IMD世界競争力ランキング、マレーシアは15位に後退

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5月30日、IMD(経営開発国際研究所)より『世界競争力ランキング2013』が発表された(IMD releases its 25th Anniversary World Competitiveness Rankings)。今年は昨年の59ヶ国・地域から1ヶ国増えて60ヶ国・地域が調査対象となっている。





全体を見ていくと、ここ2年は首位を維持していた香港が3位へ後退し、今年は米国が首位に返り咲いている。アジア勢全体では、香港、シンガポール、台湾、マレーシアといった上位陣が順位を落としているが、反対に日本やタイ、フィリピン、インドネシアが大きく順位を伸ばしている。

[アジア各国のIMD国際競争力推移]
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[アセアン各国のIMD国際競争力推移]
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マレーシアは前年の14位から15位へ後退したものの、低失業率と国内総生産の成長率の高さが高評価へ繋がっているらしい。

実際評価内容を見ていくと、『経済パフォーマンス』は前年の10位から7位へ、そして『ビジネス効率』は6位から4位、『インフラ』は26位から25位へと改善されてる。国家として経済改革プログラムを推進し、高所得国家入りを目指しているだけあって、経済とビジネス面での評価は驚くほど高い。個人的には、マレーシア国内のインフラも大きく改善されてきていると思うのだが、それほど順位は改善されていない…。

そうした中、唯一、政府効率性が13位から15位へと順位を落としている。政府改革プログラムにおいても、政府の効率性改善は進められているはずだか、評価としてはまだまだなのだろう。私自身も、政府効率性の改善はあまり実感できていない。

[マレーシアの国際競争力項目別推移]
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こうして見ていくと、マレーシアの経済活動における評価は欧米の先進諸国よりも高く、かなりの競争力を有していることが分かる。経済改革プログラムにより、この分野での評価はさらに向上することが期待できるし、ステファニ・ガレリ教授は地理的な優位性から今後10位以内に入る可能性も示しているらしい。実際、2010年には総合評価で10位の評価を受けた実績もあるし、確かに可能性は高いと感じる。

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 – 村上春樹


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(2013/04/12)
村上 春樹

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マレーシアの書店でも、本書は特設コーナーが設けられて販売されていた。前作の1Q84よりもボリューム的にはかなり少ないが、一応長編ということらしい。

第一印象は、長くて不思議なタイトルだなと感じたが、それでも内容を読み進めていくとなるほどと納得できる題目。読み物としてはリズム良く、一気に読み進めることができる。ただ、途中でいくつか伏線が張られていたにも関わらず、最後まで触れずに謎のままで終わっていることも。また最後の部分も、ページが少なくなると同時に多分疑問のまま終わるのだろうなと思っていたら、やはりその通りに。続編?って思わせる終わり方とでも言うか。こうした疑問は結構フラストレーションになるから、たぶん、ここで好き嫌いが出てくるかなと思う。


マレーシア経済成長、2013年第1四半期はプラス4.1%に減速

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5月15日、マレーシア中央銀行は2013年第1四半期のGDP成長率を発表(Economic and Financial Developments in the Malaysian Economy in the First Quarter of 2013)

マレーシア統計局の資料

2013年第1四半期のマレーシア経済のGDP成長率はプラス4.1%となり、前期のプラス6.5%から2%以上の減速となった。また、ここ最近はプラス5%を上回っていたが、7半期ぶりにその数字を下回っている。中央銀行は、米国とユーロ圏の景気低迷という外部環境の影響が大きいと指摘。

[マレーシアGDP成長推移]
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業種別に見ていくと、製造業と鉱業・鉱石の落ち込みが目立つ。第1四半期は、電子機器の需要低迷により、輸出が大きく減少していることもあり、製造業は外需の影響を大きく受けている。また、石油・化学・ゴム・プラスチック製品が精彩を欠いていることも指摘されている。

鉱業・鉱石は、原油・天然ガス生産減少の影響でマイナス成長にまで減速。逆に、建設は前期のプラス17.6%から14.7%へと減速しているものの、依然として2桁成長を維持。特に、インフラプロジェクトを手掛ける土木はプラス36.2%という高成長を記録している。

