2014年を振り返って

2014年を振り返って、個人的に印象に残ったマレーシアの出来事を、10大ニュースとしてランキング化してみました。



2014年は、マレーシア航空がらみでマレーシア全土が悲しみに包まれた年でした。2度の航空機事故を受け、マレーシア航空の再編にも注目が集まっています。

経済に目を転じると、マレーシア経済が力強い成長を続けていることが見て取れました。高い経済成長を維持し、投資誘致額も前年を大きく上回っています。特に、海外直接投資では、日本が最も多い額を記録しています。

来年は、マレーシア国内が明るいニュースで溢れることを願っています。

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IMDのWorld Talent Report、マレーシアは世界5位の評価

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11月20日、国際経営開発研究所は『2014 World Talent Report』をリリース、60ヶ国・地域の人材についての調査結果が示された。

プレスリリース:IMD releases its 2014 World Talent Report

総合評価で世界首位はスイスで、2007年以降からその地位を維持、デンマークとドイツがそれに続いている。こうした人的資源に関する調査でアジア圏はあまり高く評価されないのだが、今回はマレーシアが世界4位という結果に。これはアジア圏内で首位、シンガポールの16位を大きく引き離している。

[アセアン諸国のWorld Talent順位推移]
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項目別に見ていくと、上級管理職に対する評価が世界1位、労働者モチベーション3位、実習と社員教育、国際経験が4位、学校での科学5位、熟練労働者6位となっている。

[2014 World Talent Report、マレーシアの評価内容]
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近年、マレーシア国内においては科学離れが指摘されたり、労働者スキルの割りに給与水準が高すぎるなど指摘されているが、国際経営開発研究所の調査ではそれでもグローバル社会において上位の評価とされているのは意外な印象がする。国際経験については、多民族国家であるがために、マレーシアの労働者は周辺諸国に比べてもかなり高いと認識していたので、妥当な評価だろう。

2020年の高所得国家入りを目指すマレーシアにあって、これまでの天然資源輸出やコスト優位性による製造拠点という位置付けは、これ以上の成長は期待できないだろう。そのため、ナジブ政権が推進する経済改革プログラムでは、人的資源を中心とした知識集約産業へ重点を移していくことを目指しているのが特徴的となっている。実際、IT関連のアウトソーシングの分野では、中国とインドに次ぐ規模にまで成長しているし、医療分野においても顕著な投資が見られる。人的資源に関する政府政策においても、海外へ流出した頭脳に対して優遇措置を提示したり、海外の優秀な人材に対しても10年間のビザを出すなど、これまで以上に積極姿勢が見られる。

また、これまで経済を牽引してきた製造業の分野では、研究開発をマレーシア国内で行うことにより、これまでとは異なる付加価値を提供することが求められているだろう。自動車製造において、プロトンはこれまでの安さを追求した国内向けではなく、海外輸出を視野に入れた戦略に重点が移ってきており、ハイブリッド車などの低燃費車開発も行われている。

政府においても、かなり以前から先進諸国からの技術移転を積極的に推奨し、国内の技術水準向上に努めてきた。ただ、これまでは技術移転することが目的となっており、移転した技術をベースにしていかにして新しいものを生み出すのかといったことは不得手だったように感じる。

こうした状況を打開できるのはやはり人的資源であり、『2014 World Talent Report』の評価はマレーシアがその潜在性を大いに有していることを示したと思う。それでも、マクロレベルでは教育システム、頭脳流出、公正な労働機会などの改善が挙げられるだろう。

マレーシアの英語力、アジア首位を維持

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EF Education Firstが実施した非英語圏の英語力指数調査結果で、マレーシアは54ヶ国中12位、アジア内では首位の評価。前回に続いて、アジア首位を維持している。

プレスリリース『イー・エフ・エデュケーション・ファースト、英語能力指数(EF EPI)の調査結果を発表』

2014年報告書『EF EPI第4版(2014)』

EPI Japanese Subtitles-SD from EF Education First on Vimeo.



マレーシアは多民族国家であることから、共通言語として英語が広く使われている。だから、ビジネス上は英語だけでも支障は生じないし、日常生活においても都市部にいればあまり不自由は感じない。こうした言語力の高さがあるからこそ、マレーシアはグローバル市場においてアドバンテージを有しているし、町工場のおじさんが海外の企業と多国間事業を行っていることも珍しくない。

ただ、隣国のシンガポールよりも英語力が高いかと言われると、かなりの疑問がある。私自身、ビジネスでよくシンガポールに行くことがあるが、実感としてシンガポールの方が英語力はかなり高いだろう。

そうした中、ローカル紙The Starの特集において、新卒者の英語力が基準に達していないことが、雇用者側から指摘されている。また、生徒においても、教える側のスキル不足によって英語教育の品質に疑問が呈されている。12月9日に開催されたMalaysian Higher Education Blueprint 2015-2025 において、Muhyiddin Yassin教育相はこうした状況に対して『something is not right』と述べているが、主因はマレー語主体の教育システムと教師のスキル不足が大きいと考える。

