ロジスティックパフォーマンス指数、マレーシアは29位

5月15日、世界銀行は世界155カ国・地域を対象とした『Logistics Performance Index 2012』を発表(Global Trade Logistics Performance Slows Down Amid Recession and Major Events)。このロジスティックパフォーマンス指数、評価項目は「税関」、「インフラストラクチャー」、「国際輸送」、「物流品質・能力」、「追跡」、「適時性」の6項目となっている。





総合評価を見ると、やはり物流拠点として成長してきたシンガポールと香港が強さを示している。その中にあって、マレーシアは29位となっている。世界的に見れば、マレーシアの評価は高い部類に入るし、域内においても高い評価となっている。


[アジア主要国の2012年ロジスティックパフォーマンス指数]
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[アセアン+日中のロジスティックパフォーマンス指数推移]
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マレーシアは、空港や港湾などの物流において域内ハブとして地位を目指し、大規模な物流拠点の整備を進めている。だが実際には、規模の面ではシンガポールやタイの後塵を拝しており、言葉だけが先行している感じがする。それでも、物流品質そのものは域内において競争力を有していると思う。最近では、Malaysia Royal CustomがRFID技術の導入を進めることで、物流効率や品質の向上を図っており、周辺諸国との差別化が図られている。域内においては、数年前に日本の企業や政府機関がRFID実証試験を港湾や物流拠点で実施していたが、実導入となるとマレーシアが最初だと思う。

そうした取り組みもあってか、『The top 10 upper middle-income performers on the 2012 LPI』でマレーシアは3番目に位置しており、評価は高い。また国内のロジスティックパフォーマンス指数においては、マレーシアは域内のコスト性で香港やシンガポールに次ぐ競争力を示している。


[アジア主要国の2012年国内ロジスティックパフォーマンス]
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Note)
a. From the point of origin (the seller’s factory, typically located either in the capital city or in the largest commercial center) to the port of loading or equivalent (port/airport), and excluding international shipping (EXW to FOB).
b. From the point of origin (the seller’s factory, typically located either in the capital city or in the largest commercial center) to the buyer’s warehouse (EXW to DDP).
c. From the port of discharge or equivalent to the buyer’s warehouse (DES to DDP).
d. Aggregates of the distance indicator for port and airport.
e. Typical charge for a 40-foot dry container or a semi-trailer (total freight including agent fees, port, airport, and other charges).
f. Typical charge for a 40-foot dry container or a semi-trailer (total freight including agent fees and other charges).


懸念としては、国内の製造業がよりやすい労力を求め、他の国へ製造拠点を移しており、国内需要が低下する可能性を有している。また、物流効率においては、隣国シンガポールの強みが際立っており、国際拠点として存在感は薄い。

個人的には、海外から輸入した製品に毎回違う輸入税が課金されたり、手続きが異なったりして困惑することがある。その度に、税関に電話して対処しなければならないが、思った以上に時間を要する。担当によって異なる指示をされることもあり、ビジネスそのものに遅延などの問題が生じることも経験している。この辺の基本的な業務プロトコルを改善して欲しいと、いつも感じる。
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キュレーション – スティーブン・ローゼンバウム


キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術
(2011/12/20)
スティーブン・ローゼンバウム

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キュレーションとは、収集し、選別し、編集し、共有する技術を示している。以前は美術館などで使われていた言葉だが、膨大な情報が溢れるいまのネット社会において、この技術が脚光を浴びている。

1990年代末、Google検索の登場により、ウェブ上から入手できる情報量は劇的に増えた。ただ、膨大な情報量によって、必要とする情報へ的確にアクセスすることは難しくなりつつある。そこで必要となったのが、コンピューターと人とのコラボレーション。著者は、「キュレーションこそが、消費者と対話する未来のかたちなのだ」とその重要性をアピールしている。また、本書に登場するセス・ゴーディン氏は、「『モノづくり』の時代から、『モノの発見と整理』の時代に移行しつつある」とし、キュレーションが工業社会から情報社会への変化の一部と捉えている。

私自身、マレーシアビジネスとRFIDに関するブログを運営しているので、本書の内容は興味深いし、多くの点で共感できる。普段から、気になる情報はEvernoteへ保存するなどいくつかのツールを駆使し、必要な情報へ直ぐにアクセスできるようにしているが、それでも膨大な情報を1つの記事にまとめることは骨が折れる。且つ、マレーシアだと統計データなどは絶対的に不足しており、英語での情報公開が少なかったりとする。そこから信頼でき、有益な情報をフィルターにかけ、全体としてまとまりのある記事に編集していく。

こうした骨の折れる作業だが、それでも個人的に興味あるトピックだから、続けることができている。トピックがマイナーなこともあり、それほど多くではないが、メールで問い合わせが来たり、マーケティングの仕事をお願いされることもあり、そうしたことがモチベーションにもなっている。

