マレーシアのインターネット接続速度、世界70位

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9月23日、Akamai Technologiesが世界各国のインターネット事情をまとめた『State Of The Internet』を発表(プレスリリース:Akamai Releases Second Quarter 2015 ‘State Of The Internet’ Report)。

まず、2015年第2四半期におけるマレーシアのインターネット接続平均速度は5.0Mbpsであり、114ヶ国・地域中で70位。今年第1四半期が4.3Mbpsだったので、0.7Mbps向上していることになる。ただこの数字、隣国のタイだけでなく、スリランカのインターネット接続速度が遅いようで、国内の現地新聞でも大きく取り上げられ、野党DAPのLim Kit Siang党首も批判を展開していた。ちなみに、世界平均の速度は5.1Mbpsなので、マレーシアのインターネット速度は世界平均を若干下回っている。

[アジア主要国のインターネット接続平均速度(2015年第2四半期、Mbps)]
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さらに、15Mbps超、10Mbps超、4Mbps超の利用状況を見ると、マレーシアは4Mbps超だと55%と高い数字を示しているが、それ以上になると利用状況は大きく下がってしまう。この数字だけをみると、マレーシアのインターネット環境は先進諸国と大きく乖離していることが分かる。

[アジア主要国のインターネット接続速度別普及度合い]
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これに対し、通信マルチメディア省のDatuk Seri Dr Salleh大臣は記者会見において、マレーシアは2020年までに95%の国民がブロードバンドを利用できることを目指しており、そのためには安価な低速(384kbps)のインターネット接続サービスを提供する必要があり、これによって平均速度が周辺諸国よりも低速になっていると説明している。実際、384kbps~1Mbpsのパッケージ利用者が全体の71%にも達しているらしい。現状、384kbpsのサービスを提供しているのはStreamyxであり、以前の記憶だと価格はRM60。日本円では1,800円程度だが、日本だとこの価格でもっと高速のインターネット接続を利用できるし、生活水準からするとかなり割高だと感じる。国内利用者が特に不満を感じているのは、通信速度に対して価格が周辺諸国よりも割高であることであり、長年問題視されていた。ただ、今年5月にブロードバンド料金の価格が大幅に引き下げられているので、これが普及率にどう影響しているのかは興味ある。

また、同大臣の発言では、95%の目標値達成のためMalaysian Communications and Multimedia Commissionは2020年までにRM90億(2,700億円)を投じる計画であり、さらに都市部では50%以上、地方都市でも20%の国民が100Mbpsのインターネット接続を利用できるようにしたいとしている。2020年まであと5年もないが、この短期間で100Mbpsのインターネット接続環境を整備できるのか、また価格設定はどの程度になるのか興味深い。

ただ実際問題として、都市部においては光ファイバーを使いたくとも対象エリア外であることから、仕方なく低速のインターネット環境に甘んじている人もかなり多い。また、私自身地方都市に行くことがあるが、ADSLさえ引き込めず、携帯のデータ通信は2Gしか使えないところも結構まだ多い。確かにお金がないから安価なパッケージを利用している人も多いだろうが、数Mbpsのサービスを使いたくともエリア外という利用者もかなりの比率だと感じる。特に、クアラルンプール市内の低所得者向け住宅でさえ光ファイバーサービスの対象エリア外となっており、そこに住んでいる知人はやむなく低速のADSLを利用している。彼らは光ファイバーサービスを利用する意思があり、支払う能力があるにも関わらず、それを利用できないでいる。

マレーシア国内のインターネット環境は、10年前から比べると大きく改善されたことは実感できるが、それでも課題は山積みであり、利用者の満足度もまだ高くない。とはいえ、2020年の高所得国家入りを目指し、国内のインターネット接続環境も大きく改善しようとしていることが、通信マルチメディア省大臣の会見で見えてきた。水道インフラのように、いつでもどこでも高速のインターネット接続が利用できる環境が整備されれば、国民の利用形態も大きく変わるだろうし、国内コンテンツの充実なども期待できるだろう。
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マレーシアの国際競争力が18位に上昇

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世界経済フォーラムより、『世界競争力ランキング2015~2016』が発表された(プレスリリース:アジアおよび世界経済に経済的不安をもたらす生産性の「ニューノーマル(新しい現実)」 )。





報告書によると、アジア域内ではシンガポールが首位を維持しており、全体でも5年連続で2位という位置づけ。続いて日本が6位、香港7位、台湾15位となっている。今回の報告書では、アセアン各国がいずれも前年から順位を上げているのが特徴的であり、年々競争力が高まっていることが示されている。

[アジア主要国の国際競争力ランキング推移]
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次にマレーシアは、全体で18位と過去最高位を記録している。アセアン内でもシンガポールに次ぐ2位となっており、昨年以降から韓国をも上回る評価を受けている。各項目を見ていくと、「公共機関」と「金融市場の高度化」が順位を下げたものの、その他は前年と同じ、或いは順位を上げている。また大きく順位を伸ばした項目としては、「マクロ経済の安定性」が44位から35位、「保健と初等教育」が33位から22位、「高等教育とトレーニング」が46位から36位、「科学技術への準備」が60位から47位となっている。国際通商産業省のMustapa大臣は、経済改革プログラムと政府改革プログラムの進捗がランキングを押し上げたと評価しているが、確かにマクロ経済の安定性に大きく寄与していると感じる。そして今回の特徴は、教育関連の項目において順位が伸びている点。マレーシア政府は『Malaysia Education Blueprint 2013-2025』を発表し、教育環境の改善に重きを置いており、この点が評価されたようにも感じる。ただ、初等教育においては英語よりもマレー語に重点を置いたカリキュラムとなっていることが、今後の国際競争力に対する不安要素として挙げられる。これについては、多く企業が懸念事項として取り上げており、いく先々の経営者から同じことを聞くことができる。




[マレーシアの国際競争力2015-2016内訳]
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今後の課題としては、マレーシア国内の労働生産性改善が必要とされており、それが競争力の強化に大きく影響すると指摘されている。Malaysia Productivity Corporationが先月発表した報告書『PRODUCTIVITY REPORT 2014/2015』によると、2014年の一人当たりの労働生産性がRM 6万1,708で前年のRM5万9,622から3.5%上昇している。2014年以前は2.0%以下と低調な成長であったから、2014年に大きく改善されていることが分かる。連邦政府としても、2020年までに労働生産性をRM8万5,000へ上昇させることを目指しており、重点政策として取り組んでいると言える。具体的には、外国人労働者でもできる労働集約型の単純労働ではなく、知識や熟練性が求められる質の高い労働への移行が進められている。経済改革プログラムにおいても、高所得国家を目指すために知識産業への転換を標榜しており、プロジェクトもそれに沿った内容となっている。

[マレーシアの労働生産性推移(RM)]
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[アジア主要国の労働生産(2013年、US$)]
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マレーシア国内では、連邦政府の経済政策に対する批判や不満をよく耳にするが、それでも世界経済フォーラムでの評価が年々上昇しているのを見ると、世界的には魅力的な国家へ変化しているのだろう。2020年までにどれだけ順位を伸ばすのか、楽しみでもある。

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