総務省、RFID向けUHF帯の変更

日本のUHF帯RFIDにおいて、大きな再編が行われる見込みとなった。11月25日に総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース 電気通信市場の環境変化への対応検討部会」(タイトルが長い…)が開催した周波数検討WGの会合において、最終取りまとめの骨子案が示されたとのこと。これを書いている時点では、まだ25日の会議資料は掲載されていないが、会合そのものは今年5月14日からものすごいペースで開催されている。

今回のUHF帯再編では、RFID以外でも700/900MHz帯を使用しているFPUやラジオマイク、MCAが対象となっている。

RFIDについては、現在の950MHz帯から915~928MHz帯へと移行予定。タイムラインとしては、2012年からの移行開始で2017年度末までの完全移行を目指すとのこと。

日本のUHF帯を使用したRFIDが普及していない理由の一つは、この周波数規格にあったと思う。これまでの日本の規格は世界基準から離れ小島のような存在であり、私の知っているR/Wメーカーでも対応にも苦慮していた。新しい周波数帯であれば13MHzもあることからLBTが不要となり、周波数ホッピングだけとなれば、R/Wメーカーにとっては嬉しいことであろう。

ただ、「低出力」や「中出力」、「高出力」といった出力別の分類、そしてそれに伴う基地局などの各種申請を必要とする制度も、RFID普及の足枷になっていると感じる。実際にアプリケーション開発を行う上で、自由度が制限されていることはかなり不利に働く。

あと、導入済み機材の周波数取り扱いはどうするのだろうか?自己負担で周波数変更しなければならないならば、2012年の移行開始まで新規機材導入は控えたいというロジックが働いてしまいそうだが。F/W書換えで対応するにしても手間だろうし、アンテナも確か920MHz帯と950MHz帯を分けていたメーカーもあったと記憶している。
また、数年前に導入された機材においては既に製造中止となってしまい、新しい周波数に対応できない製品も出てきそうだが。そうした理由もあり、完全移行を2017年度末に設定しているのだろうか?

私自身、共振点を950MHzに設定したRFIDタグの開発を進めたりしていたので、この辺の見直しも余儀なくされてしまう。

いずれにしても、今回の再編で日本のUHF帯RFIDはかなり使いやすいものになるだろう。また、日本メーカーのR/Wも、もっと容易に海外展開できるようになるかも知れない。その結果として、世界のRFID産業における日本企業の存在感が高まることになればと期待する。


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シンガポール、IDAがNFC事業提案公募

Web 2.0 Summitにおいて、RIM(Research In Motion)の共同最高責任者Jim Balsillie氏がNFC技術について言及、次期バージョンの「BlackBerry」へNFC機能を搭載する計画があることに触れていた。

NFCについての言及は、下記動画の12分20秒以降から。





これで、ノキア、サムスン、RIM、そしてAndroidがNFCが搭載を発表し、来年2011年には数多くのスマートフォンでNFC機能を利用できる環境が整おうとしている。

スマートフォンのNFC技術搭載に大きな注目が集まっているが、シンガポールでは政府機関であるIDA: Info-communications Development Authorityから「Deployment of Interoperable Mobile Near Field Communication (NFC) Infrastructure and Payment Services Call for Collaboration (CFC) 」という文書が発表された。内容は、NFCモバイルペイメントサービス向けインフラの整備、NFCモバイルペイメントサービスの開発、サービス導入についてコンソーシアムからの提案募集といったもの。

シンガポールでは、2002年にFeliCaによる交通系支払システムが構築され、かなり早い時期に基本的なインフラは整備されている印象がある。それにしてしも、機を逃さないために、インフラ整備からロールアウトまでを政府主導で強力に推し進めようとする姿勢は凄い。
過去の実績からも、NFC機能を搭載したスマートフォンが普及すれば、シンガポールでの事業はかなりはやい速度で展開されていくだろう。

また、2011年4月13~15日には、シンガポールで「Near Field Communication World 2011」が開催される予定となっている。このイベント、過去にはRFID World AsiaとCards Asia、そしてRetail Solution Worldの3つが同時に開催されていた。NFCはそれらの中で小さく紹介されている程度であったが、次回からはNFCも主要テーマの一つとして扱われることになる。