あと、モバイルの章はRFIDを仕事としている私にとっては興味深い内容であった。まず、スマートフォンでフェイスブックを利用することで、「誰が」、「何を」「いつ」、に加えて「どこで」という情報がウェブ上で共有されるようになり、そうした情報がマーケティングに活用されている。そして、NFC技術を使用した小額決済サービスにより、より詳細な情報が収集され、個々の利用者にとって確度の高い広告だけが配信されることになるのだろう。多分、Google walletなどのNFC決算サービスは、この方向性を見据えているように感じる。そして著者は、5年以内にインターネットは基本的にモバイルで利用され、位置や利用者識別した、小額決済サービスで支えられたサービスが主流になるだろうとしている。





マレーシアの情報通信に関する統計

5月17日、新聞を読んでいると『WORLD TELECOMMUNICATION AND INFORMATION SOCIETY DAY 2012(2012年世界情報社会・電気通信日)』の特集が組まれていた。大臣やMCMC関係者のコメントがページのほとんどを占有していたが、最後のページにマレーシアの情報通信に関する統計データが掲載されていた。統計データは2006年と2009年、そして2012年の最新のデータがまとめられており、興味深い内容となっている。

まず、今年第1四半期時点でのマレーシアのインターネット人口は、1,750万人との数字が出ている。マレーシアの人口が2,840万だから、国民の約6割がインターネットユーザーと言えるのだろう。ただ日本だと、2010年末時点でインターネット人口は9,462万人に達しており、総人口に対する普及率は78.2%で、先進諸国との開きはまだまだ大きい。


[インターネット人口(1,000人)]
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次に世帯当りのブロードバンド普及率として、2006年は11%でしかなかった普及率が、2012年5月の時点では63.3%と右肩上がりの成長を続けていることが示されている。2012年1月時点では62.3%と発表されていたから、4ヶ月ほどで普及率が1%上昇している計算になる。ただこのスピードだと、2020年にブロードバンド世帯普及率100%を達成することは難しい様子。今後は価格の見直しなど、政府政策の見直しも求められてくると思うが。


[世帯当たりのブロードバンド普及率]
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そしてモバイルブロードバンドについては、最も急速な成長を見ることができる。2006年時点では、4,500しか契約数がなかったが、今年5月の時点ではそれが300万にも成長している。2006年当時だと、私自身NOKIAの端末でモバイルブロードバンドを利用していたが、通信速度は遅いし不安定、高価格といった記憶がある。それが最近では、スマートフォンの普及によって状況が大きく変化している。この分野においては、今後も高い成長が見込まれると思うし、M-COMMERCEの普及も期待されている。


[モバイルブロードバンド契約数]
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これに関連し、先日発表された『MASTERCARD WORLDWIDE ONLINE SHOPPING SURVEY』では、マレーシアのオンラインショッピング利用者は2010年の55%から12%上昇し、特にここ3ヶ月は携帯電話での購入が急増しているらしい。

あと携帯電話関連として、人口集中地域における携帯電話のエリアカバー率が95%、3Gでも81%に達していることが示された。確かに、最近は離島へ遊びにいっても高速でインターネットが利用できたりするし、だいぶ改善されてきた印象は強い。人口密集地であれば、いまはどの携帯キャリアであっても遜色はないのだろう。それでも、かなりの田舎に行くとMAXISとCELECOM以外のキャリアーだと厳しいと聞く。


[人口集中地域での携帯電話エリアカバー率]
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[人口集中地域での3Gエリアカバー率]
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携帯電話普及率に関しては、相変わらず高い成長を続けており、2012年第1四半期で127.7%となっている。携帯電話に対する消費者の購買意欲はまだ高い様子で、所得水準に見合わないスマートフォンを手にしている若者もよく目にする。


[携帯電話普及率]
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こうした統計情報、もっとMCMCから定期的に公開されれば良いのだが、なかなか定期的に実行されない。日本のような情報通信白書が作成されている訳でもなく、現地でマーケティングや市場分析を行う上で、結構苦労させられている。それでも、今回MCMCが最新の情報を示したことで、マレーシアの情報通信、及び利用者がどのようなトレンドにあるのか知ることができた。

違法ソフトウェア比率、マレーシアは55%に改善

5月15日、BSA: Business Software Alliance は世界各国の違法コピーソフトウェアの状況についてまとめた『2011 BSA GLOBAL SOFTWARE PIRACY STUDY』を発表した。報告書では、世界各国・地域における違法ソフトウェアの比率と損失額について統計が取られている。そしてBSA マレーシアからも、この報告書に関してプレスリリース『BSA REPORT FINDS 78 PERCENT OF COMPUTER USERS IN MALAYSIA ADMIT THEY PIRATE SOFTWARE』が出されており、マレーシア国内の状況について説明がされている。





まず調査においては、マレーシアのコンピュータユーザーの78%が違法コピーのソフトウェアを入手したことがあると認めていることが明らかにされている。また2011年においては、違法コピーのソフトウェアの比率は55%となっており、損害額はUS$ 6.57億(約RM 20億)となっている。

