Maxis、既存顧客の満足度低下

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ここ数年、マレーシアの携帯電話普及率は140%台を維持しており、クアラルンプールでは200%超の数字を記録、携帯電話は人々の生活やビジネスに欠かせない存在となっている。特に、国内ではスマートフォンの利用が活発であり、アップルやサムスンといったメーカーが高い人気を誇っている。

携帯電話の使われ方にしても、以前は通話とSMSが主流であったが、今はインターネットを中心とした使われ方に変わってきている。通話もメッセージもSNSアプリが使用されており、ユーザーはデータ使用量に重きを置いている。これは若い世代に限った話ではなく、60代以上のシニアにも当てはまる。実際、私の周りの60代以上の人達に会っても、ほぼ皆がスマートフォンを使用しており、連絡のやり取りにはSNSが使用されている。

こうした変化を受け、携帯電話キャリア各社は数年前からパッケージ内容を大きく変えてきた。特徴的なのは、需要の低下している国内通話とSMSは定額無制限とし、需要の高まっているデータ使用量を大きく引き上げている点であろう。以下では、今年2月時点での大手携帯キャリアによる主力パッケージをまとめている。

[主要携帯キャリアーの主力パッケージ比較(2016年2月時点)]
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各社とも、通話とSMSは無制限とし、7GB以上のデータ量を含めたパッケージをRM100以下に抑えていることが分かる。ただ、その中でMaxisだけは1GBのデータ量でRM98という高額パッケージとなっている。月額料金/GBで見ると、Maxis以外の携帯電話キャリアはRM10前後であるのに対し、Maxisの料金はM98とほぼ10倍の格差が生じている。その結果、SNS上ではこうした違いに対して不満を爆発させたMaxisユーザーの投稿が目立つようになってきていた。

競合他社がデータ使用量を拡大する戦略を採っているのに対し、Maxisは相変わらず高い料金設定でデータ使用量はわずか1GB。同社の他のパッケージもそれ程大差なく、データ使用量は競合他社より低く設定されている。そのため、たくさんのデータを使用するならば、Maxisユーザーはかなりの出費を強いられることになる。

当然、既存のMaxisユーザーの多くがMNPで他社への乗り換えを選択することになる。しかし、そこでMaxisが採った戦略は、他社に対抗するための競争力のあるパッケージをリースするのではなく、他社へ乗り換えようとしているユーザーがいると即座に電話連絡を取り、月額RM68で5GBのデータ量(サバ・サラワク州は7GB)と電話・SMSは無制限というオファーをピンポイントで出してくるというもの。これはウェブ上に出ていないパッケージ内容であり、ある意味既存の顧客を引き止めるための隠し玉的な戦略と言える。

当然、この戦略は既存の顧客に対してフェアではない。他社より高い料金でデータ量も少ないが、10年以上も同社の通常サービスを利用しているレギュラーカスタマからすると、腹立たしい限りである。結局、多くのレギュラーカスタマーがSNS上で更なる不平・不満を爆発させる事態に発展、最終的にこうしたアンフェアな対応に嫌気が差し、他社へ乗り換えたユーザーの投稿も結構目にした。こうしたユーザーは、二度とMaxisに戻ってこないだろう。

こうした事態を受け、MaxisはCEOが謝罪を動画で表明、同社のMaxisOneのデータ使用量を増やすことで事態の収拾を図ろうとした。しかし、適用対象がMaxisOneユーザーだけであること、さらに競合他社と比べて競争力のある内容ではなかったことなどが再び槍玉に挙がっている。




[MaxisOneの旧パッケージと新パッケージのデータ量]
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ただ、Maxisの顧客対応問題はかなり根深いし、マレーシアの大企業の体質を象徴していると感じる。カスタマーサポートに電話しても誰も受話器を取らない、質問に対して的確な回答ができない、また光ブロードバンドでも予約日にエンジニアが来ないといった苦情をウェブ上で見ることができる。私もMaxisへ電話問い合わせすることがあるが、本当に誰も受話器を取らない。因みに、フロスト&サリバンが2014年末に調査した報告書によると、携帯キャリアー変更理由の首位は『顧客サービスに対して満足できなかったため』となっており、58%もの数字になっている。

10年ほど前であれば、Maxisは最新技術に対して素早く投資を行い、カバーエリアが競合他社と比較して圧倒的に広いなどのアドバンテージを有していた。また、プロモーション展開においてもMaxisの企業イメージは先進的であり、マレーシアで最もクールな携帯キャリアとしての地位を確立していたと思う。今でも、Maxisはカバーエリアでは国内では最も広い範囲をカバーしているし、設備投資に対しては積極的だと言える。しかし、最大手である驕りからか、『既存の顧客を大事に扱う』、『顧客ニーズに素早く対応する』という部分が疎かにされていたように感じられる。また、競合他社も積極的な設備投資を行っていることから、カバーエリアは満足できるものになっているし、品質も悪くない。パッケージ内容や料金体系もほぼ横並びの状況になっている。であれば、利用者としては優れた顧客対応というのも、携帯キャリアを選択する上で大きな要素になるのではないだろうか?

