TIME dotCom、KLで高速インターネットサービスを計画

今年に入り、Telekom Malaysiaによる高速ブロードバンドサービス「UniFi」に注目が集まっているが、ここにきてTIME dotComも動きが活発化してきた。もともと、TIME dotComはデータ通信サービスを事業として行うカザナ傘下の政府系企業であり、TMとの棲み分けを行ってきた。しかし、インターネット市場の成長によってその境界が曖昧となり、結局はTMがデータ通信サービスでも優位な立場となってしまい、その存在そのものが疑問視されるまでに至っていた。

そうした状況下にあったTIME dotComだが、今年2月から日本人が多数在住するモントキアラ地区において「TIME Fibre Broadband」という高速インターネットサービスを展開している。(プレスリリース「TIME FIBRE BROADBAND CONNECTS 50Mbps DIRECT TO HOMES!」参照)






このサービス、最速50Mbpsの光通信ということで、TMの「UniFi」よりも高速となっている。ただ、料金設定は日本などの先進諸国と比較すると高めであり、50Mbpsというのも制約がかかっている。料金が高めということで、比較的富裕層が集まり、高速インターネットに対する需要の高いモントキアラ地区が最初のサービス対象地区に選定されたのだろう。

そして6月29日のローカル紙によると、そのサービスが今年第3四半期からKL中心部に拡大する予定であるという。同時に、今年はRM 110million(30億円)の設備投資を行う計画であるとの企業発表が行われている。少し前までは経営難から会社存続が危ぶまれていたと聞いていたが、企業再建が順調に進んでいるのだろう。実際同社の年次報告書を読んでみると、2008年度までは税引き後利益はマイナスを記録していたが、2009年度からはプラスに転じている。(「TIME dotCom Annual Report 2010」を参照)

いずれにしても、ようやくマレーシアでも数Mbpsから数十Mbpsのインターネットサービスを享受できる環境が整備されつつある。今後は企業間競争の活発化により、コストやサービス品質の改善を期待したいが。


スポンサーサイト

iPhoneと携帯電話業界

6月24日、日本ではiPhone 4の発売が開始された。一時、ソフトバンクが予約を停止するほど注文が殺到したとのことだが、ここまでくると凄いの一言。マレーシアでも、詳細は発表されていないがMaxisが数ヶ月内、DiGiが今年下期に発売を行う見通し。私の周りでも、結構な人数がiPhoneへの移行を真剣に検討している。

iPhoneの登場以降、マレーシアでもスマートフォンに対する需要は着実に高まっている。NokiaやSony/Ericcson、Samsungなどのメーカーからも、明らかにiPhoneを意識した対抗機が出されているが、やはりアプリの豊富なiPhoneに人気が集中していると言える。
携帯電話キャリアーにおいても、このような市場の変化に対応するため、より付加価値の高いデータ通信サービスに投資の重点を置いてるように感じる。

ただ、ローカルの知人が携帯電話の卸業を営んでいるが、最近になって携帯電話端末の売上そのものが大きく落ち込んでいるという。ひとつには、携帯電話の普及率が100%超えたことで市場が成熟期に入り、成長が鈍化傾向にあるのだろう。また、iPhoneのようにキャリアが携帯電話を一緒にパッケージとして販売するビジネスモデルも、多少ではあるが影響を及ぼしていると思われる。

いずれにしても、iPhoneの登場によってマレーシアの携帯電話業界も他国と同様にさまざまな変化が生じている。この変化は消費者にとって嬉しいことではあるが、Apple社以外の携帯電話メーカーにもかんばって欲しいところ。

それにしても、聴衆を魅了するSteve Jobs氏のプレゼンテーションは、いつもながら感心させられる。




Global Peace Index 2010、マレーシアは22位

6月8日、英エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは世界平和度を指数化した「Global Peace Index 2010」を発表した。今回の調査では149ヶ国が対象となっており、外国との紛争や国内の殺人事件数、テロの危険性、人権保護の水準、軍事費など23項目で評価されている。