この損害額、世界規模で見るとマレーシアは上位20位以内に入っており、深刻な状況であることが分かる。ただ、金額ベースでは米国と中国の2カ国が他を大きく引き離している。マレーシアは、よく米国政府や企業から国内における違法ソフトウェア対策について圧力を受けてきたが、この数字を見るともっと圧力をかけるべき国があると感じるが…。


[違法ソフトウェア損害額、上位20カ国]
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次に、アセアン主要国と日中における2003年以降の違法ソフトウェアの比率推移を見ていくと、インドネシアとフィリピン以外は年々下降を続けており、改善傾向にあると言える。また、国民所得が高い国ほど違法ソフトウェアの比率が低い傾向にあり、マレーシアは先進諸国の数字に近づきつつある。


[アセアン主要国と日中における違法ソフト推移]
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違法ソフトウェアの比率が減少傾向にあるマレーシアだが、損害額を見ると年々増加傾向にある。そして2003年の水準から比較すると、2011年は金額で約5倍の数字に達している。こうした相反する傾向が現われると言うことは、違法ソフトウェアの価格が上昇していることを意味しているのだろうか?この辺の詳しい説明については、報告書でもプレスリリース記事で触れられていない…。


[マレーシアにおける違法ソフト比率と損失額(百万ドル)の推移]
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10年ほど前に比べると、今はKL市内のPCショップなどで違法ソフトウェアを目にすることはほぼなくなっている。当時は店頭に堂々とそうしたソフトウェアが並べられており、正規だと数万円もする高価なソフトウェアさえ、容易に格安で手に入れることができていた。よく、日本からの出張者が土産として購入していたし、業者にとても大きなビジネスになっていた。しかし、近年は警察や国内取引・協同組合・消費者省による取締りが強化されたこともあり、そうした光景も激減している。

あと企業レベルでも、違法ソフトウェアの使用が減少傾向にあると感じることができる。私がマレーシアへ来た2003年当時は、違法ソフトウェアを使用することが普通といった雰囲気があり、なぜ同じ機能なのにわざわざ高いカネを出して正規版を買う必要があるのか聞かれたこともある。当然、企業の側としてもソフトウェアに多額の費用を掛けたくないとの理由から、公然と違法ソフトウェアが使われていた。

しかし、違法ソフトウェアの摘発が強化されてからは、そうした状況も変わりつつある。以前聞いた話では、警察や国内取引・協同組合・消費者省による調査が抜き打ちで行われ、違法ソフトウェアを使用していることが分かればかなりの罰金が科せられると噂されていた。実際に調査が実施されていたのかどうかは分からないが(袖の下を渡せば全て解決のようにも)、それを機に企業の対応は変わってきたと感じる。

とは言え、まだまだ裏ルートで違法ソフトウェアが取引される状況は続いており、個人だと結構な数が流通していると思われる。私の周りのマレーシア人だと、個人が家で使用しているPCには全て違法ソフトウェア(アプリケーションだけでなくOSも)がインストールされている。正規版を使用しているのは、唯一私だけと言う寂しい状況。

BSAマレーシア委員会のRonald Chua氏は今回の報告書を受け、消費者の78%が万引きを認めた場合を引き合いに出し、公教育と法的処置の厳格化を訴えている。確かに、個人レベルでの利用が高い状況にあっては、各々のモラル改善に訴えるしかないだろうし、法的措置を厳格に履行していくことが求められるのだろう。

食の終焉 - ポール・ロバーツ著


食の終焉食の終焉
(2012/03/09)
ポール・ロバーツ

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私の実家は、家族で農業と酪農を営んでいた。30年ほど前の話だが、それでも当時から農業は先行きの見えない仕事であり、政府補助金や農協などによって生かされているという印象が強かった。そして今、私の実家の周りでは、農業従事者の高齢化が進み、後継者も少なくなっている状況にある。

本書では、米国内を中心とした食料問題について記述されているが、それでも農業政策や市場競争、或いは病気やウィルスの脅威にに晒される農業経営を見ていると、実家の記憶が思い起こされた。

また、農業や食料においては、RFID技術がサプライチェーンの最適化やトレーサビリティー実現のために使用されている。それに関連し、本書中ではブラジルで酪農に対する規制が緩和されていることから、牛肉の生産が急拡大していることが説明されていた。少し前の話だが、パートナー企業である韓国のタグメーカーが、ブラジル向けに大量のUHF帯家畜タグを受注していたことを話してくれた。家畜タグは、わざわざ米FDA: Food and Drug Administrationの承認まで取得しており、当時としてはなぜブラジル?という印象が強かった。しかし本書において、ブラジルは酪農における排泄物管理の規制緩和を行うことで、米国に変わって食肉産業で大きく飛躍していることが説明されており、当時の疑問に納得できた。

