マレーシアの新硬貨対応

マレーシアでは、今年1月16日から新硬貨が発行されたが、それにまつわるトラブルが新聞等で話題となっている。特に自動販売機の新硬貨対応ができておらず、駐車場の支払もできないと言うもの。新硬貨発行に際して、プロモーションビデオは念入りに作製されていたようだが。





(記者会見用のペーパーを読み上げるゼティー中央銀行総裁、なぜか喋りがたどたどしい)


何年か前に新しいRM5札が発行された時も、多くの自動販売機は完全対応できるまでにかなりの時間を要していたと記憶している。今回は、全ての硬貨が発行されたこと、更に公共のパーキングメーターなどは硬貨しか使用できないため、より混乱が生じている。

中央銀行は、自動販売機のアップグレードのために6ヶ月以上の期間を業者へ与えたとしているが、PPK: Malaysian Association for Shopping and Highrise Complex Managementは何も聞いてないと反論。発行後、新硬貨が使用できる自動販売機を目にしたことがないので、多分中央銀行の告知が十分でなかったような印象があるが、いずれにしても責任逃れや言い訳が目立つ。

先日訪れたKLCCも対応ができておらず、暫定策として全ての硬貨が使用禁止、またいつ完了するかも分からない状況になっている。日本だと、新札や硬貨が発行されると同時に全ての自動販売機が対応できるように作業されているが、マレーシアだと問題が出るまではあまり真剣に対処されない。問題が顕在化してから、中央銀行はホットラインを開設、新硬貨に対応していない自動販売機の情報を市民から募っている状況。


[KLCCのAutopay machine]
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自動販売機対応は事前に懸念されていたはずだが、やはり円滑に対応できなかったという雰囲気が国民の間に広がっている。更に、今年7月には全ての紙幣がデザイン変更となるが、こちらも対応に懸念がある。この国では、過去の失敗を繰り返すことが頻繁に起こるし、抜本的な対策が検討できないままに新札発行を迎えるのかも知れない。





Work Breakdown Structureなどのツールー使い、事前に実施すべきアクションアイテムを明確化、そしてきちんとフォローアップしていれば、こうしたつまらない問題も発生しなかっただろうし、緊急の追加業務による経済損失を被る必要もなかったはずだが。マレーシアで仕事をしていると、こうした当たり前のことが等閑にされているプロジェクトをよく目にする。逆に、こうした当たり前のやり方は時間と労力の無駄と言われることもあり、結果、完成度が凄く貧弱というケースも目にしている。

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マレーシアの接客サービス品質(2)

2月8日にアップした『マレーシアの接客サービス品質』の続き。

客への暴力事件で話題となったKFCだが、運営元のQSR Brands BhdはPizza Hutも経営しており、両方とも似通ったサービス品質を提供していた。多分、社員教育システムが同じなのかも知れない。近所のPizza Hutだと、客が来店しても誰も接客しないし、メニューが来るまでにもかなりの時間を要する。呼び出しブザーを鳴らしても無視される等々。そうした接客態度から、店に入ったものの注文もせずに出て行ったことが何度かある。だから、私自身はKFCとPizza Hutを敬遠している。

今日は、子供がPizza Hutが食べたいと言うので、久しぶりに店に入ってみた。すると、店員と目が合うと皆が笑顔で返してくる…。そして、席に着くと同時にメニューが目の前に。注文を聞く態度も凄い良いし、きちんとプロモーションメニューの説明をしてくれる。更に驚いたのが、ピザを運んできてくれた店員が、子供のためにピザを切り分け、お皿までサーブしてくれたこと。金曜日なので、いつもだと凄い時間待たされるのだが、今日は注文から食べ物が出されるまでの時間もかなり早い。

多分、KFCの件があり、店内の社内教育を徹底したのだろう。いつまで継続できるかは分からないが、客としては気持ちが良いし、これが標準となれば凄いことだと思う。

民間企業だと、経営はどうしても客の評判や口コミ、ニュースなどに大きく左右されてしまう。特にインターネットが普及した時代にあっては、不祥事の動画が公開されたりSNSで情報がバイラルに広がることもあり、短い期間で大きな損害となって跳ね返ってくる。KFCの場合、Facebookユーザーの間では不買運動の発言も多数展開されていた。

そうした事態もあってか、KFCは副社長による謝罪動画をYouTubeへアップロードするなどし、事態の収拾を図っている。





ただ、それと対極にあるのが政府・公共サービスだろう。顧客満足度ということに無縁であるがために、態度はかなり横柄。サービスを提供してやっているといった姿勢も見られる。世界中どこでも同じだが、経営破たんしたり解雇される可能性がないことも影響しているのだろう。

先日も、会社の秘書がスペシャルパスの申請にプトラジャヤのイミグレーションを訪れた時、政府・公共サービスらしい対応を聞かされた。秘書はウェブページで必要書類を全て確認し、準備万端書類を揃えて事務所に向かった。長い順番を待ち、ようやく窓口に書類を提出すると違うと言われてしまった。イミグレーションのウェブで指定された書類だと説明するも、ウェブの情報は古いので間違っているとして書類を返されてしまったらしい…。その後会社に帰って再度書類を準備するも、いくつか不明な点が出てきた。ウェブ情報は信頼できないとのことなので、イミグレーションに電話するも誰も電話を取らない。ようやく午後1時30分に電話が通じるも、昼食中だから1時間後にかけ直してくれと。結局、細々したことを確認するにも、わざわざクアラルンプールからプトラジャヤにまで足を運び、長い列に並ばなければならないということらしい。

