コトラーのマーケティング3.0 - フィリップ・コトラー 著、 ヘルマワン・カルタジャヤ著、イワン・セティアワン著

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
(2010/09/07)
フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ 他

商品詳細を見る


マーケティング関連の書籍でコトラー氏のことは知っていたが、実際この人の本を手に取ったのは初めて。ソーシャル・ネットワークの普及により、これまでのビジネスのやり方が大きく変わってきており、その本書ではそのトレンドについて説明している。

ただ、前半部分は関連書籍の紹介のような感じ。また、他の書籍で言及されていたケーススタディーについても触れられており、正直あまり目新しさは感じられない。とは言え、全体的にシンプルに纏まっており、分かりやすい内容かも。

著者は、第一期のマーケティングを取引志向、第二期は関係志向、そして本書の中核となる第三期を消費者が協働する関係へ移行しようとしており、それを「マーケティング3.0」と呼んでいる。そして、このマーケティング3.0を真に体現できる企業こそが、事業を成功に導くことができるとし、それをボディーショップ社などの例で示している。

マレーシアは、Facebookを筆頭として世界的にもSNSがかなり盛んな国であり、その影響もあって多くの企業や政府機関がそのトレンドを活用している。結果として、政府事業であっても、国民が納得できない内容であればSNSにおいて批判が飛び交っている。影響力は甚大であり、政府としても無視できない環境にある。となると、誠実でない企業や政府は容易に消費者や国民からの批判にさらされることになり、その速度とインパクトは従来の比ではないことが証明されている。

スポンサーサイト

新価値創造とエコシステムイニシアチブ発表

4月19日、ナジブ首相は「NEW WEALTH CREATION & ECO-SYSTEM INITIATIVES」という政策を発表した。現在、マレーシア政府が進めているTransformation Prpgrammesは2020年までに先進国になることを目指した政策であるが、今回の政策はそれ以降の産業基盤構築を目指した内容となっている。

ナジブ首相のスピーチ全文は、首相府の「MEDIA BRIEFING ON UNIK'S NEW WEALTH CREATION & ECO-SYSTEM INITIATIVES」に公開されているが、それでも具体的な事業内容についてはあまり触れられていない。GTPやETPのように、専用のウェブページで詳細を紹介していれば良いのだが。
http://www.pmo.gov.my/?menu=speech&news_id=447&page=1676&speech_cat=2

まず、この政策のキーワードは「Change」。どこかで聞いたような…。そして、今回の発表でナジブ首相から23のイニシアチブが示され、「Innovation Lift-Off」というビジョンの下に立ち上げが行われた。





新価値創造においては、オイルパームバイオマスのロードマップと4つのプロジェクトへの取り組み --- electricity from every window(スマートグリッドかな?)、将来のエネルギー管理向けenergy dashboard、小規模ビジネスのキャッシュレス化、LED技術の最新鋭化など---が挙げられている。

また、エコシステムでは10のプロジェクトが発表された。が、発表された内容はかなり抽象的。教育を通じて産業と企業家がベネフィットを享受、また産官学、そして海外プレーヤーとの連携による持続的なイノベーション推進など。

残り8つは大学関連のプロジェクトで、今のところ第一フェーズで1,000以上のプロジェクトから商業化に向けた高潜在性を有した113のプロジェクトが選定されている。

これらを推進するのは首相府内に設置されたUnit Inovasi Khas (UNIK)とのことだが、こちらも詳細はあまり公開されていない。

まだ明確にされていない部分が多々あるように感じるが、首相自らがビジョン2020以降に国家が注力しようとする分野についてのビジョンを示すことは重要であろう。また、今回発表されたいずれの内容も将来の世界の産業構造において重要な位置づけとなる可能性が高く、域内でマレーシアがイニシアチブを発揮する上で無視できない内容と感じる。現時点で、マレーシア経済を牽引しているのは製造業であるが、中国や周辺諸国との競争は益々厳しくなってきている。ICT産業を中心とするサービス業も拡大してきているものの、それ以外の産業の育成や基盤整備が求められているように感じる。

MSC、フェーズ3への移行を発表

1996年に、マレーシア政府が世界のICT産業のハブを目指して整備したMSC: Multimedia Super Corridoeだが、今年4月20日にフェーズ3へ移行することがMDeCから発表された。マレーシアでは、MSCによってICT産業の集積が促進され、結果として周辺諸国よりも同分野においてアドバンテージを発揮するに至っている。ただ、実際にどれだけの効果が上がっていたのかあまり知らなかったが、今回の発表で過去の実績が示されるなどしている。

まずフェーズ2(2004年~2010年)の実績については、MSCのウェブ上の「Phase 2 Achievements」で概要が紹介されている。主要な成果としては、マレーシアのGDPへの寄与がRM 345.7億、MSCマレーシア企業の収益がRM 1,038億であったことが示されている。この企業収益、フェーズ1ではRM 260億でしかなかったので、それから考えると実に299%の伸びを示していることになる。また、MSCマレーシア企業の輸出額もフェーズ1ではRM 12億でしかなかったのが、フェーズ2ではRM 330億にまで拡大している。雇用機会についてもMSCは大きく寄与、フェーズ1の2万1,270人からフェーズ2では11万1,367人となっている。さらに知識労働者の雇用ということから、月給もマレーシア平均のRM 2,259に対してMSC Malaysia企業の平均はRM 4,385と2倍以上の数字であり、MSC企業での働く上でそれがインセンティブとして働いているように感じる。

