Wal-Mart、アイテムレベル管理導入へ

2005年1月、米Wal-Martがサプライヤーに対してケースやパレットへのRFID適用を求めたことを受け、RFID技術への注目は世界的に高まった。特にEPC標準に準拠したUHF製品への期待は高まり、各国でも急速に法整備が進められた。また業界からは、ICチップ価格が5セントにまで下がれば、RFID市場はさらに急速に拡大するであろうと楽観的な観測も言われていた。

それから5年の月日が経ち、ICチップ価格はブレイクポイントとなる5セント前後にまで達した。チップの性能は飛躍的に高まり、媒体の通信特性も長距離通信が安定的に行うことができ、いまでは多種多様な製品が市場に登場している。だが、市場規模そのものは、業界が期待したほどの成長を見せるには至っていない。バーコードに代わってRFIDが業界標準となる、そういったアプリケーションも生まれていない。

IDTechExが発表した「RFID Forecasts, Players & Opportunities 2011-2021 」によると、2009年度のRFID市場はUS$50.3億で、2010年度はUS$56.3億を予想している。最も高い成長を示しているのはUHFパッシブであり、特に英Marks & Spencerが最大のユーザーで今年は2億枚のタグが消費される見込みとか。

ただ、それでも現在のRFID市場において最も大きなシェアを有しているのは13.56MHz帯となっており、ISO 14443準拠が全体の64%を、ISO 15693 / 18000-3が14%、両方で実に78%という数字になっている。それに対し、ISO 18000-6準拠のUHF製品は12%とまだまだ規模が小さい。

そんな折、The Wall Street Journal電子版紙面に、「Wal-Mart Radio Tags to Track Clothing 」という記事が。中身は、Wal-MartがアイテムレベルでのRFID運用を行う計画であるとの情報。まず第一ステップとして、来月から男性もののジーンズと下着にRFIDタグを取付けて運用を行う予定であり、ここで成果を見ることができれば、米国内のWal-Mart 3,750店舗以上でジーンズと下着以外にも拡大して導入を図る様子。
使用されるのはEPC Class1 Generation2に準拠したUHF製品となっており、インベントリーマネージメントの最適化が重要視されている。どのICチップが使用されるかはサプライヤーしだいだが、米国のプライバシー問題が大きな障害となっているだけに、ImpinjかNXPの最新のチップが持っているプライバシー保護機能が使用される可能性もある。

今回のWal-Martのアイテムレベルでの導入が進めば、UHFパッシブ市場拡大に向けた一つのターニングポイントになると思われる。これまで、小売部門ではパレット管理へのRFID技術適用は結構普及してきた感じはあるが、中々アイテムレベルへ展開することができていない(ここマレーシアでは、パレット管理にRFID技術を導入している企業も少ないが…)。もし、アイテムレベル管理でROIが数字で示されることになれば、導入に向けたハードルは確実に低くなるであろうし、各社も導入効果を真剣に検討することになるだろう。

そう言えば、先月開催された「第8回中国(北京)RFIDとモノのインターネット国際サミット」というイベントにおいて、中国のICカードおよびRFIDの市場規模はそれぞれ、世界1位と3位になったと発表されていた。
Wal-Martのサプライヤーの多くは中国に製造拠点を持っており、Wal-Martの決定が中国のRFID産業のリープフロッグ的な成長に寄与した印象が強い。結果として、いまでは媒体メーカーからハードウェアメーカーまで、中国国内には多くの企業が育っており、価格競争力もかなり高い。また中国国内においても、偽造問題への対策などでRFID技術が注目されており、結構利活用が進んでいると聞く。

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12th ECR Asia Pacific Conference 2010

23日、GS1 malaysiaからEPCイベントの案内が。10月4日~6日の日程でクラウンプラザホテルで開催されるとのこと。プログラムを見ると、ユーザーグループのセッションが多いようにも。


12th_ECR_Asia_Pacific_Conference_2010.jpg


問い合わせ先情報は、FMMのページに。また、本イベントのページも用意されている。


KDDIとソフトバンクモバイル、韓国SK TelecomとNFCサービスでMOU締結

7月15日、KDDIとソフトバンクモバイルがNFCサービスで、韓国SK Telecomと覚書を締結したと発表した(KDDIのプレスリリースソフトバンクモバイルのプレスリリースSK Telecomのプレスリリース)。

これより前の6月28日、ソウルで開催された「日韓モバイルNFCカンファレンス」において、モバイルNFC市場の展開について企業レベルでのカンファレンスが開催されている。今回MOUを締結した3社も参加しており、プログラムには「おサイフケータイの実績と課題」といったようにかなり踏込んだ内容であったことから、この提携に関する素地ができていたと想像する。

