2013年を振り返って

2013年を振り返って、個人的に印象に残ったマレーシアの出来事を、10大ニュースとしてランキング化してみました。



特に、2013年は下院選挙が行われたこともあり、選挙関連のニュースが目を惹いた年だったと思います。そうした波乱の中でも、マレーシア経済は安定成長を継続、建設業や内需が経済を牽引してきました。

ただ、マレーシア華人総連合会が実施した今年の漢字では、物価上昇の影響から「漲」が選出されました。以下、「黒」、「乱」、「変」、「選」、「貧」、「憂」、「換」、「苦」、「争」という順位となっていますが、いずれもネガティブな漢字が並んでいます。個人的には、好調な経済成長を背景によりポジティブな印象を持っていますし、国民生活も豊かだっと感じますが。

いずれにしても、2014年はマレーシアが更に発展し、より良い年になることを期待しています。
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UMNO総会、目立つブミプトラ優遇

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与党第一党・統一マレー国民組織UMNOの総会が、12月2日~7日まで開催された。









今年は総選挙で苦戦したこともあり、UMNOがどのような方向性を示すのかが注目されていたと思う。全体的に見て、私はナジブ政権が1Malaysiaからブミプトラへ重点が移りつつあると感じている。ナジブ首相が発表した5つの行動指針ではブミプトラ保護が重視されているし、カイリー・ジャマルディン青年部長からは、(いつものことだが)ブミプトラの地位向上や入札におけるブミプトラ優遇の徹底が強く指摘されている。また、総選挙において中国系のほとんどが野党に投票したこともあり、中国系に対してかなり批判的な言葉が飛び交い、1Malaysiaから1Malayuへという過激な言葉も出ている。

いまでも、ブミプトラを重視しないと非ブミプトラとしてはビジネスにならないのだが、益々厳しさを増すのだろうか…。政府系の案件に関して言えば、非ブミプトラ企業はブミプトラ企業を巻き込まなければ仕事を得ることが難しいことを理解しているし、その為に色々な戦略を採っている。最もスタンダードなのは、ブミプトラ企業を入札などの主契約者とし、非ブミプトラ企業はその下請けとして全ての実務を丸投げしてもらうというもの。ブミプトラ企業は、名前を貸すだけで収益が得られる仕組みで、そうした企業企業は総じて政治力が強いと感じる。非ブミプトラ企業にとっても、取り分は減るが契約を取れる確率が高くなるので、ギブアンドテイクという関係が成立している。

こうした方法は、ビジネス以外の場面でもよく目にする。例えば住宅購入、ブミプトラだと優先権があったりするので、非ブミプトラが名義を借りて住宅を購入し、手数料やレンタル料を払うということもされている。ブミプトラからすると、名前を貸すだけで収入が得られるので、こうした部分が非ブミプトラのフラストレーションにもなっている。

さらに、こうしたビジネス慣習が一般的となっていることもあり、非ブミプトラ企業は厳しい競争から技術や知識が集積されていくが、逆に非ブミプトラ企業に発展が見られないことも指摘されている。確かに、こうしたやり方を続けていると会社の発展に寄与しないだろうし、何より本来のブミプトラ政策の方向性に合致しないと感じる。

私自身、政府系の仕事に携わる機会があったが、政府とブミプトラ企業の結束は強く、非ブミプトラが単独で参入することの難しさは肌で感じている。打ち合わせにおいても、ブミプトラ同士で事前に話が纏まっていたりし、共同戦線がすでに張られていることを何度も目にしている。また、どうみても技術やノウハウを持っていないブミプトラ企業が、最終的に政府系案件の契約を獲得したということもある。この場合、ブミプトラ企業であること、そして政治力の強さが影響していたが、結局このプロジェクトは何も進展がないまま終わっている。

ただ、ブミプトラ企業でもきちんとした技術や知識を持った企業はあるし、実際そうした企業とも仕事をしているので、ブミプトラ政策が全く効果を示さなかったとは言えない。それでも、この政策の運営を間違えると、マレーシアにとってマイナスの効果が大きいように見える。