[マレーシア、業種別GDP成長率]
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全体的に、今期もマレーシアの経済成長は国内需要(8.2%)と民間消費(7.5%)に支えられる形となっている。最近は、外需低迷が続いていることもあり、国内需要と民間消費に依存しているのが特徴だろう。

下半期にはナジブ首相が政権を維持したことから、経済改革プログラムに関連するプロジェクトの加速が期待され、中央銀行は通年で5~6%の成長を見込んでる。外部環境が冷え込んでいる中、ナジブ首相が選挙戦で公約した住宅建設やインフラ整備が実行されることで、当面は国内需要がマレーシア経済を牽引していく構造になるだろう。概ね、他のシンクタンクも同様の見解を示しており、堅調な成長が期待されている。

不安要素としては、先の総選挙を巡る政情不安が挙げられるが、時間の経過とともに落ち着きを見せている。

混乱するマレーシア総選挙後

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5月5日、マレーシアで実施された総選挙では投票率が80%を超え、過去最高を記録した。初の政権交代の可能性が高まっていたが、何とか与党勢力が過半数を維持、解散前から2議席減の133議席を獲得した。ただ、野党連合もかなり健闘し、得票率では51%と与党連合の49%を上回っている

予想通りなのは、MCAが大きく議席を減らし、DAPが大きく躍進する結果であったこと。特に、野党連合は中国系のみならず、都市部や中間層の支持を得たのが大きかっただろう。また、今回の結果で露になったのは、都市部と地方での一票の格差が大きいと言うこと。野党連合は都市部で圧倒的な強さを見せたものの、この格差ゆえに議席数は大きく伸びなかった。得票総数だけを見ると、やはり今回の選挙は混戦だったことが分かる。

ただ残念なのは、今回の選挙があまりにも暴力的であり、総選挙後もfacebookなどのSNS上には悪質な嘘や作り話、或いは未確認情報で溢れていたこと。

例えば、政府与党との親密な関係が噂されている製パンメーカー『Gardenia 』が、BN勝利に便乗して食パン価格を引き上げたとして証拠写真を掲載。→写真の価格は違う種類の食パンで、Gardenia も値上げはしないと発表。

ナジブ首相がBN勝利に伴いガソリン価格の引上げを決定、今夜24時から新価格が適用される。→組閣できていない状況でガソリン価格の変更は不可だし、実際値上げはされなかった。しかし、多くのドライバーがこの情報を信じ、深夜にガソリンスタンドへ向かっている。

更に、米オバマ大統領のFB上、銃規制に関するトピックにも関わらず、「マレーシアの選挙が不正に実施され、マレーシアを助けて欲しい」といった内容のメッセージが大量に投稿されていた。ほとんどが同じ文章のコピペという内容。

未確認情報としては、

アンワル氏は、航空会社が政府指示で、サバ州からマレー半島へ外国人労働者4万人を輸送、不正投票に加担したと記者会見の場で発表。これを受け、AirAsiaのトニーフェルナンデス氏はTwitter上で事実無根と否定。MASも事実ではないと否定している。現実問題として、ボーイング747でも1回で運べるのは500人ぐらだから、4万人の輸送だと80回のフライトが必要となり、物理的に無理だと思えるが。



開票作業中に停電が起き、電気が復旧するとBNの得票数が大幅に増えていた。→選挙委員会の委員長が記者会見にて、停電が起きれば開票作業は一旦停止するし、実際テナガナショナルが停電は起きていないと公式発表。私自身、開票速報を午前2時まで見ていたが、停電の状況は確認できてない…。一応YouTubeで検索してみたが、それらしき動画もないし、実際はどうなのだろう?