今回のMOUの対象は、以下の2点。

(1)
日韓の両国で、携帯電話をかざすことで利用できるクレジット決済やクーポン券、会員証、ポスターからの情報取得など多くのサービスの実現性の検討

(2)
アプリケーションのダウンロードや本人認証を行うサーバーなどサービスを実現する設備の相互利用の可能性の検討

NFC技術そのものよりも、システム全体やビジネスモデルの構築が主体となっており、日韓両国で利用できる共通のインフラ整備といった印象が強い。

前回、「MIFARE4Mobile Industry Groupの設立」でも書いたが、日本の電子支払いサービスは離れ小島のような存在となってしまい、世界市場では互換性を持たない可能性も有している。例えば、欧州の旅行者が東南アジアや北米諸国を訪れた際、NFCを搭載した携帯電話で小額決済などのサービスを自国にいるのと同様に携帯電話で受けられるのに対し、日本ではその機能が使えないということが発生するかも知れない。

また、KDDIやソフトバンクモバイルとしては、NTTドコモのおサイフケータイに依存したサービスの提供から脱却したい思いもあるだろう。実際これまでも、KDDIとソフトバンクモバイルはNFCを搭載した携帯電話での実証試験を行っており、おサイフケイタイ以外の選択肢を視野に入れた活動を展開している。他国に比べて出遅れの感はあるが、周辺インフラは整備されており、且つ顧客の理解度が高い日本であれば、案外他国に先駆けて実サービスが始まるかもしれない。
逆にマレーシアでは、すでにNFC携帯のサービス「Maxis FastTap」が開始されているものの、ほとんどの利用者がその存在を知らないし、利用頻度はかなり低い状況と思われる。


A first in Msia tap your mobile to pay with Maxis FastTap




マレーシアのブロードバンド普及率、「37.7%」

7月2日、Telekom Malaysia(TM)は「TM BRINGS UNIFI TO 18 MORE AREAS NATIONWIDE - Service coverage ramp-up to cater for pent-up demand in more areas」というタイトルのニュースリリースにて、光ファイバーサービスのエリア拡張を発表した。首都圏だけでなく、ケダやペナン、ジョホールなどの工業エリアが対象に加わっている。

そして7月13日には、UniFiが力を入れている「HyppTV」と呼ばれるIPTVサービスについて、「HyppTV BANKS ON VIDEO-ON-DEMAND OFFERINGS TO WOO CUSTOMERS - Superior and diverse VoD offerings to entice customers as TM continues to ramp up additional content partners」というプレスリリースを発表した。

発表によると、現在22チャンネルとなっている同サービスを年内には30チャンネルに増やす計画。UniFiのウェブページを訪問してみると、すでに「HyppTV」の専用サイトが用意されていた。http://www.unifi.my/hypptv/ TMでは、今年末までに75万件のHSBBアクセス可能世帯のうち、6~8%が同サービスの契約に至ると期待している。





このように光通信整備向け投資を積極的に進め、付加価値サービスの拡充を図っているTMだが、市場からは金持ちのためのサービスとも言われている。実際、同社のサービスは他国の光ファイバーサービスと比較しても割高であり、国内ユーザーからは期待外れの声も聞かれる。

こうした声を反映してか、7月13日に行われたイベントにおいて、情報・通信・文化省のRais Yatim大臣はブロードバンド通信料金の引き下げを各社に要請したとのこと。新聞記事によると、マレーシアのインターネット人口は1,600万人に達しており、その内230万世帯がブロードバンドを、750万人が3G、そして100万人がダイヤルアップ接続という。3Gの利用者が意外と多いことに驚かされるが、いずれにしても成長が鈍化傾向にある様子。

マレーシア政府としては、今年末までにブロードバンド通信の普及率50%達成という目標を挙げているものの、7月7日時点でのブロードバンド普及率は37.7%(238万世帯が加入)しかなく、目標の40%を下回っている。因みに、2009年末のブロードバンド普及率は31.7%で目標の30%を上回っている。
政府としては、今年末までの6ヶ月間で普及率をあと12.3%増加させる必要があるが、目標達成には何か大きな起爆剤が必要となっている。普及率を上昇させる即効性の高い方法は、料金の引き下げであろう。実際に通信各社が料金体系の見直しについてアクションを起こすかどうかは分からないが、他国に比べて割高の通信料金が改善されれば嬉しいこと。


