マレーシア、1日当たり150台の自動車が盗難被害

ここ最近、マレーシアの自動車事情について興味深いニュースがいくつか報道されていた。まずマレーシアの自動車市場について、Kong Cho Ha運輸大臣は2011年の新車登録台数が1,211,199台となり、2010年の1,158,072台から4.66%伸びたことを発表。内訳としては、自動車が49.06%で594,610台、オートバイが44.74%で542,308台であった。ただ、2009年から2010年での伸び率が9.17%であったことから、伸び率は低調であったことが示されている。また、国内登録車両総台数については、2010年12月31日では20,188,072台であったが、2011年12月31日には21,401,269台へと増加している。

首都圏においては、ここ数年で自動車の台数が急速に増えてきていることを実感できる。例えば、マレーシアのライセンスプレートはアルファベットを昇順することで管理しているが、KLの昇順速度はここ最近でかなり速まっている。また、朝夕の通勤時間帯の交通渋滞は年々凄まじくなってきており、駐車場も十分ではないためか、多くの違法駐車よく目にする。

あと、1990年代前半だと自動車の多くは国産車であったし、輸入車もかなり古い型が多かったように記憶している。しかし、今ではその様相は大きく変化しており、海外メーカーの綺麗な新車が増え、自動車市場が成熟化してきている印象がある。

こうした自動車市場の成長に伴い、シンジケートによる自動車盗難事件が増加していることがThe Starで指摘されていた。同紙の記事によると、1日平均で150台もの車両が盗難の被害に遭っており、特にプロトンとプロドゥアの車両が上位を占めているという。また、被害に遭うのは新車ばかりではなく、古い車両も解体して部品として流通することができることから、高い需要を有している。盗難被害の多い車両の車種は、以下の通りとなっている。

1. プロトン・Wira
2. プロトン・Saga
3. プロトン・Iswara
4. プロドゥア・Myvi
5. トヨタ・ハイラックス
6. トヨタ・フォーチュナー
7. トヨタ・アルファード
8. トヨタ・カムリ
9. ホンダ・シビック
10. ホンダ・シティ

第1位のWiraは既に新車販売されていない古い車種だが、いまだ国内に相当の台数が現役で走っていることから、部品としての価値はかなり高い。国産車に続いては、日本メーカーのトヨタ車とホンダ車も多くの被害を受けている。中でも四輪駆動車については、建築現場や中東諸国での強い需要があるとのことから、被害件数が多くなっている。Vehicle Theft Reduction Council of Malaysia Bhdによると、トヨタ・ハイラックスとホンダ・シビックは「ハイリスク」と位置づけられている。

窃盗犯はハイテク機器を駆使しており、アラームや他のセキュリティー機能の解除に要する時間は、平均7分だという。また、シンジケートによる組織が細分化していることもあり、警察も中々検挙できていない状況ある。最近新聞でよく目にする手口は、ドライバーがエンジンをかけたまま車から離れた隙に盗んでしまうというもの。窃盗犯はバックセンサーに紙を貼り付けたりするなどして、ドライバーが不用意に自動車から離れる状況を作り出している。

次に盗難車両数を見ていくと、2010年には5万7,462台が盗難の被害に遭い、昨年も9月時点で既に5万5,041台に達している。盗難台数の推移を見ると、2004年以降から盗難件数が急速に増加していることが分かる。特に、2006年~2008年は4万5,000台前後と高い数字となっている。

また保険会社による損害賠償支払額も深刻な状況にあり、ここ10年で請求額はほぼ2倍となっており、昨年はRM6億400万を記録している。内訳を見ると、8,736件については自家用車、2万7,304件はモーターバイクとなっている。


[マレーシアの盗難車事情]
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こうしたシンジケートによる深刻な被害は自動車だけに収まらない。アジア太平洋地域における商品窃盗事件では、マレーシアは香港に次ぐ被害規模を誇っているし、不法たばこの流通も全市場の40%近くにまで達している。

2020年の先進国入りを目指すなど、著しい経済発展を見せているマレーシアだが、こうした負の経済は年々深刻な状況となっている。

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PRESS FREEDOM INDEX、マレーシアは122位

1月25日、国際ジャーナリストの組織の国境なき記者団より、各国の報道の自由度について評価された「PRESS FREEDOM INDEX 2011-2012」が発表された。

世界で最も報道の自由度が高いと評価されたのはフィンランドとノルウェーで、北欧諸国が上位を占めている。

アジア域内においては、最上位は日本の22位となっており、韓国(44位)、台湾(45位)、香港(54位)が続く。そこから大きく空いて、アセアン諸国首位のマレーシアが122位に位置している。マレーシアは2006年に92位へ位置したが、以降は大きく順位を落とし続けている。今年は順位が上昇に転じているが、スコアーそのものは2008年から下がり続けている(スコアーの数値が低いほど高評価)。また、同報告書で示されている地図を見ると、マレーシア及び周辺諸国は「Difficult situation」のカテゴリーとなっており、同じような順位に位置している。


[アジア主要国における報道の自由度ランキング推移]
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[マレーシアの報道の自由度スコアー推移]
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[報道の自由度世界分布]
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マレーシアもそうだが、東南アジア諸国においては報道に政治的な圧力が強く働く傾向にあり、新聞やテレビでも政権に不利な情報や批判的な内容はあまり目にしない。数年前には、モンゴル女性殺害事件にナジブ副首相が関与したことを示唆する内容をブログに掲載したとして、マレーシア・トゥデーの編集長が国内治安維持法の適用を受け、逮捕される事件もあり、センシティブな内容には中々踏み込めない環境となっている。