本書で取り上げられている問題については、マレーシアも同様に不安要素として台頭している。経済的な理由から、多くの熱帯雨林がパーム油のプランテーションと化し、同時に焼畑農業によってその面積は大きく減少している。焼畑農業はヘイズという大気汚染を引き起こし、毎年多くの健康被害が報告されている。食においても、欧米のファーストフードや小売店が数多く進出してきていることもあり、 明らかに飽食のカテゴリーに入っていると思われる。そして、肥満報告は年々増加を続けており、廃棄される食品も相当な量に上っている。

これだけ豊かになった食生活だが、安全性については不安を抱えたままの状況にある。食品のトレーサビリティーはほとんど確立されておらず、BSEのような病気が発生した場合、効果的な対策は打ち出せないだろう。実際、数年前にマレーシア農業省の依頼で、家畜牛にRFIDタグを取り付けて管理したいとあったが、色々と調査していくと、トレーサビリティーできる基本的なシステムも法整備も全くできていなかったことを憶えている。関係者としては、RFID導入によってこれら全てを一気に解決しようという思惑だったようだが、実際はそれほどシンプルではない…。以降も、食肉解体場からも同様の問い合わせが来るが、やはり基本的なシステムはできていないし、RFID導入による劇的な変化を期待している印象が強い。一応、会社としてきちんとプロポーザルは提出するが、今度は費用面で二の足を踏んでしまい、結局は導入に至らない。安全性を確立するためにもある程度の投資は必要なのだが、基本的なシステムも無いところに導入しようとなるとどうしても費用は高くなってしまい、結局はトレーサビリティーを実現できないという悪循環に陥っている。

こうした事情は、マレーシアだけに限ったことではなく、多くの発展途上国も似たような状況に陥っていると思う。そうした理由から、著者はウィルスなどによる食の最悪の事態の発祥地として、アジアを挙げている。アジアは膨大な人口を抱え、食品産業で急成長を遂げているが、医療部門や政治体制が持つ能力の不十分さによる不安は拭いきれないと。そして、食品の流通がグローバル化することで、その不安は世界的規模で短時間に拡散することを意味している。

ニールセンマレーシア、スマホ市場調査

5月9日のニュースサイトに、スマホ市場に関する調査報告書『Nielsen 2012 Smartphone Insights study』の記事が掲載されていた。ただ、いつもながらNielsenのウェブ上にこの報告書に関するリリース記事が見当たらない。
調査は、23ヶ国の35,000人以上の携帯電話利用者に対して行われた内容となっている。

まず、マレーシアにおけるスマートフォン普及率は、2012年第1四半期において27%に達していることが調査結果から示されている。25歳から34歳までの利用者が全体の36%を占めており、購買意欲の高さが理解できる。ただKL市内を見ていると、普及率の数字はもっと高いような印象もある。市内においては、スマートフォン以外の端末を目にすることの方が稀だし、販売店においてもほぼスマートフォンしか陳列されていない。

次にOS別で見ていくと、予想外にSymbianが2012年第1四半期において34%のシェアを占有している結果となっている。ノキアはWindows Phoneへ移行したものと認識していたが、実際同社のサイトを見るとSymbian OSのスマートフォンがまだ多く販売されている。以降は、Android OSが28%で、iPhone OS 18%、Blackberry OS 11%となっている。販売においては、サムスンがマレーシア国内で圧倒的な強さを見せているが、Symbian OSがまだ数多く使用されているのだろう。また、Windows Phoneは数字が示されておらず、マレーシア国内ではかなり苦戦している様子。販売店へ行っても、Windows Phoneの実機を触ってる人は少ないし、マレーシア国内での認知度はかなり低そう。


[マレーシア国内のスマートフォンOSシェア(2012年第1四半期)]
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また人気のOSとしては、Android OSが16歳から24歳の利用者から55%の票を得ているらしい。また、過去6ヶ月に販売されたスマートフォンの内、Android端末は全体の52%にも達しており、急速に成長していると言える。Androidは豊富なアプリが利用可能であり、且つ端末の選択肢の幅が広く、最近はメーカーから低廉版がリリースされていることもあり、若年層における人気が高いと思われる。アプリの利用形態においてもゲームのダウンロードが最も多く、56%のスマートフォンユーザーが定期的に利用しているという。

iPhoneにおいては、34%のiPhone利用者が毎月RM 150以上を費やしており、平均利用額が最も高いという結果に。また、定期的に利用するアプリについても、全てのスマートフォンユーザーの平均が19アプリであるのに対し、iPhoneユーザーは31アプリとなっている。スマートフォンの月額利用料金として、RM 150はかなり出費だと思うが。日本円にしておおよそ3,900円、日本の感覚だと毎月1万円をスマホの利用に費やしいる感覚だろう。

数年前と比較しても、マレーシアの消費者は明らかに携帯電話やデータ通信への出費比率を高めているし、それが市場トレンドとなっている。国内の携帯電話事情だけをみると、マレーシアはかなり豊かだと感じることができるだろう。