プロトン「サガ」、発売25周年

7月9日、プロトン社の「サガ」が発売から25周年を迎え、大規模なセレモニーが行われた。何かないかとYouTubeで「プロトン」を検索してみると、創業25周年のプロモーションビデオが公開されていた。動画はこれまでのプロトン社の歴史を紹介するようなストーリーになっており、懐かしさを感じさせてくれる。また、セレモニーでは、プロトンの発展に貢献した651人が表彰されたとのこと。







先月はVW社との提携交渉が不調に終わったことを受け、一時はロータス売却が噂されるなど、企業の経営状況はかなり厳しい。昨年10月にマレーシア通産省はNAP: National Automotive Policyの見直しにおいて、世界的な相手先ブランド生産会社(OEM)との戦略的パートナーシップに自信を見せていた。しかし、大方の予想では提示されている条件(下記5項目)が海外メーカーとして受け入れ困難であることは言われており、そして予想通りの結果となった。

- 輸出増、及びマレーシアを域内製造ハブとする
- マレーシアへの最新技術移転とR&D導入
- ローカルコンテンツの増進とブミプトラベンダープログラムの開発強化
- ディーラーネットワークにおけるブミプトラ参画増進
- プロトンブランドと特定セグメントにおける国内マーケットシェア保持

プロトン社の説明では、「VWは他に優先すべき事業があるため、マレーシアの自動車メーカーとの戦略的パートナーシップを推進しない」との理由だが、上記のような前提条件を示されると、流石にどのメーカーも躊躇するだろう。

現在、世界的に自動車業界は生き残りのため、大手メーカーさえも企業再編を行わなければならない厳しい状況下にある。そうした中、プロトン社は政府の保護政策によって国内における価格優位性を長期にわたって享受している。初期の段階において、この政策は効果的に作用し、国民車の成長や育成に寄与してきた。ただ、長期に渡る保護政策は企業の怠慢を助長し、且つ木々等としての成長が停滞してしまう。結果として、最近では国民は割高でも性能や品質、デザインに優れた海外メーカーの自動車を買う傾向となっている。

そうした事情もあり、セレモニーに参加したナジブ首相のスピーチはかなり印象深いものであり、「これまでのプロトンの25年の成功が今後の成功を保証するものではない」とし、持続可能な企業を目指すために抜本的な改革を即すものとなっていた。提案のひとつとして、「生産が過剰状況にあるならば、国内メーカーとの合弁を行い、そしてより強くより大きな自動車メーカーとすべき」と述べている。

同首相の示した提案は自動車業界において当たり前のことであるが、これまでプロトン社は応急措置でそれを先延ばしにしてきた。同社が今後25年の長期に渡って世界の自動車産業の中で成長を続けるのであれば、これまでとは全く違う戦略を採用すべきであり、政府も競争促進のための足枷を作るべきではないと考える。そうでなければ、マレーシアの消費者が不幸な立場となってしまうのだから。


9A+のすべての学生に奨学金

7月10日、ナジブ首相は9A+の学生すべてがPublic Service Departmentからの奨学金を得られることを決定したと発表。マレーシアの場合、政府系の奨学金は民族別に割り当て数量が決められており、優秀な学生であっても中国系やインド系であるがために、選考から落とされたという事例をよく耳にしていた。

今回の発表において、ナジブ首相は「It doesn’t matter if they are Malay, Chinese, Indian, Kadazan, Iban or others. If they score 9A+, they will get the scholarship whether for local or overseas studies.」と述べ、教育の機会均衡へ尽力していることをアピールし、「1Malaysiaは単なるスローガンではない」という強い意志を示している。

ただ、これまでのマレー優遇の経緯もあり、中国系の中には今回の決定にまだ疑念を抱いている人もいる。私自身、「最終的には、民族割り当てがあるのではないか?」或いは「奨学金給付情報が非公開とされるのではないか?」といった悲観的な声も耳にしている。

それでも、ナジブ政権では着実にブミプトラ政策の見直しを進めており、今回はその対象が教育分野にまで及ぶことができた。少しずつではあるが、着実に目に見える成果が出てきていると思う。

最終的には、大学の入学枠における機会の均衡を達成できれば、マレーシアの知識レベルはさらに向上するだろうし、国内の競争意識も高まり、国の経済活動や産業レベルも先進諸国に追いつくことが可能だろう。

以前、マハティール氏は首相時代にブミプトラ政策によるマレー人の意欲低下を嘆き、最後までこの政策を廃止することはできなかった。自身はマレーシア発展のためにはブミプトラ政策の大幅な見直しが必要なことを理解していたものの、ついにその機会は巡ってこなかった。アブドゥラ首相もマハティール政権時代の政策を踏襲し、大きな変化は起こらなかった。そした歴史的背景において、今回の決定は評価されるべきものだと思うし、今後の展開にも期待が持てる。


