トレードオフ – ケビン・メイニー著

トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるかトレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか
(2010/07/06)
ケビン・メイニー(著)ジム・コリンズ(序文)

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本書では、「上質」か「手軽」かで事業対象を分類しており、企業はそのどちらかで優位にある時に大きな成功を収めるとしている。コンセプトそのものは面白く、共感できる部分も数多く見られる。上質とは「愛されること」であり、手軽は「必要とされること」と定義し、成功と失敗の事例を取り混ぜて展開されている。

興味深かったのは、本書ではオズボーンが人気のオズフェストを無料化した「フリーフェスト」については失敗事例として取り上げられているが、クリス・アンダーソン著のフリーでは反対の結論付けが行われている。どちらが正しいとはいえないが、個人的にはフリーによって生じる可能性に期待している。

あと、「65歳以上の層は、携帯電話だけを持つ手軽さよりも一般電話の上質さを圧倒的に支持した。ところが20代は、上質さよりも手軽さを優先させて携帯電話に軍配をあげている」との記述がある。これについては、結論付けがかなり強引な印象を受ける。65歳もの年齢になると、携帯電話の操作が難しく感じたり、不要な機能の多い機械を必要としないかもしれない。また、外出の機会が少なく、携帯電話の有用性が不要かもしれない。老人にとっては、携帯電話よりも一般電話のほうが手軽な存在のようにも感じる。また20代にとって、無機質な一般電話は当然手軽ではないし、同時に上質でもない存在のように感じる。

こうした疑問符のつく部分も見受けられるが、全体的に読みやすい構成となっており、自社の事業や製品・商品のポジショニングを再確認する上では役に立つと思う。

以下は、本書で紹介されているトレードオフに関するレクチャーの模様。プレゼンテーションと同時進行で説明されているので、理解しやすいと思う。








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マレーシアのブロードバンド普及率と高速化

10月28日、ムヒディン副首相はマレーシアのブロードバンド世帯普及率が53%超となったことを発表。政府目標であった2010年の普及率50%を、10月半ばで達成した。今年7月7日時点でのブロードバンド普及率は37.7%となっおり、目標の40%を下回っていたが、いきなり3ヶ月で目標を達成…。光ファイバーネットワークのサービス開始もあるだろうが、利用可能地域がまだ限定的であり、価格が高いことからそれほど大きくは寄与していないだろう。主因の一つとしては、スマート携帯普及によるブロードバンドユーザーの増加が考えられるか。



(残念ながらマレー語…)


また、政府は2015年までにブロードバンド世帯普及率75%を目標としてあげている。都市部の普及率は問題ないだろうが、地方に行くとまだまだサービスを享受できない環境にあり。地方での普及が目標達成の鍵となることから、政府は「Kampung Wifi」というプロジェクトも展開している。

高速ブロードバンドの新しい動きとしては、今月にU Mobileが42Mbpsブロードバンドサービスを発表した。「FASTEST BROADBAND SERVICE IN MALAYSIA」というプレスリリースによると、Dual-Cell HSPA+ (High-Speed Packet Access)という技術を採用しているとのこと。まずはBerjaya Times Squareにアクセスポイントを設置し、順次Klang ValleyとSubang Jaya、Sunwayでサービスを開始、ペナンやジョホールでもサービスを展開する予定としている。U MobileのFacebookを読んでみると、サービス開始は来年からとなっているが、料金プランなどの詳細はまだ明らかにされていない。

次にLTE (Long Term Evolution)についても、業界の動きが活発化している。マレーシアの新聞では4Gとして扱われているが、実際には3.9Gが正しい筈で、ITUは4GをIMT-Advancedとの名称に統一したと記憶している。

MCMCが今年9月17日に認可を出したのは、Celcom、Maxis、DiGi、U-Mobile、P1、Redtone、YTL、Airspace、Puncak Semangatの9社。Puncak Semangat以外は、通信業界では馴染みの会社。興味本位からPuncak Semangatという会社を調べてみると、Tan Sri Syed Mokhtar Al-Bukharyという富豪が関係した会社とのこと。この人、マレーシアの富豪ランキングでも7位に入っており、コングロマリット企業を運営している。Wikkipeddiaで経歴を読んでみると、結構苦労人であったとの説明があって面白い。