実務担当者はウェブページの不具合を認識しているにもかかわらず、何もアクションを起こさないし、私の仕事ではないという態度。電話にだれも出ないと苦情を言っても、それは私ではありませんからと責任を回避する。あとで秘書がイミグレーションのオフィサーにウェブの件を聞くと、実際にかなりの苦情が来ているが、誰もアップデートできないという…。にも関わらず、イミグレーションの申請手続きは毎年変更が行われており、いつも混乱が生じている。

マレーシアでは、不法滞在外国人労働者の救済措置として、昨年8月から6Pプログラムを行ってきた。しかし、いつまで経っても不法滞在外国人労働者の登録が完了せず、延長を繰り返している。直近での最終期限は2月15日となっていたが、まだおおよそ30万人が登録できていない状況であるとされていた。そして現在、期限は更に4月10日へ延長されている。不法滞在外国人労働者側の対応にも問題があると思うが、同時にイミグレーションスタッフの処理にも改善すべき点が多々あるのだろうと想像する。

せめて、ICT先進国を目指す国なのだから、オフィシャルウェブの情報だけは誰もが信頼できるように最新の内容にして欲しい。

マレーシアのCOST of vehicle ownership

2月15日、MAI: Malaysia Automotive Institute より、アセアン各国の自動車保有コストに関する分析を行った『COST OF VEHICLE OWNERSHIP IN MALAYSIA AMONG MOST COMPETITIVE IN ASEAN』という記事がリリースされていた。この自動車保有コストは、車輌本体の価格だけでなく、登録料や保険料、道路税、燃料費などの維持費用も含んだ価格だという。そして調査によると、域内で最も保有コストが安価であったのはフィリピンで、マレーシアがそれに続くといった結果に。

ただ、MAIのウェブやニュースサイトにあまり詳しい情報は掲載されていない。色々と見ていると、Ministry of International Trade and Industry Malaysiaのブログに詳しい情報が掲載されていた(COST OF VEHICLE OWNERSHIP IN MALAYSIA IS STILL AMONG THE MOST COMPETITIVE IN ASEAN)

まず車体価格については、シンガポール以外の国との比較において、マレーシアで販売されている車輌は割高であるとの結果が出ている。調査では平均販売価格で比較し、1500ccと1800cc、2000cc以上のセグメント分けられ、いずれも日本の自動車が比較に使用されている。ただ、一部車種ではインドネシアとベトナムがマレーシアの販売価格を上回る結果が出ている。とは言え、アセアン域内では一様に自動車販売価格が高いような印象がある。


[ASEAN諸国における自動車販売価格比較(対マレーシア)]
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例えばアコード2.4の場合、マレーシアでの販売価格はおおよそRM167,000(諸費用別)。これが米国だと、US$25,000ぐらいの価格で販売されている。マレーシア通貨に換算すると、約RM 76,000。車輌仕様が違うし、価格構成も異なるので純粋な比較にはならないと思うが、それでも両国間での販売価格には大きな差を認めることができる。マレーシアでRM 76,000の自動車となると、Toyota Vios 1.5JやProton Exora Bold 1.6が似たような価格で販売されている。参考までに、日本だとアコードインスパイアー3.5の最上級モデルが4,100,000円(諸費用別、RM 160,000)となっている。

次に維持管理費については、マレーシアはかなり割安との結果が出ている。中でも燃料費については、マレーシアは政府補助金があるため、域内において最も安価となっている。ただ、この価格差によって、タイやシンガポールから入国する自動車が不正にマレーシアからガソリンを持ち出すという問題も発生しているが。調査では、5年間で週に1回燃料を入れた場合で計算されているらしい。


[ASEAN諸国維持費用比較]
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そして総合的に判断すると、マレーシアの自動車保有コストはフィリピンに次ぐ安さにあり、燃料補助金を考慮した場合では、タイとの比較では39%、インドネシアと比べて12%も割安であるとまとめられている。

国内において、マレーシアは国民車の保護政策のによって、海外メーカーの自動車には高い関税が掛けられている。国民はこの不当な価格差を理解しているが、MAIはトータルで見るとマレーシアは域内では安価なカテゴリーに位置することを、今回の発表で示している。

それでも、日本人の感覚だとやはりマレーシアの自動車販売価格はかなり割高だし、どうしても日本国内の価格と比較してしまう。国民車の保護が続く限り、この状況は変わらないのだろう。

マレーシア人のスマートフォン利用

2月12日、ローカル紙The Starが『Hooked on Smartphones』というスマートフォン利用傾向に関する世論調査を実施したとの記事が出ていた。参加したのは1,336人で、70%が男性、そして75%が21歳から40歳という年齢層。調査報告書という形でリリースされていはいないが、回答内容をまとめた結果は以下の通り。

•約86%が、スマートフォンでe-mailやツイート、Facebookをチェックしている。

•約71%は、スマートフォンで最新ニュースをチェックし、56%はゲームを楽しんでいる。

•上記理由から、回答者の半数は1日に6~20回はスマートフォンを使用し、24%は1日に20回以上使用している。

•55%の回答者は、1回当たりの使用時間は15分以下であり、15%以上は30分以上を費やしている。

•65%の回答者は、会議中や誰かとの食事中にも、スマートフォンを使用。

•59%の回答者は、自動車を運転している時にスマートフォンを使用したことがある。

このような結果が得られたこともあり、紙面のタイトルは『60% in poll say they can’t live without their phones(60%はスマートフォンなしでは生きられない)』。いまのマレーシアの携帯電話事情を見ると、本当にスマートフォンを頻繁に利用している人が多い。出先でもPCと同じことができ、且つ自宅に帰ってもPCを立ち上げる手間が不要なことなどが理由としてあるのだろう。公共施設やレストラン、カフェなども無料でWiFi環境を提供しているので、それも影響しているように感じる。