理数教育は英語からマレー語へ変更され、全国統一試験もマレー語となっている。英語は必須科目だが、それでも教える側のスキル不足と授業時間が少ないことは否めない。

また、日本では教育の機会均等が当たり前だが、マレーシアの公立校では教育品質が生徒のレベルによって大きく異なる。実際に公立校に通っていた生徒の話を聞くと、例えば、マレーシアの公立校では生徒の成績順にクラスが編成され、成績の良い生徒と悪い生徒が区別される。成績の良いクラスに対して教師は真剣に授業を行うそうだが、成績の悪いクラスに対しては授業に来ないなど無視されることが多いらしい。教師から無視されているため、当然英語力の向上は望めず、英語が全く分からないマレーシア人も増えてきている。

政府機関自体もマレー語主体の環境にあり、英語よりもマレー語が必要とされる。各種調査や打ち合わせ、或いは個人的に政府機関に関わる機会は多いが、いつも言語が障害となる。ウェブページがマレー語だけだったり、ガイドラインなどの書類もマレー語、申請書類もマレー語。国語がマレー語だから仕方ないが、折角英語が使える環境にあるのにもったいないと感じる。

マレー語はマレーシアのアイデンティティーを維持する上で重要であると認識しているが、この国のこれまでの成長においては、英語を含めた言語能力の高さが大きな役割を果たしてきたと思う。今後もマレーシアが発展して行く上では、こうした多言語の能力を伸ばしていくことが重要だし、他国が簡単に真似できない特徴だと感じる。私の子供が通う中国語の塾には、マレー系やインド系の子供も通っており、親のレベルではその重要性が認識されていると言える。

私自身、マレーシアは英語圏や中国語圏、イスラム圏、インド圏へ容易にアクセスできる環境が整っていることから、日本企業にとっては今も魅力的な進出先であると信じている。

マレーシアにおけるSNSとインスタントメッセージの成長

今年、マレーシアのSNSやインスタントメッセージ利用に関して面白い調査結果が幾つかリリースされた。

まず、カンタージャパンが今年8月に発表した『コネクテッド・ライフ』では、マレーシア人のSNS利用頻度が94.2%と調査対象国49ヶ国中で10位という結果に。調査報告では、アセアン各国ともSNSの利用頻度が高いことが明確になっている。また、写真や動画、音楽のアップロードでも、マレーシアは87.2%と49ヵ国中3位。マレーシアはSNSの利用、および写真や動画、そして音楽のアップロードが盛んな国と言える。

[ソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用する]
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[写真、動画又は音楽をアップロードする]
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また、TNSが今年9月に発表した調査報告書(プレスリリース:Malaysian Internet users amongst the global social leaders)においても、マレーシアのSNSおよびインスタントメッセージの利用が世界平均よりも遥かに高いことが数字で示されている。

特に、SNSではFacebookとYoutubeの週間利用は88%と76%という結果に、さらにインスタントメッセージではWhatsAppとFacebook Messengerの週間利用は72%と71%で、いずれも世界平均を大きく上回っている。全体を見ても、マレーシア人がいかにこうしたサービスを積極的に利用しているかが分かる。

[週間でのSNS利用]
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[週間でのインスタントメッセージ利用]
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こうした利用者の変化を受け、企業ではSNSやインスタントメッセージを活用したサービスやプロモーション戦略を展開している。最近だと、マクドナルドがソフトクリームの無料クーポンを、Chatimeがソフトドリンクの無料クーポンをLINEで配布。また、映画館運営のTGV CinemasでもLINEの活用が始まっている。

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Facebook普及期においても、マレーシアは世界的にその利用率の高さが注目されていたが、こうしたSNSやインスタントメッセージサービスはマレーシア人の嗜好に合致していたのだろう。ここ最近になってこうしたサービスの利用が更に活発になってきた背景には、まずスマートフォンの普及が大きく寄与してるだろう。今年10月、マレーシア政府は国内の携帯電話普及率が143.7%に達したと発表しており、複数台持ちも珍しくなくなってきている。特に、周辺諸国と比べてもスマートフォンの普及比率が高く、SNSの利用頻度を高めることに寄与していると思われる。

そして、携帯端末でのインターネット接続が安価になったことも挙げられる。キャリアーによっては、SNSやインスタントメッセージ利用に関しては上限無制限で利用できるパッケージもあり、利用者の選択肢はかなり広がっている。

私の周りでも、facebook、Whatsapp、WeChat、LINEといったアプリが概ねインストールされている。また、数年前まではテキストメッセージといえばSMSだったが、いまはインスタントメッセージがそれに代わっているのも特徴的だろう。私自身、ここ数年で受信したSMSは銀行からの案内や書店からのメッセージぐらいであり、知人とのやりとりはインスタントメッセージだけとなっている。

企業におけるこうしたツールを活用したサービスでは、現時点ではfacebookによる情報発信が圧倒的な状況だが、マクドナルドやChatime、TGV Cinemasの成功からLINEなどのスマートフォンベースのインスタントっセージアプリ活用が拡大していくと思われる。ただ、多くの消費者は従来からの紙ベースのクーポンに慣れ親しんでいることもあり、全てをオンラインベースへ切り替えることは難しいだろうし、まだ各社とも手探りの状況にある。それでも、国内インターネットユーザーの6割がSNSやインスタントメッセージを使い、多くの時間をこうしたアプリ費やしている状況を考慮すると、企業として活用しない手はないだろう。

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