2012年マレーシア自動車産業概況

マレーシア自動車協会から発表された『Market Review for 2012 and Outlook for 2013』をベースとして、2012年のマレーシアの自動車産業の概況についてまとめてみました。プロトンの再編やハイブリッド車の躍進など、自動車産業にとって多くの出来事がありました。2013年は、新国家自動車政策が発表される見通しとなっており、マレーシアの自動車産業にとって大きなターニングポイントになると思います。




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ナジブ首相の支持率、63%

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1月10日、Medeka Centerよりナジブ首相支持率に関する報告書『PM’s approval rating slips』がリリースされた。総選挙前の支持率が示されたということもあり、注目は高いと思う。調査報告書の中身もかなり興味深い内容。

まずナジブ首相の支持率については、63%が支持を表明、30%が不支持としている。前回調査から支持率は後退したものの、依然として高い水準にある。

首相就任以降の支持率データを見ても、概ね支持率は60%台を維持しており、安定性を見せている。ただ、今回不支持率が30%とこれまでで最も高い水準を記録。それでも、支持率が激しく動く日本に比べると政権が安定していると言えるだろうし、お陰でじっくりと長期の視点で政策を実行できるのが強みとなっている。

[ナジブ首相支持率推移]
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ただ、民族別で見ていくと支持率の違いがはっきりと現れている。調査報告書においては、マレー系とインド系では高い支持率を記録しているものの、中国系では不支持が支持を上回っている。

[民族別のナジブ首相支持率]
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Facebookにおいても、中国系は野党DAPを支持する投稿がかなり多く、年齢も若い世代ほどそれをアピールしている傾向にある。

中国系においては、特にレアアース処理工場『Lynas』の稼動決定によって不支持率が加速していると思う。普段は結束しない中国系だが、レアアースに関しては大規模な集会や啓蒙活動を行っていたのが印象深い。また、中国系は企業経営者が多いので、昨年決定された最低賃金制度導入に対する反発も強い。2012年の支持率の大きな落込みは、そうした要因が影響していると思われる。

[民族別ナジブ首相支持率推移]
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そして、やはりブミプトラ政策による不公平な扱いが改善されない限り、中国系の支持率を高めることは難しいだろう。実際、中国系による支持率は就任当初から低水準にあり、他の民族と乖離している。

次に職業別に見ていくと、公務員とGLCがナジブ政権に満足しているとの数字が出ている。ナジブ政権においては、特に公務員に対する手当てを強化しており、何度か特別賞与も与えられている。そうしたこともあり、今回支持率82%という結果に繋がっていると考える。民間で働いている人や経営者については、支持率が50%台となっている。個人的にはもっと厳しい数字かとも思ったが、経済改革プログラムなどで経済活動が順調なこともあるのだろう。

[職業別ナジブ首相支持率]
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そして収入別で見ていくと、低所得者からの支持が高いことが分かる。ナジブ政権においては、『1Malaysia』として低所得者向け政策に重点を置いていると言える。有名なところでは、低所得者世帯への現金支給や学生への図書券配布、ネットブック無料配布、スマートフォンリベート、住宅購入支援等々。また、最低賃金制度の導入も、支持率に寄与しているだろう。

[収入別ナジブ首相支持率]
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現在、昨年実施されると噂されていた総選挙が発表されないまま年を越え、いまは3月10日に実施されるのではないかと噂されている。最近では、新聞においても総選挙に関係する記事が増えており、ナジブ首相も党内での準備を整えよと発言している。野党勢力も同様に、今年1月10日に市民集会『Himpunan Kebangkitan Rakyat』を実行すれるなど、動きが活発化している。



ただ、全体的な動向を見ていると、いずれもネガティブキャンペーンの印象が強い。例えば、昨年末からクランバレーで発生している水道供給問題について、中央政府与党は野党が政権を握るセランゴール州が水道会社のアップグレード提案を承認しなかったためと言い、逆にセランゴール州は中央政府与党が水道会社と結託し、復旧を故意に遅らせていると責め合っている。