外国人労働者がバスで投票所に運ばれ、投票に向かっていた。YouTubeへ証拠とされる動画をアップロード。→外国人労働者はバスで仕事場へ向かっていた途中、野党支持者によって不正投票者と疑われて暴行を受けたと警察は発表。また、外国人労働者に間違えられたマレーシア人が暴行を受ける被害も報告されている。



他にも、投票用紙をヘリコプターにて輸送中、DAPの票が大量に入った袋2つを上空から投棄とたというのもの、また「私は開票作業で票を数えた者ですが…」という発言まで出てきている。

実際、膨大な情報が溢れる中、こうした意味不明の情報が増えてくるとどれも疑って見てしまう。しかし、こうした情報はSNSによってバイラルに広がり、これまでのメディアとは異なる速度で伝わっていく。特に、都市部はンターネットフレンドリーな国民が多いこともあり、野党支持者の発言が目立つ結果となっている。

また、主要新聞社数紙がが与党寄りの発言をしたとしてボイコット運動も起こり、オンライン新聞やTwitter上でも、政治的な発言に対しては過激なコメントが寄せられている。ラジオでも、与党寄りの発言をすると膨大な非難が寄せられていたらしい。

そして、5月8日にはKelana Jayaにおいて抗議集会が開催された。報道では12万人もの野党支持者が集まり、不正政権との戦いの始まりとしている。この抗議集会に伴い、アンワル氏は扇動罪などの容疑で捜査し逮捕、起訴の可能性もいわれている。



情報が錯綜するSNS上の情報は安易に信じることができないのが通常であるが、今回の選挙はSNSの情報が元となって多くの混乱が生じている。そして、大卒の高学歴者もこうしたSNSの情報を全面的に支持しているのが印象的であった。このSNSに端を発した混乱はまだ当面続くだろう。

私自身、強い権力を持つ与党勢力が今回の選挙ではかなり危機的状況であることは理解していたこともあり、幽霊投票者などの不正が行われなかったとは言い切れない。豊富な資金を使い、マレーシア国内で視聴するYouTubeの広告は与党の宣伝ばかりだったし、新聞の内容にも偏りが見えたことは事実だと言える。だからこそ、野党支持者のフラストレーションが最高に高まったのだろう。

あと、アンワル氏は今回の選挙を最後の機会として取り組んできたが、野党連合が敗退したことを受け、次回の選挙ではアンワル氏の娘を首相に推薦する声も聞こえてきている。ただ、イスラム教を尊重するPASからの同意を得るのは難しいだろう。と思っていたら、抗議集会でアンワル氏が「全ての不正を明らかにするまでは辞めない」と発言しており、もしかしたら次回の総選挙でも野党連合を率いているかも。


[マレーシア総選挙、街の様子]



フォトアルバムの変更

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マレーシアで撮影した写真のアップロード先を、FlickrからPicasaへ変更しました。Flickrの無料ユーザーだと200枚しか閲覧できないこともあり、無制限のPicasaを使用することにしました。

JAMATECH SDN BHD

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先々月、パートナーとマレーシア現地法人『JAMATECH SDN BHD』を設立、先日ウェブページの公開に至りました。ウェブアドレスは、wwww.jamatech.com.myです。RFIDと水質浄化において、ソリューションを提供する会社です。ベンチャー企業ですが、グローバルな企業となれるよう日々努力しています。

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マレーシアの世帯所得がRM5,000に

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4月2日、統計局より『Findings of The Household Income Survey 2012』が発表された。報告書では、世帯所得やジニ係数、貧困率などの情報がまとめられている。

まず世帯所得については、マレーシア全体でRM5,000となり、前回調査の2009年から7.2%の伸びを示している。2004年-2009年が4.4%の伸びだったので、世帯所得は大きく躍進していると言える。特に、都市部の世帯所得はRM 5,742にまで達しており、2009年から約RM 1,000ものプラスとなっている。翻って地方も2009年のRM 2,545から2012年にはRM 3,080へ伸びているものの、都市部との格差はRM 2,500以上に開いている。