話をLTEに戻すと、セルコムとマキシス(Maxis commences Malaysia’s first successful LTE trial)が既に試験運用を開始しており、来年第1四半期までに100Mbpsの高速通信サービスが提供されるという。本当に100Mbpsもの速度を提供できるかは疑問だが、楽しみなニュースである。

ようやくマレーシアでも、高速通信をめぐって有線と無線による競争が生まれ、この数年間で通信速度が飛躍的に向上しようとしている。あとは料金体系についての競争が活発化し、より手ごろな価格でサービスが提供されれば嬉しい。


The 2010 Legatum Prosperity Index

10月26日、民間研究機関のLegatum Instituteは「The 2010 Legatum Prosperity Index」を発表した。調査対象は110ヶ国・地域。日本語では「繁栄指数」と呼ばれているようで、▽経済▽企業家精神・機会▽政府統治▽教育▽健康▽安全・セキュリティー▽個人の自由▽社会資本の8項目についての評価を指数化したものとなっている。





ランキングでは北欧諸国が上位を占めており、アジアではシンガポールの17位が最高位。マレーシアは総合で第43位、アジア諸国内では第6位という位置づけ。個別の評価を見ると、経済に対する評価は21位と高かったものの、個人の自由と社会資本が共に90位と評価が低かった。
個人の自由に関しては、移民や少数民族に対する姿勢が低評価とされており、これはブミプトラ政策を指しているのだろう。言論の自由などにも制限を感じるが、多民族国家であるが故に、難しい問題なのだろう。
社会資本については、社会的結束が弱いと評価されている。確かに民族間での結束は強くないし、国民性として他人任せの傾向が強いかも。


[アジア主要国の2010年繁栄指数ランキング]
prosperity_2010_1.png
Strong, Average, Poor


NFC、各国で商用サービス開始

ここ最近になって、NFCを巡る動きが活発化してきた。まず一つは、10月14日に韓国KTがNFCを使用した商用サービスを開始するというもので、公共交通機関の支払いなどが対象となっている。使用できる端末はサムスン電子のSHW-A170Kで、将来的にはAndroid端末へもNFC機能を搭載予定としている。KTの予測によると、2015年には全携帯電話の47%がNFC機能を有し、韓国のモバイルペイメント市場はUS$ 1,450億に達すると見込んでいる。

また中国においては、来月からChina Unicomが北京と上海、広州、重慶においてNFCペイメントサービスを開始する予定。使用する端末はNFCを搭載した電話、或いは既存の電話アドオンするとしている。

携帯電話メーカーからも、最大手のノキアが最近リリースしたC7にNFC機能が搭載されている。ただ、ソフトウェアアップデートが必要とのことで、現時点では使用できない。そう言えば、以前ノキアの副社長がインタビューで2011年からNFC搭載機種を市場へ投入すると言っていたので、C7以降の機種にもNFCが搭載される可能性が高い。

日本においても、シード・プランニングが「世界のNFC市場戦略2010 ~NFC・FeliCa最新動向~」という報告書においてNFC市場について言及している。プレスリリースを読むと、世界では2011年からスマートフォンを中心にNFC搭載携帯の商用化が始まり、2015年には全携帯電話の出荷台数の56%にNFCが搭載されると見込んでいる。日本市場においても、2011年末からNFC搭載携帯の商用化が始まり、2015年には全携帯電話の出荷台数の70%に搭載されると予測している。

私自身、数日前に韓国の媒体メーカー副社長と打ち合わせを行った際に、NFC技術に対してかなりの経営資源を割いている印象を受けた。これまで、この媒体メーカーはEPC C1 Gen2に準拠したUHF製品を中心に取り扱っており、世界的にもかなり有名な会社であったが、ここにきて国内でNFC技術を使ったサービスが始まるとのことで、戦略を変えてきた様子。付け加えて、韓国で行われている各種実証試験と共に、韓国がNFCにおいて世界的にもイニシアチブを発揮するため、テストベッドとして積極的に業界が動いていると説明していた。

こうした積極的な展開をしている韓国だが、同社副社長はNFC普及にはApple社の動向が最も重要と言っていた。携帯電話最大手のノキアでも韓国大手SamsungやLGでもなく…。そう言えば、先日Apple社がNFCのエキスパートを雇用したというニュースがヘッドラインで掲載されていたが、それほどにiPhoneは業界の動向を左右する存在になっている。

