2013年のマレーシア経済

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2月に入り、各政府機関から昨年のマレーシア経済に関する統計情報がリリースされてきた。2012年よりも景気が減速するとの見通しが体勢であったが、輸出統計や海外からの直接投資は高い数字が示される結果になった。

まずGDP成長率については、2013年第4四半期はプラス5.1%となり、通年でプラス4.7%成長であったことが示された。2012年のプラス5.6%成長からは減速したが、比較的安定した成長を維持したと言える。

全体的に見て、2013年も建設とサービスが5%超の高い成長を維持しており、製造業も回復基調にあると感じる。都市部では、MRTや道路網、或いは住宅建設などが活発化しており、建設業における好調さを実感できる。

[マレーシアのGDP成長率推移]
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統計局『Gross Domestic Product Fourth Quarter 2013』
マレーシア中央銀行『Economic and Financial Developments in the Malaysian Economy in the Fourth Quarter of 2013』

また、製造業を中心とした輸出の回復も、ここ最近のマレーシア経済の復調要因となっていることが指摘されている。マレーシア通商産業省の貿易統計『Trade Performance for The Year Of 2013 and The Month of December 2013』においては、下期の輸出が増加、中でも中国やアセアン諸国向けが大きく増加している。また、12月は中国向けの電気・電子製品輸出が好調でRM657.4億を記録、前年比でプラス14.4%となっている。

通年で見ても、2013年上半期はあまり振るわなかった輸出だが、下半期には大きく改善されていることがグラフから分かる。これにより、2013年の輸出額は2012年からRM171.7億増(プラス2.4%)のRM7,198億となっている。

[マレーシアの輸出入額推移(RM100万)]
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分野別だと、電気・電子製品が2013年はRM2,367.6億を記録、前年のRM2,311.6億からRM56億も伸ばしている。逆に、パームオイルやゴム製品などは輸出額が落ち込んでいる。

[2013年の主要輸出品目(RM100万)]
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国別では、シンガポールへの輸出額がRM 1,000億を超え、中国もそれに迫る数字を示している。マレーシア通商産業省の報告書においても、最大の貿易相手国である中国との取引がどれだけ成長しているのかに焦点が当てられている。逆に、日米向けの輸出額は下降傾向に。

[2013年の主要輸出国]
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次に直接投資については、2013年の流入額がRM387.7億を記録、2012年から24.8%増加し、更に2011年のRM373.3億を上回る結果に。投資先の内訳でも、製造業が全体の37.6%、サービス業28.8%、鉱業28.7%となっている。

2013年第4四半期はRM112億の流入額を記録し、香港、シンガポール、バージン諸島からの投資が上位3カ国となっている。また、主な投資先は製造業、不動産、鉱業とのこと。

[マレーシアへの海外直接投資流入額推移]
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2013年は選挙の影響もあり、政治的なトピックばかりが注目された印象が強いが、経済活動においては比較的順調な年だったと言えるだろう。経済改革プログラムの寄与も大きく、海外からの投資を引き込むと共に、国の競争力向上に繋がっているように感じる。

2014年の経済成長については、世界経済回復の影響から輸出が国内経済を牽引するものと見られている。ただ、昨年まで堅調に拡大していた内需については、財政健全化に伴い政府補助金が削減されることで、個人消費の減速が予想されている。とは言え、経済アナリストの経済成長予想は5%台とされており、引き続き安定的な成長を期待されている様子。

•RHB Research:5.4%
•HSBC:5.2%
•MALAYSIAN RATING CORP BHD:5%
•Alliance Research:5%
•世界銀行:4.8%

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MCMC、2013年第4四半期の国内IT統計を発表

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2月18日、マレーシア通信・マルチメディア委員会は昨年の国内IT統計報告書『Communications and Multimedia : Pocket Book of Statistics, Q4 2013』をリリース。

まず国内世帯当たりのブロードバンド普及率について、2012年までは高い成長を示していたが、昨年からその成長が鈍化、そして第4四半期では初めて前期の67.2%から67.1%へ普及率が落ち込む結果になっている。マレーシアは国家として2015年に75%、2020年は100%というブロードバンド普及率を目指しているが、このままだと目標を達成することが困難な見通しに。

[マレーシアのブロードバンド普及率(世帯)推移]
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次に利用回線別のブロードバンド契約者数を見ていくと、固定回線が微増、ワイヤレス回線が微減という結果に。多少の変動が見られるものの、マレーシアにおいてはやはりワイヤレス回線が人気を保っている。

[ブロードバンド契約者数(000)]
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州別のブロードバンド契約数(世帯)と普及率を見ていくと、契約数ではやはりセランゴール州が他を圧倒しており、普及率も79.1%に伸びている。普及率では、クアラルンプールが111.7%と高い数字を維持している。全州とも概ね50%超を記録しているブロードバンド普及率だが、唯一、ケランタン州は41.9%と低い数字。
いずれにしても、グラフから都市部と地方でのブロードバンド普及率に有意差が認められる。政府としては、こうした地方都市のブロードバンド接続環境の改善に重点を置くことになるだろう。