MIFARE4Mobile Industry Groupの設立

2010年6月30日、NXP、Ericsson、Gemalto、Oberthur Technologies、STMicroelectronics、Venyon、そしてVivotechの7社は「MIFARE4Mobile Industry Group」を設立したことを発表(詳細は「Industry Leaders Establish MIFARE4Mobile Industry Group」を参照)。発表によると、数ヶ月内にMIFARE DESFire、及び複数のTSM (Trusted Service Managers) をサポートする仕様を策定予定とか。


このMifare4MobileがカバーするAPI構成は、以下の3つとなっている。

1. ウォレット及びユーザーインターフェースAPI

2. Over-the-air、及びtrusted service manager API

3. セキュアー・エレメント・プラットフォームAPI


これにより、同グループはNFCを搭載したSIMカードや携帯電話などの機器におけるMifareベースの標準化を推し進め、各種トランザクションの相互接続性の実現を目指している。今回、MIFARE DESFireをベースとしていることから、おサイフケータイのような電子支払いサービスも当然視野に入っているであろう。

ただ、NXPがリリースしたPN544というNFCチップはモバイル向けということなので、明らかに携帯電話へ搭載することが主目的となっているであろうが、大手携帯電話会社からはなかなかと同製品を搭載した製品がリリースされない。NXPのNFC担当からは、2010年中にNOKIAとSamsungから数機種がリリースされる予定と聞いていたのだが、今のところマレーシアのFonelabs社がPN544を搭載したX-Seriesをリリースしたのみ。

とは言え、中国や欧州ではNFCベースの各種電子支払いサービスが開始されてきている。その市場規模やポテンシャルを考えると、近い将来、欧米韓の大手携帯電話各社はNFCを標準搭載してくるであろう。

日本はソニーのFeliCa技術を携帯電話に搭載することで、おサイフケータイという世界的にも先進的なサービスを開始することができた。少し前まで、日本の携帯電話は買い物もできてメールやウェブブラウジングもできるという優れものであり、海外からは憧れの目で見られていた。私も日本からマレーシアへ生活の拠点を打ちした際、こちらのGSMベースの携帯電話の機能の少なさに驚いた。それが今では、iPhoneなどのスマートフォンの登場によって形勢が大きく変わろうとしている。そして、近い将来にはこれらスマートフォンにも電子支払いサービス機能が標準搭載されるであろう。

1990年代、日本の携帯電話は技術を追及するあまり独自の方式に走ってしまい、世界から孤立した存在となってしまった。今後は、電子支払いサービスにおいて日本の携帯電話だけが世界各国で使用できないという孤立状態に陥らなければ良いのだが。そういえば、NFC技術そのものはFeliCaもサポートできる仕様となっているのだが、欧米のNFC機器メーカー数社にFeliCaへの対応状況を尋ねたところ、いずれも動作確認は行っておらず、テクニカルサポートも不可とか。


2009年 のマレーシアIT関連統計

放置状態になっているウェブページ「Business Architecture」ですが、久しぶりに更新しました。ITUの統計資料をベースとした、『2009年のマレーシアIT関連統計』を追加しています。


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会社の宣伝 - FEC International

今日は会社の宣伝です。長らくアップデートしていなかった会社のウェブを更新、新規に2つのページを加えました。

一つは、「UHF Tag Special Form」のページを追加。ワイヤー形状のタグや工業用ゴムを使ったタグ、パイプに巻きつけられるタグ、金属対応タグなどなど、ユニークなタグを各種取り扱っています。すべてEPC C1 Gen2に準拠しており、アイデアしだいで色々なアプリケーションを提案できそうです。












そしてもう一つは、「Active RFID」のページ。製品はISM 2.4GHz帯を使用しており、香港と中国の病院で使用されている実績を有しています。タグの方も、各種アプリケーションに対応できるよう、様々なバリエーション用意しています。



あとマイナーチェンジとして、「UHF Reader Writer」のページにアンテナとRWが一体となった製品群を加えました。アンテナを1枚しか使用しないといったアプリを、これまでより低コストで実現できそうです。