私自身もだが、オフィスビルのたばこ休憩所やレストランなどで、多くの人がスマートフォンの画面に目を落としている光景をよく見かける。あと、日本のようにレストランからFacebookに料理の写真を投稿する人も増えている。

これに関連し、昨年、Googleが実施した『Mobile Consumer Evolution』においても、マレーシアのスマートフォン市場が熱気を帯びていることが紹介されていたが、この傾向はまだ高まっていくだろう。特に若年層では、PCは持たなくともスマートフォンは必須アイテムとなっており、依存度はかなり高いと思う。





マレーシア、2011年第4四半期のGDP

2月15日、マレーシア中央銀行は2011年第4四半期のGDP成長率を発表(Economic and Financial Developments in the Malaysian Economy in the Fourth Quarter of 2011)

まず、第4四半期全体の経済成長率は前年比5.2%となり、業界の予想より高い数字を記録。これにより、2011年通年の経済成長率は前年比5.1%となった。ここ最近の経済成長推移を見ても、概ね5%前後で推移しており、安定した経済成長を示している。


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第4四半期は先進諸国の景気鈍化や欧州経済危機の影響が懸念されていたが、好調な国内需要がマレーシア経済を下支えしたことで、堅調な結果を記録したと言う。中央銀行曰く、一般家庭消費やビジネス消費、そして公共セクター支出の継続的な拡大により、内需は10.5%拡大している。また、好調な所得の伸びによって民間消費は7.1%、公共支出は23.6%の伸びを記録した。また、第4四半期中の中央政府による開発支出は、主に交通、貿易、そして産業セクターであった。

次に分野別では、鉱業・鉱石以外は5.2%から6.9%の成長率を記録。特に、農業が6.9%と高い成長率となり、建設とサービスが6.4%、製造は5.2%であった。鉱業・鉱石は唯一マイナス成長であったが、第3四半期にから引き続き改善傾向にある。


[マレーシア経済成長率分野別推移]
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あと、マレーシアの経済成長に関連して、14日には首相府のTan Sri Nor Mohamed Yakcop大臣が、マレーシアの一人当たり国民所得はUS$ 9,000(RM 28,000)に達したことを発表している。1970年にはUS$ 376(RM 1,159)だったので、工業化以降のマレーシア経済の力強さを認識することができる。次は、2020年にUS$ 15,000を達成することが目標となっている。

現在、マレーシア国内では、ETP: Economic Transformation Programmeなどの政策を通じて、2020年の先進国入りを目指している。インフラ整備やビジネス開拓などの大型案件が進んでいるが、同時に人材開発にも力を入れている。マレーシアは工業化の推進により、製造業において競争力を発揮してきたが、労働者コストは周辺諸国よりも割高感が出てきている。労働者コストを下げることはできないし、今後のグローバル市場での競争において、マレーシアは労働者スキルの底上げを行う必要があるだろう。そうした意味において、一人当たり国民所得でUS$ 15,000を達成するには、国内の人材育成が最重要課題であるように感じる。

MCMC、携帯電話調査報告書をリリース

2月9日、MCMC: Malaysian Communications and Multimedia Commissionのウェブサイトにて、携帯電話利用者に関する調査報告書『Hand Phone Users Survey 2010』が公開されていた。2011年ではなく、2010年の調査報告書…。マレーシアにおいても、携帯電話は最も変化の激しい市場の一つであり、市場トレンドやユーザーの利用傾向は目まぐるしく変わっているのだが。

一応、同日に『Household Use Of ICT Survey 2012 and Hand Phone Users Survey 2012』という告知が出ており、2月11日~3月31日までの間にICT及び携帯電話関連の調査を行うことが発表されていた。こちらは、早い時期に情報公開が行われることを期待したい。

とは言え、調査内容そのものは結構興味深い情報が満載されている。調査は2010年9月に実施されており、当時の総人口は28,326,500人、携帯電話契約者数は33,250,177人、携帯電話の普及率で100%超となっている。

まずマレーシア人と非マレーシア人で携帯電話所有者の比率では、年々、非マレーシア人の割合が拡大している傾向にある。確かに、外国人労働者が急速に増えていることからも、この傾向は納得できる。多分、マレーシアは今後も単純労働においては益々外国人労働者に依存していくことになるであろうし、この傾向は当面続くと思われる。


[マレーシア人と非マレーシア人の携帯電話所有比率]
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年齢別では、20~24歳が全体の17%を占有しており、25~29歳(15.7%)、30~34歳(13.3%)がそれに続いている。やはり、若い世代が高い比率となっている。


[年齢別携帯電話所有比率]
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また複数台持ちについての調査では、1台持ちが71.5%、2台持ち23.9%となっており、以降は大きく数字が下がる。私の周りでも、複数台携帯電話を持ち歩いている人はあまり見かけない。


