2015年、NFC携帯端末は27億台に

2月25日、H.I.ビジネスパートナーズは「NFCの海外市場動向と規模予測」を発表。携帯メーカーと通信キャリアの動向解説から、NFC搭載携帯端末の市場規模予測が紹介されている。携帯メーカーについては、ノキアが昨年6月末にNFC搭載を発表しており、市場に大きな影響を及ぼすと説明されている。ただ、ノキアは2月11日にSymbian OSからWindows Phone 7 へ転換すること発表しており、NFC機能を搭載した携帯電話のリリースが競合他社から出遅れると思われる。その空白の期間、SamsungやHTCなどAndroidを採用しているメーカーからは、NFC搭載携帯端末が次々にリリースされそうな様子。そうした意味においては、いまはNokiaよりもAndroid端末の方が影響力が大きいようにも感じる。

実際、2月14日~17日にバルセロナで開催されたMobile World Congress 2011 (MWC 2011)では、NFC機能が搭載されたAndroid端末が出展され、注目を集めている。日本からも、NTTドコモがNFCとFeliCa統合に関するロードマップを示すなど、積極姿勢が見られる。

こうして見ていくと、今年リリースされるスマートフォンの多くには、NFC機能が標準搭載されそうな感じがする。さらに、2月21日にはGSM Association(GSMA)が「World's Leading Mobile Operators Announce Commitment to NFC Technology 」というプレスリリースにおいて、2012年までにNFC技術を使ったサービスの商業化を開始予定であるとが発表された。このアナウンスには、América Móvil、Axiata Group Berhad、Bharti、China Unicom、Deutsche Telekom、KT Corporation、MTS、Orange、Qtel Group、SK Telecom、SOFTBANK MOBILE、Telecom Italia、Telefónica、Telekom Austria Group、Telenor、Vodafoneの16社が名を連ねている。マレーシアからは、セルコム社の親会社であるAxiata Group Berhadの名があり、マレーシア国内でのNFCアプリ展開にも期待が持たれる。

あと、H.I.ビジネスパートナーズの報告書によると、2011年における世界のNFC携帯端末は1億5,240万台、全体で8.3%の割合と予測されているが、これが2015年には27億6,330万台で85.9%の割合にまで伸びるとされている。いまの携帯電話にはユーザーが利用しなくともBluetoothやWiFiといった機能が標準搭載されているが、NFC機能についてもこれに似たものになるのだろう。言い換えれば、2015年には27億台ものNFCプロトコルに準拠したRFIDリーダーが市場に溢れることになる。





以前、RFID産業においては、ICチップの低コスト化やEPC C1 Gen2プロトコルの策定により、2010年頃から市場規模が急拡大するものと言われていた。だが、実際には先進諸国においてさえ、ある特定の領域以外ではなかなか普及するに至っていない。

ただ、NFC携帯などのモバイル端末が億単位で一般市場へ普及していくことで、RFID産業がようやく大きく飛躍する可能性を感じることができる。同時に、これまでとは異なるアプローチでRFIDアプリケーションを構築する必要があるかも知れない。

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マレーシア、 2010年第4四半期のGDP

2月18日、マレーシア中央銀行は2010年第4四半期のGDP成長率を発表(Economic and Financial Developments in the Malaysian Economy in the Fourth Quarter of 2010)

まず、全体のGDP成長率は前年同期比で4.8%となり、第3四半期よりも落ち込む結果に。産業別に見ても、建設とサービス以外はマイナス成長となっており、特に農業の落ち込みが大きい。発表資料によると、外需の低迷で製造業などは前期より下がったものの、官民の投資が内需拡大を促進しており、建設とサービスが前期より伸びたとされている。それにしても、この2年間の製造業の成長率変動はかなり大きい。


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そして、2010年通年でのGDP成長率は前年比で7.2%となり、2009年の-1.7%から大きく回復している。この結果をう受け、ナジブ首相は10%以上の経済成長を達成することはできないが、10年間にわたって政府目標値である6%成長を継続することは可能との見解を示した。





