『Bersih 3.0』についての日本の報道

日本でも、4月28日にクアラルンプールで実施されたデモンストレーションについての報道が動画でアップされていた。







ただその内容を聞いていると、概ね今回のデモはマジョリティーを持つマレー系住民が選挙において優遇されており、マイノリティーである中国系やインド系が選挙改革を求めた行動に出たとしている。

しかし動画を見ると、デモンストレーションへ参加しているデモ隊の顔は、ほとんどがマレー系住民…。前回の『Bersih 2.0』の時もそうだったが、特に中国系は政治についてはあまり関心を示していない。これまでも、国内で政治関連のデモが幾度となく実施されているが、中国系はいつも他人事のように振舞っている。民族の性格もあり、政治よりもビジネスに対するプライオリティーが高いことも影響しているのだろう。

結局は、マレー系における与党支持派と野党支持派の対立という構図の方が強い。特に、アンワル元副首相が野党を組織するようになってから、こうした過激な行動が目立つようになってきている。

今回の『Bersih 3.0』においては、Lynas社のレアアース工場操業反対の団体と歩調を合わせることで合意したことから、確かに中国系が『Bersih 2.0』よりも大幅に増えている印象はある。

レアアース工場操業反対については、なぜか中国系が積極的に動いており、Facebook上でも激しいやり取りが行われている。子供への健康被害の可能性などにおいては結構過敏に反応するようで、中国系である私の妻もレアアース工場操業反対を支持している。ただ、今回のデモにおいてレアアース工場操業反対の声は、ほぼ『Bersih 3.0』の暴徒によってかき消されてしまっている。

日本の報道にあるように、今回のデモがマイノリティーである中国系やインド系が選挙改革を求めた行動であるならば、それは民族対立であり、もっと違った形になると思う。実際、中国系やインド系は生活やビジネスにおいて厳しい環境下には置かれているが、多くは民族対立による混乱を望んでいない。

今回のデモは、表向きはあくまで次回選挙において、不正が行われないシステムを野党とその支持者が訴えるというものだが、4月3日に超党派で組織された特別委員会が選挙改革案を作成し、下院議会で承認されたばかり。それを考えると、選挙直前に野党が世論に対してアピールするための戦略の一環であるようにも見える。

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Bersih 3.0

4月28日、早朝から低空で飛行するヘリコプターの音がうるさい。外を見ると、KL市内へ入る道路が全て封鎖されている…。

この日は、選挙制度改革を求める団体『Bersih 3.0』と、Lynas社のレアアース工場操業に反対する団体によるデモが午後から実施されることがアナウンスされていたため、KL市内は厳戒態勢。このデモ行動、実施場所を巡って中央政府やKL市はデモ団体と結構もめていた。デモ団体は独立広場で実施を申請したが、中央政府やKL市は難色を示し、他の候補地を提案。しかし、デモ団体は提案を一蹴し、強行姿勢であるといった構図がニュースで報道されていた。結局、中央政府とKL市は、独立広場やKLCCなどのデモ隊が集まるであろうへ場所にバリケードを築き、大規模な交通規制が行われた。


[交通規制された幹線道路]
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おかげで、自動車だとKL中心部から外へは行けるが、反対に外からはKL中心部へ入ることができないことに。また、KL中心部の多くの商店やレストランはこのデモの煽りを受け、ほとんど仕事にならない状況。
報道によると、10万人がデモに参加し、388人が警察に拘束されたらしい。ただ、報道に出てくるのはBersih 3.0ばかりで、Lynas社へ抗議する団体はあまり注目されていない様子。

今回のデモで印象的なのは、まず警察がYouTubeなどのSNSを積極的に活用している点。Bersih 2.0の時には、警官がデモ隊に暴力を振るうシーンがYouTubeやfacebookにアップされ、多くの批判を浴びる結果となった。この反省を踏まえたのだろう、今回は多くの動画がマレーシア警察からYouTubeへ直ぐにアップされ、ニュースサイトや報道番組でもその動画が使用されていた。以下は、その中からの印象的な動画。