[携帯電話複数台持ち]
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次に利用する携帯電話の機能については、当時はカレンダーや計算機、アラーム機能などが高い数字を示しており、逆にインターネット利用は28.2%でしかない。当時はスマートフォンがまだそれ程普及していなかったこともあり、こうした結果になっているのだろう。昨年や今年であれば、利用する携帯機能は大きく変化しているだろうし、特にインターネット利用の比率が高くなっていると思われる。


[利用する携帯電話の機能]
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携帯電話でのSNS利用については、82.4%が利用したことがあると回答している。中でも、Facebookが断トツの数字を示しており、マレーシア国内での高い人気を誇っている。今現在も、Facebookは最も利用されているSNSであり、Twitterが続く構図に変化はないだろう。


[携帯電話でのSNS利用経験]
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[携帯電話で利用するSNS]
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m-commerceについては、回答者の60.1%がそれを知らず、認知度はあまり高くない。更に利用については、m-commerceを知っている人の内、僅か8.8%しかいない。利用内容についても、携帯電話のプリペイド支払い、請求書の支払いがほとんどという状況。しかしいま現在は、スマートフォンの普及が急速に進んだこともあり、App StoreやAndroid Marketの利用などを通じたm-commerceが大きく増加していると思われる。


[m-commerceをご存知ですか?]
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[m-commerceを利用したことがありますか?]
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[m-commerce利用内容]
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またスマートフォン所有については、携帯電話所有者の中で14%しかいない。調査当時はちょうどiPhone4がマレーシアでも販売開始された時期だが、当時はまだ低廉モデルがリリースされていなかったと思う。スマートフォンは概ねRM 1,000以上の価格であったし、また中古市場にスマートフォンがあまり流通していなかったなどの背景を挙げることができる。それが今では、スマートフォンが当たり前となっているし、学生達もスマートフォンを利用している。


[スマートフォン所有]
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最後に携帯電話の紛失や盗難についてだが、経験ありが28%にも上っている。この数字、いまはもっと高くなっていると思う。新聞でも、外国人による携帯電話盗難にまつわる話がよく掲載されているし、私の周りでも数人が被害に遭っている。


[紛失、盗難被害の経験]
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以上のように、調査項目は興味深いものが多々あるが、残念ながら情報が古く、現有市場を把握することには使用できそうにない。MCMCは、これ以外にも色々と興味深い市場調査を行っているが、あまり報告書として一般にリリースされないし、リリースされても、今回のように時間が経過していることが良く見られる。せっかく調査しているのだから、もとタイムリーに情報を公開してくれれば嬉しいし、関連産業の発展にも寄与できると考えるが。

ノースダコタ州立大学、アンテナレス金属タグ開発

2月2日、ノースダコタ州立大学から『Antennaless RFID Tags Developed at NDSU Solve Problem of Tracking Metal and Liquids』というタイトルで面白い技術が発表されていた。開発したのはCenter for Nanoscale Science and Engineeringのリサーチチームで、アンテナレスRFIDタグで金属や液体のトラッキングを改善できるというものらしい。例えば、油を充填した金属性貨物コンテナやコーヒー缶のトラッキングなどで効果が発揮されるという。

タグはEPC C1 Gen2に準拠しており、厚さは3mm以下で一般的な金属タグよりも薄い。最大の特徴は、タグを直接金属に貼り付けたり埋め込んだりすることで、貼り付け対象物がアンテナの役割を果たすと言うこと。アンテナを形成する必要がないので、安価に製品トラッキングソリューションを構築できるとしている。ただ、どれだけの通信距離が得られるのか、どのような通信特性なりかなど、ニュース記事で詳細は明らかにされていない。


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適用例として、プレスリリースページには金属ボタルにタグが取り付けられた写真が出ている。これだけを見ると、polymer strapと対象物の金属を銅箔で接続し、間に絶縁層を設けているという構成。


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UHFタグの場合、インレイ用アンテナのデザインにおいて数ミリ単位で長さを調整したり、ミアンダラインのギザギザの回数を調整したりと、結構シビアな調整が必要だったように記憶している。このタグだと、貼り付け対象物の材質や塗料、或いは金属部の大きさによって通信特性に有意差が生じないのだろうか?

あと、フランスのモンペリエ大学からも面白い技術がリリースされていた。ニュース記事によると、熱蒸着のプロセスを使い、アルミのコイルアンテナを紙の上に被覆できるという内容。これにより、印刷済用紙やチラシといった媒体へもRFIDが適用できるとしている。


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両技術ともまだ技術確立ができた段階であり、商品化にはまだ時間を要するものの、今後が楽しみな内容。特に、アンテナレスタグは個人的にも色々と検証してみたい。

SITA、NFCを利用したチェックインシステムを紹介

1月23日、SITAのウェブページに『AIRLINES AND AIRPORTS STEP A LITTLE CLOSER TO NEAR FIELD COMMUNICATIONS』というタイトルでプレスリリースが発表されていた。これに関連し、NFC Worldでも関連記事がいくつか掲載されていた。

記事によると、SITAの年次報告書『AIRPORT IT TRENDS SURVEY 2011』において、世界の上位50空港の内、約8割が3年以内にNFCサービスを提供する計画であることが示された。更に、2014年までに24%の空港での導入が期待されているという。ただ、SITAによると、設備投資前に航空会社が標準内容に合意することを待つことになるだろうとしている。SITA LabのエンジニアリーダーO'Sullivan氏も、相互運用可能な標準が、NFCの成功と普及の鍵になるとまとめている。また、同氏はモバイルボーディングパスの導入を、2011年の3%からNFCによって2018年には50~80%へ押し上げられるだろうと予想している。