[州別のブロードバンド契約者数(000)と普及率、2013年Q4]
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そして州別のホットスポット数については、全ての州が前期から減少している結果に。特に、クアラルンプールは昨年第3四半期にホットスポット数が首位であったが、第4四半期には3位に後退している。
都市部だと、どこでも無料WiFiが使用できるので気にしていなかったが、ホットスポット数そのものが減少に転じているのは興味深い。最近の利用者傾向として、スマートフォンやタブレットで携帯キャリアーの回線を利用するユーザーが多いこともあり、ホットスポットに対する需要が減少していることも考えられる。

[州別のホットスポット数]
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次に携帯電話事情に関するデータ。マレーシアでは、固定電話の普及がそれ程進んでいなかったこともあり、携帯電話に対する需要がかなり高いことが特徴であった。企業広告などでも、固定電話ではなく携帯電話の番号が印刷されるなどしている。そうした背景もあり、マレーシアの携帯電話普及率は常に高い成長を記録してきた。ところが、昨年第4四半期の普及率は、前期の146.2%から143.6%へ減速している。

[携帯電話普及率推移]
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契約者数を見ていくと、ポストペイドが7,645,000件、プリペイドが35,311,000件となっており、ポストペイドの契約者数は前期から若干増加している。契約者数全体を見ると、第3四半期の43,568,000件から第4四半期は42,956,000件へと612,000件も減少していることになる。

[携帯電話契約者数(000)と普及率]
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以上のように、携帯電話契約者数そのものは減少傾向に転じているが、3Gに限って見ると増加傾向が維持されている。特に、プリペイドは第3四半期の12,959,000件から13,235,000件へと276,000件増加している。

[3G契約者数(000)推移]
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また、SMS件数も年々減少傾向にあり、昨年第1四半期には200億件だったのが、第4四半期には170億件にまで落ち込んでいる。契約者当たりで見ると、昨年第1四半期が494件、そして第4四半期は398件となっている。実際、私自身も最近はほとんどSMSを使用することがなく、スマートフォンやタブレットにインストールされたLINEやSkype、Viber、Facebook ChatなどのツールがSMSに置き換わっている。ビジネスにおいてもこうしたツールは積極的に活用されており、誰もが何処でもインターネットに接続できる環境の中にいることを実感できる。

[SMS件数(100万)]
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最後にテレビ関連。ブロードバンドと携帯電話の普及率は停滞傾向を示しているものの、有料テレビに関しては右肩上がりの成長を継続していることが示された。昨年第4四半期の契約者数は3,841,000件、世帯普及率55.7%を記録している。
同時に、IPTVも徐々にではあるが、契約者数が増加、第4四半期には658,000件にまで伸びている。

[有料テレビ契約者数、普及率推移]
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[IPTV契約者数推移(000)]
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今回の報告書の中で特に目を惹いたのは、ブロードバンド普及率と携帯電話普及率の両方の成長が減少に転じている部分。MCMCの報告書において、これら数字の背景については何も説明されていない。マレーシアのマクロ経済自体は好調を維持しており、景気減速などの影響ではないと思われるが、これまで高い成長を維持してきたICT市場にどのような影響が及ぶのか懸念される。

また、ブロードバンド普及率において、2015年75%、2020年100%という政府目標値の達成に向けても不安が広がるように思われる。都市部における伸びが鈍化していることが大きいと思われるが、同時に地方においても契約者数はあまり増加しておらず、頭打ちの印象も強い。こうした状況を受け、マレーシア政府がどのような政策を打ち出すのかが今後のブロードバンド市場の成長において重要になるだろう。とは言え、発展途上国であるマレーシアで世帯当たりのブロードバンド普及率が67.1%、携帯電話普及率143.6%は立派な数字だと思う。

2013年のマレーシア自動車市場とNAP2014

2013年のマレーシアの自動車市場、及び国家自動車政策2014をスライド形式で纏めてみました。2013年の自動車販売は好調を継続、今後も2%台の成長が期待されています。中でも、ハイブリッド車の成長は二桁を記録、人気の高さを示しました。
そして今年1月20日に発表された『国家自動車政策2014』においては、マレーシアがエネルギー効率の高い自動車の拠点となることが目標とされています。目標数値はかなり野心的な内容となっており、自動車産業の活性化に重点が置かれていることが分かります。

ただ同時に、ハイブリッド車の完成車輸入に適用されていた優遇措置が延期されないことになり、当面、マレーシアのハイブリッド車市場が大きく冷え込むことが予想されます。

以下のスライドでは、そうした内容を簡潔にまとめたつもりです。





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