世界的にもNFC業界は盛り上がりを見せているようだが、逆にマレーシア市場においては特に目新しい動きは見られていない。「MaxisFastTap」という世界初のNFC携帯による支払いサービスも情報が更新されていないようだし…。せっかくある程度のインフラが整備されているのに、十分に活用できていない状況はもったいない。

インターネット利用調査

マレーシアのインターネット利用に関して、面白いデータがいくつか公開されていた。まず一つはA.T. Kearneyが行った調査で、SSO: Shared Services & Outsourcing進出先についてのもの。ナジブ首相がHPのグローバルセンター開所式にて、マレーシアはSSOにおいて世界第3位に位置しており、多言語を話すことができる良質の労働者が顧客の要望を満たしていると発表した。また同首相によると、現在140の海外企業、そして60の国内企業がマレーシアでSSOサービスを提供しているという。

報告書によると、SSO進出先として不動の地位にいるインドが世界第1位で、中国がそれに続いている。因みに第4位はタイ、第5位がインドネシアとなっており、アジア諸国が上位を独占する形となっている。

以前、私はマレーシアの多民族国家の優位性や高い労働品質、そしてビジネス環境を検証した結果から、『フィードバック型国際分業によるITアウトソーシング(2002年7月)』というものを提案した。当時、インドはアウトソーシングとして高い実績は示していたが、一極集中の傾向が強く感じられていた。また、アウトソーシングの内容もデータ入力などの簡単な内容が主軸であったが、将来的により高度な内容が要求されることは明らかであった。賃金水準や労働品質などから東欧諸国も同じように注目されていたが、今回の調査報告から結局はアジアに仕事が集約されたと言える。

次に、イギリスの市場調査会社TNSが発表したネット利用動向に関する調査報告書『Largest ever digital research project reveals major changes in online behaviour around the world 』。46カ国の16~60歳のネットユーザーが対象となっており、5万人から聞き取り調査が行われている。

発表によると、マレーシアはネット上で作る友達の数が平均233人で世界第1位(日本は29人で最下位)、さらに週平均のSNS利用時間が9時間とこちらも世界第1位。実際、私の周りでもFacebook利用率はかなりの数に上っており、小学校低学年の子供も利用している。また友達の数を見ると、概ね100~400人とかなり多い。たぶん、コミュニケーションツールとしてはメール以上に利用されていると思う。
SNSや共有サイトへの写真のアップロードについても、タイ(92%)、マレーシア(88%)、ベトナム(87%)とマレーシアは高い数字を示している。

通信速度などインターネット環境において、マレーシアはそれほど優れているとは言えない。それでも、安価に常時接続できる環境が整備されたこともあり、利用頻度は確実に高まっている。四六時中Facebookに投稿している知人も多い。ただ、これだけネット利用が活発な割りに、オンラインショッピングなどのサービスはそれほど普及していない。私自身、Facebookを通じた商品紹介・販売などを目にする程度。この辺、インターネットユーザーの利用において、日本などの先進諸国とは違う傾向にあるようだ。

今回、2つの調査報告でマレーシアのトレンドとアドバンテージが明らかになり、世界的にも注目される内容であった。今後、マレーシアがICT技術をベースにどのような発展を遂げていくのか、より楽しみとなった。


マレーシア、環境技術を重点化

10月13日、環境技術に関する展示会『IGEM2010』が開催された。日本からも、13社が展示出展しており、プレゼンテーションも行われたとのこと。因みに出展総数は270社で、24ヶ国・地域からとなっている。そういえば、私の元にもJETROから案内が届いていたし、高速道路沿いに『IGEM2010』と書かれた大きなビルボードを目にした。

オープニングセレモニーではナジブ首相がスピーチを行っており、マレーシアが域内でのグリーン技術の中心地を目指すことが示された。特に、太陽発電関連のFDIはすでにRM 120億に達しており、域内においては強さを見せている。

また国内発電についての言及もあり、今後再生可能エネルギーへの転換を順次図っていくとのこと。目標値としては、2015年までに6%、そして2020年までに11%となっている。同時に、政府はSeda: Sustainable Energy Development Authorityの開設によって関連法の整備を進め、COP15: Copenhagen Accord で示した『2020年までにCO2排出量40%削減』という数字の実現に向けて動いている。ただ、COP15の資料中にマレーシアの名前がないのだが…。マレーシアは発展途上国ということもあり、日本などの先進諸国よりも削減しやすいとは言えるが、それでもかなり高い目標値と思える。多分、他の発展途上国と比べても、マレーシアの排出削減目標は群を抜いているのではないだろうか?