この他にも、マレーシアはBPO: Business Process Outsourcingなどの分野においても国際的に存在感を示しており、インド、中国に次ぐ実力を誇っている。

そしてフェーズ3では、2011年から2020年までの期間を対象としており、マレーシア政府の進めるビジョン2020と連携する形になっている。CEOのDatuk Badlisham Ghazali氏は、「Phase 2 is about creating economies of scale while Phase 3 is focused on empowering the rakyat, further enabling the Government and enhancing the ICT sector towards achieving the goal of an innovative, high-income and developed nation by 2020 in line with the New Economic Model」と述べていることからも、それを意識していることが分かる。

フェーズ3で示された数値目標だが、2011年から2015年の期間で以下の内容となっている。

• GDPへの寄与21%増のRM 420億
• 収益37%増のRM 1,420億
• 輸出75%増の RM 580億
• 雇用創出47% 増の160,000人

また、新たなサイバーシティーを毎年2ヵ所設立すること、そして今年下期にInnovative Digital Economy frameworkを策定することが発表されている。毎年2箇所となると、2020年までに20ヶ所のサイバーシティーが追加されるということなのだろうか?さらに、MSC certificationという国産ICT製品の認証プログラムの計画もアナウンスされている。

これたけの実績を誇り、積極的な次の計画を示したMSCだが、ローカル各紙での取り扱いはあまり大きくない。マレーシア人の特質なのか、新しいものには高い注目を向けるものの、経過報告やフェーズ移行というものには関心が薄いように…。

それでも1996年から14年間を経て、きちんとした実績を記録したプロジェクトはマレーシアでは希少であろう。フェーズ3での更なる躍進を期待したい。

マレーシアのオンラインショッピング市場

ローカル紙を読んでいると、Nielsen Malaysiaから昨年のマレーシア国内でのオンラインショッピングに関する調査報告が発表されたとの記事があった。ただ、同社のウェブサイトにその情報がアップされていない…。で色々と調べてみると、PayPalが発表した「Online and Mobile Shopping Insights」という調査報告書がこれのようだ。

とりあえず、新聞記事等に掲載された情報を見ると、まず昨年にマレーシア人がインターネット経由で買い物に費やした金額は2010年でRM 18億(約490億円)に達したとのこと。またPaypalの調査においては、昨年りローカルウェブサイトでの取引額がRM 8億2,500万であったのに対し、海外のウェブサイトではRM 6億2,700万であったと報告されている。調査は、今年1月から2月に18歳以上のオンラインショッピングを利用しているマレーシア人に聞き取りを行っている。

オンラインショッピングのカテゴリー別の内訳は下記の通り。

•Travel = RM 435 million (24%)
•Bill payments = RM 329 million (18%)
•Entertainment and lifestyle = RM 255 million (14%)
•IT and electronics = RM 218 million (12%)
•General insurance = RM 205 million (11%)
•Fashion and beauty = RM 181 million (10%)
•Gifts and collectibles = RM 68 million (4%)

第1位は旅行で、RM 4億3,500万で全体の24%を占有している。マレーシアでは、ネットでの航空券やホテル予約がかなり一般的になってきている。一つには、代理店を通すよりも安く購入できることが主因だろうし、国内航空会社のサイト内容も充実している。AirAsiaのプロモーションの時などはいつも凄い数のアクセスが集中しており、それがニュースになるほど。あと、各カテゴリーの詳細は以下の通り。

•マレーシア人は航空券購入において海外のウェブサイト(RM 7,200万)よりもローカルのウェブサイト(RM 1億7,300万)を活用している。
•金融商品やサービス(RM 7,800万)と健康・美容商品(RM 2,900万)は主にローカルウェブを通じて購入されている。
•衣類・靴・アクセサリーのオンライン購入は、わずかにローカルのウェブサイト(RM 4,800万))が海外のウェブサイト(RM 4,100万)を上回っていた。
•書籍購入は、ローカルウェブ(RM 3,600万)に対して海外のウェブサイト(RM 6,300万)が2倍程度。
•映画・音楽・ゲームは、ローカルウェブ(RM 2,700万)に対して海外のウェブサイト(RM 5,100万)が2倍近い。
•マレーシア人の海外オンラインショッピングでなじみの国は米国とシンガポール、英国、中国、香港。

因みに日本の場合だと、総務省が発表している情報通信白書平成22年版によれば、旅行関係のオンラインサービス経験者は19.2%とそれほど高くない。日本での最多はデジタルコンテンツの購入で47.4%、次いで書籍・CD・DVDが33.6%、衣料品・アクセサリー類32.7%となている。日本では、これらサービスを国内の企業がサービスを提供することができているが、マレーシアではなかなかこうしたサービスが出てきていない。そのため、海外のオンラインサイトへの依存度が高まるのは仕方ないのだろう。