政府オンラインサービスの活用

7月7日、政府のオンラインシステムの利用向上について、Tan Sri Sidek Hassan政府主席長官のインタビュー記事が掲載されていた。

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Government online services ‘help lower costs, boost efficiency’
PUTRAJAYA: More people should be using online or electronic services provided by the Government as they were safe and efficient, said chief secretary to the Government Tan Sri Sidek Hassan.
He said at least 50% of government agencies and departments were providing their services electronically, but the number of users was still low.
“We need to double efforts to promote the use of electronic government services among Malaysians, who should not have any reservations about the efficiency and safety of such services,” Sidek told reporters after filling up a census form online yesterday.
The 2010 National Population and Housing Census exercise which started yesterday would continue until Aug 22.
The national census collects data to help formulate plans to meet the country’s needs.
Sidek said the public should not take the national census programme lightly as it was a way for the Government to gauge the needs of the people.
He said electronic services would help lower operational costs and boost efficiency, as those deployed at the counters could be reassigned to other duties.
According to Mampu, there are 4,204 online services provided by 720 government agencies, including 161 offering electronic payment facilities and 1,711 SMS services.
The number of daily online users for the electronic services increased from 6,144 visits to 19,439 last year.
(The Starより)
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記事によると、少なくとも50%以上の政府機関・部署がオンラインサービスや電子サービスを提供しており、より多くの人々がこれらサービスを利用すべきとしている。数字としては、720の政府機関が4,204ものオンラインサービス(電子決済含む)を提供しているようだ。

この記事だけを読むと、マレーシアは政府・公共サービスにおいてかなり電子化が進められているという印象を受けるだろう。だが、現実はかなり異なるような印象を私自身は持っている。

マレーシアに住んでいて最も嫌になるのが、政府機関での各種手続きであり、これは現地ローカルの人達も同意することである。簡単な手続きなのに処理に時間が掛かる、申請書類等に対するコンファームがない、各種手続きの手順が不明、提出書類の紛失等々、挙げていけば限がないようにも感じる。
政府・公共サービスの多くがオンラインサービスで処理されるとなれば大歓迎であり、経済効果も大きいいだろう。しかし、利用頻度の高い公共サービスや手続きについては担当窓口に赴かなければならないことが多く、現時点では利便性については疑問がある。

さらに、多くの政府機関のウェブページや申請書類はマレー語で構成されていることから、利用しづらい人もいるだろう。それと、各種告知が十分ではないこともあり、知られていないサービスが多数存在するように思われる。実際、720の政府機関がオンラインサービスを提供しているといわれても、それを把握している国民は少ないだろう。

また政府との仕事においても、かなり非効率的な部分が残っている。たとえば政府機関との打ち合わせにおいては、かならずマレー語でミーティング開催に関するレターがファックスにて発行され、議事録も同様の処理が行われている。電子メールでのやり取りでも支障は生じないはずだが、この辺は中々改善が進んでいない様子。ただ、数年前に比べるとSIRIMでの機器認証申請の処理がオンラインでできるようになったりと、評価できる部分も多数ある。

あと記事の中には「help lower costs」と記載されているが、人件費の安いマレーシアにおいてどれほどの効果があるかは多少疑問がある。たとえば、高速道路や鉄道で使用されているTouch’n Goというプリペイドカードだが、ショッピングセンターなどの駐車場で利用すると、窓口で支払うより割高に価格が設定されている。また私の仕事でもあるRFIDは業務の自動化を進める技術であるが、マレーシアの場合は電子化するよりも人を介して処理した方が安いということも多々ある。

とはいえ、せっかく国民に身分証明書となる「MyKad」を配布しているのだから、これとインターネットを組み合わせた政府・公共サービスが普及すれば、利用する側は移動に要する時間やガソリン代、或いは窓口での待ち時間を節約でき、余った時間をより有意義なことに使用できるだろう。マレーシアは世界に先駆けてサイバー法を成立させたり、国民カードやパスポートのICチップ化を実現したりと、電子化に関しては先進的な取り組みをかなり行ってきた実績がある。同様にオンラインサービスや電子サービスにおいても、先進的な取り組みを具現化して欲しい。


マレーシア政府オンラインサービスについてのプロモーション(マレー語)




2010年7月18日追記
先週のことだが、知人の子供から徴兵の名簿に名前が掲載されているかどうか、オンラインサービスで確認して欲しいと頼まれた。早速サービスを提供しているJabatan Latihan Khidmat Negaraへアクセスしてみるが、全くページが表示されない…。何度も時間を空けて試してみるが、結果は同じ。それから1週間後の今日、再度アクセスしてみると今度は「Error establishing a database connection」というメッセージが…。知人の子供はSMSサービスも試してみたが、全くレスが返ってこないとのこと。徴兵の発表が行われる今の時期に、政府が推奨するオンラインサービスで情報が受けられないとは…。



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