これに伴い、SITAはOrange Business Servicesと共に、NFCスマートフォンを使用した「tap and check-in」、及び「tap and board」というデモンストレーションをジュネーブのオフィスに設置。



デモ動画


システム構成そのものはそれ程難しいものではなく、NFC携帯を使った高度な空港版アクセスコントロールといった感じ。ただ、世界中の空港とシームレスな運用ができること、そして既存の空港システムと連動しなければならないので、それを履行できる企業となるとSITAなどある程度絞り込まれてしまう。

また、多くの空港がNFC対応を進めることを計画しているようだが、技術的にもクリアーすべき点はまだ多々あるだろう。Google Walletにおいても、実運用後にセキュリティー性に関する問題がいくつか報告されており、まだ完成度が高いとはいえない部分が残っている。





いずれにしても、NFC技術によって、ほとんどの搭乗者手続きが携帯電話だけで完了する世界が近づいていることを感じさせられた。これまで煩雑であった手続きはNFC携帯をタッチするだけでスムーズに完了でき、空港内の各種サービスもNFC携帯で利用可能といったイメージなのだろう。ただ裏を返せば、全てが携帯電話という端末に一極集中されることを意味するので、怖い面も持ち合わせている。

あと先月のニュースにおいて、2012年夏からKDDIと日本航空により、NFC対応端末向け搭乗手続きの自動化サービスが始まる予定とあったが、標準化対応がとうなるのか注目したい。

カザナ、プロトン株をDRBハイコムへ売却

少し古いが、1月16日に国営投資会社Khazanah Nasionalが保有するProton Holdingsの株式42.7%を、コングロマリット企業のDRB-HICOMへ売却することが発表された。 売却価格は1株RM 5.50、売却額はRM12.9億、これにより、DRB-HICOMがProton Holdingsの筆頭株主になる。

Proposed Acquisition By DRB-Hicom Berhad Of 42.74% Of The Issued & Paid Up Capital Of PROTON From Khazanah Nasional Berhad

Khazanah divests stake in PROTON to DRB-HICOM

マレーシア政府はGLC企業の見直しを行っており、昨年にはKhazanah Nasional が保有するPOSマレーシアの株式32%がDRB-HICOMへ売却されている。今回の売却も、Protonの民営化を進めることで、近い将来に実施されるであろう自動車産業の自由化において、Protonの競争力を高めることが狙いだと言われている。

とは言え、元々ProtonはHICOMが70%、三菱自動車工業が15%、三菱商事が15%を出資して設立された会社である。それが、1997年のアジア通貨危機の影響でDRB-HICOMの経営が大きく落ち込み、2000年3月に DRB-HICOMの保有する株式がPETRONASへ売却されている。その後紆余曲折があり、Khazanah NasionalがPETRONASと三菱自動車工業、三菱商事の保有するProton株を引き受ける格好となっていた。三菱自動車も再び技術提携しているので、結局は元の体制に戻った印象がしないでもない。それでも、新聞各紙を読むと、今回の売却は期待の目で見られている。

私自身、DRB-HICOMと言えば自動車業界ではトラックを製造しているイメージしかないが、自動車業界においてどれだけの影響力を持っているのだろうか…。DRB-HICOMグループのKhamil Jamil社長は、プロトン車の海外輸出拡大によるブランド力強化、更にハイブリッド車や電気自動車などを主要フォーカスエリアとし、環境技術へ注力する方向性を示している。そのためにも、海外メーカーとの戦略的提携を行う計画のようだ。以前、Protonの再建を巡っては、複数の外国メーカーとの提携交渉が何度が行われたが、マレーシア政府が部品の現地調達率に固執したため、交渉が決裂したと言われている。今回Khazanah Nasionalの影響力が及ばなくなったことで、変化が生じるのだろうか?

ただ、Proton自動車の最大の問題は、国の保護政策の影響もあり、現地サプライヤーを含めてモノづくりに対する意識が低いように感じる。J.D. Powerの調査報告にもあるが、他のメーカーと比較しても不具合の発生頻度は高く、顧客満足度も国内最下位が定位置となっている。

あと、2月8日にMalaysia Automotive Instituteより、「New auto industry roadmap」というマレーシア国内の自動車産業発展のための開発計画が作成されていることが発表されている。計画書では、自動車製造からアフターセールスサービスまでを網羅した内容となるらしい。ここでも、IT技術と共に環境技術の採用が最重要視されており、マレーシアの自動車産業が提携を通じて技術開発を促進する必要があるとしている。その中では、マレーシア独自の技術開発を推し進める上で、外国直接投資と国内投資の必要性、そして産学協同による人材育成継続が必要だと。私自身は、人材育成によるモノづくりに対する姿勢が改善されない限り、なかなかマレーシアの自動車産業は発展しないと思う。また、最近は大卒者などが製造業で働くことを敬遠する状況にあり、今後の競争力の低下が懸念される。


American Apparel、全店へのRFID導入を発表

2月8日のRFUD Journalに、American ApparelがアイテムレベルでのRFID導入を全店280店舗で実施するという記事が掲載されていた。American ApparelのRFIDシステムはかなり以前から展開されており、システム構成や導入効果などは結構参考となっていた。下記動画は、RFIDタグを導入しているAvery Denninsonが公開しているものだが、RFID導入による高い効果や使いやすさが簡潔にまとめられている。