東南アジア諸国においても、NFC対応のスマートフォンをベースとしたアプリケーション展開が楽しみになってきた。


マレーシア、 2010年第3四半期のGDP

11月22日、マレーシア中央銀行は2010年第3四半期のGDP成長率を発表(Economic and Financial Developments in the Malaysian Economy in the Third Quarter of 2010)。今年第3四半期のGDP成長率は、前年同期比で5.3%であった。今年下期からの景気減速はある程度予想されていたこともあり、国内での扱いはそれほど大きくなかった。


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アジア諸国全体が景気減速の局面にあるとのことで、マレーシアもそれに足並みを揃える形となっている。特に製造業への影響が大きく、マレーシアでも16%から7.5%へと大きく落ち込んでいる。輸出額を見ても、前期の13.8%増から6.6%増へと鈍化、純輸出は31.7%も減少している。なかでも、米国と中国向けの半導体やコンピューター部品の出荷が伸び悩んでいる様子。また、鉱業・鉱石は前年第4四半期以来のマイナス成長へ陥っており、農業以外はいずれも失速している。

あと、報告書中の「GDP by Expenditure Components」の項目を見ると、民間投資は7.1%と好調であるのに対し、公共投資はマイナス10.2%と大きく落ち込んでいる。景気刺激策が一段落した影響もあるのだろう。

今回の景気減速を受け、中央銀行ゼティー総裁は、来年第1四半期まで鈍化傾向が続く可能性を示している。いずれにしても、マレーシアの経済は外需に大きく左右される体質にある。政府としては、高所得国化を目指した経済変革プログラム(ETP)によって内需を拡大し、製造業の輸出低迷が景気に与える影響を抑えようとの思惑が働いているのだろう。


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YTL、4Gサービス開始

11月19日、YTL Communicationsは「Yes 4G Network」のサービスを発表。通信速度は3Gの5倍で、通話1分、SMS1件、3MBデータ当たり9セントという内容。







セレモニーにおいて、エグゼクティブチェアマンのTan Sri Francis Yeoh氏は、「It will be five times faster than the current 3G network but the price will be compatible ... very affordable and the best price.」と述べ、アドバンテージを強調している。専用ウェブ「Yes 4G」も公開されており、facebookで各種情報交換ができるようになっている。また来年末までには、追加費用なしでモバイルTVなどのサービスもパッケージとして提供される予定。

新聞発表によると、本サービスの投資金額はRM 25億となっており、半島部で65%のカバーエリアを目指しているとのこと。ただこのサービス、4Gと呼んでいる割には技術的な説明がほとんどなく、不明な点が多い。通信速度は3Gとの比較値しか記載されていないし、3.9GとなるLTEなのかどうかも分からない…。携帯電話のように018の番号が割り当てられているようだが、SIMカードは不要となっており、対応機器は4種類。現時点ではHuddleとUSB Dongleのみが利用可で、本サービスに対応した携帯電話も用意されている予定。

また、実際にマレーシアのブロガーが色々と通信テストなど評価しており、記事を読んでみると一様に期待したほどの通信速度は得られていない。また、料金体系についても色々なシュミレーションが行われており、ヘビーユーザーであれば他のサービスより割高とのコメントが出ている。SMSも、既存のサービスでもっと安く提供されていたと思う。

数年前には、iZZi社が「4G Wireless Broadband」というものを発表したが、使用している技術は iBurstと呼ばれるもので、どうして4Gという呼称が出てきたのか疑問に思っていた。そして今回は、YTL Communicationsが4Gという名前を使用しており、定義づけが曖昧なままとなっている。この国では、LTEも4Gと呼ばれているし…。

新聞発表等からも、YTL Communicationsの「Yes 4G Network」に対する意気込みはかなり強い印象。WiMAXではMCMCから計画遅延を指摘され、更に競合他社と比べてもあまり進捗が見えなかったことから比べると、今回の告知やプロモーション活動は大きく改善されている。ただ、提供されるサービスの内容が不明瞭であり、利用者が判断しづらいものとなっている。ターゲットとしている市場も良く分からない…。

GingerbreadとISISによるNFCへの期待

先月末、中国と韓国でNFC技術を使用したモバイルペイメントサービスが開始されると発表された。日本でも、今月10日にNTTドコモがおサイフケータイを使用した「iCタグリーダー」の提供を発表、NFC Type3Tagフォーマットに準拠したデータの読み取りが可能となった(おサイフケータイを活用した「iCタグリーダー」の提供を開始)。