あと、マレーシアのモバイルショッピング「m-commerce」はまだ初期段階にあるものの、2010年には25万4,000人以上がモバイル端末を通してRM 1億を費やしており、オンラインショッピング市場の約6%を占有していることが示されている。
用途別で見ていくと、請求書の支払い22%、次いで小額アイテムの購入で映画チケット21%、書籍15%、動画・音楽・ゲームダウンロード14%となっている。また、一人当たりの支払い金額平均はRM 388。また、モバイルショッピング利用者10人のうち4人は、携帯電話が持つ制約トップ3となる小画面、低速なインターネット、セキュリティー懸念があっても携帯電話での商品購入を行っているようだ。

こうした背景もあり、国内のインターネットプロバイダーや携帯電話キャリアーはデジタルコンテンツ配信サービスなどへかなりの経営資源を集中している。インターネットプロバイダーの場合だと、高速通信の整備ができたことで動画配信サービスをパッケージに組み込む戦略が増えている。また、昨年からスマートフォンの普及によるモバイルインターネットユーザーが増加傾向にあり、こちらも色々なオンラインサービスに期待が持たれている。

Entry point project追加12事業

今年に入ってからも、ETPの下で実施されるEPP: Entry point projetcの勢いが止まらない。まず1月11日に19事業、3月8日に23事業、そして今回4月19日に12事業が発表された(Corporate Malaysia says no to corruption「Prime Minister unveils 12 new EPPs worth RM11.16 billion」)。投資総額はRM 111.6億で、7万4,457人の雇用が創出されるとのこと。今回発表された事業を見ていくと、IT関連が多くを占めている。

特に興味深いのが税関におけるRFID技術の導入で、ペーパーレスによる業務効率やセキュリティーの向上を目指している。コンテナへの適用ということなので、アクティブタグによる電子シールも使用されるのだろう。事業者はSmartagという会社で、MCMCとかなり密接な関係にある会社。マレーシアではこれまで中々RFID技術が導入されるに至らなかったが、ここにきて大きく動くかもしれない。
ただ、過去に日本の経済産業省やジェトロなどがマレーシア国内で同様の実証試験を何度が実施し、その有効性を証明してきたのだが、やはり最終的には政府に強いローカル企業が事業を担うことになった。同じ業界で働いているだけに、今回のニュースは複雑な心境…。

あと面白いところでは、「1Malaysia Email Project」というものが発表されている。事業を担うのはTricubesという会社で、私も仕事で付き合いのある会社。ISO 14443Aを使用した政府向け端末機器やシステム開発の実績は良く知っているが、今回のプロジェクトを担うと聞いて正直驚いている。
この「1Malaysia Email Project」では、18歳以上の国民全てに電子メールアカウントを付与し、ワンストップ政府サービスやソーシャルネットワーキング、オンラインペイメントなどに活用してもらおうというもの。この事業について何人かに聞いてみたところ、あまり使用したくないとの意見が多かった。政府ポータルサイトさえも満足に運用できていないのに、絶対に信用できないという意見も聞かれた。私も、この事業はそれ程国民の興味を惹かないだろうし、大きな効果を市場にもたらさないと思う。

また上記に関連して、「Baseline Study on e-Counter Services and Paperless Government」という事業も発表されている。ただ、この手の内容はずっと以前から検討作業が続けられているにもかかわらず、なかなか導入に至っていないところである。これが具現化されれば経済効果はかなり大きいだろうし、本来はもっと早期に経営資源を集中するべき事業であっただろう。

この他には、2015年までにデジタルテレビ放送インフラ整備を行う事業、またKLの新規住宅プロジェクトにはブロードバンド環境を整備する事業などが面白いところ。

こうしてIT関連の事業を見ていくと、日本で展開されているユビキタスプロジェクトの内容と同じであるように感じる。であれば、ユビキタスプロジェクトとして新しいカテゴリーを作っても面白そうだが。

あと、これまでの事業を見ていくと、大手企業による巨大プロジェクトが中心として取り上げられている。ただ、今後のマレーシア経済を鑑みた時、中小企業の役割は重要であり、彼らを巻き込んだ事業も組み込めればと期待する。

(4月22日追記)
やはり、「1Malaysia Email Project」は国内で批判の対象に。
1M Malaysians who don't want Najib's 1 Malaysia email

老いてゆくアジア - 大泉啓一郎著

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)
(2007/09)
大泉 啓一郎

商品詳細を見る


アジア域の今後10年を分析する上で、本書は興味深い内容を示している。タイトルの通り、アジア各国は今後高齢化社会を迎えることになり、それは各国のマクロ経済へも影響を及ぼすことになる。本書では、詳細な数字を示しながらそのインパクトについて国別、或いは経済圏別に見通しが示されている。

マレーシアの場合だと、人口ボーナス(日本で言う団塊の世代)が1965-70年に始まり、その終わりを2035年に迎えるという。NIES諸国や中国などに比べるとまだ時間的余裕はあるものの、マレーシアも着実に高齢化社会に向かおうとしている。だが、国内の社会福祉や社会保障などはそれほど充実しているとは言えない。政府内においては、国民皆保険の推進が何度か話題に上がってはいるものの、なかなか具体的な政策にまでは踏み込めていない様子。