そうした背景もあり、最近の政府の環境に対する動きはかなり活発化している。大型案件としては原子力発電計画や、KL市内の公共交通網拡充などがあげられる。他にも、2014年を目処に白熱電球の販売を全面的に禁止するといった政策も打ち出されている。
自動車産業に対しては、ハイブリッドカーに対する優遇措置と共に国内メーカーによる開発が推進されている。そして、政府公用車として国産メーカーのハイブリッドカーを採用する話も進んでいる様子。

また、先日発表された2011年度予算案におていも、環境技術についての言及がいくつか見られる。他にも、GPNM: Green Purchasing Network Malaysiaという機関がグリーン技術に関するポータルサイトを開設しており、国内での事業機会を提供しようとしている。ただ、情報量が絶対的に少なく、内容的には今後に期待といったところ。

普段の生活においても、大手小売店が毎週土曜日を「No Plastic Bag Day」に設定したり、NSWMD: National Solid Waste Management Departmentが2012年からの家庭ごみ分別を義務付けようとしている。現在、マレーシアではほとんどゴミを分別するという意識がないこともあり、リサイクル率は5%と低水準にとどまっている。NSWMDとしては、この数字を2020年までに22%へ引き上げ、ゴミ処分場に運ばれるゴミの量を40%削減することを目指している。先進諸国から比べるとまだまだ低水準ではあるが、マレーシア国民からすると凄い挑戦かも知れない。それほど、国民の環境に対する意識はまだ低い。

それでも、政府による環境政策や支援が本格化していることから、同域内においてはイニシアチブを発揮できる可能性が高い。雰囲気的には、IT産業推進のためにMSCを立ち上げた時の状況に似ている。私のところにも、ローカルの知人から日本の有望な環境技術について問い合わせがよく来る。
いまは大手企業による進出が多い状況にあるが、私としては日本の中小企業が持っている環境技術は高いポテンシャルを有していると思うし、積極的な進出を期待したい。

JAIF、自動車業界向け通い箱のガイドライン策定

10月12日のRFID Journalに、『Automotive Groups Agree on RFID Guidelines for RTIs』という記事が掲載されていた。RTIはReturnable Transport Itemの略で、日本語で言えば「通い箱」という意味に。

今回策定されたのは、『Global Guideline for Returnable Transport Item Identification』というもので、Automotive Industry Action Group (AIAG)、Europe's Odette International Ltd.、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会が設立したJoint Automotive Industry Forum (JAIF)によって作成されている。

RFID業界において日本は後塵を拝している状況にあるが、自動車製造に関する分野では存在感を発揮できているのかも。また、日本の製造業においては、通い箱へのRFID技術適用がかなり積極的に展開されていることも追い風となっているのだろうか。いずれにしても、こうした国際規格策定において日本の影響力が発揮できていることは嬉しい。

AIAGのウェブを見ると、9月30日に『AIAG, JAMA, JAPIA and Odette International Develop First Global Automotive Standard Using RFID with Returnable Containers』というプレスリリースが発表されており、こちらにも情報が掲載されている。

興味深いのは、プレスリリースに通い箱に関する実情が示されていること。まず「通い箱に関して問題が生じていますか?」との問いに、76%が問題に直面しており、36%は通い箱不足による業務中断、部材や通い箱の紛失が28%などの事情が明らかとなっている。これら問題に対処するため、北米においては年間US$7.5億の支出が生じているという。

次に技術的な部分を読んでみると、今回使用されているのはEPC C1 Gen2に準拠したタグで、バーコードやQRコードなどの印刷媒体との併用が規定されている様子。RFIDタグの精度は最低でも99.998%とされており、それは100万回の読み取りにおいて2回のエラーとされている。この精度がどのような環境下での読み取りを示しているのか発表資料から把握することはできないが、かなり高い数字という印象がある。そしてこのRTIは、自動車メーカーやサプライヤー、流通業者をカバーすることで、通い箱のSCMが形成されることになる。
また、RTIにはUnique Item Identifier (UII)として、アルファベッドか数字で最大35文字(パートナーとの合意で最大50文字)の固有IDが付与される。さらに、通常の通い箱が使い捨てではないこと、且つ環境への影響も考慮した結果、タグ情報の書き換えも許容としている。