そして今度は、米国から面白いニュースが配信された。まずは、Web 2.0 Summitのオープニングにて、GoogleのSchmidt CEOがAndroid 2.3(開発コード名「Gingerbread」)を紹介。この新しいOSではNFC技術をサポートしており、おサイフケータイのような使い方がAndroid携帯でも可能となる。数週間のうちにリリースされる見通しとなっており、携帯電話によるNFCベースのサービス拡大が期待できる。






そして16日には、AT&T Mobility、T-Mobile USA、Verizon Wirelessの大手3社が携帯電話による決済サービス会社「ISIS」の設立を発表した(AT&T, T-Mobile and Verizon Wireless Announce Joint Venture to Build National Mobile Commerce Network)。この3社以外にも、Discover Financial ServiceとBarclaysが参画を表明しており、米国でのモバイルペイメントサービスの本格化が期待されている。

ISISのCEOに就任したAbbott氏は、 "While mobile payments will be at the core of our offering, it is only the start. We plan to create a mobile wallet that ultimately eliminates the need for consumers to carry cash, credit and debit cards, reward cards, coupons, tickets and transit passes."とコメント、mobile walletという計画を示している。ただ、スマート携帯とNFC技術を活用した決済サービスは18ヶ月以内に主要地域で立ち上げるとのことなので、まだ時間がかかる印象。

NFCそのものはそれほど新しい技術ではないが、事業環境が未成熟であったこともあり、これまでなかなか普及するに至っていない。その中でも、携帯電話による支払いサービスとなると、日本以外では具現化されることはなかった。業界内では、携帯電話にNFC技術を搭載すれば大きな事業機会があることは理解していたが、いずれも実証試験レベルで停滞していた印象がある。ただ、ここにきてSymbian とAndroidのNFC対応、そして米国大手キャリアーによるモバイルペイメントサービス着手など、世界規模でのモバイルペイメントの環境が整いつつある。

特に、携帯電話にNFC技術が標準搭載されることになれば、国境を越えたシームレスなモバイルサービスが享受できる可能性も高まるだろう。

Doing Business 2011、マレーシアは21位

11月4日、世界銀行は183カ国・地域のビジネス環境について調査した報告書「Doing Business 2011」を発表。世界銀行がアップロードしている動画を視聴すると、マレーシアは大きく改善した国の一つとして紹介されている。また、今回の結果を受けてPEMUDAH (ビジネス特別タスク・フォース)のTan Sri Mohd Sidek Hassan委員長が「Malaysia moves up in ease of doing business rankings」とのタイトルでコメントをリリース、官民の協力によってビジネス環境が改善されたとしている。





まずアジア主要国での見ていくと、シンガポールが5年連続の1位と強さを見せた。逆に、日本とタイは前年から順位を落としている。日本の場合、特に開業の評価が低くなっている。マレーシアについては、前年の23位から2つ順位を上げて21位となった。2006年からの順位を見ても、周辺諸国と比べて順位変動が少なく、比較的安定していると言えるだろう。


[東アジア主要国におけるDoing Businessの順位の推移]
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報告書の中でマレーシアが高く評価されたのは、開業手続きのオンライン化、及び印紙の電子化による不動産所有権移転時間とコスト低減であった。特に、不動産登記に関しては前年から順位を25も上げている。


[マレーシアの評価項目別順位]
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実際不動産登記の詳細を見てみると、下記のように大きな改善が見られる。

不動産登記に要する時間(Yr2010 >> Yr2011)
マレーシア:144日 >> 56日
東アジア・太平洋:97.5日 >> 86.7日
OECD平均:25.0日 >> 32.7日

また、相変わらず資金調達と投資家保護では世界的にも優位性を見せている。個人的には、開業についてはもっと評価が高いような印象があるのだが、なぜかいつも低評価に終わっている。確かに、マレーシア人優遇や煩雑な手続きは見受けられるが、私の周りでは結構簡単に会社をいくつも設立していたりする。

ただ、全体的にはほぼすべての項目で改善が見られており、順位を押し上げる結果となっている。これまで、マレーシアの役所手続きは全てにおいて異常に時間を要することが普通であったが、オンライン化による効果も表れてきている。できれば、あらゆる役所手続きにオンライン化が浸透し、ストレスのないサービスが受けられる日が来ることを期待したい。