記事によると、これまで100店舗での導入を終えており、今月中に更に30店舗、そして今年中に全世界の全ての店舗での導入完了を計画していると言う。今回の記事ではRFIDサプライヤーも紹介されており、かなり細かい内容となっている。まずハンドヘルドR/Wは、Nordic ID社とMotorola社の製品が、固定型R/WはMotorola社とAlien Technology社の製品が使用されている。固定型R/Wの設置場所としては、商品受取エリア、販売フロアーへ運ばれる商品を認識するエリア、そしてPOSへ設置される。ただ、POSについては店舗の環境によっては不要とされる場合もあるとのこと。

またタグについて、これまでAvery Denninson社1社が供給していたはずだが、今回韓国のLS Industrial Systems社の名前が出ている。そしてソフトウェアは、Xterprise 社のXterprise Clarity Advanced Retail System(ARS)が採用されているとのこと。このARSでは、商品の出荷と受取、移動の検証、在庫管理、ハンドヘルドR/Wでの商品検索、フルフィルメントリスト作成、POS機能の統合が提供されている。

American Apparel技術担当副社長のStacey Shulman氏によると、棚卸精度の向上や紛失発生率の減少が証明されているという。実際、店舗内における紛失については、RFID導によって75%も減少した店舗があり、全平均でも55%という数字が出ている。店舗内の商品紛失については、従業員による盗難、受け取りミスなどのヒューマンエラーによって生じるものが含まれており、システム全体で商品の可視化によるリスク低減が提供されている。また、RFID導入によって在庫率は99%に達しており、在庫切れが減少する効果が得られている。

Stacey Shulman氏は、今後試着室へのRFIDシステム導入により、どの商品が試着室に持ち込まれ、どれだけの時間が費やされているのかを把握することにも使いたいとしている。

RFID関連では、久しぶりに大きなニュースであり、全店導入によるシナジー効果が期待できるだろう。より大きな効果を見出せれば、業界内においても導入が加速するのではないかと思う。

対してマレーシアのアパレル関連においては、RFID技術の導入は進んでおらず、多くの店舗が安価な盗難防止タグに依存している状況にある。しかし、「Global retail theft barometer 2009」によると、マレーシア国内の小売業の被害割合は年間RM9.6億にも達しており、アジア域内ではインドとタイに次ぐ被害規模となっている。被害額の49.3%が買物客によるもので、23.5%が従業員となっている。これに対して、企業のセキュリティシステム支出はRM1億1,160万しかない。また、アジア域内で最も万引き被害にあっている商品はアパレルとアクセサリーであり、かなり深刻な状況といえるだろう。

更に、 Centre for Retail Researchが昨年末に発表した小売業における窃盗被害調査報告によると、マレーシア国内の損失額は年間売上高の1.62%にも達し、US$ 2億7,100万 にものぼっている。これは世界43カ国・地域中で9位という位置づけ。損失額の内訳としては、買物客による窃盗が43.2%、従業員による窃盗(35.0%)、会計ミス(16.2%)、納入業者による不正(5.6%)となっている。

これだけマレーシア国内の被害状況深刻なだけに、私の会社へもRFID導入について問合せが来るし、American Apprelの事例も交えて客先へ提案やデモンストレーションも実施している。ハードウェア機器も安価になっていることから、費用対効果も見出せるようになってきている。しかし、最終的にはなかなか導入のGOサインが出るには至らない。結局は、倉庫にフルタイムの従業員を配置し、商品の出入りを手作業で監視するなどの方法を採用している。しかし、この方法も最初の頃は効果を上げるが、時間が経過すると内部で結託されてしまい、元の状況に戻ってしまう。

RFIDは商品の窃盗において完璧な技術ではないが、商品のサプライチェーンや移動を可視化することで、不正行為の発生を防止することができるし、実際American Apparelでその効果が実証されている。また、不正行為が発生しても、個々の商品の移動がRFIDシステムによって記録されているから、効果的な不正行為の分析が行え、システムの最適化を図ることもできる。

それでも、マレーシアでは国内で高い効果を記録した導入事例が出ない限り、なかなか業界内でRFID導入は進んでいかないだろうと感じる。

マレーシアの接客サービス品質

昨日から、Facebook上でKFCで店員と客がもみ合う動画が頻繁に投稿されている。コメントや解説を読んでいても、色々と情報が錯綜したり尾ひれがついていそうだが…。何が起こったかと言えば、客が注文をして1時間待っても食べ物が出てこず、苛立った客が店のマネージャーに謝罪を要求したところ、カウンターから店員が出てきて喧嘩に発展したらしい。





マレーシアでは、KFCやマクドナルドなどのファーストフード店は、屋台やフードコート、エコノミーライスより少し贅沢なレストランというイメージがある。ただ、サービス品質はかり貧弱であり、ローカルの客でさえよく苛々している光景を目にする。

ファーストフードと謳いながら、注文で長蛇の列…。注文しても中々食べ物は出てこないし、注文と違っていたり、横柄な態度で接する店員がいたりと、評判はあまり芳しくないと思う。その中でも、QSR Brands Bhdが運営するKFCとPizza Hutは客からの苦情がかなり多いと聞いている。私自身、たまにファーストフード店を利用するが、この2つは他のファーストフード店よりカスタマーサービスの質において劣っていると感じる(カスタマーサービスの良い店舗も当然ある)。以前、家族と行ったKFCでは、注文してから45分待たされた経験がある。別に店は混雑していなかったし、幾度が店員に尋ねても「On the way」としか返答しない…。待ちきれないので最後には注文をキャンセルしたが、別に店員は悪びれる様子もなく…。