バリケードを蹴破り、立ち入り禁止区域になだれ込むデモ隊。警備隊に花を飾りつけ、挑発するデモ隊。パトカーにモノを投げつけ、蹴りつけるデモ隊。それが原因でコントロールを失ったパトカーが道路脇に激突すると、警官を引きずり出し、集団で暴力を振るう。同時にパトカーの破壊に及び、女性がマレー語で「車を倒せ」と連呼、これに呼応する集団。そしてデモの後には、破壊された街と大量のごみが散乱。

デモ団体の代表は平和的な集会と言っていたが、この状況を見る限り、デモと言うよりも暴徒といった印象が強い。当然、デモ団体側は警察がデモ隊を煽ったことが原因としているが。ただ、KL市以外の地域でも同様のデモが行われたが、そちらは大きな騒ぎもなく終了しているらしい。

私のFacebook上も、今日はこのデモ関連の情報一色に。Bersih 3.0に参加した若い中国系の人は、「いま拘束された仲間がいる警察署にいるので、解放のために再度みんな集まって欲しい」と投稿していたりしている。Facebook上のやり取りを読んでいると、Bersih 3.0を支援している若い層は、なにか反政府の姿勢を示すことがファッションとなっているようも感じる。

マレーシアの自動車市場と産業動向

以前、別件で作成したプレゼンにおいて、マレーシア国内の各種自動車関連のデータをまとめたものがあったので、「マレーシアの自動車市場と産業動向」として再構成してみました。時間があれば、NAP: National Automotive Policyについても追記していきたいと思っています。





いろいろとあり、

いろいろとあり、真剣に転職を考えています。マレーシアという地で、どれだけの機会があるかは分かりませんが、今はこの結論に至ろうとしています。

もし、私の経験や知識、能力が微力ながらも寄与できるようでしたら、メールで連絡いただければと思います。

eijimurakoso@gmail.com

下記は、自己紹介の履歴書です。


Proton、新型車『Preve』発表

『P3-21A』というコードネームで進められていたProtonの新型セダンだが、4月16日に『Preve』という名前でリリースされた。リリース前から、元F1ドライバーのジャンアレジを使ってプロモーションビデオを作っていたし、リリース後には専用ページが公開されるなど、会社として力を入れていることが分かる。発表会には、マハティール元首相とナジブ首相が出席、国民車ということもあり、相変わらず出席者は豪華。







発表によると、この『Preve』は世界戦略車と位置づけられており、品質や安全性を世界標準にまで高めているとしている。そうした思いからか、『Preve』はスペイン語で『保証』を意味している。この保証という言葉、これまでのプロトン車において、最も欠けていた部分だと思う。国民車ということで、同社は政府の強力な支援によって自動車事業が進められてきたが、ユーザーに対するサービスや品質という面では格段に他社の後塵を拝していたし、価格面でのアドバンテージで支えられていた印象がある。

その世界品質、まず品質については、今回、部品の現地調達率が94%ということだが、1年後も同じ品質の自動車が供給できているかが注目だと思う。

次に安全性に関しては、MALAYSIAN INSTITUTE OF ROAD SAFETY RESEARCH が実施している安全テスト『MyVAP』で最高の5つ星を獲得していることが強調されている。最近リリースされているMyViやAlza、Exoraは4つ星だったので、安全性能は向上しているのだろう。

他のメーカーとの差別化としては、5年間或いは15万kmまでの保証がついており、YTLが提供するワイヤレスブロードバンド『Yes 4G』が標準搭載されている。

翌日には、私が働いている会社のビルでも盛大なセレモニーが行われ、休み時間に多くの人が新型車を取り囲んでいた。実車を見ると、KIAのOPTIMAに似た印象。


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[実車展示]

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[試乗待ち]

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[粗品のマグカップとカタログ]


昨年、プロトンは販売台数でプロドゥアに次ぐ2位と厳しい状況となっている。今回の新型車は、最初の3ヶ月間は国内販売、その後アセアン各国やオーストラリア、中東、そして中国への輸出も積極的に展開していく予定で、月間4,000~5,000台の販売が目標となっている。ただこの数字、MyViの月間販売台数より大幅に少ないが…。