今回のガイドライン策定に際しては、ミシュランのRFID専門家であるPatrick King氏が中心となって働きかけを行っている印象がある。この方、RFID業界では結構有名な人で、TPMS (Tire Pressure Monitoring System)や特殊タグの開発も手がけており、かなりアグレッシブな人物。

通い箱に関するガイドラインは、今月中にもAIAGのウェブに無料公開されるようなので、楽しみに待ちたい。また、JAIFは自動車部門におけるItem Level Taggingについても同様のアクションを起こしているとのことなので、RFID市場拡大の起爆剤になればと期待する。


スギハラ・ダラー – 手嶋龍一

スギハラ・ダラースギハラ・ダラー
(2010/02/26)
手嶋 龍一

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前作の『ウルトラ・ダラー』はICタグの部分において現実と整合性の取れない内容も見受けられたが、全体として面白く読むことができた。第2作目となる本書は、杉原千畝の「命のビザ」発給からストーリーが展開されていくというもの。題材としては面白そうだが、いろいろと詰め込みすぎたためか、私はストーリーに前作のようなシャープさを感じなかった。

それでも、読み進めていて著者の知識の豊富さには驚かされるし、一気に最後まで読み終えてしまった。


モチベーション3.0 – ダニエル・ピンク

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すかモチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
(2010/07/07)
ダニエル・ピンク

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大前研一氏が翻訳をしていることもあってか、本書はかなり読みやすく、コンセプトそのものも面白い。コンピューターのOSを社会に適用し、人類初のOSをモチベーション1.0、工業化社会の時代を2.0、そして本書のターゲットは3.0となっている。

本書では、Wikipediaを例に挙げてモチベーション3.0が従来の手法よりも効率的に機能していることが紹介されている。確かに、Wikipediaそのものは急速な成長を遂げ、他社を寄せ付けない存在となった。インターネット利用者であれば、誰もが利用しているであろうし、便利なサイトである。ただ、同社の寄付だけによるビジネスモデルが今後も長期にわたって継続できるかどうかは分からない。私自身、モチベーション3.0は、まだ過渡期にあるように感じるが。

とはいえ、社会構成は大きく変化しようとしており、モチベーション2.0が通用しなくなっている分野があることも明らかであろう。ここマレーシアにおいても、仕事においてモチベーションを強調する労働者が増えている。昔は給与水準が企業選定の主軸であったが、最近はモチベーションに関するものもその基準に入ってきている印象がある。
長期にわたって労働者の仕事に対する意識を高め、継続させるという意味においてモチベーション3.0は大きな意味を持つであろう。

あとこのモチベーション3.0、本書では子供の教育についても言及しており、面白いものがある。


ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」






マレーシアの苦情件数

BERNAMA.COMに、「Number Of Complaints On Public Transport Arising」という面白い記事が掲載されていた。記事によると、National Comsumer Complaints Centreという機関が国内の苦情を受け付けており、今年は8月の時点で1,160件の苦情が寄せられているとのことで、1日あたり平均で10件の苦情が来ているという。因みに、2008年は1,493件、2009年で2,024件となっている。特に、公共交通機関での苦情が多いようで、遅延や機器の故障、サービスの質が低く、待ち時間が長いことなどが挙げられている。実際、このような事態は誰もが経験していることであり、公共交通機関と同様に役所などの公共サービスも似たような状況にある。

NCCCのウェブページを見ると、「Comsumer alert」としていろいろな苦情が掲載されている。多くは大手企業の製品品質やサービスに関するものだが、読んでいると自身の経験に合致したり、本当に?と思うようなケースも紹介されていて面白い。
私自身も、最近の出来事としてあるスーパーの広告が全国紙に掲載されており、欲しい商品があった。早速買い求めにいくと、店員からは在庫切れとの反応・・・。他のブランチを回っても在庫切れで、結局プロモーション期間中にその商品が補充されることはなかった。他にも、交通量の多い交差点の信号が壊れているにも関わらず、数日間そのまま放置されていたこともある。