ただ、マレーシアは製造業を筆頭に外需に大きく依存した産業構造となっている。2020年までの10年間に、2009年のような落ち込みが起きないという可能性はかなり低いと想像するが…。また、マレーシア政府が推進する経済変革プログラム(ETP)において展開されているEntry point projectについても、計画通りに履行して期待通りの効果をあげることが求められるだろう。6%成長の継続は、なかなか難易度が高いような印象はあるが。

あと、たまたまETPのウェブページを覗いてみたら、かなりデザインが変更されていた。その中でも特に興味深かったのが、「Project updates」というページで各プロジェクトの情報が更新されている。まだプロジェクト概要と投資総額、雇用規模などについての情報しかないが、これが継続されて進捗状況などもアップデートされればと期待する。

マレーシアICT、2010年はスマートフォンが躍進

Frost & SullivanとGfK Malaysiaから、マレーシアにおけるICT市場の2010年実績と予測が発表された。

まず、2月10日にFrost & Sullivanが「Malaysian Mobile Broadband market to be worth RM9 billion by 2015」というタイトルでモバイルブロードバンドに関する報告を行っている。

発表によると、2010年のマレーシアにおける携帯ブロードバンド、及びデータ市場はRM 60億に達し、2015年にはRM 90億へ成長すると予測されている。また、2015年にはマレーシアのインターネットユーザーは2,300-2,500万人に達し、普及率は70%になるとの見通しを示している。

パートナー兼上級副社長のNitin Bhat氏は、2010年における携帯電話普及率は117%となっており、ワイヤレスブロードバンドは2015年には560万人に達する潜在性を有していると述べている。現在、マレーシアの人口は2,700万人程度であるから、だいたい全国民の20%がユーザーとなる計算。また、2010年のブロードバンド契約では、ワイヤレス回線が固定回線を上回っている実情も示された。発表された数字は、固定回線が165万件、ワイヤレス回線が200万件となっている。

実際私の周りでも、ワイヤレス回線を使っている人は結構いる。元々、マレーシアでは固定電話があまり普及しておらず、ADSLを契約するとなると結構大変なことになる。またそれ以上に、ADSL業者の対応が悪いために契約をキャンセルしたという話も頻繁に耳にする。私自身、今年になってからオフィスのブロードバンド契約を違う業者に変更しようとしたところ、説明などはきちんと対応してくれたのだが、いざ契約しようとしたら担当と全く連絡が取れなくなってしまった…。
あと、昨年からサービスが始まった光回線だが、マレーシア人の所得から見るとかなり高額であり、中々手を出すことができない。そうした理由もあり、多少通信速度が低速であっても、直ぐに使用できて且つ安価なワイヤレスブロードバンドが最近になって躍進していると思われる。

今回の発表で特に注目されているのが、スマートフォン普及によるブロードバンドユーザーの急増。同氏によると、2015年には1,300万人がスマートフォン経由でインターネットを利用すると予測されている。私の印象でも、多くの携帯電話ユーザーがスマートフォンに買い替えを行っており、中高生でも普通にスマートフォンを手にしている。また、知人の携帯電話ショップに行くと、知らないメーカーのAndroid端末が安価に販売されていたりしている。

次にGfK Malaysiaは、「More than 7.5 Million Mobile Phones Valued at over 4.5 Billion Ringgit Sold in Malaysia in 2010」とのタイトルでスマートフォン市場に関する発表を行っている。

発表記事を読んでいると、昨年からスマートフォン市場が急激に成長していることが分かる。まず、2010年は750万台以上のスマートフォンが販売され、同年における占有率は70%にも達しているという。さらに、前年比で販売台数は208%、売上高は150%増とその勢いは凄まじい。携帯電話産業そのものも前年比で30%の伸びを示しており、強い成長を示している。特に、昨年はAndroid端末が数多くのメーカーからリリースされたこともあり、選択肢が広がったことも大きいと思う。