マレーシアは、日本のように毎年首相が変わるという事態にはなく、与党連合が長期に渡って政権を維持してきた。経済が安定している限り、与党連合が政権の座を失うことはないと思われるが、中国系マレーシア人の支持が鍵を握っていると感じる。

マレーシアのメイド雇用について

最近、新聞ではメイドの雇用料金高騰や、メイド不足の記事をよく目にする。マレーシアでは、多くの家庭がお手伝いとして外国人メイドを雇用し、家事や子守、介護など様々な仕事を彼女たちに依存している。外国人メイドで最も多いのがインドネシア人で、2009年には20万人以上にも達したとの数字もある。他にも、フィリピンやベトナム、ミャンマーからも出稼ぎとしてマレーシアに来ているメイドさんが多い。日本人のセカンドホームプログラムにおいても、そうした安価なメイドが利用できることがアピールされ、長期滞在の魅力として紹介されている。

しかし、数年前に雇用主による虐待が深刻化したことで、2009年6月にインドネシア人メイドの派遣がインドネシア政府によって凍結された。その後、政府レベルの交渉によって就労条件の整備が協議され、2011年11月に凍結が解除されているものの、メイド派遣を巡る問題はまだ深刻な状況にある。

新しい就労条件としては、週1回の休日やパスポート所持の権利、最低賃金保証、そしてその最低賃金で対象とするのは1つの任務だけであること。つまり、家事を依頼したら家事業務だけに特化し、自動車の洗車や子守、介護などを頼む時は別手当てが必要となる。

こうした調整作業が進んでいる中、国内の斡旋業者が外国人メイドを監禁し、不法に派遣していた事件が発生している。メイドを雇用したい家庭が多いにも関わらず、メイドの数が不足していることから、こうした事件が増えているらしい。

マレーシアでの外国人メイド需要は逼迫しており、政府レベルで周辺諸国と交渉が行われるほど。確かに、安い費用で家族の負担を軽減できる外国人メイドは、忙しい家庭にあっては効率的な選択肢だと思う。ただ、それによって倫理観などにおいて欠如が生じている印象も強い。冷蔵庫から飲み物を取ってくるという簡単なことさえ、メイドに高圧的な態度で依頼しているのを見ると、私自身はなにか人を見下しているように…。

私も、妻が出産の際に住み込みでフィリピン人のメイドさんを3ヶ月間だけ雇用したことがあるが、なかなかローカルの人のよう割り切ることができなかった。ローカルの場合、雇用主とメイドの間には明確な線引きをしているが、日本人の私には馴染めない。だから、食事もメイドさんも一緒のテーブルで食事していたし、自分ができることは自分でしていたが、現地の人の目線からすると、それは違うらしい。また、妻と一緒に日本へ帰国した時には、マレーシア人である妻は日本人女性がよく働くのに驚いていた。日本も共働きの世帯が多いが、忙しい時間の間に家の仕事を片付けるのが普通となっている。マレーシア人からすると、そうたし忙しく働く女性はスーパーウーマンのように見えるという。

そのような外国人労働者が溢れている環境から生じたのかどうかは分からないが、マレーシアでは人としての気遣いが希薄であるようにも感じる。例えば会社だと、自分の目の前にゴミが落ちいていても拾わないし、蛍光灯が点滅していも気にしない。それらはジョブ・ディスクリプションに記載された業務内容ではなく、雇用している清掃員の仕事ということなのだろう。

そうしたロジックは、街中でも見受けられる。平気で自動車からゴミは捨てるし、路上にもポイ捨てのゴミが溢れている。タバコにしても、近くに灰皿があっても利用しない。夜市の後などは特に酷く、大量のゴミが路上に放置されている。そうしたゴミは、役所が雇用している清掃員の仕事だから、自分たちは気にしなくても良いということなのだろうか?私の場合、車内にごみ箱を設置しているが、概ね現地の人達からは不思議な目で見られる。学校においても、生徒たちは勉強するのが仕事であり、掃除などは行わないらしい。トイレ掃除を強要しようものなら、学校は保護者から非難されることになる。

よく、現地の人から日本の強さは技術力や品質の高さ、信頼性などと言われ、マレーシアも東方政策によってそれを取り込もうとしていると言われる。ただ、私自身は日本人の独特の倫理観がそれらを支えているように思う。小学校の場合だと、児童自身が掃除や給食の配膳・片付けなどを通じて、教科書では学べないもの、例えば思いやりや協調性、責任などを体験によって身につけているのではないだろうか?

