2015年の自動車販売、ホンダが国内3位に

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マレーシア自動車協会より、2015年自動車販売に関する統計情報(Market Review for 2015)が公開された。

まず、2015年の自動車販売台数は過去最高となる666,674台、前年の666,465台から209台の微増となっている。GST導入に伴って自動車価格が2~3%程度下がったものの、販売台数はそれ程大きく伸びていない。2011年から年間25,000台程度の増加を続けていたが、昨年は減速した印象が強い。

[マレーシアの自動車販売台数推移(台)]
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次にメーカー別の市場シェアを見ていくと、プロドゥアが首位の32.0%、プロトン15.3%、ホンダ14.2%となっている。国民車メーカーである上位二社に変動はないものの、非国民車ではホンダがトヨタをはじめて販売台数で上回る結果となっている。以降も、日本メーカーのトヨタと日産、マツダが続いており、日本車に対する人気の高さが認識できる。逆に、プロトンの市場シェアは15.3%でしかない。2000年には市場シェア50%を誇っていた同社だが、市場シェアの縮小が止まらない状況になっている。

[2015年マレーシアの自動車販売シェア]
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首位のプロドゥアに関しては、2014年に投入されたの小型乗用車『Axia』の販売が好調で、販売台数は9万9,700台、販売全体において46.7%を占めている。低価格・低燃費という方向性が、消費者のトレンドに合致した結果とも言えるだろう。またホンダについては、2015年の目標値であった85,000台を上回る94,902台を達成している。販売構成を見ると、CITYが94,902台で前年から22%増、全体で40%を占有しており、稼ぎ頭となっている。次いでHR-Vが21%、Jazzが18%という結果に。

[2015年ホンダ販売車種構成]
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ここ数年の自動車販売推移を見ていくと、プロドゥアは右肩上がりで販売台数が増加を続けていることが分かる。逆に、プロトンは年々販売台数が減少している傾向にあり、日本メーカーとの2位争いが熾烈さを増しているように見える。トヨタはここ数年は10万台前後を維持してるが、逆にホンダが急速な伸びを記録している。あと、あまり目立った数字ではないが、ここ最近はマツダの販売台数も右肩上がりに増加を続けており、2011年の6,028台から昨年は14,325台と2倍超にもなっている。消費者に話を聞いても、マツダ車に対する評判はかなり高く、今後も増加を続けるものと思われる。

[自動車メーカー販売台数推移(台)]
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2016年の自動車市場に関しては、リンギ安の影響から自動車メーカー各社が値上げを発表していることもあり、自動車市場は2015年よりも縮小することが予想されている。それよりも注目されるであろう市場変化として、プロトンが通年で日本車メーカーの後塵を拝するのではないかという点。実際、プロトンとホンダの販売台数推移を見ていくと、2016年はポジション逆転の可能性が高いように見える。





他の自動車メーカーよりも政府から手厚い保護を受けることでコスト優位性を持ち、企業再建の秘策としてマハティール元首相を会長に据えるなどの措置を採ってきたが、いまだその成果は現れていない。昨年に発表されたスズキとの提携により、同社の再生が期待されているが、共同開発モデルの発表は2016年末と言われており、今年の販売台数への寄与はあまり期待できない。

ただ、プロトン離れが進んでいる根本的な問題は、消費者がプロトン車に対して魅力を感じることができないでいることにあるだろう。いくら競合他社より安価であっても、初期品質で不具合が多発したり、カスタマーサービスが悪ければ自然と顧客は離れていく。特に、個人所得が増加している中にあって、消費者はコスト性以外の要素で自動車を選択できるようになっていることは大きいと思われる。

JD Powerが調査した顧客満足度の数字を見ても、プロトンは軒並み最下位の評価となっている。プロドゥアのMyviに対抗してリリースしたIrizについても、装備を充実させたにも関わらず販売が好調とは言えない。初期品質の評価においてはプロドゥアを下回る結果となっており、更に顧客離れを加速することになっている。逆に日本車に対する高評価が際立っており、特にホンダは常に上位の評価を受けている。こうした目に見えない部分での評価が、ホンダを自動車業界3位に押し上げた一因になっているのだろう。

2012年にDRB Hicomがプロトン再建のために同社株式を取得して4年、いまだ長期的な方向性や戦略などは見えてきていない。この数年、統一性のない新車種をリリースしたり、キャッシャバックなどの値下げ戦略を打ち出しているが、結果、売り上げ増には結びついていない。プロトンがどこへ向かおうとしているのか、そのためにどの様な戦略を採り、マイルストーンや目標値を設定するのかなどを内外に示す必要があるように感じる。

[2015 Malaysia Sales Satisfaction Index (SSI) Study]
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[2015 Malaysia Initial Quality Study (IQS)]
各部門の上位3車種のみ、スコアーが低いほど高品質
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[2015 Malaysia Customer Service Index (CSI) Study]
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マレーシア、2016年予算案見直しへ

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2016年早々、ナジブ首相兼財務相から2016年度予算案の修正を行うと発表が行われた。記者会見において、石油価格の下落、リンギ安、中国経済減速が見直しの主因となっている。



昨年の予算案発表時、原油価格は1バーレル45ドルであったが、いまは30ドルにまで落ち込んでいる。国民は石油価格下落によってガソリン価格も安くなったことから、普段はRON95しか給油しない人達がRON97を利用するなど、歓迎ムードといった印象。しかし、石油価格の下落はペトロナスからの配当金や税金、ロイヤルティといった納付金が落ち込むことを意味している。5年程前だと、ペトロナスからの収益がマレーシア歳入の約40%程度を占めていたが、2014年には約30%にまで落ち込んでおり、今後はさらに依存度が低下していくことになるだろう。またクレディ・スイスの見通しでは、ペトロナスからの配当収入は今年がRM160億、来年はRM100億となり、GDP比で0.5%に相当する減少となる。

また、急速なリンギ安はマレーシア経済に大きな影響を及ぼしており、国民車メーカーを含む自動車メーカー各社は車体価格の値上げに踏み切っている。中国経済の減速に関しても、マレーシアの貿易において中国は最大のパートナーとなっているだけに、不安が広がっている。リンギ安で輸入原材料が上昇し、最大の輸出先である中国経済が減速という構図は、マレーシア産業界にとって痛手だろう。更に1-9月の投資認可額を見ても、2014年のRM1,800億から昨年はRM1,532億に減少、特に不動産セクターはRM529億からRM210億にまで落ち込んでいる。こうした状況から、世界銀行はマレーシアの2016年の経済成長が4.5%に減速すると予想している。



今回の予算案見直しでは、高速道路補助金削減、液化石油ガス料金補助削減、そして公的機関への交付金削減が予想されており、補正予算案の上程は1月28日に予定されている。ただ、こうした補助金削減策は、GST導入や各種値上げで冷え込んでいる消費者心理に追い討ちをかける可能性が高いだろう。また、財政健全化を目的として導入されたGSTについては、財政に与えた影響が限定的であったとし、格付け会社のMoody's はマレーシア国債のアウトルックを「ポジティブ」から、「安定的」へと引き下げている(『Moody's revises Malaysia's sovereign rating outlook to stable, affirms A3 rating』)。(連邦政府は引き下げではないと強調)



マレーシアの政府債務残高は2014年時点で54.8%とされており、これは法定上限の55%に限りなく近いことから、ナジブ政権では財政健全化を最優先事項としている。そのため、新聞などを読むと歳出削減に重点が置かれるといった見方が多い。外部環境の悪化に加えて、民間消費の鈍化、こうした中でどのような補正予算が組まれのか注目したい。


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