また、高齢化社会にあっても活力ある経済を維持するためには、本書でも指摘しているがやはり人材の育成だと感じる。65歳を過ぎても生産者として経済活動を継続できる国民が増えれば、高齢化社会にあっても国家と国民の負担を軽減することが可能になるであろう。ただ、現在のマレーシアを見てみると、中々高齢者が活躍できる環境にはないと感じる。この辺についても、現在マレーシアが推進しているEconomic Transformation Programmeに組み込めれば面白いと思うのだが。

あと個人的には、外国人に対しても社会福祉や社会保障を平等にして欲しいと感じる。マレーシアの場合、外国人に対してはかなり差別的な制度となっており、適用できない社会福祉がかなり存在するし、適用できても限定的であったりする。

バイラル・ループ - アダム・ペネンバーグ著

バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがあるバイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがある
(2010/09/25)
アダム・ペネンバーグ

商品詳細を見る


本書では、以前に読んだデビッド・カークパトリック著の「フェイスブック」に競合として登場していたマイペースなどのSNSサイトの詳細が紹介されており、その爆発的な企業成長の背景が描かれている。

著者は、面白い情報や製品、サービスを見つけると他の人に伝えたくなる人間の特性を利用するのがバイラル・ループ企業であると定義し、その成長速度の速さがこれまでと異なることを数字と共に示している。また、タッパーウェアの口コミによる企業成長をケーススタディーとして取り上げるなど、そのカバー範囲は広い。

個人的には、ウェブブラウザーのモザイク誕生からネットスケープ、そしてインターネットエクスプローラーというウェブブラウザ戦争を懐かしく感じた。私自身、初めてインターネットを利用したのが1994年であり、モザイクを利用したユーザーでもある。いまではFirefoxやChromeなど多彩で使い易いブラウザーが各種登場しており、当時のモザイクとは比較にならない程であるが、それでも最初にモザイクでWWWの世界に接続できたときは興奮した。

当時、インターネットのポテンシャルは認められていたが、ビジネスとしては懐疑的な視線の方が多かったと記憶している。それが、数年の間に数多くのビジネスが形成され、事業規模や成長速度は旧来のビジネスとは桁違いのものとなり、企業はビジネスのやり方そのものを見直す必要に迫られた。その勢いは年々増していき、SNSを活用したサービスではバイラル・ループが最大化されようとしている。

こうした一連の歴史やその成長、そして現在のビジネスにおけるSNSの役割とポテンシャルを知る上で、本書はかなり活用できると思う。あと、本書のウェブページ「Viral Loop」では、著者のBlogも読むことができる。






Mobile Insights Survey 2010

4月14日、ローカル紙にNielsen Malaysiaからブロードバンド市場に関する調査報告書「Mobile Insights Survey 2010」が公開されたとの記事が出ていた。早速Nielsen Malaysiaのウェブページにアクセスするも、そのような情報が一切出ていない…。色々と調べてみると、ADOIMAGAZINE.COMに調査報告書のプレゼンテーションが公開されているのを見つけた。

マレーシアでは、日本の総務省が出している通信白書に該当するようなWhitepaperを見つけることはなかなか難しい。そうした事情において、現地コンサルティングファームが公開している情報は貴重であり、私もよくプレゼンテーションや企画書に活用している。今回公開された「Mobile Insights Survey 2010」も、モバイル環境におけるインターネット利用状況など入手困難な情報が示されている。

同調査は、15歳から64歳までのマレーシア人へのインタビュー結果をまとめたものとなっている。

まずインターネット利用者については、2009年の25%から2010年は41%へと大きく伸びている。2010年は光ファイバーサービスや各種ワイヤレス通信サービスが開始されたことも影響しているのであろう。また、年齢別では20-24歳で57%がインターネットを利用しているとの数字が出ている。


[Usage of and subscription to the internet]
Mobile_Insights_Survey_2010_01.png


次にインターネットへのアクセス方法だが、モバイルブロードバンドが2009年の20%から2010年には54%と大きく成長している。特に、YTLなどがUSBで接続できるモデムを使った低価格サービスが市場を牽引しているのだろう。ただ、選択肢が3択というのはどうだろうか。私の場合、モバイルブロードバンドと固定ブロードバンドの両方を使っているのだが、マレーシアでも同様の使い方をしているユーザーは多いと思う。


[Type of internet connection ‐ Share of the market]
Mobile_Insights_Survey_2010_02.png


インターネット使用時間については、週に21時間以上のヘビーユーザーが2009年の15%から31%となっている。私の場合は仕事でもかなりインターネットを活用しているので、間違いなくヘビーユーザー。
因みに平均の使用時間は、2009年で10.8時間/週、2010年は19.3時間/週と2倍近くに。


[Internet usage (hours per week)]
Mobile_Insights_Survey_2010_03.png


そして、過去30日のインターネット利用内容ではマレーシアの特色が色濃く現れる結果が得られた。調査結果を見ると、SNSへのアクセスが71%と2番目以降を大きく引き離している。昨年、マレーシアはフェースブックへのアクセス時間や友達の数で世界一を記録しており、国内でのアクセスランキングでもFacebookがGoogleを抑えて第1位となっている。
逆に日本では、SNSへのアクセスは2009年のデータとして5.1%(パソコンの場合)でしかない。
こうしたことから、マレーシアでのビジネスにおいてSNSはプライオリティの高いツールの一つであると言えるかも知れない。