マレーシアのスマホ市場、サムスンがシェア60%超

数年前まで、マレーシアの携帯電話市場はフィンランドのノキアが独占状況にあった。種類が豊富で使い勝手も良く、下取り価格も高かった。私がマレーシアに来た2003年当時も、携帯電話を買うとなると有無もなくノキア製。

それが、スマートフォンの登場によって大きく市場の構図が変わってきた。特に、iPhoneの爆発的人気はマレーシア人消費者の購買意欲を急速に高める結果に。そしてAndroid端末の登場で選択肢の幅が広り、スマートフォンの普及が一気に加速していった。

携帯キャリアー各社も、通話とSMSによるビジネスから、主軸をデータ通信へ移してきた。その戦略においては、これまで小売店が販売していたスマートフォン本体を自社のパッケージに組み込み、通話とSMS、データ通信の全てを含めた料金体系とし、利用者により多くの付加価値を提供するものとなった。ちょうど、FacebookやTwitterなどのSNSの人気が高まったこともあり、この戦略は利用者の嗜好に合致していたと言えるだろう。

このトレンドの変化において、ノキアはSymbian OSでスマートフォンを市場に投入してきたが、競合他社との競争において優位性を発揮できるには至らなかった。その後も、Windows Phoneへの移行やNFC技術搭載などで市場回復を図ってきたが、状況は好転しないままとなっている。

そして5月4日のニュースにおいて、昨年第3四半期にはサムスンが携帯電話市場占有率においてノキアを上回っていたことが発表された。昨年のマレーシア国内におけるサムスンの成長率は1,000%もの数字となっており、マレーシア国内だけで60%超の市場占有率を誇っている。確かに、最近はGalaxy Noteを手に電話しているビジネスマンの姿をよく目にするし、KL市内のビルボードやポスターからも、サムスンがかなり積極的に展開していることを伺い知ることができる。

スマートフォンだけでなく、化粧品や自動車、家電、ファッション、エンターテイメントにおいても、韓国勢の勢いは高まっていると感じる。政府系プロジェクトにおいても、韓国勢は官民一体で強力にアプローチしており、影響力を強めている。逆に、以前は高品質・多機能で人気のあった日本製品だが、年々その存在は薄れてきているように感じる。

多分、こうした現象はマレーシアだけで起きているものではなく、世界共通だと感じる。確かに、いまも日本の製品は高信頼性という面では世界をリードしていると思われるが、消費者の需要に合致できていなかったり、アプローチが伝統的な日本の手法であるがために、国際市場において多くの事業機会を失っているのではないだろうか?私が働いているRFID業界においても、マレーシア市場においては韓国と中国のメーカーが存在感を示しており、残念ながら日本メーカーの名前を聞くことはあまりない。

とは言え、韓国勢のビジネスアプローチはかなり強引な印象があり、そこに危険性を感じることもあるが。そして、国際市場において日本製品に対するネームバリューはまだ高いので、挽回の機会はまだ十分にあるだろうし、私自身も期待している。

マレーシア政府、2020年までに環境車比率10%を目指す

5月3日、Edaran Tan Chong MotorはNissan Leafパイロットプログラムを発表。このパイロットプログラムでは、クランバレーにおいて10台の電気自動車リーフを投入し、現地市場でのフィジビリティースタディー、利用者からのフィードバック収集などを最大3年かけて行われる。日産マレーシアのウェブを見ると、リーフ専用ページが立ち上げられており、オンラインでプログラムへ参加できるようになっている。因みに電気自動車の投入は、マレーシアではプロトンと三菱自動車に次ぐもの。





この発表イベントの後、出席していた国際通商産業省のMustapa大臣から、現在マレーシア国内を走っているハイブリッドカーは8,000台、電気自動車は11台であることが示された。税制優遇措置が行われてから、KL市内で結構ハイブリッド車を目にするようにはなったが、やはり台数はかなり少ない。日本だと、だいたい新車販売の中でハイブリッド車は10%程度のシェアと言われているが、マレーシアのそれは1.4%程度にまで落ち込む。元々、マレーシアはガソリン価格が安価なこともあり、環境自動車に対して政府からの補助金があるわけでもないので、利用者からするとハイブリッド車購入による費用対効果は見出せないのだろう。

さらに同大臣は、2020年までにハイブリッド車と電気自動車のTIV: Total Industry Volume (市場総需要量)として10%を目指すと言及している。市場総需要量ということなので、全販売台数における比率と言うことなのだろうか?

