は強制的にキャッシュレスシステムへ移行し、交通システムの高度化を図ろうとしているのだろう。この完全移行のために、マレーシアでは昨年から首都圏においていくつかの高速道路で電子料金収受システムのみとしてきている。

ただ、マレーシアの電子料金収受システム は、使っているといくつかの不満を感じることが多々ある。特に、SmartTagには改善の余地がかなりあると感じる。以下、私が実際に使用していて感じる不満を列挙している。

Smartagの読み取り精度が悪い
渋滞緩和を目標とした電子料金収受システム だが、逆に現金払いよりも渋滞を引き起こしていることがたまにある。私が使用しているSmartTagの機器も、Duke Highwayの一番端のレーンはいつも読み取りエラーが起こるので、そこを避けて通ることにしている。一度エラーが発生すると、車を後退させてSmartTag の再読み取りを行うか、Touch'n Goを使う、オペレーターを待つ、他のレーンに移動するといった選択肢を選ぶことになるが、いずれにしても渋滞を引き起こすことになる。

Smartag機器の押しボタンが異常に固い
SmartTagの機器には、残高とバッテリー残量を表示するためのボタンが装備されているが、これが指で押せないぐらい異常に固い。私が購入した個体だけの問題かと思い、KLセントラルにあるTouch'n Goの事務所まで足を運んで確認してもらったが、これが標準と言われた。実際に他の個体も試してみたが、やはり同じように固い。これがなぜ設計や試作段階で問題視されずに商品化されたか分からない。

システム上の問題
機器以外では、よく耳にするのが引き落とし額と実際の利用料金が異なること。いつもは、RM10程度の高速道路で、突然RM50が引き落とされたなど、料金に関するトラブルがFacebookなどで話題になっている。
またシステムではないが、料金表示のディスプレイが壊れて料金表示できないまま放置されているのもたまにみかける。

トップアップできる時間が限定的
現在、幾つかの高速道路では完全キャッシュレスシステムが導入されているが、Touch'n Goのトップアップが24時間対応となっていないところが結構ある。また、曜日によってはトップアップを提供していないところもある。そのため、残高不足で高速道路に入った時にはどうなるのか心配になる。完全キャッシュレスシステムを展開するのであれば、年中無休で24時間トップアップできるレーンを設置することは必須であろう。あと、都市部だといろいろなところでトップアップできるが、コンビニなどだと50セントが追加チャージされ、利用者の不満となっている。

自動清算なのに追加料金の加算
あと、高速道路ではないが、駐車場の利用においてTouch'n Goを使用すると、通常の利用料金にTouch'n Goの手数料を加算されるところが結構ある。普通だと、清算コストが安いから値引き対象となるはずだが、なぜかマレーシアでは値上げとなっている。Touch'n Goによる駐車料金割引ができれば、利用頻度はかなり高まると思うのだが。

以上のように、電子料金収受システムには改善すべき点が多々あり、完全対応を進めると同時にそれに対応した環境整備を進めることが重要と感じる。

それでも、Touch'n Goはマレーシアのキャッシュレスシステムを支えてきた存在であり、少額決算の利便性に大きく寄与してきただろう。ただ、競合がいなかったことから、長い間サービスそのものに大きな変化がなかったことも否定できない。

最近では、レストランでの使用において割引サービスが受けられたり、大手小売店と提携やトップアップの手数料が不要なところも出てきており、Touch'n Go保有者の利用意欲を高める戦略が目立ってきている。

いずれにしても、今回の政府決定によってTouch'n Go社とTeras Teknology社は大きな利益を見込めることになるだろう。さらに、2018年は三菱重工業と開発しているマルチレーン・フリーフローETCの実運用が計画されており、同社に対する期待が高まっている。

因みに、久しぶりにTouch'n Go社のウェブページを閲覧すると、Touch'n Goの機能を持った腕時計がリリースされていた。個人的には、こうした製品よりもスマートフォンのNFC機能を使ったサービスを開発して欲しいと感じる。


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DRB-HICOM、通期で赤字転落

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国民車メーカーを傘下に持つDRBハイコムが2016年3月決算を発表、売上高は前期比で11.1%減となるRM121億7,294万、そして純損益がRM9億9,190万の赤字に転落したことが示された。赤字転落の主因は、プロトンホールディングスの自動車販売減による損失が大きいとされている。