[Activities conducted in the last 30 days  (percentage)]
Mobile_Insights_Survey_2010_04.png


インターネット接続に使用する機器については、ノートPCが55%となってデスクトップを逆転した。また、スマートフォンからのアクセスが2008年と2009年は2%でしかなかったが、2010年は11%と拡大。2010年はiPhoneなどのスマートフォンが急速に市場へ普及したことが理由なのだろう。
ただ、これも3択というのはどうだろうか。私の場合、デスクトップとノートPC、スマートフォンの全てを使用しているが。
日本の場合、モバイル端末からのアクセスは85.1%、パソコンとモバイル端末の両方が69.0%、パソコンからのみが13.7%となっている。市場成長の背景が異なることが、この結果へと反映されているのだろうが、マレーシアでも今後はスマートフォンによるアクセスが大きく伸びていくと予想される。


[Device used to access the internet]
Mobile_Insights_Survey_2010_05.png


こうして見ていくと、マレーシアのインターネット利用傾向は日本のそれとは大きく異なる。利用者の多くがウェブページを閲覧するというのではなく、FacebookなどのSNSを通じた情報のやり取りが主流であり、それもモバイル端末を使ったアクセスが大きく伸びている。また、2010年はスマートフォン端末の販売が大きく拡大したこともあり、今後はスマートフォンによるアクセスが増加していくのだろう。

4月22日追記
たまたまNielsen Malaysiaにアクセスしたところ、プレスリリース記事が公開されていた。
Usage of Internet Increased to 41% with Consumers Aged 20-24 Spending an Average of 22.3 Hours Per Week Online

海外のマレーシア人専門家に優遇措置

4月12日、『Invest Malaysia 2011』においてナジブ首相はCMP2: Capital Market Masterplan 2を発表。ナジブ首相のスピーチ全文を見ると、かなり量が多く内容も多岐に渡っている。また、CMP2では資本市場の規模が2010年にはRM 2兆であるのに対し、2020年には2倍のRM 4兆8,000億に拡大するとの見通しを示している。そして、そのための戦略が民間の役割拡大、起業と革新的な経済活動への効率的な資金供与となっている。

その中でも、特に注目されているのが海外に流出したマレーシア人を呼び戻す政策で、「Returning Expert Programme」というものらしい。対象はディプロマ以上の学位、そして最低10年間海外で就労経験のあるマレーシア人という。

そして適用される優遇措置は、所得税率が5年間15%固定、そして国内組立自動車を2台まで無税で購入できるというもの。新聞を読んでいると、関連団体や専門家は好意的な意見を寄せており、効果が高いと見ている。

過去に新聞で発表された統計を見ると、2005年から2009年までの間にマレーシア国籍を放棄したマレーシア人は15,458人に上る。そのうち中国系は12,410人と全体の8割に達している。因みにマレー系とインド系は共に984人で、各々全体で6%程度しかない。そして、国政放棄の約50%が専門家だと言われている。

となると、今回の「Returning Expert Programme」の最大のサーゲットは中国系マレーシア人なのだろう。そうした意味において、今回の優遇措置が魅力的かどうかについてはかなり疑問がある。私の周りの中国系マレーシア人は、「政府はなぜ彼らがマレーシアから離れる決意をしたか考えるべきだ」と言っていた。つまり、ブミプトラなどの公平でない政策がある限り、いくら優遇措置を与えてもマレーシアへ帰るインセンティブはなりえないと。

また、マレーシアに居住している中国系マレーシア人を見ていると、節税対策はかなり凄い。皆が、「なせ政府に自分の稼いだお金を渡す必要があるのか」といったスタンスであり、いか所得税を少なくするかということにかなりの労力を割いている。となると、所得税15%そのものが魅力的ではないかも知れない。

就学の機会、就労の機会、そして生活活動が民族の壁を超えて公平にならない限り、抜本的な対策にはならないだろう。特に、中国系は現実主義的な思考だから、あまり効果は期待できないように感じる。とは言え、国内の政治的な理由から対応が限定的となってしまうジレンマも理解できないではない。

あと、Youtubeにナジブ首相のスピーチが公開されていたが、なぜかテーマごとに分割…。全てまとめてくれたほうが見やすいのに。







































フェリカの真実 - 立石泰則著

フェリカの真実 ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由フェリカの真実 ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由
(2010/11/13)
立石泰則

商品詳細を見る


私自身、RFID業界で仕事をしているが、本書を読むまでは知らなかったことが結構あり、勉強になった。Felicaそのものは、香港のオクトパスで採用されたことで海外でその名を知られることとなったが、その開発が1989年3月からということは知らなかった。

また、今話題となっているNFCの国際規格ISO/IEC 18092が、ソニーのアイデアであったことも初耳。にも関わらず、国際市場においてはなかなかイニシアチブをとることのできない日本企業。

Felicaは顧客の技術要望を実現していき、完成度を高めることで香港での採用が決まった。逆に、Mifareはそれができなかった。しかし、国際標準審査ではそのMifareがISO/IEC 14443 type Aとして承認され、Felicaは苦渋を味わうことになった。国際規格の政治力学において、日本企業はどうしても劣勢に立たされてしまう。