ただ、FacebookやTwitterなどのSNSの普及により、一般メディアが取り上げられなくとも市民が与党政策について批判を行ったりする機会が増えている。実際、観光省の多額の使途不明金や選挙改革問題などでは、顕著にその変化を見ることができた。

こうした傾向は今後ますます強まってくるだろうし、大きな効果が期待できるであろう。懸念としては、マレーシアが多民族国家であり、各民族が不満を抱えていることから、SNSによってその溝が更に深まる可能性があるようにも感じる。

世界銀行、世界経済見通しを下方修正

1月18日、世界銀行から『Global Economic Prospects January 2012』が発表された(プレスリリース記事:世界経済は減速、途上国にも影響が及ぶ-世界銀行見通し)。





まず、昨年6月に示された世界経済見通しでは、2012年と2013年の世界成長率は3.6%と予想されていたが、欧州経済の債務危機や石油価格の上昇に対する懸念が深刻化、更にそれらに伴う新興国の経済成長失速も予想されることから、今回の報告書では2012年は2.5%、2013年は3.1%へと下方修正されている。特に、2012年のユーロ圏はマイナス0.3%と厳しい予想。新興途上国も、2012年は5.4%、2013年は6.0%へと引き下げられている。

次にアジア主要国のデータを読んでみると、まず目を惹くのが中国の経済成長の鈍化傾向で、2012年は8.4%、2013年は8.3%と予想されている。逆にアセアン主要諸国については、経済成長は2011年以降から若干であるが上昇傾向の予想となっている。マレーシアの場合だと、2012年で4.9%、2013年は5.3%と予想されている。近年のマレーシアの産業構造は、中国に対する依存度が急速に拡大しており、経済成長の浮き沈みもほぼ同じような傾向にある。ただ、依然としてマレーシアの貿易はアセアン諸国が大きなウェイトを占めており、更にETP推進による内需拡大を目指していることもあり、5%前後の安定成長が期待されているのだろう。とは言え、『ビジョン2020』達成のために必要とされていた、年6%の経済成長維持は難しい状況となっている。


[GEP2012、アジア主要国の経済成長見通し]
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因みに、世界銀行以外の機関が発表している2012年のマレーシア経済成長率は以下の通り。

マレーシア政府: 5~6%
Standard Chartered Bank: 2.7%
UBS Investment Research: 3%
RHB Research Institute: 3.6%
CIMB Investment Bank: 3.8%
Maybank Investment: 3.5~4%
Asian Development Bank: 4.7%
Malaysian International Chamber of Commerce and Industry: 5%以下
International Monetary Fund: 5.1%

これを見ると、マレーシア政府の予想が5~6%とだいぶ楽観的な見通してなっている。他の機関については、2.7%から5.1%までとかなりの開きが見られるが、総じて2012年は厳しい経済事情であることが示されている。

Economic Freedom、マレーシアは53位

米ヘリテージ財団と米ウォールストリートジャーナルより、「2012 Index of Economic Freedom」が発表された。対象は179ヵ国・地域で、財産権、国の腐敗からの自由、ビジネスの自由、労働の自由、通貨の自由、政府支出、財政の自由、貿易の自由、投資の自由、金融の自由という10項目で評価が行われている。





まず総合評価で首位は香港、そして2位がシンガポールとなり、アジア2ヶ国が上位を占有した。香港は18年連続で首位となっており、定位置といった印象。

マレーシアのEconomic Freedom指数は66.4ポイントで昨年から0.1ポイント上昇、順位も昨年と同じ53位となった。また、アジア太平洋地域の41ヵ国中では第9位という評価。分類も、韓国とタイと同じく「適度に自由」とされている。







全体的な評価内容に目を通してみると、改革努力が経済自由化に向けて継続されていることが評価されている。まず、効率的な規制の枠組み、ビジネスプロセスの合理化、そして市場開放の支援と民間セクター奨励を目的とした政策により、投資の強化と起業家精神が向上しているとされている。ただ、マレーシアは法的枠組みの近代化に遅れていること、司法制度において政治的な干渉が大きいことが指摘されている。また、腐敗によって自由が阻害され、長期化な組織の競争力低下、更には近年拡大している財政支出が経済効率を阻害する可能性が示されている。

次に項目別で見ていくと、投資の自由以外は世界平均を上回っている。投資の自由が低評価の理由としては、政府干渉による透明性の欠如と広範囲な規制によって競争力が阻害されていることが挙げられている。

法の支配においては、マレーシアは「著作権に関する世界知的所有権機関条約」と「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」批准する計画であるにも関わらず、知的財産権の取締りが緩慢であると指摘されている。マレーシアでは、少し前まで音楽や映画、ソフトウェアといった媒体では海賊版が氾濫していた。最近は、店頭ではだいぶ海賊版を見かけなくなってきているが、その多くはオンラインに置き換わってきていると思われる。また、昨年は私自身政府機関と打ち合わせする機会があったが、その時に使用されていた政府のPCには、「あなたは海賊版ソフトの犠牲者かもしれません」との警告メッセージが表示されていた…。

あと規制の効率性については、マレーシアでは会社設立に必要な手順は4つだけであり、開業までに平均6日しか要しないという効率性が評価されている。また、労働規制は現代的であり、柔軟性があるとのこと。


[アジア主要国の評価データ]
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