KFCに関しては、今回の不祥事が初めてのことではない。昨年は、2つのビデオがYouTubeにアップされ、大きな波紋を呼んだ経緯がある。一つは厨房の油を雑巾でふき取り、それを揚油に戻した行為。もう一つは、揚げる前のチキンを靴の裏で叩き、油に投入したというもの。







Facebookによってこれら動画は瞬時に広がり、事態が深刻化、最終的にKFCは社内調査を実施し、役員が再発防止説明と謝罪を行うことになった。





KFCは国内に500店舗以上を抱える規模であり、国内のどこでも目にすることができる。これだけの規模となると、やはり社内教育の徹底が重要だろうし、いまのサービス品質は改善すべきと思う。
ただ、今回の事件は客が中国系で店員がマレー系だったこともあり、Facebook上では民族間の言い争いにも発展している。『マレーシアはマレー人の土地であり、中国系は中国へ帰れ』などといった過激な発言も目にする。

(この手の動画は削除される可能性がありますので、その際はご了承願います)

2月9日追記
KFCの暴力事件について、被害者と弁護士が記者会見を開催。




持続可能な未来へ - ピーター センゲ著


持続可能な未来へ持続可能な未来へ
(2010/02/23)
ピーター センゲ、ブライアン スミス 他

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ピーター センゲ氏と言えば、「最強組織の法則」が私の中では強い印象として残っており、組織体系について考えさせられた記憶がある。その著者が、持続可能性を取り扱ったということで、期待して本書を手に取った。

本書では、組織としていかにして持続可能な社会を形成していくのか、コカ・コーラ社やアルコア社など実際の企業の取り組みが事例として紹介されている。また、企業内の関係部署だけでなく、競合や下請けなども巻き込み、どのようにして意識改革やイノベーションを喚起するのかなどをマトリクスを用いて説明されている。

他にも本書ではウォルマートが紹介されていたが、同社は2008年に取り扱い製品の多くについては、3年以内にエネルギー効率を25%高めると発表、サプライチェーン全体に望ましい波及効果を及ぼしているとされている。同社は、2006年からサプライヤーに対してRFIDタグの導入を義務付け、SCMの最適化を主導してきている。こうした取り組みも、エネルギー効率の改善に寄与しているだろう。

ここマレーシアでは、工業化時代のロジックが支配的なこともあり、企業活動において持続可能性が考慮されている事例はあまり耳にしない。政府においてはCO2排出量などにおいて目標値を示しているが、国民の認知度はかなり低いと思うし、持続可能性がインセンティブとして働くには至っていない。

あと、特に印象に残ったのが、ウィリアム・マグダナーとマイケル・ブラウンガードの言葉の引用。『南へと走るクルマが速度を落としても、北へ向かうわけではない。北へ向かうには、遅かれ早かれ180度の方向転換をしなくてはならない。速度を落とすのは大切な第一歩かもしれないが、抜本的な変革を保証するものではない。求められているのは抜本的な変革であり、いくら「消極的な対処」をしたところで善行にはつながらないのだ。』


マレーシアのオンライン広告事情

2月2日のローカル紙『The Star』に、国内の広告事情に関する記事が紹介されていた。調査はニールセンマレーシアが実施しているようだが、同社サイトでは情報が公開されていない…。

記事によると、2011年における広告支出はRM 107億6,000万であり、2010年から11.9%拡大しているとのこと。
媒体別のシェアを見ていくと、新聞が40.5%と広告費の大部分を占有している。以降は無料地上波、そして有料テレビが続いており、旧来の媒体が強みを見せている。確かに、週末の新聞になると凄い数の広告が目につく。特に、中国語の新聞は広告ページが多かったように記憶している。

逆に、インターネットへの広告費は0.6%とかなり低い数字。成長率だけをみると、インターネットは有料テレビに次ぐ22.1%という数字だが、それでも広告費全体に占める割合はかなり小さい。


[Ad media spending]
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(Note)
As spending figures are based on published rate cards except for outdoor, which is based on actual spending.
Pay TV spending is based on 12 channels.
Internet data is based on website spending from Yahoo, MSN, Fobes, Utusan, Sin Chew and The Star sites.


[2012年の広告支出]
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これに関連して、Google MalaysiaのSajith Sivanandan氏が、GoogleとMcKinseyの調査報告書『Online and Upcoming』のリリースの際、マレーシア国内のオンライン広告について述べている。記事によると、マレーシア企業は広告予算の1%しか、オンラインなどのデジタイル媒体へ割り当てていないことが指摘されている。同氏によると、発展途上国におけるオンライン広告への予算割り当てはまだ低いようで、逆に英国はデジタル媒体に25~30%の予算を割り当てているという。

この状況を改善するための取り組みの一つとして、MCMC(通信マルチメディア委員会)とGoogle Malaysiaは、「Get Malaysian Business Online」というプログラムを展開しており、オンラインエコシステムの開発支援している。





ただ、ICT産業を積極的に推進しようとしている国にあって、インターネットを活用した企業広告やプロモーションよりも、旧来の媒体に重点が置かれている状況は寂しいかもしれない。逆に、消費者の側は新聞やテレビよりも、facebookなどのSNSに費やす時間が長くなっている。この状況を考えれば、近い将来、インターネット広告への比重は高まっていくだろう。