Visual Resume

Slideshareに、プレゼン形式の履歴書(英語版)をアップしました。



ファブリックRFIDタグ

RFID Journalに、ユニークなRFIDタグ技術の記事が掲載されていた。それはファブリックタグと言うもので、ブランドタグがRFIDタグとして機能するものらしい。開発したのはスイスのTexTrace社。同社のウェブを見る限り、この技術の実用化のために設立された会社と思われる。

製品は織布タイプのRFIDタグで、『electronically sensitive yarn』という導電性の糸でアンテナが形成されているらしい。アンテナそのものは、写真のようにブランドタグの裏面から視認できる。使用しているチップはNXP社のG2iLなので、EPC C1 Gen2対応となっている。エッチングアンテナでもないのに、通信距離は6m程度と紹介されている。タグのサイズも、2 インチ(5.08cm)×0.75インチ(1.9cm)まで小型化できると説明されている。

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現在、高級アパレルでのテストを準備しているらしいが、事前の信頼性テストでは、通常の洗濯だけでなく、ストーンウォッシュや漂白においてもタグが破損することなく、耐久性の高さを示しているという。また、チップとアンテナの接合部は硬い繊維材料でできたバッドで保護されており、機械的強度に耐える設計となっている。

この技術を利用することで、ブランドプロテクションや棚卸精度向上、店舗内の商品監視、インタラクティブミラーなどとの連携による顧客付加価値を提供できるとしている。当然、SCMの最適化にも威力を発揮するし、長距離通信による店舗内の盗難防止もアピールされている。

ただ店舗での盗難防止に関しては、私自身は『?』だと感じる。もし、ブランドタグがRFIDタグとして機能することを認知されていれば、盗む側はそれを切り取ってしまうことで、店舗から持ち出すことも可能だろう。マレーシアの場合だと、保安員を含めた組織ぐるみで店舗内の倉庫から商品を盗み出したりするので、かなり性質が悪い。

それでも、RFIDの適用はサプライチェーンの最適化によって商品の移動を可視化し、いつもどこでどれだけの商品が紛失しているのかが把握できる。そして、店舗はこのデータを元に効果的な対策を行うことが可能となる。これは十分に大きな効果のはずだが、マレーシアのアパレルや小売店のクライアントは、RFID導入によって直ぐに商品の盗難が劇的に皆無になることを期待している…。まさに、RFIDが万能薬のような効果を発揮できると思い込んだままなのだろう。本来であれば、RFID導入に際して既存プロセスの最適化や見直しを行うなど、結構な手間を要するのだが。

とは言え、この製品はブラントタグがRFIDタグとして機能するということで、アパレルメーカーにおいて簡単にソースタギングできることを意味している。これまでであれば、ラベル発行のためにプリンターを用意し、発行されたラベルは手作業で取り付ける作業が必要とされるなど、結構煩わしいものであった。そういった意味においても、この織布タイプのRFIDタグは面白い技術だと思うし、応用領域も広いだろう。

ランドリープロセスの最適化(UHF RFID技術の活用)

SlideShareへ、会社で作成したプレゼンテーションをアップしました。ターゲットはホテルなどのリネン類で、UHF技術の活用を提案しています。システム内容などの詳細は省いていますが、ストーリー構成はある程度維持しています。

この分野、日本や米国などでは結構ポピュラーになってきており、導入効果を見出せている状況にあると思います。ここマレーシアでも、ホテルやランドリー工場などからRFIDの導入について問い合わせが会社へ来ますが、だいたいタグの価格を聞いたら連絡が没してしまいます…。システムとしての有効性はある程度理解されても、導入へ至るのはなかなか難しいのが実情。