ただ、この数字が先進的な目標値なのかどうかは分からない。参考までに、日本の経済産業省が示している数字としては、「2020年の新車販売台数に占める先進環境対応車の割合を、積極的な政策支援を前提として、政府として80%を目標とする」とし、乗用車普及目標として、2020年にハイブリッド車20~30%、電気自動車・プラグインハイブリッド自動車15~20%、2030年で同30~40%、20~30%が示されている。

同大臣は、先進環境対応車を早期に普及させることで、域内におけるイニシアチブを握り、燃料補助金の削減を視野に入れているようだが、日本と比較するとどうしても積極性が感じられない。現在のハイブリッド車や電気自動車に対する優遇措置は2013年末までとなっており、その後の自動車政策がどうなるのかも不透明な様子。新聞紙上では、先進環境対応車メーカーに対して支援策が拡充される見通しても言われているが、予定通りにプロトン社が2012年中にハイブリッド車を市場へリリースした場合、同社の市場を保護するために海外メーカーに対して高額な税金を復活させる可能性も否めないように感じるが。

あと電気自動車に関しては、充電設備などのインフラ整備が必要となるが、マレーシアだと政府が一度政策として方向性を決めてしまうと、結構短期間に整備できると思う。現在、マレーシア政府はこのインフラ整備に向けて協力できる企業の支援が必要としており、日本企業に大きな事業機会があるだろう。

(参考)

Toyota Malaysiaハイブリッド車



Honda Malaysiaハイブリッド車



高等教育省、QSランキングで上位100位を目指す

5月4日の新聞に、高等教育に関する興味深い記事が掲載されていた。 高等教育省のDatuk Saifuddin Abdullah副大臣は、『National Higher Education Strategic Plan』の一つとして、2020年までにマレーシアから少なくとも3つの大学をQS 世界大学ランキングの100位以内にランクインさせ、更にその内1つの大学は50位以内とすることを目指すと言及。50位以内となると、日本だと東京大学が25位、京都大学32位、大阪大学45位となっており、これらの大学のレベルが求められることになる。

昨年のデータだと、マラヤ大学が国内最高となる167位に入っているが、ここ数年は概ね200位前後を推移している。他には、マレーシア国民大学279位、マレーシア理科大学335位、マレーシアプトラ大学358位となっている。このような状況の中、あと8年で目標値を達成することはかなり難しいように思われるが。


[マレーシアの大学のQSランキング推移]
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政府としては、目標達成のために留学生のリクルートを推進し、外国機関と奨学金について調整するなどしているらしい。ただこの政策だと、国内の学生のレベル向上には寄与していないようにも。また、他にもランキングを向上するために必要なこととして、研究開発や国際協力の改善、影響力ある出版物なとが示されていたが、何かランキングを上げることだけが目的となっているようにも感じる。

現在、マレーシアの高等教育が抱えている大きな問題は、優秀な学生が海外へ流出していることだろう。民族の違いによって、優秀な成績を残しても希望する大学へ行けなかったり、奨学金を得られなかったりしている。小平は「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」と言ったが、マレーシアの教育制度にはそうしたロジックが必要だと思う。

まず、国内の学生が地元の大学に魅力を感じることができないのに、海外から優秀な学生を呼び込むことは可能なのだろうか? 人材の面においても、マレーシア政府はTalent Corpを通じて優秀な外国人を呼び込もうとしているが、目標としていた数字は達成できていない。逆に、国内の多くの優秀な人材が海外へ流出している状況にあり、高等教育と似たような構図になっている。

New iPad販売

ちょっと古い情報だが、4月20日にマレーシアでもNew iPadがリリースされた。米国や日本などでは3月16日に販売が開始されたから、1ヶ月ほど遅れてのリリース。iPhoneに比べると、まだ早い方だろう。ニュースでは、日欧米では最初の3日間で300万台超を売り上げ、iPad2の数字を大きく上回ったと報道されており、人気の高さを示していた。

翻ってマレーシア国内でのリリース日、ミッドバレーでは徹夜組も出ていたらしいが、YouTubeにアップされていた動画をみると、かなり寂しい状況にも見える…。

iPad2の初日と比較しても、列の長さが大きく違うし、メディアの注目度も今回はそれほど高くなかったと感じる。


[New iPad販売]


[iPad2販売]



また、リリース翌週の4月28日にKLCCのアップル販売代理店であるMachinesへ行ってみると、結構ストックがあり、モデルによっては即購入が可能。あと、入り口のデザインはまだiPad2のままなのだが…。


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下の写真は、iPad2がリリースされて2ヵ月後のMachinesの掲示板。


ipad2_small.jpg


今回は、十分な数量がマレーシアへ割り当てられたのかも知れないが、それでも以前のような勢いは感じられない。国内においては、Samsungなどの類似製品も多く普及しており、選択肢が増えていることもあるのだろ。特に、Samsungは国内で強力なプロモーション活動を展開しており、強みを見せている。

またマレーシア国民、特に若い層のIT機器に対する購買意欲はかなり高く、豊かさを感じることができる。

YTLが4Gスマートフォンをリリース

WiMAXによるインターネットサービス『YES』を提供するYTL Communicationsが、5月2日に『Eclipse』という4Gスマートフォンをリリースしたと発表(リリース記事「Yes Launches 'Eclipse' - The World's Smartest 4G Phone」)。