マッキンゼー、Online and upcomingを発表

1月31日、コンサルティング大手のマッキンゼーより、世界主要国のインターネット事情についての調査報告書、『Online and upcoming: The Internet's impact on aspiring countries』がリリースされた。調査対象は22カ国とちっょと少ないが、内容そのものは興味深い。

マレーシアの評価内容を見ていくと、「小売業におけるオンラインシェア(4.4%)」と「GDPへのインターネット寄与率」、「グローバルなつながり」が第一四分位と高い結果が得られている。小売業におけるオンラインシェアについては、マレーシア国内にオンラインショップサイトが少ないこともあり、ちょっと意外な印象がある。多分、エアーアジアや国内ホテル予約などのサービスが市場を牽引しているためなのだろう。ただ、旅行業界以外の国内コンテンツはまだ貧弱であり、改善の余地を感じる。

「GDPへのインターネット寄与率」では、台湾とマレーシアが先進諸国と同様のレベルにあり、ICT製品やサービスの輸出が大きいことが特徴として挙げられている。マレーシアのインターネットへのGDPへの寄与率は4.1%で、金額ではRM 300億に達するとされている。

「グローバルなつながり」については、やはり多民族国家で多言語を使用する国ということもあり、調査対象国内で最も評価が高い結果となっている。私自身、会社のウェブページを管理しているが、仕事の問合せがウェブ経由で世界中から寄せられ、それを実感することができている。

逆に、インターネット環境に関しては報告書では厳しい状況であることが示されている。唯一、スマートフォンの普及などによってモバイルブロードバンド契約が高い数字となっているが、そのほかは寂しい数字といえる。特に、以前から問題視されていたデータ費用については、調査対象国の中でも最も高額であるとの結果である。マレーシア国内に高速インターネット環境は整備されているのだから、コストが改善されればマレーシアのブロードバンド普及率は急速に向上すると思う。以前、政府においても、料金体系に関わる規制緩和を進めると言っていたが、まだ実際のアクションには至っていない様子。この部分に改善が見られなければ、インターネット利用者数は頭打ちするであろうし、何よりコスト性から貧弱な通信環境しか利用できなければ、コンテンツ産業の成長も見込めなくなってしまうだろう。

新聞にMCMCのMohamed Sharil Tarmizi会長によるコメントが掲載されていたが、その中でマレーシアの2012年1月時点でのブロードバンド世帯普及率が62.3%であることが示されていた。2010年末で55.6%であったから、その普及速度は鈍化しているように感じる。

現在、マレーシアは経済改革プログラムの下でContent and Infrastructure (CCI)イニシアチブを展開、one million 1Malaysia Netbooks Programmeなどによって情報格差の縮小を狙っている。例えば、「Kampung Tanpa Wayar 1Malaysia (KTW)イニシアチブ」では、4,000の村にWiFiが整備される予定となっており、既に1,400の村で完了しているという。

ただ、それでも注力すべきはインターネット接続料金体系の見直しであり、国民が安価に高速通信を享受できる環境整備が必要と思われるが。


[Internet landscape and impact statistics]
McKinsey_2012_01.png

[Internet foundations statistics]
McKinsey_2012_02.png


Environmental Performance Index、マレーシアは25位

1月26日、World Economic Forum Davosにて、エール大とコロンビア大の共同研究チームが「2012 Environmental Performance Index」を発表(プレスリリース記事:World Economic Forum Davos 2012: India at 125th position in Environmental Performance Index)。調査対象は132カ国・地域であり、環境衛生や生態系について評価されている。





まず総合順位では、スイスが世界第1位となり、ラトビア、ノルウェーがそれに続いている。世界地図でEnvironmental Performance Indexの分布を眺めると、全体的に欧州が高評価となっていることが分かる。


EPI2012_map.png


アジア域内においては、日本の23位が最上位となっており、次いでマレーシア25位、台湾29位となっている。日本は2008年から大きな変動はないが、他のアジア諸国は2010年の評価から大きく順位が改善している。特に、韓国は94位から43位へ、そしてインドネシアは134位から74位へと大きく改善されている。カテゴリー別では、日本とマレーシア、台湾、タイ、フィリピン、韓国が「Strong performance」とされ、強さを見せている。


[アジア主要国のEPIランキング推移]
EPI2012_01.png


次にマレーシアの個別の評価結果についてだが、「屋内汚染物質」や「飲用水」、「農業補助金」、「生物群系保護」で世界1位と評価されており、結構たかい評価の項目を見ることができる。逆に、CO2排出量と森林に関する評価は低評価となっている。

CO2に関しては、ナジブ首相がCOP15において、2020年までに2005年比でCO2を40%削減すると発表している。現在、プトラジャヤでエアコン温度設定などいくつかの環境政策が展開されているが、全国民を巻き込んだ展開には至っていない。ただ、環境性能がビジネス上でインセンティブとして働く状況になりつつあり、企業レベルではCO2削減に向けた取り組みが行われている。

そして、マレーシアは熱帯雨林に覆われた自然豊かな国であるが、急速な都市開発や農地拡張、パームプランテーションの拡大などにより、多くの自然が失われている状況にある。また、不法伐採による森林減少も、国内では大きな問題となっている。Transparency International-Malaysiaによると、不法伐採による損失額は年間RM900万にも達しているとされており、国としての対応も求められている。


[マレーシアのEPI 2012詳細]
EPI2012_02.png


今回マレーシアの調査を担当したUniversiti Teknologi MalaysiaのDr Zaini Ujangは、現在目指している目標は15位以内に入ることで、早ければ2014年の世界経済フォームには達成できるだろうとしている。


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