経済自由度、マレーシアは56位に後退

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1月9日、ヘリテージ財団は『 2013 Index of Economic Freedom』を発表(In the Index of Economic Freedom, Liberalization Slips)。調査対象は185ヶ国・地域(ランキング外8カ国)で、『法の支配』、『規制の効率化』、『立憲政治』、『市場開放性』の4項目で評価されている。

報告書によると、首位は香港で19年間その地位を維持、次いでシンガポール、オーストラリアとなっている。香港とシンガポールの差は1.3ポイントだけとなり、両国の評価は拮抗している。この2カ国は小国であるがために、自由度の高い経済環境やビジネス環境を武器としており、この優位性は継続されるだろう。

次にマレーシアについては、前年の53位から56位へと順位を3つ落としている。特に評価を落としたのが『労働の自由』で、前年の79.3ポイントから7ポイントマイナスの72.3ポイントとなっている。報告書では、硬直的な労働市場が雇用拡大の障害となっていることを指摘している。また、政府が進める改革プログラムが進行中にも関わらず、欠陥ある制度による経済活動の制約、腐敗の増加、そして政治的な干渉を受けやすい司法制度がネガティブな要素として挙げられている。更に、外国からの投資において、政府干渉と透明性の欠如によって成長のダイナミズム性が抑制されているとしている。

そのため、項目別のスコアーを見ると、『国の腐敗からの自由』が43ポイント、『投資の自由』が45ポイントと全体の押し下げることになっている。


Read more about Malaysia Economy.
See more from the 2013 Index.


それでも、マレーシアはアジア太平洋地域(41カ国・地域)において9位となっており、世界平均(58.2)と域内平均(65.0)を上回っている。アセアン諸国では、シンガポールに次ぐ高い評価であるし、各項目も域内平均を全て上回っている。特に、東南アジア諸国においては、政府干渉や透明性の欠如、腐敗は各国に共通した問題であり、そうした意味においてマレーシアは域内においてまだ優れている方と言えるだろう。

また、『ビジネスの自由』と『財政の自由』に対する評価は高く、特定の項目では日本や台湾、韓国を上回っている。全体的に、ヘリテージ財団による経済自由度は政治的な部分に重きを置いていることもあり、マレーシアの評価そのものは低いと思われる。


[アジア主要国の経済自由度推移]
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[2013年のアジア主要国の経済自由度評価内容]
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マレーシア政府が推進している政府改革プログラムにおいては、腐敗の防止や透明性などに重点が置かれており、事態の改善に向けて動いている。劇的な効果を得るにはまだ至っていないが、目標である2020年まで継続することで、マレーシアがどのような国に変貌していくのか期待したい。

マレーシアの投資先としての魅力

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Economist Corporate Networkより、『INVESTING IN AN ACCELERATING ASIA? Insights from Asia’s business leaders on their outlook for 2013』という報告書がリリースされた。報告書では、アジア地域へ進出している欧米企業の幹部207人を対象として、投資先としての魅力について調査した内容が示されている。

報告書では、投資先としてやはり中国の魅力が継続することが指摘されているが、同時にアセアン諸国に対する期待が高いことも注目されている。最近は、日本においても中国だけでなく、アセアン諸国を重要なパートナーとして見る動きが活発化しているが、欧米でも事情は同じなのだろう。