1BestariNetプロジェクト、YTLが落札

4月10日の新聞に、1BestariNetというプロジェクトをYTL CommunicationsがRM 6.63億で落札したとの記事が出ていた。内容としては、2013年3月までに9,924の公立校へブロードバンド環境を提供するらしく、都市部であれば最大10Mbps、地方校だと最大4Mbpsが計画されている。現時点では、半島部の1,800校が同社のワイヤレス4Gに接続されており、最大4Mbpsの帯域が割り当てられていると言う。

ただ、帯域保証のない同社のサービスで各校へ10Mbps、或いは4Mbpsというサービス提供だと、例えば40人の生徒が同時に使用した場合はかなり乏しい通信速度になるように思われるが…。そうした通信品質への懸念からか、なぜ固定網を採用しなかったのかという意見も出ている様子。

またこのプロジェクトに際し、YTLはバーチャル学習プログラムと 自社が提供している『Frog's Virtual Learning Environment』をソリューションパッケージとして含むらしい。動画を見るとかなり高度なシステムのように感じるが、果たしてマレーシアの先生方がこれを使いこなせるのだろうか?





このニュースを読んで思い出したのが、マルチメディアスーパーコリドープロジェクトにおいて、フラッグシップアプリケーションとして位置づけられていた『スマートスクール』。私自身、マレーシアへ在住する前は、マレーシア国内の学校は政府の強力なバックアップにより、高度なICT環境が整備され、多くの生徒がその恩恵を享受できているものと想像していた。しかし、実際にスマートスクールが導入されているのは、ほんの一部の大学しかない。

KL市内の公立校においては、学校を紹介するウェブサイトは無いし、これだけ情報通信技術が普及した社会にあって、それを活用できる環境がほとんどの学校で整備されていない。日本であれば、学校の行事やイベント、各種情報がウェブ上にアップされているが、マレーシアではそうした取り組みを行っている公立校は目にしていない。私の息子は私立のインターナショナルスクールに通っているので、さすがに構内にはWiFiなどの通信環境が整備されているし、学校のイベント情報もウェブやfacebookに随時アップされている。緊急事項については、SMSで情報が一斉送信されてくる。公立校だと、予算が逼迫しているからICTに投資する余裕がないこともあるのだろうが。

さらに公立校でのICT教育においても、中等教育では1年と2年しかカリキュラムに含まれておらず、時間的に決して十分とは言えない。結果、文書作成や表計算、プレゼンテーションなどのソフトウェアを使いこなせるレベルに達することもできない。そのため、新卒者の履歴書にはMS Officeを使えますと書いていても、実際に使いこなせるというレベルの人材はほとんどいない。本当に、「なんとか使えます」というレベル…。

また、知人の子供から聞いた話では、校内にインターネットへ接続された端末は授業のために用意されているが、通信速度は驚くほど低速だし、殆どの端末はウィルスに感染していていたり故障していたりと、問題を抱えたままの状態で放置されていると言う。

こうした事情を理解していれば、ブロードバンド接続環境や高度な学習プラットフォームを提供するだけでは、決して十分でないことが分かりそうなのだが…。高額な投資も、使ってもらえなければ意味が無いし、何より生徒のアウトプットで成果を見出すことが最重要であろう。例えば、製造業で使用されている三現主義(現場・現物・現実)を実行することで現状を把握し、それに対して何が最も効果的なアクションであるのかを検討するのも、一つの手であろう。

マレーシアの教育の質

昨年に世界経済フォーラムが発表した『Global Competitive Index report 2011-2012』を巡って、国内でポリティックな言い争いが起こっている。事の発端は、先週ムヒディン副首相兼教育相が同報告書における『教育システムの質』の項目において、マレーシアは142か国中14位の評価を受けており、マレーシアの教育システムはドイツや英国、米国といった先進諸国よりも上にあると発言したことにある。

同教育相は理数教科の英語教育廃止を推進したことから、国内では教育水準の低下が懸念されるとの声が高まった背景がある。そうした批判に反論する材料として、高評価であった世界経済フォーラムの数字が使われた印象が強い。中国系の新聞は、かなり過激な書き方をしていたようだが。