私も、仕事上Mifareを扱っているNXPや日本のRFIDメーカーとも付き合いがあるが、国際市場の対応においては雲泥の差を感じる。NXPの場合、彼らは毎年何かしらの新製品を発表すると、世界各国のパートナーに無料サンプルを配布するなどで媒体開発やハードウェア開発、或いはアプリ開発のサポートを展開、市場規模の拡大に余念がない。NXP本社の方が言っていたが、NXPはチップ販売が円滑に進めることのできる環境をサポートしているだけで、本業はあくまでチップ販売だと。それに向けた経営資源の集中は凄く、そこに日本メーカーとの差を感じる。

技術的なところでは、日本は職人気質の国民性もあってか、製品の完成度や機能面では他国より優れている分野は多く見られる。逆に欧米企業の場合、完成度や機能面ではそれほど優れていなくとも、ユーザーのニーズを最低限満たすことができ、且つ価格も日本製品よりは安価に設定されているものが多く、それが世界市場で受け入れられているようにも感じる。あと、本書でも問題として取り上げられているが、合理性を失った社内のポリティカルな行動は、国際市場でビジネス機会を失うことに繋がっている。

NXP、UCODE I2C RFID チップを発表


4月5日、NXPは、I2Cインターフェースと大容量ユーザーメモリを実装したUCODE I2Cチップを発表(NXPプレスリリース)

プレス記事を一読するも、最初は意味不明…。記事を再読し、RFID Journalの記事「NXP to Unveil New UHF, HF Chips」を読み、そしてI2Cインターフェースというものを調べてある程度その内容が理解できたような気が…。I2Cそのものはかなり昔から使用されているシリアルバスであり、多くの電子機器に採用されているとのこと。今回、そのI2Cにユーザーメモリーが搭載され、且つEPC C1 Gen2のエアープロトコルに準拠したRF機能が使えるといった感じか。





プレスリリースには「無線を通じた電子機器のカスタマイズと設定を可能にする画期的なUHFチップ」との説明があるが、なるほどこれまでにない面白い仕様かも。

用途はこれまでと異なり、機器組み込みが主要な対象となりそうで、スマートフォンやタブレット、家電製品などでの利用が想定されている。チップそのものは普通にEPCに準拠したRFIDタグとして利用できると共に、温度や湿度、圧力などの各種センサー情報を取得することもできる。だから、流通プロセスで製品情報を取得したり、トラッキングすることもできる。ただ、最大の特徴は「I2Cバスを通じて無線リーダーとマイクロプロセッサ間の双方向通信が可能」と説明されているところ。これにより、製品が購入された時点でRFを使って製品のアクティベイトやコンフィギュレーション実施、或いは購入と同時に顧客情報を書き込んだりすることができる。不具合が発生した時にも、RFで内部ログを解析することに使用できるという。これまでだと、筐体を開けなければできなかった煩雑作業が、RFによって実現できることになる。ただ、筐体の中にタグアンテナが形成されるため、流通での製品トラッキングやRFでの製品情報取得のために、材料や構造に工夫を考える必要がありそうだが。

あと興味深いのが、「デュアル UHF フロントエンドアーキテクチャにより、複数のアンテナで異なる読取り範囲のサポートが可能」という部分。流通段階で使用する長距離アンテナ、或いはカスタマーサポートで使用する近距離アンテナといった使い方だろうか。

いずれにしても、UCODE I2CはこれまでのRFIDの使い方とは大きく異なるし、NXPの強みを活かした製品であろう。ただ、新しい分野ということもあり、アプリケーション開発はまだ手探りの状況と思われる。2011年後半に量産体制へ移行する予定とのことなので、どんなアプリケーションが出てくるか楽しみ。

ニッポンの環境エネルギー力 - 泉谷 渉著

ニッポンの環境エネルギー力 ―IT産業立国からエコ産業立国に大変身を遂げる「日本の底力」ニッポンの環境エネルギー力 ―IT産業立国からエコ産業立国に大変身を遂げる「日本の底力」
(2011/01/28)
泉谷 渉

商品詳細を見る


本書では、日本の持つ次世代エネルギーについての優位性が数多く紹介されている。漠然と、日本企業は世界の環境産業において優れた技術力を有していることは知識としてあったが、本書では具体的な市場シェアが数字で示されていたり、何が競合他社と比べて優れているのかが説明されている。

ただ、原子力発電の部分については、ちょうど3月11日の東日本大震災の影響で福島第一原発が深刻な状況に陥っていたこともあり、複雑な思いであった。マレーシアでも、国内電力確保のために原子力発電開発計画が持ち上がっていたが、その勢いは急速に冷え込んでいる。とはいえ、マレーシアの電力消費はかなり改善の余地があるし、原子力以外のエネルギー源についてももっと再考の余地があると思う。そして、この分野において日本勢が積極的に働きかけを行えば、事業機会を見出せるのではないだろうか。

また、本書では大手企業の環境技術と共に、自治体などの取り組みが示されており、こうしたアクションはマレーシアなどの発展途上国に不足している部分と感じた。あとできれば、もっと中小企業やベンチャー企業の環境技術紹介が欲しかった。

最後に、著者の泉谷渉氏の記事が「セミコンポータル - 泉谷渉の視点」で読むことができるので、ご参考までに。

シェア からビジネスを生みだす新戦略 - レイチェル・ボッツマン著、 ルー・ロジャース著

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
(2010/12/16)
レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース 他