4Gスマートフォンといっても、製品仕様を読むとLTEではなく、WiMAX IEEE802.16が搭載されたスマートフォンとなっている。ただ、WiMAXのカバー範囲が広くないこともあり、GSMでの通信もできる。データ通信速度は最大で20Mbpsとなっているので、他の携帯キャリアーが提供している3Gネットワークよりは高速。しかし、やはりカバー範囲が狭いこともあり、GSMでの接続になると大きく速度が落ちるので、メイン機としては使用できないと思う。

また、OSはAndroid 2.2と古く、製品そのもののパフォーマンスもそれほど高くない。提供されている『Yes Eclipse 4Gプラン』を見ても、競合と比較してもそれほど魅力的な内容ではないと感じる。

それでも、記者会見ではWing K. Lee代表取締役社長が、「This revolutionary device will provide users with amazing possibilities. Not only does it embody the advanced telephony and high speed 4G data connectivity our Yes network has to offer, it elegantly supports legacy GSM telephony at the same time」「The Eclipse stretches the boundaries of communications and puts our world-class 4G network in the hands of smartphone users」と述べ、世界クラスのスマートフォンを提供するに至ったことが強調されている…。世界で唯一、4G (WiMAX)とGSMの両方をサポートしたスマートフォンとのことだが、見通しは厳しいと思われる。携帯端末は決して安くないのに、搭載されている部品やOSは最新版ではなく、唯一スマートフォンで最大20Mbpsを利用できることがアドバンテージとなっている。

この世界初の4Gスマートフォン、開発は17ヶ月かけてYTLで行われたらしく、情報・通信・文化省のRais Yatim大臣はマレーシア企業がグローバルな技術産業において競争力を高めていることを証明していると述べている。

だが、市場のトレンドに合致しない技術や製品開発というのはどうなのだろうか?技術開発においては、開発期間中に逐一、市場のトレンドや変化についてアップデートし、取り込んでいくことがいつも求められている。特に、スマートフォンなどの情報通信端末は変化の速度がこれまで以上に速く、柔軟に対応していくことが求められていると思われるが。残念ながらこの『Eclipse』、確かに17ヶ月前であれば最新の技術を採用していたことが理解できる。

マレーシアでの政府系企業との仕事

以下は、私がマレーシアでRFIDの仕事をしていて直面した本当の話。背景としては、いま勤めている会社がマレーシア政府の依頼でRFID用R/Wを開発し、その検証を政府系企業が受託したというもの。

まずある政府関係者との会議において、政府系企業から私の働いている会社が開発したUHF帯域のR/Wがマレーシアの規格から外れた電波を出しており、とても承認することはできないと言ってきた。しかしこのR/W、SIRIM QASにて電波法の試験を通過し、きちんと認証までもらっている筈なのだが。よくよく聞いてみると、共振周波数が1.2GHzとちょっと高めに設定されたRFIDタグと今回開発したR/Wが通信できており、つまりこのR/Wはマレーシア周波数に適合していないというロジックのようだ。普通にRFID業界で仕事をしている人であれば、UHF帯タグは幅広い周波数で動作することができ、共振周波数はエネルギー効率の最も高い周波数に過ぎないことを知っているだが。これをいくら政府企業に説明しても全く理解してもらえず、結局R/Wの周波数設定を860MHzから960MHzまで動かし、1.2GHzのタグがこれらの帯域でも通信できることを示して納得してもらった。だが、この誤った見解について政府系企業から謝罪の言葉はないし、知識が間違っていましたとの言葉も出てこない。因みに、これはProfessorやDoctorという肩書きを持っている方々。

また、R/WのPCB図面のガーバーデータを政府系企業へ検証作業のために提出したところ、そこで所有している設備ではデータを取り込めないので検証NGとの判断がされたことがある。提出したガーバーデータはデファクトスタンダードとなっているRS-274Xなのだが…。よく調べてみると、そこではRS-274Dと一昔のものを使っているのが原因ということが分かった。でもこれって、検証機関がdocまでしか対応しておらず、docxのファイルをオフィスのPCで取り込めないから検証NGといっているようなものでは?同様に、デモソフトウェアの検証においてはXPしか環境がないので、Win VISTAとWin7の検証作業ができないと言ってきた…。そもそも、検証するだけの環境と能力が整備されていないことが問題のように感じるが。

他にも面白いのは、モジュールタイプと卓上タイプという2種類のR/W製品に対してのもの。契約上、本製品は『Industrial standard』に準拠していることとされていたが、通常の認識であれば工場などで使用することが可能であることを示しているだろう。モジュールタイプも卓上タイプも普通にオフィスや工場で使用されており、類似品も工場で使用されていたので何も問題がないだろうと考えていたら、政府系企業から出された指示はIP65に準拠してはじめて『Industrial standard』と呼ぶことができるといった内容…。RFID業界において類似製品でそのような製品が世の中に存在しないことを資料と共に説明するも、まったく首を縦に振らない政府系企業の面々…。結局、市販の防塵・防水保護ケースにR/Wモジュールを納めた、世界初の防塵・防水対応卓上R/Wを作製してしまった。当然IPテストには合格したが、これに何の意味が…。