[GCI 2011-2012における教育システムの質]
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しかしよく報告書の内容を調べると、まず『教育システムの質』についての評価は、マレーシアの場合だと87人のビジネスコミュニティーに属する上級マネージメントの意見をベースとし、サンプルデータが取得されているという。彼らが、マレーシアの教育システムについて満足と回答すれば、それだけ高いスコアーとなる。だからランキングを見ていくと、中東のカタールが第4位に入っているし、日本や韓国は先進諸国では下位に位置している。

さらに、同報告書における他の教育に関するデータを見ると、中等教育の就学は101位だし、高等教育の就学率も66位と低い評価となっている。こちらは、実際の就学率を順位づけしているので、評価データに曖昧さはないと言える。

総合的に見て、マレーシアの教育水準、或いは教育システムが優れているという印象は薄い。就学時間は日本より遥かに少ないし、教えている内容もそれほど充実しているとは言えないように…。以前、高校生と大学生の教科書や課題を見せてもらったことがあるが、日本のそれとの乖離が印象に強い。

そうした背景もあり、企業においては新卒者の英語レベルやスキルの不足がよく問題として取り上げられている。さらに、残念ながら優秀な学生は海外へ活路を見出す傾向にあり、それが頭脳流出として深刻な問題となっている。

人的資源省のMaznah Mazlan副大臣は、2020年には労働市場の60%は知識労働者が必要になると言っていたが、いまの教育システムでは難しいように感じる。特に、民族別に設定された入学枠や奨学金枠の継続は、海外への頭脳流出を一段と加速させている。

マレーシアの今後の発展は、インフラ整備や基幹産業の育成よりも、いかに優秀な人材を国内から多数輩出し、全労働者のレベルを押し上げるかが鍵になると思う。政府は、TalentCorpを通じて優秀な外国人労働者にインセンティブを与えたり、海外へ流出した頭脳をマレーシアに呼び戻す政策を展開しているが、それだけでは総合力を向上することはできないだろう。

マレーシアの環境問題と動向

近年、マレーシア国内で注目されつつある環境問題とその動向について、プレゼン形式でまとめてみました。対象が広いので、あくまで概要といった内容です。マレーシアにおいて、この分野は成長産業として注目されつつあり、今後の対応に期待が持たれています。

特に、海外からの直接投資に重点が置かれており、日本企業からの技術移転や事業展開も大いにポテンシャルを有していると言えます。





参考までに、マレーシアで撮影した環境関係の写真をアップしています。まだ枚数は少ないですが、徐々に増やしていきます。高機能カメラではないので、画質が良くない点はご了承ください。





世界経済フォーラム、マレーシアのICT環境は29位

4月4日、世界経済フォーラムから世界各国のICT環境についての報告書「The Global Information Technology Report 2012」が発表された。(Global Information Technology Report Highlights Emergence of a New Digital Divide)





調査対象は142ヶ国・地域となっており、総合首位はスウェーデン、2位はシンガポール、3位はフィンランドという結果。上位は昨年と同じ内容にあり、全体的に北欧諸国が強さを見せている。

マレーシアは総合で29位となっており、年々少しずつ順位を下げている。ただ、東南アジア諸国においてマレーシアはシンガポールに次ぐ評価にあり、アジア発展途上国内でみるとマレーシアが首位となっている。世界経済フォーラムは、シンガポールとマレーシアを域内の成功事例として位置づけ、タイとインドネシア、フィリピンはこれら2カ国の成功例に学ばなかったと説明している。


[東アジア主要国のGITR順位推移]
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[アジア発展途上国におけるGITR2012スコアー]
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また、マレーシアは韓国やアジアの虎の成功例から学ぼうとしており、政府がICTにおいて重要な役割を果たしていると評価している。そのためか、各項目の評価おいて政府関連の項目に対するスコアーがかなり高い。確かに、National Broadband Initiativeによって国内のブロードバンド普及率を高めたり、マルチメディアスーパーコリドー拡張による事業機会の拡大など、多くの成果を生み出している。ただ、『政府オンラインサービス指数』が世界16位だったり、『ICT利用、及び政府効率性』が世界10位など、過大評価に感じる部分もある。政府オンラインサービスだと、長期間メンテナンス中であったり、最新の正しい情報が得られないなど、数多くの苦情を耳にしている。結局、窓口まで足を運んだ方が最も効率的であったことも経験している。