Frost & SullivanとGfK Malaysia共に、今後のブロードバンド市場を牽引していくのはスマートフォンのような携帯端末と見ており、携帯電話キャリアーもそのためのコンテンツ拡充に経営資源を集中しているように感じる。なにより、私自身この5年間でマレーシアのインターネット市場は大きく成長し、選択肢が幅広くなったと実感できる。

Asian Green City Index、KLは平均的

英Economist Intelligence Unit: EIUは、アジア主要22都市の環境対策に関する調査報告「Asian Green City Index」を発表した。調査では、「Energy and CO2」、「Transport」、「Water」、「Air quality」、「Land use and buildings」、「Waste」、「Sanitation」、そして「Environmental governance」の8項目について評価が行われている。
ただ、EIUのウェブに詳細情報はなく、なぜかSIMENSのウェブにて報告書が公開されている。

まず総合評価を見ていくと、唯一シンガポールが「Well above average」に位置し、「Above average」には香港と台北、ソウル、そして日本の東京と横浜、大阪が位置づけられた。

マレーシアは、北京やバンコク、ジャカルタと同じ「Average」の評価。そして項目別に見ていくと、「Transport」と「Air quality」の評価が「Above average」と評価が高い。ただ、実際にKL市内で暮らしていて、この2項目が優れていると感じたことはない。アジア域の中では平均以上のスコアーなのだろうが、日本などの先進諸国と比較するとまだまだ改善の余地が見られる。公共交通網はまだまだ不便であり、移動手段として自動車やバイクがここ数年で急増している印象が強い。そのためか、一人当たりのCO2排出量はアジア平均である4.6トンを上回る7.2トンと試算されている。それでも、政府においてはMRT(大量高速輸送)システム計画が展開されており、排出量低減などに対する期待は高い。

逆に評価が低かったのが「Water」と「Waste」の2項目。水に関しては、消費量が周辺諸国に比べてもかなり多いこと、そして無収入水の原因である漏水が37%にも達していることが挙げられている。昨年8月には、日本から東京水道国際展開ミッション団がマレーシアを訪問し、この漏水の改善が優先しされていた。また「Waste」については、現在はほとんどが埋立てとされているものの、近年はその用地が不足していることが問題として挙げられている。実際、アジア平均が375kg / capita / yearであるのに対し、KLのそれは約2倍となる816kg / capita / yearという数字。政府においては、数年内にゴミの分別を徹底できるよう法整備の準備を進めているようだが、市民の意識が直ぐに改善されるかどうかが鍵となりそう。


[Asian Green City IndexにおけるKLの評価]
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マレーシアは、COP15: Copenhagen Accord において『2020年までにCO2排出量40%削減』という数字を正式に示している。この数字を実現するには、かなり抜本的な対応が必要とされるだろう。またそれ以上、個人的は日本の環境技術が大きく寄与することを期待したいし、ポテンシャルは高いと思う。

Global Services Location Index、マレーシアは第3位

2月2日、大手コンサルティングのA.T. Kearneyは外部委託先として魅力的な国を評価した「Global Services Location Index 2011 (GSLI 2011)」を発表した。調査対象は50カ国・地域となっており、ITサービス、コールセンター、バックオフィスサポートを含む総合BPOサービスについて、「Financial attractiveness」と「People skills and availavility」、そして「Business environment」の3項目で評価が行われている。

調査結果をみると、インドが1位、中国2位、そしてマレーシアが3位となっている。報告書によると、この3カ国は調査を開始した2003年から変動がないという。また、他の東南アジア諸国も上位10位以内に入っており、BPOにおける同地域の優位性を示す結果となっている。この順位だけを見ると、同社が昨年発表した SSO: Shared Services & Outsourcingの結果(インターネット利用調査)とほぼ同じ内容。双方ともBPOを対象としているので、当然といえば当然だが。