[アジア主要国のGPI順位推移]
gpi_2010_1.png



この中で、マレーシアは世界全体で22位、アジア諸国内においては日本に次ぐ好評価となっている。2007年以降のデータを時系列で見ても年々改善傾向にあり、今年はついにシンガポールを上回っている。

ただ、実際にマレーシアで生活していると、国内の殺人事件件数などは増加傾向にあり、特に若年層や不法滞在外国人による犯罪は深刻な状況にあるように感じる。そのような背景もあり、第10次マレーシア計画ではセキュリティーセクターに全予算の10%も割り当てなければならない必要が生じていると理解している。また、タイ国境付近の緊張も高まっており、全体的に過大評価されているような印象がある。

各項目を見ると、Violent demonstrations (2.5)とMilitary capability / sophistication (3.0)の評価が低いことが示されている。確かに、デモンストレーションについてはここ数年、マレー系とインド系による大規模な抗議活動が何度か行われており、政治色の濃い活動が多いのが特徴。

とはいえ、東南アジアにおいてマレーシアの安全性がかなり高いことは実感としてある。これは域内におけるマレーシアの優位性でもあり、GPIの高評価は外資誘致などにおいてアピールできる点である。





第10次マレーシア計画発表

5月10日、マレーシア政府は2011年から2015年の中期国家計画となる第10次マレーシア計画(10th Malaysia Plan)を発表した。要旨はEconomic Planning Unitの「The Tenth Malaysia Plan (10th MP)」のページへ掲載されているものの、「Executive Summary」は何故かマレー語での記述のみ…。とりあえず、新聞各紙の説明記事とナジブ首相のスピーチ原稿を読んでみた。

まず10MPの5ヵ年の予算はRM 2,300億となり、9MPのRM2,000から増加した。予算割り当てとしては、55%が経済セクターへ、社会セクター30%、セキュリティーセクター10%、総務関連5%となっている。

全体的に、10MPはマレーシアが先進諸国の仲間入りを目指す「ビジョン2020」の達成が強く意識された内容であるといえる。そのため、各種数値目標はかなり高い水準に設定されており、いくつかについて達成困難にも思えるが、国内の内閣支持率が高いこともあり、強気な姿勢を貫いている。

たとえば、GDP成長率についていえば年間6%成長を、一人当たりの年間所得はいまのRM2万6,420からRM 3万3,850へ引き上げることを目指している。次に民間投資の成長率については、12.8%と目標が設定されている。9MP期間中の成長率は2%であったことから、この目標値にはFMMなどからも疑問の声が上がっている。ただ、方向性としては公共事業を縮小することで財政赤字の縮小を図り、経済成長促進の重点を民間投資へ置いていることが分かる。

また報告書の中ではいくつかの大型案件が紹介されているが、特に注目されているのが首都圏内に計画されているMRT(Mass Rapid Transit)システムであろう。この交通システムはKL中心部から半径20kmをカバーし、総延長は150kmにも及ぶという。これにより、公共交通機関の利用率を現在の12%から30%に引き上げることを目指している。
実際、KL市内で仕事や生活をしていて年々ひどくなるのが交通渋滞であり、これによる経済損失はかなりの額に達すると思われる。運が悪いと、たった2kmの車移動に30分以上かかったりもする。ただ、公共交通機関が未発達であることもあり、どうしても移動手段は自動車に頼らざるを得なくなってしまう。この案件だけでも、KL市内の経済活動に与える影響は大きいと期待する。

全体を通して政策そのものはかなり積極的であり、高い数値目標が置かれているにも関わらず、ブミプトラ政策となるとトーンが低い。ナジブ政権ではブミプトラ政策見直しを推進してきていたとの印象が強く、内閣支持率が高いことからも何らかの改革を期待していたのだが、ブミプトラ権益は30%とする従来の目標を維持するなど、様々なブミプトラ支援策が盛り込まれる結果となった。
本気で数値目標を達成するのであれば、ブミプトラ政策の見直しについても言及しなければならないはずなのだが、やはりポリティックな力が働いているのだろう。ナジブ首相のスピーチの最後には、サッカーワールドカップを引き合いに出し、マレーシアはチームとして各々の役割を果たし、1Malaysiaチームとしてまとまる必要があると締めくくっているのだが…。