UMNOの総会に話を戻すと、ナジブ首相としては、まず足元の党内の結束を高める必要もあり、ブミプトラを強化する方向に進むざるを得なかったのだと思う。連立与党のMCAはまだ不安定な状況が続いており、中国系からの信頼も取り戻せていないことは明らかであり、方向性もまだ見えていない。連立与党政権にとっては、まだ向かい風が強いと言えるだろう。

MCMC、国内IT統計を発表

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マレーシア通信・マルチメディア委員会より、国内のIT統計に関する報告書、『Communications and Multimedia : Pocket Book of Statistics, Q3 2013』が発表された。報告書では、ブロードバンドや携帯電話、TVなどの利活用状況が纏められており、マレーシアのIT事情を知る上でかなり有意義な内容となっている。多くのデータが2013年の第3四半期を最新情報としているものの、一部2011年や2012年のデータが最新情報として使用されるなどしており、残念ながら調査時期に統一性がない。以下では、私が個人的に興味を持った統計情報をピックアップしている。

まずは、インターネット事情に関する統計。マレーシアの2013年第3四半期のブロードバンド契約数は635.8万となり、前期比でプラス1.9%の伸びとなっている。そして報告書では、人口比でのブロードバンド普及率が22.5%、世帯当たりでは67.2%という数字が示されている。また、マレーシアではワイヤレス回線が固定回線を上回っているのが特徴であり、その差は1.5倍以上にまで広がっている。理由の一つには、スマートフォンやタブレット端末といったモバイル機器の普及が大きく影響しているのだろう。また、固定回線の開設だと初期費用が結構高く、工事時間も要することから敬遠されていることもある。

[ブロードバンド契約数推移(000)]
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次に州別での普及状況を見ていくと、ブロードバンド契約数の最も多いのがセランゴール州(115万)で、グラフからも他の州を圧倒していることが分かる。もともとセランゴール州は人口が多く、所得水準も高い州なので、当然の結果とも言えるが。ただ、普及率で見ていくとクアラルンプールが110.6%となっており、他の州を大きく上回っていることが分かる。逆に最も普及率の低いのがケランタン州で、なんとインターネット普及が伸び悩んでいるサバ州とサラワク州さえも下回っている。

[2013年第3四半期の州別ブロードバンド契約数(000)と普及率]
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あと面白い統計として、各州のホットスポット数が報告書でまとめられている。今年第1四半期まではペナン州がマレーシア国内で最多のホットスポット数を誇っていたが、同第2四半期にはクアラルンプールが大きく数字を伸ばし、マレーシア国内で最多となっている。また、セランゴール州も無料のホットスポット拡充計画を発表しているので、今後が楽しみ。マレーシアでは、いろんなところで無料ホットスポットが利用できるのが特徴であり、それが国内インターネットユーザーや外国人旅行者の利便性を高めている。

[各州のホットスポット数推移]
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また、都市部と地方部の各世帯のインターネット利用比率を見ていくと、都市部が80%以上の高い数字を維持している。

[都市部と地方部のインターネット利用(世帯)]
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年齢別でのインターネット利用状況では、2009年には15~19歳を中心としてインターネット利用者が多かったが、2011年の調査では25~29歳へとシフトしてきていることが分かる。

[年齢別インターネット利用状況]
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次に週当たりのインターネット利用時間については、2008年には4時間以下が最多であったが、2011年には8時間以上15時間未満が最も多い結果に。全体を見ても、インターネット利用時間は増加傾向にあり、スマートフォンやタブレット端末の普及によって今後もこの増加傾向は続くものと思われる。

[週当たりのインターネット利用時間(世帯)]
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ただ、利用形態については情報収集とテキストコミュニケーションが相変わらず主要目的となっており、2008年と2011年ではあまり大きな変動はない。とは言え、AlexaのウェブアクセスランキングではSNSサイトへのアクセスが上位を占有していることもあり、利用者の嗜好は変わってきていると感じる。