DRBハイコムが筆頭株主になったのが2012年1月、その後、マハティール元首相を会長に迎えるなどしてプロトンの再建に期待が寄せられたが、市場シェアは下降を続けている。販売されている車種そのものを見ても、DRBハイコム傘下に入って以降にリリースされた新車種はPreveとIrizの2つだけと寂しい。日本などの競合他社が定期的にマイナーチェンジとフルモデルチェンジを繰り返し、且つ新しい車種も投入している市場にあって、プロトンの動きはあまりにも重鈍に見える。

こうした重鈍な動きの影響からか、今年の自動車販売台数を見ると、プロトンはホンダに次ぐ3位、そして直ぐ後ろからトヨタと日産が追い上げている状況に置かれている。DRBハイコムは、販売不振を消費者マインドの低下を主因として挙げているが、今年1月のプロトンの車種別販売台数を見ると、2008年に投入された2代目Sagaがプロトンの販売を牽引している状況は明らかに異様に見える。さらに、Suprima SとInspiraにいたっては、販売台数0を記録している。

[2016年1月~4月のメーカー別販売台数]
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[2016年1月~4月のメーカー別市場占有率]
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[2016年1月のプロトン販売車種別シェア]
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今年は6月には、最上級車となる『Perdana』とIrizをベースとしたセダン『Persona』が、そして年末にはスズキとの協業による新車種投入などが計画されており、ラインナップの充実が図られようとしている。ただ、Perdanaはホンダアコードのリバッジに限りなく近く、またこのクラスで高い需要が期待できるかは疑問がある。スズキとの協業も、スズキモデルのKD部品を供給してプロトンで生産するということなので、プロトンの技術を結集した製品とは言えない。

[新Perdana]
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また、DRBハイコムはマハティール元会長の退陣と引き換えに、今年4月に政府からRM15億(当時417億円)の低利融資を受け、これによりプロトンの立て直しを図る計画という。とはいえ、融資で受け取った資金の大半は取引先であるベンダーの支払いに充てられるとのことなので、こうなると再建を図るだけの体力が残っていないようにも感じられる。いまの状況が続くようであれば、販売台数5位の日産の後塵を拝する可能性も出てくるだろう。その時、政府はまだ国民車であるプロトンを支え続けるのだろうか?
ムスタパ通産相は、プロトン従業員1万2,000人とベンダーが雇用している5万人を保護するために融資を決定したいと述べていたが、延命措置を行ったに過ぎない印象が強い。

本気で再建を行うのであれば、まず取扱い車種の選択と集中を行い、経営資源を効率的に活用することが必要だろう。いまのプロトンは、自社技術を中心として大手自動車メーカーのようなラインナップ充実を狙っているが、同社の経営を支えているのは2車種しかない。また、主力は明らかにコスト競争力で販売数を維持している状況にあり、決してユーザーが品質やデザイン、性能で選んでいる訳ではなく、マレー人に話を聞いてもプロトンには魅力的な車種がないと断言している。車種を充実したいのであればOEMという手も考えられるだろうし、できるだけプロトンは身軽になる必要があるように思われる。

また部品供給業者についても、ブミプトラという枠を外し、性能や品質、そして価格に優れたベンダーを選ぶことも重要だと感じる。JDパワーが行っている調査では、品質に関する評価でプロトンはいつも最下位に沈んでいる。同くマレーシアで製造されたトヨタやホンダの評価が常に上位に位置しているのとは、明らかに対極的である。同じマレーシアの土地で、同じマレーシア人が製造し、部品の現地調達比率が高いにも関わらず、明らかな有意差が生じている。プロトン車に乗っている知人がいつも指摘しているのが故障の多さであり、これはベンダーの能力に大きく依存している。

他には、個人的にはプロトンとしてのデザインの統一性も挙げたい。現在、プロトンでは7車種を取り扱っているが、これがプロトンといったデザインが見えない。トヨタやホンダ、日産、マツダであれば、クラスが違っても各々のメーカーの特徴がデザインに現れている。後は、定期的にマイナーチェンジとフルモデルチェンジを行うことで、消費者の購買意欲を喚起することも重要だろう。いまのプロトンは、とりあえず新車種をリリースしたらそのまま数年間は放置されていることが多い。内装やオーディオなど、細かいところは改良されているが、ほとんどアナウンスされることもない。そして、突如として新しい車種をリリースするということを繰り返している。現在の車種では、唯一Sagaが2代目をリリースしている程度。と言っても、初代Sagaは1985年~2008年までの23年間もの間マイナーチェンジだけで凌いできており、プロトン自体がフルモデルチェンジにはあまり興味を感じていないように感じる。

しかし、プロトンはプライドの高い企業なので、こうした取り組みは行われない可能性が高いだろう。いずれにしても、今年の販売台数に対して政府がどの様に動くのか注目したい。


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