[アジア主要国のGSLI 2011評価結果]
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次にマレーシアの評価結果を見てみると、特に評価が高いという項目はない。アジア主要国内で見ても、「Business environment」ではシンガポールに次ぐスコアーを記録しているが、50カ国全体では上位に位置しているわけではない。ただ、全ての項目において平均以上のスコアーを記録し、バランスが取れているといった印象が強い。
逆にインドや中国については、事業環境に対する評価は低いものの、人材の高評価がそれを補うことで総合スコアーを押し上げている。

マレーシアにおける今後の課題は、人材面の育成だろう。人口からみると、中国とインドには数で太刀打ちすることはできないので、質の高い労働者を増やすことが重要になると思われる。確かに、IT産業の発展により、国内の大学ではITに関連する学部が増えているし、人気も高い。ただ、それでも大学の数は少ないし、マレー系以外だと進学も簡単ではない事情がある。高等学校に至っては、ITに関するカリキュラムを導入していない学校も多々存在する。

これまで、マレーシアでは政府主導によってブロードバンド環境などハード面の整備が行われ、成果が出るに至っている。今後は、人材育成などソフト面での更なる改善を期待したい。

国際特許、マレーシアは302件

2月9日、WIPO (World Intellectual Property Organization)は2010年における国際特許の申請件数を発表した(International Patent Filings Recover in 2010)





発表資料によると、世界全体の出願件数は前年比4.8%増の16万2,900件となり、2年ぶりの増加となった。記者会見の動画を見ると、特に日本と中国についての説明に時間が割かれている。日本は33,156件と全体で米国の44,855件に次ぐ2位、企業別ではパナソニックが2,157件で世界第1位、前年の1,891件からも大きく件数を伸ばしている。

アジア主要国を見ていくと、まず中国が前年比で36%プラスと大きく数字を伸ばし、ついに韓国を上回った。これまで、模造品大国として見られていた中国だが、着実に技術蓄積が進んでおり、日本に迫りつつあることが分かる。他の諸国も、フィリピンを除いて申請件数は前年比でプラスとなっている。


[アジア主要国の国際特許申請件数推移 2006-2010]
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ただ、日本と中国、そして韓国以外の申請件数はかなり小さい数字となっている。特に、東南アジア諸国は先進諸国から多くの製造業を受け入れ、技術移転を進めてきたはずだが、これら3カ国との乖離はかなり大きい。


[2010年のアジア主要国の特許申請件数]
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次にマレーシアの国際特許だが、申請件数そのものは増加傾向にあり、2010年は302件に達した。とは言え、申請件数は隣国シンガポールの半分以下と相変わらず少ない。マレーシアは、特に政府系において顕著に感じるが、マレーシアへの技術移転に関してはかなり圧力を掛けてくる。開発そのものは海外でもかまわないが、最終的な製造業務や技術移転はマレーシアとすることが使命のような印象さえある。ただ、せっかく取得した技術であっても、そこからの発展が見られず、結局は陳腐化してしまっている例が多々見られる。一つには、あまりにも短絡的に技術移転だけを目指すため、きちんとした技術蓄積ができないことが原因とも思われる。マレーシアに進出している日本企業などは、時間を掛けて人の育成や技術ノウハウの移転を行おうとしているのだろうが、それがマレーシア側にとっては遅々として何も進まないような印象を持たれ、日本人は技術やノウハウを公開しようとしないと言われる。
あと、技術に対する貪欲さが中国企業と比べると希薄な感じを受けるし、その差が中国とマレーシアの国際特許件数に繁栄されていると思う。結果、マレーシアにはグローバル市場で名の通ったメーカーが極端に少なく、単に大手メーカーの下請け的な存在を脱却できないでいる。


[マレーシアの国際特許申請件数推移]
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2020年の先進国入りを目指すのであれば、いまの特許件数の水準では寂しすぎると思うが。



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