[インターネット主要利用目的(世帯)]
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そして2012年における利用端末に関する調査では、やはりラップトップがデスクトップを上回る結果に。これがマレーシアの特徴であり、ラップトップ端末に対する人気はいつも高い。結果、インターネット接続において利用者がワイヤレスサービスを選択する傾向にあるのだろう。あと、タブレットも15.3%と健闘、数年後にはタブレット端末がデスクトップを上回るものと思われる。
この統計データ、更に州別にも細分化されている。そのデータを見ると、クアラルンプールは既にタブレット端末がデスクトップを上回っており、セランゴール州もデスクトップ28.7%に対してタブレットが26.5%と肉薄している。

[インターネット接続端末(2012年)]
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次に携帯電話の利用形態について。プリペイドとポストペイドの比率については、相変わらずプリペイドの比率が高く、ポストペイドの4倍以上にも。携帯電話キャリアー各社はポストペイドに重点を置いていおり、ポストペイドのパッケージはプリペイドよりもお得な内容になっているのだが、それでも利用者はプリペイドを選ぶ傾向にある。そして、今年第3四半期の携帯電話普及率は146.1%に達し、まだ上昇を続けている。
また、3G回線だけを見ても、プリペイドがポストペイドを大きく上回っている状況にあり、成長率も高い。そうした背景もあり、近年はDiGiやUmobileはプリペイド向けのインターネットパッケージを充実してきているように感じる。

[携帯電話契約数(000)と普及率の推移]
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[3G契約数推移(000)]
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そして携帯電話普及率を州別で見ていくと、クアラルンプールの普及率が200%超となっており、複数台持ちが多いことが理解できる。反対に、サバ州とプトラジャヤの普及率が100%以下と低い結果に。所得水準の低いサバ州は理解できるが、プトラジャヤの普及率が低いのは意外。

[州別携帯電話普及状況(100人当り)]
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それと面白いデータとして、SMS件数も統計情報としてまとめられていた。総数を見ていくと、四半期毎でも明らかにSMSの利用は減少傾向にあり、今年第1四半期は200億件だったSMS件数が第3四半期には188億件にまで減少している。利用者当たりで見ても、今年第1四半期は494件だったが、第3四半期には432件と60件以上も少ない結果に。
この背景には、Facebook chatやWeChat、Kakao Talk、WhatsAppなどのサービスが一気に普及してきたことが挙げられる。これらサービスはかなり早い時期から利用されていたが、モバイル端末でのインターネット接続がより手軽になってきたことから、SMSよりも利用率が高くなってきている。

[SMS件数推移]
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そして最後にテレビ関連の調査データ。まず有料放送の契約者数を見ていくと、その数はいまだ上昇を続けており、世帯当たりの普及率も50%を超えている。マレーシアでは無料の地上波放送はコンテンツが乏しいこともあり、多くの視聴者がこうした有料放送を利用している。特に、衛星放送のアストロに対する人気は高く、有料放送のほとんどはこのアストロを指しているといえる。

[有料テレビ契約数推移]
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次にIPTV市場について、有料テレビには及ばないものの、急速に利用者を増やして成長率していることか分かる。近年は、光ファイバーブロードバンドサービスにIPTVがオプションとして含まれていることが多く、Maxisの場合だとアストロがIPTVで視聴できるようになっている。数年前までだと、ADSLに依存した接続環境であったが、いまでは光ファイバー接続が一般化してきたことが大きい。

[IPTV契約数推移(000)]
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マレーシア政府は2015年に75%、2020年は100%というブロードバンド普及率を目指しており、今年第3四半期で67.2%を達成するに至っている。近年はスマートフォンやタブレット端末の普及が急速に進み、結果インターネット接続も当たり前となってきており、目標値達成に向けて好材料が揃っていると感じる。

また、今回の報告書では州別のデータが充実しており、そこから州別の特徴が状況が明らかになっている。その中で、意外だったのが情報通信インフラでは遅れの目立っていたサバ州とサラワク州の状況が改善されていること。

今後、マレーシアが2020年までにブロードバンド普及率100%を達成できるのか、期待を持てる数字が多かったのが印象的。


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