このBlogでも何度か書いているが、マレーシアは大型の新規プロジェクトを立ち上げることには熱意をもって遂行しようとするが、プロジェクト立ち上げ後はその熱意が冷めてしまうのか、製品品質やサービス品質の低下、そして維持管理がなおざりにされるケースが多い。ルックイーストによって日本を見習う姿勢は示したものの、『改善』などの地道な努力はあまり浸透していないように感じる。

また、このNCCCについてはあまり知名度が高くないようで、私の周りのマレーシア人はその存在を知らなかった。もしこの機関の認知度が高ければ、苦情件数はかなりの数に上ると容易に想像できる。この機関の知名度が高まり、そして影響力を持つようになれば、マレーシアの製品やサービスの品質の向上に寄与すると思うのだが。

エアアジア、羽田空港へ就航

9月21日、エアアジアが羽田空港への就航を発表した。12月9日からの就航で、プロモーションでは羽田-クアラルンプール間で片道5,000円という安さ。東京から静岡へ新幹線で移動するよりも安い。このニュースはマレーシアよりも日本での注目度が高く、格安航空会社(LCC)の分析なども紙面を飾っていた。






早速、エアアジアのウェブサイトにアクセスしてみると、羽田-クアラルンプール間の予約はできるものの、プレスリリース情報が公開されていない。この辺はマレーシア企業らしいというか・・・。ただ、日経にはエアアジアが配布したプレスリリース「エアアジアX、12月9日より羽田-クアラルンプール直行便就航」が掲載されていた。

数年前からエアアジアは日本への就航を目指していたが、日本のビザ規制などの理由から計画が幾度となく見送られてきた経緯がある。そうしている間、エアアジアはオーストラリアや韓国、台湾などへの路線拡大を続け、日本への就航はかなり遅れた感じがする。今回の発表についても、マレーシア在住の日本人からすると「ようやく決まった」といった印象が強いのではないだろうか。

私が初めてエアアジアに搭乗した時は、薄っぺらい紙に印刷されたボーディングパス、有料の機内サービス、安い印象の機材設備など、どうしてもマレーシア航空などの大手航空会社と比較してしまったが、いまではそれも気にならなくなってきた。また、いろいろと改善も進み、当初のサービスよりもだいぶ快適にもなっている。ただ、運行頻度を高めて低コスト化を実現していることもあり、あいかわらず便の遅延が生じているようだが。それでも、安いチケットだと理解していれば、仕方がないと納得することもできる。

日本では、格安航空会社に対して既存の航空会社が脅威と感じている記事が目立つ。実際マレーシア国内でも、マレーシア航空の市場が減少するとの見方は多かった。マレーシア航空は国内市場を独占しており、怠慢な経営体質がよく批判されていた。ただ、市場に競争が生まれたことでマレーシア航空のサービスが向上し、経営体質も大規模なリストラによって無駄を省く努力が行われた。利用者についても、格安航空会社を使うのか、通常の航空会社を使うのか旅行の目的にあわせて使い分けをしている。

いずれにしても、マレーシア発のサービスや製品が日本で注目されるのは嬉しいし、他の空港へも就航することでもっと利便性を高めて欲しい。


まさか!? – マイケル・J・モーブッサン著

まさか!?―自信がある人ほど陥る意思決定8つの罠まさか!?―自信がある人ほど陥る意思決定8つの罠
(2010/04/09)
マイケル・J・モーブッサン

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レナード・ムロディナウ著の「たまたま」や、 ナシーム・ニコラス・タレブ著の「ブラック・スワン」といったランダム性に関する著書がトレンドのようだが、本書も「運」の重要性に注目するなど同様の内容が見られる。

本書では、意思決定に陥る8つの罠を示している。印象深かったのは、「状況による」を考慮せず、「成功の方程式」なる万能薬を切望するというところ。一つの成功したやり方が絶対的となってしまったり、それがビジネスノウハウとしてメディア等で紹介されることがある。しかし、意思決定に際しては状況を考慮することが重要であり、属性や性質で判断すべきではないと紹介されている。たぶん、これは多くの企業が陥っている罠であろう。特に、変化を嫌う日本企業においては、過去の成功例を長期にわたって踏襲している例が多いようにも。

あと、YoutubeにHarvard Business Reviewとマイケル・J・モーブッサン氏とのインタビューがアップされているので、そちらも参考になると思う。






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