先日、同社の今年第1四半期の収益は昨年同期のRM4.1億からRM5.1億と26.3%の増加を記録していることが発表されたが、今後も企業体質が変わらないようであれば、顧客離れが加速していくように思われるが。



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大手通信キャリアー、100Mbpsのサービスを開始

今年3月末、大手通信キャリアーのTMとMaxisから、100Mbpsの光ブロードバンドサービスがリリースされた。

通信マルチメディア委員会の発表によると、昨年第2四半期でのマレーシアのインターネット普及率は91.7%、世帯当たりでは72.2%にも達している。国内でもSNSやeCommerceの利用が活発であり、インターネットは生活にとビジネスにおいても欠かせない存在となっている。

しかし、通信環境における利用者の満足度は低く、低速で高額なことが常に問題視されてきた。実際、昨年にAkami Technologiesが発表した報告書では、マレーシアのインターネット速度が隣国のタイやスリランカよりも低速であることが明らかにされており、SNS上でも話題になっていた。

こうした状況に対し、サレー・サイド通信・マルチメディア相は、マレーシア人は低速でも安価なインターネット環境を好む傾向にあると記者会見で述べている。数字を見ても、71%のインターネットユーザーは384Kbps〜1Mbpsのインターネット環境を利用しているらしい。

この背景の一つには、利用料金が周辺諸国と比べても割高なことがあると思われる。ただ、光ブロードバンドのような高速通信の普及が進まないのは、他にも理由を挙げることができる。まず、カバーエリアがまだ主要都市圏だけとなっており、地方の小さな都市ではサービスが提供されていない。私自身、ペラ州の小さな町でエビ養殖業を営んでいるが、利用できるサービスは限定的となっており、当然光ブロードバンドは利用できない。ビジネスで高速通信が必要なことも多々あるが、低速な通信環境で我慢している状況にある。

他方、首都圏においても、低所得者住宅に対しては光ブロードバンドは対応していない。所得水準が低いから需要が期待できないということかも知れないが、居住者の多くは衛星放送を利用している世帯が多く、光ブロードバンドを利用したい潜在ユーザーは多いと思われる。実際、低所得者住宅に住んでいる知人数世帯は光ブロードバンドを申し込んだが、対象エリア外ということで仕方なく低速のブロードバンドサービスを使用している。

また、私が住んでいるエリアでは、光ブロードバンド回線数が上限に達したため、新規契約ができない状況となっており、高速ブロードバンドを利用したくてもできない状況になっているらしい。政府としては、HSBB 2や SUBB: sub-urban broadbandというプロジェクトを展開することで、2019年までに420,000棟が光ブロードバンドに接続できる環境とすることを目指している。また、通信速度も従来の最大20Mbpsから100Mbpsへアップグレードすることが計画されている。

そうした中、今回大手通信キャリアであるTMとMaxisから100Mbpsの高速サービスが提供開始されたことで、マレーシアのブロードバンド環境は一歩前進したと言えるのだろう。また、100Mbps導入に伴い、5Mbpsなどの低速の光ブロードバンドサービスは廃止されている。ショッピングモールに足を運ぶと、TMのブースでは新しいパッケージのプロモーションが行われていた。

TM LAUNCHES ITS NEW LOOK TMPOINT OUTLET AND UNVEILS ITS NEW UNIFI PRO PLAN
MaxisONE Home with Malaysia’s first Maxperts service aims to deliver better home fibre broadband experience



ただ、両社の100Mbpsのパッケージを見た第一印象は、かなりの高額商品だということ。TMのUniFiだと月額利用料金がRM299から、MaxisではRM398から(MaxisOne非ユーザーの場合)となっている。日本円だと月額1万円前後にもなる計算であり、所得水準から見ると通信費が占める割合はかなり高くなってしまうだろう 。また、日本だと1Gbpsの光ブロードバンドサービスがこれよりも安くに利用できるので、やはりマレーシアの料金は割高といえる。Mbps毎の通信コストで比較して見ても、マレーシアのサービスだとRM2.99~RM3.98、対して日本はRM0.124~RM0.136であり、20倍から30倍もの開きがある。

この利用料金の高さのためか、両社では100Mbpsのプロモーション自体をそれ程活発に行っていないように感じる。実際の店舗に足を運んでも、月額利用料金がRM200以下となる10Mbps~30Mbpsのブロードバンドサービスを推奨されるので、この辺の価格帯が売り筋と見ているのだろう。

マレーシアは高速ブロードバンドに対して高い需要があり、インターネットの利活用も活発だと言える。優れた通信環境を提供することができれば、マレーシアのIT産業や裾野産業はかなり大きな広がりを見せるだろうし、産業全体の競争力を押し上げることができると考える。連邦政府は光ブロードバンドについても2020年を一つのターニングポイントと位置づけており、あと4年でどれだけ改善できるのか期待したい。




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