商品詳細を見る


まず本書の第一印象は、膨大なシェアサイトが紹介されており、且つ各々について起業に至る経緯やユーザー動向など詳細を知りえることができる。これだけでも価値ある情報。

骨子としては、共有サイトが環境問題に対して有効なツールであることが示されており、興味深いデータが数字で示されていたりする。モノを単に使い捨てでなく、情報通信ネットワークを使い、情報共有サイトで効率的な循環型社会を形成するといったところか。このモノを使い捨てで終わらせない考え方は、日本の「もったいない」に通じるものがあると思う。
ただ、全てのモノに対してこのコンセプトが適用でき、そして皆が利益を享受できるとは思えない。例えば、本書では書籍のリユーズが好例として紹介されているが、共有サイトによる書籍のシェアが進むと、著者は印税によって得られる収益が大幅に減ってしまうだろう。特に、日本のサブカルチャーとして注目されている漫画などは、影響が大きいと思われる。

あと、共有サイトによる「みんなモード」による数の力がオフラインの世界にも変化をもたらしていることが示されているが、中東やアフリカでの変化はまさにその典型であろう。これまで西側諸国がどれだけの時間と労力を費やしてもできなかったことが、Facebookなどの共有サイトの登場によって、短時間に大きなうねりとなって政治的変化が起こっている。

また著者は、「私たちの生活の面で、モノの所有はそれほど重要でなくなってきているモノは手段になりつつある」としている。確かに、情報通信ネットワークと情報共有サイトの普及により、ライフスタイルは大きく変化してきており、モノそのものは重要でなくなってきている。

全体的な構成がかなりしっかりしていることもあり、内容が直ぐにプレゼンテーションへ反映することもできそう。と思っていたら、レイチェル・ボッツマン氏のプレゼンテーションが結構公開されていた。







ちょっと不満に感じたのは、本書で紹介されている共有サイトがカタカナだけで書かれており、分かりにくいところ。

English Proficiency Index 2011、マレーシアは9位

3月31日、EF Education Firstは非英語圏の英語力についてのランキング「English Proficiency Index 2011」を発表した。調査対象は44カ国・地域で、2007年から2009年の4年間に社会人と学生230万人以上のスコアを比較したものという。

上位は欧州が占める格好となったが、アジアからはマレーシアが9位と唯一上位10位以内に入った。多民族国家であるがゆえに、共通言語としての英語の活用頻度はかなり高い。
ただ、最近は理数系の教育で英語が必須ではなくなったこと、また現政権は英語よりもマレー語重視の政策に重きを置いていることもあり、だんだんと英語レベルは落ちてきているように感じるが。

それでも、中国系はマレー語と英語、中国語を、インド系はマレー語と英語、ヒンディー語やタミール語を使えるスキルを有しており、これが国としての強みになっている。私の妻は中国系だが、マレー語、英語、マンダリン、広東語、それと日本語を使うことができ、日本にいれば普通に海外事業部の秘書として通用しそうな感じがある。


EPI2011_ASIA.png


マレーシア英語はマングリッシュと揶揄されているが、それでも日本の平均レベルよりは遥かに優れている水準にあり、ビジネスを行う上でもあまり問題を感じない。欲を言えば、いまは政府系のアプリケーションフォームの多くがマレー語のみで書かれているが、英語も併記して欲しい。

あと、日本の14位は過大評価のような印象がしないでもないが…。日本では、中学、高校、また大学で英語を勉強しているはずだが、英語力が身についているとは言い難い。国民の多くが英語を勉強できる環境を享受できるにもかかわらず、なかなか結果が伴っていない。私自身、何とか使える英語が使えるようになったのは海外で仕事をするようになってからであり、やはり学生のときの勉強は活かされていない。

NFCアップデート

3月末から、NFCに関して面白いニュースがいくつか公開されていた。

まずはNFCスマートフォン関連で、マイクロソフトがWin Phone 7 を使ったNFCによるモバイルペイメント技術を導入する計画というもの。まだ、OSそのものがNFCをサポートできていない事情はあるものの、NFC携帯で実績のあるノキアと提携したことで、開発速度は速まるものと期待したい。あとRIMにおいても、BlackBerry 6.1にNFCのアイコンが搭載されていたという情報が出てきている。いずれもオフィシャルなアナウンスは行われていないが、今年中にはNFC搭載機がリリースされそうな感じがする。

あとこれもオフィシャルの発表は行われていないが、Amazon.comのAmazon Payments部門がNFC技術を利用した決済サービスについて検討しており、今後3~5ヶ月の間に結論を出す見通しというもの。モバイル決算については市場規模がかなり大きいと予想されていることもあり、今後も様々なプレーヤーが参入してくるだろう。

その一つとして、サムソンとVISAが2012年に開催されるロンドンオリンピック、及びパラリンピックにおいて、モバイル決済機能をスマートフォンユーザーに提供する計画という。こちらは正式なアナウンスが出されており、プレスリリース「Samsung & Visa, Two Worldwide Olympic Sponsors, Join Forces to Enable Mobile Payments」に詳細が紹介されている。

