ピュー研究所の世論調査、マレーシアは日本に好感

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7月11日、米ピュー研究所はアジア太平洋地域7ヶ国に日本に対する印象についての世論調査結果を発表(プレスリリース『Japanese Public’s Mood Rebounding, Abe Highly Popular』)。

マハティール元首相の言動からも分かるとおり、マレーシアは親日国として知られている。ルックイースト政策では日本の勤勉さに学ぶことを推奨し、多くの日本企業の進出を支援してきた。また、国民の日本に対する親日度も高く、電化製品や自動車、コスメティック、ファッション、アニメなどはいまも高い人気を維持している。

米ピュー研究所はアジア太平洋地域7ヶ国に対して、「貴方は日本が好きですか?」との質問をしたところ、マレーシア人の80%が「はい」と回答、調査対象国において最も高い数字を示す結果となった。マレーシアだけでなく、総じてアセアン諸国は日本が好きな傾向にある。

[あなたは日本が好きですか?]
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マレーシアでは、こうした日本企業や日本文化に対する人気は高いが、逆に日本の政治についてはあまり認知されていない。安部首相に対する印象を聞いた質問では、「期待できる」が53%と過半数を超える数字となっているが、同時に「知らない」が38%にも達している。日本は経済大国として認知されているが、政治力については影が薄いことを感じさせられる。毎年首相が代わる国であること自体、マレーシア人にとっては驚きの事実であり、さすがに記憶できないのだろう。

[安部首相に対する印象]
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それと、本調査では1930年代と1940年代の日本の軍事行動に対する謝罪についても聞いている。マレーシアでは、「十分謝罪」と「謝罪は不要」という意見が32%あるが、同時に「知らない」が38%と調査対象国内で最も高い。

中国系マレーシア人の年配者においては、日本の軍事行動に対して辛辣に批判される方もいるし、学校の教科書に掲載されている日本の軍事行動には偏見が見られると記憶している。ただ、私の周りは総じて過去の日本の軍事行動について関心は低い。

[日本の軍事行動に対する謝罪は十分?]
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マハティール元首相自身、「もしも過去のことを問題にするなら、マレーシアはイギリスやオランダやポルトガルと話をすることが出来ない。…我々は彼らと戦争をしたことがあるからだ。勿論、そういう出来事が過去にあったことを忘れたわけではないが、今は現在に基づいて関係を築いていくべきだ。マレーシアは、日本に謝罪を求めたりはしない。謝罪するよりも、もっと社会と市場を開放してもらいたいのだ」と発言するなど、謝罪不要の姿勢を貫いている。

これほどの親日国家だが、最近はその傾向も徐々に変化が生じているように感じる。コスメティックやファッション、音楽では韓国人気が高まっているし、ビジネスにおいても決定の遅い日本よりも欧米企業を重視する傾向にある。モノづくりにおいては、その品質の高さや信頼性、機能性で日本がまだリードを維持しているが、韓国と中国も年々存在感を増している。

それでも、マレーシア政府や企業は日本の技術やサービスに高い関心を持っており、特に中小企業に対する期待は高まっている。マレーシアは、2020年までに高所得国家となることを目指しており、バイオ技術や環境技術、ハイテク、エネルギーといった分野では日本の中小企業にとって多くの事業機会が存在すると思われるし、実際に多くのマレーシア政府関係者や事業家からそうした情報を求められることがある。

いずれにしても、マレーシアが親日国家であることが改めて数字で示され、マレーシアに住んでいる日本人としては嬉しい結果。

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Global Innovation Index、マレーシアは32位

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7月1日、世界知的所有権機関、INSEAD、そして米コーネル大学より『Global Innovation Index 2013』が発表された(プレスリリース『Global Innovation Index 2013: US Rejoins Five Most-Innovative Nations as Switzerland Keeps Top Spot – Local Dynamics Key to Overcoming Global Innovation Divide』)。今年は142ヶ国・地域を対象とし、全7項目で評価が行われている。





総合評価ではスイスが3年連続の首位に、そしてスウェーデン、英国、オランダ、米国が続いている。アジアでは香港の7位が最高位で、昨年3位だったシンガポールは8位に大きく順位を落としている。

そうした中、マレーシアは総合評価で32位とここ数年安定した位置づけ。アセアン諸国で見ると、マレーシアはシンガポールに次ぐ順位、またアッパーミドルのカテゴリーでは首位の評価となっている。

[アジア主要国の2013年イノベーション指数()内は順位]
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[アセアン5ヶ国+日中のイノベーション指数ランキング推移]
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項目別に見ていくと、技術系の分野において高い評価となっているのが印象的で、高等教育の科学技術卒業(4位)、企業負担研究開発費(1位)、先端技術輸入(3位)、先端技術輸出(2位)、ICTおよび組織的なモデル創造(9位)は世界的に見ても高い評価とされている。

マハティール政権時には、首相が科学技術に対して高い興味を有していたこともあるが、国内全体が最先端技術に力を入れていたし、この時期に様々な優遇措置が策定されている。私自身、政府機関と技術系の仕事をしてきた経験からすると、日本の技術導入に際しては必ずマレーシアへの技術移転の話が出てきていた。たとえマレーシアの技術水準がそこに達していなくとも、決して諦めなかった政府役人を何人も目にしてきた。それだけ、マレーシアは技術水準の向上や取り込みに積極的だったといえるだろう。

その後、政権が変わったこともあり、私自身はマレーシアの科学技術離れが進んでいると感じていた。しかし、今回の評価を見る限りでは、まだ技術系では優位性を持っているのだろう。他にも、貸付の容易さ(1位)投資家保護(4位)といった事業環境に関する項目においても評価が高く、関係する国際機関からも高評価を得ている。

あと、政府オンラインサービスが20位と比較的高評価になっているが、実際こちらで生活しているとこの評価には疑問を感じる。以前読んだ新聞報道では、少なくとも50%以上の政府機関・部署がオンラインサービスや電子サービスを提供しており、720の政府機関が4,204ものオンラインサービス(電子決済含む)を提供しているとされている。確かに、所得税申告などはオンライン化されているが、多くの手続きはいまだに紙媒体に依存しているし、オンラインサービスと言いながらアクセスできない状況だったりする。こうした状況も徐々に改善されているが、それでもフラストレーションを感じさせられる。

逆に評価が低かったのが、報道の自由(117位)と余剰人員解雇と週給コスト(108位)となっている。特に、マレーシアの労働法は労働者保護を重視していることもあり、解雇のコストは企業としてもかなり負担になっている。また、労働者コストも上昇を続けており、製造業においては外国人労働者によって域内のコスト競争力を維持している状況と言える。ただ、今年から導入された最低賃金制度により、週給コスト負担はさらに拡大している。

[マレーシアの2013年イノベーション指数項目別]
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現在、マレーシア政府は経済改革プログラムなどの政策によって、マレーシアを知識集約産業へ移行することを目指している。そうした意味において、『Global Innovation Index』の評価がその成果を示す上で一つの判断材料になるだろうし、今後どのように改善されていくのか楽しみでもある。


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