「Corruption Perceptions Index 2010」、マレーシアは56位

10月28日、トランスペアレンシー・インターナショナルは腐敗度を示した「Corruption Perceptions Index 2010」を発表した。





2009年4月に発足したナジブ新政権は、政府プロジェクトなどの透明性に特に注意を払ってきた。景気刺激策についても、その使途と経過が分かるよう、ウェブページにて情報公開を行ってきた。汚職摘発委員会(MACC: Malaysian Anti-Corruption Commisssion)についても、ナジブ政権下ではかなりの影響力を発揮できている。国家プロジェクトを扱っている政府機関と話をしたことがあるが、汚職摘発委員会による監査があるため、国家プロジェクト関係の書類整備などは以前よりもかなり厳しい状況にあると聞いた。

それにも関わらず、マレーシアの腐敗度は前年と同じ56位という結果。過去の経過を見てみると、1998年のマレーシア腐敗度は日本や台湾に並ぶものであったが、以降は年々下降傾向にある。ただ、1998年は調査対象が85ヶ国・地域しかなく、今年の178ヶ国・地域と単純比較することはできないであろう。また、1990年代のマハティール政権がいまより腐敗が少ないかといえば、かなりの疑問がある。実際には、今よりも横領や賄賂が横行していたであろうし、摘発されることも少なかったため、腐敗に関する情報が露出していなかったと思われる。


[アジア主要国のCPI変動]
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今回低評価であった理由を見ると、クラン港自由貿易地域開発に絡む汚職、Datuk VK Lingamのテープ問題などのスキャンダルが主因だったと指摘されている。ナジブ政権、及び汚職摘発委員会の行動が結果として評価されるのは、もう少し先なのだろう。


マレーシア国内のハイブッリド車競争

2011年度予算において、マレーシア政府はハイブリッド車への輸入税・物品税の免税措置を盛り込んだ。免税措置の有効期限は、2011年1月1日から2011年12月31日までの時限性。

“Full import duty and 50% excise duty exemption was granted to franchise holders of hybrid cars as well as hybrid an electric motorcycles up to 31 December 2010. To further encourage ownership of hybrid cars, import duty and excise duty exemption will be extended until 31 December 2011 with excise duty to be given full exemption.” - BUDGET 2011 SPEECHより

これを受け、トヨタとホンダが免税措置適用前に早速アクションを起こした。まず、10月28日にトヨタがプリウスを半島部でRM 17万5,000からRM 13万9,900へ引き下げることを発表。
『UMW Toyota Motor Announces The New Price For Prius』

次に、11月1日にホンダはシビックハイブリッドを半島部でRM 12万9,980からRM 10万8,980へ値下げすると発表。
『Honda Malaysia Announces New Reduced Price of Civic Hybrid』

世界的な環境問題に対する意識の高まりもあり、先進諸国ではハイブリッド車に対する人気は高い。私自身、たまに日本へ帰るとハイブリッド車の多さに驚かされる。翻ってマレーシアでは、税制優遇措置が充実していないなどの理由から販売価格が高くなってしまい、KL市内でもなかなか目にすることはできない。

今回、日本メーカー2社が大幅な値下げを行ったことで、ハイブリッド車に対する敷居は低くなった印象はあるものの、それでも一般ユーザーが進んでハイブリッド車を選択するには至らないだろう。

ただ、翌2日にはプロトン社顧問のマハティール元首相が、来年にプロトン社がハイブリッド車をRM 10万以下で市場投入する計画であると発表し、大きな話題となっている。マレーシア政府は、2020年までにCO2排出量40%削減という目標を標榜しているだけに、ガソリン車から環境負荷低減技術への移行は大きな意味を持つし、本気度の高さを示すことになった。

とは言え、個人的には、プロトンはもっと基本的な部分を充実させる必要があるように感じる。例えば、J.D. Power and Associatesが調査した報告書において、販売満足度(『Delivery Times That Exceed 14 Days Have a Negative Effect on Satisfaction with the New-Vehicle Sales And Delivery Experience』)や新車初期品質(『Overall New-Vehicle Initial Quality in Malaysia Declines Slightly』)におけるプロトン社の評価は軒並み低い。現地ユーザーがプロトンを選択する理由も、価格のアドバンテージがインセンティブとして働いているからと言える。
将来を見据え、新しい技術の導入を優先しなければならないという事情も理解できるが、足元となる土台がしっかりしていなければ、保護政策による価格優位性しか残らないことになってしまうだろう。



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