あと面白いデータとしては、『違法コピーソフトウェア比率』が56%という点。数年前であれば100%に近い数字だったと思うが、最近は違法ソフトウェアの流通量が大きく減少しており、正規版の利用率が高くなっている。

そして驚いたことに、『インターネット、通話電話の競争』が世界1位となっている。10年程前だと、ブロードバンド接続だと否応なしにTMのStreamyxを使用しなければならなかったが、今では固定網だけでなく、ワイヤレス通信においても多彩な選択肢がある。ただ料金体系が割高なために、光ファイバー契約をしても、使用するのは数Mbpsのパッケージだったりする。本報告書においても、『固定ブロードバンド料金』は世界的にも見ても割高な水準であることが示されている。この料金体系については、かなり前から話題となっているが、中々改善される様子がない。

今後の課題としては、インフラ整備と個人利用を高めることなのだろう。マレーシアは、国家として2020年にブロードバンド普及率100%達成を目指しているので、この辺の改善は進んでいくだろう。個人的には、やはり料金体系の見直しにより、誰もが高速通信を享受できる環境を希望したい。


[GITR2012、マレーシア詳細]
GITR_2012_03.png

政府改革プログラム、2011年成果報告

4月2日、マレーシア政府から2011年の政府改革プログラム(GTP)に関する成果が発表された(ナジブ首相スピーチ、マレー語)





今回の成果に関しては専用ページ『GTP Annual Report 2011』も用意されており、報告書全文も閲覧が可能。ただ、300ページ以上のボリュームと凄い量。





報告書では、犯罪と腐敗、教育、低所得者の生活水準、地方基礎インフラ、都市部公共交通機関において大きな成果が得られたことが数字と共に説明されている。主なところでは、

犯罪低減
-路上犯罪が39.7%低減、犯罪指数が11.1%低下
-Global Peace Index (GPI) 2011において、マレーシアは『Most Peaceful』と『Safest Nation』のタイトルを獲得
-27,000人以上の保安員が展開

確かに、首都圏においては防犯カメラがあちらこちらに設置され、以前よりも犯罪の起きにくい環境が整備されつつあるように感じる。


CCTV: Jalan Ampang


腐敗との闘い
-Corporate Integrity Pledge設立
-告発公務員への報酬制度導入

教育改善
-3,089の就学前クラス設立
-90万人近くの生徒がLINUS(literacy and numeracy screenings)の恩恵を受ける。
-成績の良くない学校が40.25%低減(2010年の636校から2011年には380校へ改善)

低所得者の生活水準
低所得者の生活水準
-63,147世帯の貧困世帯減少
-3,000人以上の女性企業家が誕生し、収入が上昇
-12,578人の低所得者がマイクロクレジットを利用

地方基礎インフラ
-1,796.1kmの道路追加整備
-109,500世帯への水道供給
-54,270軒へ電気供給
-31,327軒の住宅建設

公共交通機関
-Pudurayaターミナルが世界クラスへ改修
-468のバス停を改修
-クランバレーに470台の新規バス投入
-シームレスチケットシステム導入

フルドキュメントにおいては、各種項目においてより細かな数字が示されており、達成度を信号の色で示している。当然、ほとんどが緑色で、少し黄色がある程度なので、達成率は高い数字であることが分かる。余裕があれば、全文を読んでみたいが。

記者会見において、ナジブ首相は目標値を達成できたことに満足しつつも、今回の盛夏はまだ始まりに過ぎないとしている。GTPは3つのフェーズで構成されており、今年は第1フェーズ最終年となっている。そうした意味もあり、「We will maintain the momentum of big wins and unprecedented firsts to achieve our ambition of becoming a developed, harmonious, prosperous and high-income nation by 2020.」と述べ、2020年の先進国入りに意欲を見せている。

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