ある時は、回路図とPCB図面、機械図面をハードコピーとCDで各々2部提出との要望があった。何とか半日で全て準備し、直接担当者へ資料を持っていたところ、「これに関わる指示書などの資料は?」と聞いてくる。メールの指示内容では3項目しか示されていないし、前にその指示書を提出したことを伝えるも、「関係する資料も一緒にまとめて提出するのが普通でしょ」と反論してくる。私にシックスセンスを期待しているのか…。

あと話を聞いていると、何でも所有していたPCがウィルスに感染し、ハードディスクのデータが全て消失したのでどの資料を受け取ったのか分からないと言う…。これに対して悪びれることも謝罪も無く、こちらに資料を整理させて提出させようという魂胆なのだろうか…。ウィルス感染はアクシデントのようなものであり、私の落ち度ではないとする態度。普通はデータのバックアップをとるだろうし、このクラウドコンピューティングの時代、ハードディスクだけに依存しているのも危ないように。

一応これらの話し、マレーシアを代表する政府系BHD企業との間で起こった本当のこと。国を代表する政府系企業が、この程度の知識しかもっていないという現実はかなり悲しいし、間違いや新しい情報から知識を向上させようという意識が感じられないのは残念。多分、政府系企業ということでプライドが高いのだろう。結局、この検証作業が完了するのに3年の月日を費やし、請求費用もだいぶ減額された。会社としても、経営体力をかなり削られる結果に。逆に、検証作業を行った政府系企業は満額の検証費用(それも多額)を政府機関から手にしている。

とは言え、全ての企業がこうではなく、ちゃんとした知識を持った企業も多数存在しているし、先進的なRFIDプロジェクトを進めているところもある。

他にも、RFIDのアプリケーション開発では、一緒に実証試験を行って完成度を高めましょうと言うのは駄目で、既に完成されたパッケージソリューションを提供することが求められている。RFIDだと、結構使用環境に左右されるのでカスタマイズの部分が多くなるのだが、こうした事情はあまり理解されていない。マレーシアでRFIDが一般的になるには、まだまだ時間が必要だろう。特に、これまでは政府系案件が新しい産業を牽引していくことで経済が発展してきたが、政府内においてRFID技術を理解している人材が乏しい状況であれば、なおさらであろう。

ナジブ首相、最低賃金制度発表

メーデー前日の4月30日、ナジブ首相は「This is a special present from the Federal Government to all employees of our beloved country」と述べ、National Wage Consultative Councilによって決定された最低賃金制度の詳細が発表された。





発表によると、半島部の最低賃金は月額RM 900、時給換算ではRM 4.33、そしてサバ州とサラワク州、ラブアンは月額RM 800、時給換算でRM 3.85とされている。以前、最低賃金制度は職種によって細分化される可能性も言われていたが、基本的にメイドや庭師を除く全労働者へ適用される内容となっている。

新レートが適用されるのは官報告知から6ヵ月後で、零細企業(歯科医、診療所、法律・建設・コンサルティングファームなど専門組織を除く)はさらに6ヶ月の準備期間が設けられる。

以前から、政府はRM 800~RM1,200の間で調整していると噂されいたが、Malaysian Employers FederationやMalaysian Trades Union Congressなどと激しい駆け引きが行われていた。特にMalaysian Trades Union Congressは、政府に対して基本給だけでRM 900以上にすべきと主張。他の労働団体も、RM 1,200~RM 1,500という高額な数字を提案。対してSMI Association of Malaysiaは、最低賃金がRM 800~RM1,000となった場合、80%の中小企業が倒産に追い込まれるとしていた。今回の最低賃金は、これら意見に配慮した結果であり、猶予期間を設定することで非難を回避しているように感じる。

また政府発表では、マレーシア労働人口の33%が月収RM 700以下にあり、貧困とされるRM 763を下回っているとしている。確かに、単純労働や知識を必要としない仕事において賃金はかなり低いと感じるが、それでもマレーシアは周辺諸国と比較して労働コストは割高な構造に陥っている。そのため、多くの企業がマレーシアから他の国へ事業拠点を移転しているし、マレーシア国内においても単純労働は周辺諸国からの労働者に依存しなければならない状況に置かれている。

マレーシアは、2020年の先進諸国入りのため、1人当たりの国民総所得をRM 48,000にまで引き上げることを目指しており、そのためには知識労働者の比重をかなり高める必要があると思われる。しかし、現在の一般的な労働者市場を見ると、専門家としてのスキル、仕事に対する姿勢、ビジネスモラルなどの水準が賃金価値に達していないように感じる。マレーシアの場合、履歴書の自己評価と実際の能力はほとんど合致していないし、労働者もジョブホッピングを繰り返すことで容易に賃金を上昇させている。こうした構造は見直すべきと思うが、国内の労働者が不足している状況にあっては、難しいのだろう。また教育についても、いまの不平等な高等教育制度を続けていれば、いずれ労働力の競争優位性は周辺諸国に追い抜かれてしまうと思われる。


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