[マレーシアの世帯所得]
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次に州別の世帯所得を見ると、クアラルンプールの世帯所得がRM 8,586、そしてプトラジャヤがRM 8,101と2つの連邦都市がRM 8,000超を記録。クアラルンプールは2004年-2009年の世帯所得は大きく変動していないものの、2012年には2009年からRM 3,000超も増え、プラス14.9%にも達している。そして世帯所得でマレーシア全体を上回っているのは、クアラルンプールとプトラジャヤ、セランゴール、ラブアン、ペナンとなっている。最下位はケランタンのRM 3,168で、クアラルンプールの半分以下という結果。意外なのは、イスカンダル計画で成長著しいジョホールがマレーシア全体を下回っていることだが、今後は上昇率が高まるものと予想される。

[マレーシア世帯所得-州別]
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そして民族別では、やはり中国系の世帯所得が群を抜いており、2012年はRM 6,366と2009年のRM 5,011から8%の伸びとなっている。ブミプトラはプラス6.9%で RM 4,457、インド系はプラス9.0%でRM 5,233という結果に。伸び率だけをみると、インド系が高い数字を示している。過去、所得水準からみるとインド系はかなり低所得の印象が強かったが、いまでは状況は違う様子。逆に、ブミプトラ政策で優遇されているマレー人等の世帯所得が、各民族の中で最も低い結果となっている。伸び率も他の民族と比べて低く、今後は更に所得差が広がる可能性が高い。

[マレーシア世帯所得-民族別]
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所得層別で見ていくと、中国系の上位20%がRM 15,254もの高所得であることが際立っている。これは日本円だと45万程にもなり、物価水準の安いマレーシアにおいてかなりの金額となる。逆に最も低所得だったのがブミプトラの下位20%の世帯所得でRM 1,686、日本円で45,000円程となっている。つまり、ブミプトラ下位20%と中国系上位20%で約10倍の格差が生じていることになる。ただ、今年から運用されている最低賃金制度により、次回調査ではこの格差も少しは改善されると思われる。

[マレーシア世帯所得-所得層別]
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全体的に見て、ナジブ政権以降はマレーシアの世帯所得は大きく伸張しており、特に都市部の中国系において顕著な結果となっている。実際私の周りでも、プロジェクトマネージャーの仕事をしている人の所得はRM 15,000に達しているし、ペトロナスでは大卒の初任給がRM 4,000とも聞く。その結果、コスト優位性の国民車がある中で、割高でも品質やデザインに優れる日本車に需要があるし、iPhoneのような高額なスマートフォンに人気が集中、食事についても、割高であるにも関わらず日本食レストランで多くのローカルの客を目にすることができる。そして住宅の購買意欲も高まっており、マレーシアが豊かになっていることを感じることができる。(とは言え、総選挙では所得水準に対する不満から野党支持が広がっているが…)

所得格差については、ジニ係数として報告書で示されている。マレーシアのジニ係数は域内において高い数字となっており、所得格差の開きが指摘されていた。ただ、2012年のマレーシア全体のジニ係数は0.431にまで改善されている。特に、地方のジニ係数は0.382と0.4を下回る水準にまで改善。

[マレーシアのジニ係数推移]
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その結果、貧困率についても改善が見られている。報告書では、2012年の貧困層は1.7%、極貧層は0.2%となっており、貧困が低水準となっていることが分かる。ナジブ政権では、低所得者向け補助金や支援、住宅の整備などを行ってきたが、それが数字に現れていると言える。特に、2004年まで地方の貧困層は2桁であったが、今では3.4%にまで改善されている。

[マレーシアの貧困層、極貧層の推移]
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州別で見ていくと、都市圏での貧困層は低く抑えられており、概ね1%以下となっている。貧困層の多いサバ州においても、2009年に19.7%もの貧困層が存在していたが、2012年には8.1%と大きく改善されていることが分かる。

[マレーシアの貧困層、極貧層-州別]
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以上のように、本報告書においてマレーシアの世帯所得はこの数年で大きく飛躍しており、同時に所得格差の改善も見られる。また、2020年の高所得国家入りを目指した経済活動により、更なる世帯所得の拡大が期待できる。今現在でも、マレーシア人の生活は豊かだと思えるし、以前は価格重視だった消費者動向も品質やデザイン重視へ移ってきていると感じる。

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