また、アジア太平洋地域13カ国における今後の投資計画について尋ねており、上位は人口と労働コストで優位にある中国、インド、インドネシアが位置しているが、第4位はマレーシアとなっており、実に43%が投資を増やす計画であると回答している。中国との開きは大きいが、かなり健闘していることが分かる。


[2013年の投資計画]
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次に、報告書ではクアラルンプールに域内に本社を持つ企業になにが事業の障害になるかを聞いている。最も問題視されているのは「労働力不足」で、48%もの人が懸念を感じている。実際、マレーシアの単純労働はインドネシアやバングラディシュ、ミャンマーなどに依存しており、今年から実施される最低賃金制度導入によって企業は更に厳しい状況に追い込まれている。更に、知識労働者についても海外への頭脳流出が続いており、優秀な人材を確保することが難しくなっている。それでも、最近はTalentCorpが海外に流出した人材を呼び戻したり、外国の人材にインセンティブを付与することで、マレーシアの経済発展に寄与できる環境を構築しており、改善が期待されている。ただ、周辺諸国と比べても人口が圧倒的に少なく、人件費も高騰していることから、マレーシアは労働の質を改善する方向へ早急に進む必要があるだろう。

「労働力不足」に続くのが「生活費とインフレーション」、「不動産価格」となっており、支出に対する懸念が広がっている。特に、都市部の不動産価格は年々大幅な上昇を続けており、企業経営に影響を及ぼしている。
以上のように、マレーシアに対する投資はアジア域内においても高い水準にあり、成長が期待されている。中でも、マレーシア政府が進める経済改革プログラムによって2020年までに先進国となることが目標とされ、そのために達成すべき数字が可視化されていることが大きいだろう。そして、それら経過が適時公開され、自分達が今どの地点にいるのかを把握できるようにしている。これだけの実績により、マレーシア政府の本気度を感じることができる。


[クアラルンプールに域内に本社を持つ企業の懸念事項]
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そうした背景もあり、世界銀行が発表しているビジネス環境に関する調査報告書『Doing Business 2013』で、マレーシアは世界185ヶ国・地域において12位と高い評価を受けている。東南アジアの発展途上国として、正直この数字は凄いと思う。

そして、ここ10年のマレーシアへの直接投資額を見ていくと、2009年はリーマンショックの影響で大きく落ち込んだものの、概ね右肩上がりの増加を見せている。2011年で見ると、受入れ投資額はアセアン諸国においてシンガポール(US$640億)、インドネシア(US$189億)に次ぐ規模を記録している。


[マレーシアの投資受入額推移(US$100万)]
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同時に、マレーシア企業による海外への直接投資も活発化している。UOBマレーシアが2012年におけるマレーシアの中小企業を調査加(UOB Survey Finds Indonesia and China Top Picks for Business Expansion)したところ、3分の2の企業が今後3年間での市場拡大を目指しており、その内45%が海外へ目を向けている。投資先としては、1位がインドネシアで、中国、シンガポール、タイ、インドと続いている。いずれも、マレーシアが多民族国家としての優位性を活かせる国であり、言語や宗教において強みを見せることができている。


[マレーシア中小企業の海外進出先]
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現地で仕事をしていると、マレーシアの事業環境について色々と不満は出てくるが、それでも投資先としては魅力的な環境が整っているし、他にはないアドバンテージも数多い。現在政府が進めている政策により、インフラが充実し、教育水準が高まり、平等な社会制度が整備されれば、投資先としての魅力は飛躍的に高まるだろう。

オンチップアンテナ技術 - 日本語版プレゼン

前の会社に勤めていた時に、世界最小のEPC C1 Gen2準拠タグ『オンチップアンテナ技術』についてのプレゼンテーションを作成していましたが、今回日本語版を作ってみました。一部、スライドに使用している写真素材を英語版から変更しています。

私自身、まだこのプロジェクトには個人的にも関わっていますので、製品について興味がございましたら、お問い合せください。最近も、欧米の企業からSNS経由で問い合わせが来ており、潜在市場の高さを再認識させられています。






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