この提携、2012年以降も継続される内容となっており、長期的な展開が期待されている。また五輪においては、専用端末「Olympics handset」を選手に提供すると共に、来場者がそれを購入できる体制を整えるという。そして、非接触サービスを利用するためには、小売業者はVisaenabled SIM cardの購入が必要になると説明されている。この辺のシステム部分ににいては、図解がないと分かりにくい・・・。





この他にも、Googleなど新規に32社がNFC Forumメンバーとなったことが話題となっていいる(Near Field Communication Forum Announces 32 New Members)

今年に入り、NFC技術に関してはポジティブな情報がハードウェアとアプリケーションの両方で出てきており、事業環境が整いつつあるとの印象が強い。こうして見ると、たぶん市場への普及速度はEPC C1 Gen2よりも速いのではないだろうか。あと個人的には、やはりiPhoneの動向が気になるところ。

マレーシア政府、GTPの2010年年次報告を発表

3月27日、ナジブ首相はGTP: Government Transformation Programme発表から1年を迎えるに当たり、2010年年次報告書をリリースした(GTP Annual Report 2010 Launch (Eng) - 27 March 2011)

発表によると、GTPで特定されたNational Key Result Areasにおいて改善が見られ、順調に目標値が達成されているとの結果が示された。ナジブ首相は"We achieved success because of hard work, perseverance, sacrifice and our willingness to work as a team for the sake of the people and our beloved country.”と述べ、その成果を称えた。

この報告書、英語版では254ページにもなる相当のボリューム(英語版全文)。さすがに全文を読む気にならなかったので、ローカル紙から要旨を拾い読んでみた。

「犯罪削減」

  • 4年ぶりに国内犯罪が減少。路上犯罪は35%、重大犯罪は15%減少。

  • 昨年、2,001件の凶悪犯罪を解決。

  • 国内753の警察署をパフォーマンスやサービス内容に基づいて格付け。

  • 1万4,222人のオフィサー、そして7,402人の事務管理職員をパトロールに配置転換。



「汚職との闘い」

  • 『Whistleblower Protection Act 2010』導入により、内部告発者保護を施行。

  • MACC: Malaysian Anti-Corruption Commissionのオンラインデータベースに、汚職者248人の情報を公開。

  • 透明性を高めるため、政府調達は専用ウェブ「Myprocurement website」を通じて情報を開示。

  • 政府の不正との戦いに対して、効果的であるとの回答が2009年の28%から2010年に48%へ向上。



「生徒の成績向上」

  • 初等教育学校と中等教育学校を対象としたランク付けを導入。

  • 70万人の4歳-5歳の子供が就学前教育を享受可能に。2009年の5万4,569から向上。

  • 14の中等教育学校と6つの初等教育学校をマレーシアで初めてHigh Performing Schools (HPS)に登録。


  • 「低所得者の生活水準向上」
  • 昨年12月31日時点で、国内の極貧層は4万4,643世帯減の108世帯にまで縮小。

  • 2,000人の女性起業家に対して成功裏にトレーニングが行われ、平均月収がRM750からRM 3,500以上に改善された。

  • 市場価格より75%安い価格で、35,095戸の低コストユニットが提供された。



「地方の基本インフラ改善」

  • 2010年末の時点において、地方の3万5,000戸以上へ水道を、同2万7,000戸以上に24時間の電力供給、また地方の貧困層向けに1万6,000戸以上の住宅建設、地方に750km以上の道路を整備。



「都市部の基本インフラ改善」

  • 2011年に、Bandar Tasik Selatan へIntegrated Transport Terminalを開業。Express Rail Link (ERL) TransitとKeretapi Tanah Melayu (KTM) Komuter、Light Rail Transit (LRT) system networkが接続され、500台以上の高速バスがKL市内から移転。

  • クランバレーにおける634箇所のバス停が改修された。

  • Kelana Jaya line (PUTRA Line)に4両編成が導入され、追加で243万人が利用可能に。



いくつか気づいた点としては、警察や学校においてランク付けを行うことで、競争意識を喚起しようとする動きが印象的である。これまで、こうした公共サービスにおいては改善意識が低かったこともあり、面白い試みであると思う。ただ、警察の不正についてはあまり改善が見られていないようだが。また、汚職や政府調達における透明性改善も、効果が出ているようである。国際的な指標を見ると、政府系の透明性についてマレーシアのランキングはいつも下位に位置しており、国際競争力の足を引張ってきた。

いずれにしても、これまでマレーシアではこうした定期的な経過報告があまり行われてこなかったことを考えると、かなり進歩だと思う。あとは、中国のように数字が粉飾されていなければ良いのだが、この国もあまり統計上の数字は精度が高くないことがある。それでも、各案件が完結するまでこの姿勢を貫き通し、高い透明性を維持することができれば、それはマレーシアにとって大きな変化になるだろう。

あと、なぜか今回の年次報告についての動画がどこのニュースサイトにも掲載されていなかった。中間報告ということもあり、あまり注目度が高くなかったのだろうか。その代わり、今回のリリースに際して「1 Malaysia MTV in conjunction with the GTP Annual Report 2010 」という音楽ビデオがGTPのオフィシャルサイトにアップされていた。個人的には、あまりしっくりはこないのだが・・・。






| ホーム |
Page Top↑
▲ Page Top