[ナジブ首相によるConclusion]
「To conclude, in the spirit of the World Cup, which begins tomorrow, we can use the analogy of a successful football team to relate to the successful realisation of Malaysia‟s aspiration to become a developed nation and high income economy. For a football team to succeed, all players in the team, irrespective of their position, need to work together and play as a team. If they don‟t, they are unlikely to win, worse, they may lose badly. Each player, whether it is the goalkeeper, defender, midfielder or striker, is equally important. However great the footballers are as individual players, victory can only be achieved as a team. Each individual team member is a valuable asset and everyone‟s potential must be optimised to achieve success.
Even if the team has the best strikers in the world, such as Rooney, Messi or Ronaldo, the team would still lose if it had weak defenders or goalkeeper, as the number of goals scored would be more than offset by the number of goals conceded. Therefore, to succeed, we must form a 1Malaysia team, that is united and aligned in purpose and vision, to achieve the best for Malaysia, through our collective best efforts.」












日本のUHF帯ICタグ制度改正

2010年5月24日、総務省がUHF帯のRFID制度に関して2つの省令改正を公布した。

「電波法施行規則の一部を改正する省令(平成22年総務省令第62号)」

「無線設備規則の一部を改正する省令(平成22年総務省令第63号)」


内容そのものは、利用できるUHF帯域が950~956MHzから950~958MHzへ拡張されたこと、そして中出力タイプが追加されたといったところ。日本の専門サイトは、この改正によってUHF帯のRFID利用が大きく改善されると期待している様子。

確かに、周波数帯が広くなったおかげで利用チャンネル数を増やすことが可能となり、読取速度の向上が期待できる。しかし、今回の改正で日本のUHF帯RFIDが大きく飛躍できるかと問われると、かなりの疑問がある。

まず周波数幅だが、米国を除いたほとんどの国は日本と同様に狭い周波数帯が規定されている。マレーシアの場合だと、919~923MHzと4MHzしかない。香港やタイ、シンガポールも同様に周波数帯は狭かったと記憶している。(Frequency Regulations UHF

日本はLBTの採用など他国とは一部異なる仕様であるため、単純に比較はできないものの、実際の運用において周波数帯域が狭いことが障害となった記憶はない。チャンネル数が増えることでリーダー間の干渉低減も言われているが、最近のリーダーにはDense Reader Modeが搭載されているので、リーダー間干渉を問題視されたことはない。

次に中出力タイプが追加されたとのことだが、出力タイプをカテゴリー分けしている国は日本以外にはないように思われる。私自身の経験として、リーダーは用途や現場の状況に応じてRF出力を変更する必要が生じてくるので、「低出力」や「中出力」、「高出力」といった分類は実導入において煩雑なものでしかない。通常のリーダーであれば、ソフトウェア上で簡単に出力調整を行うことが可能であり、海外では実際にそのようにしている。

以上のことから、今回の改正によって得られるベネフィットはそれほど大きくないと私は考える。海外の制度と比較すると、日本は自由度が少なく、利用者が導入を躊躇してしまう内容であるため、技術的な部分よりももっと運用面に重きを置くべきであろう。
例えば、無線局登録という制度は日本だけが採用している制度であり、海外では聞いたことがない。実際、高出力型リーダーの無線局を各々申請するといった煩雑な作業は、マレーシアでRFIDの仕事をしている自分には想像できない。

それと今回公布された省令を読んだ印象だが、第一に内容がかなり分かり難い記述で説明されており、理解に苦しむこと。これまで各国のUHF規格に関するファイルを数多く読んできたが、日本の省令の記述が最も難解である。

総務書はユビキタス社会の形成を目指す「u-Japan」を標榜しているはずだが、いまのUHF帯のRFID技術に関しては全くと言ってよいほど国際競争力はない。このようなロジックが継続される限り、日本が国際舞台でデファクトースタンダードや国際標準においてイニシアチブを発揮することは困難であろう。



| ホーム |
Page Top↑
▲ Page Top