フォーブス、「Global 2000」を発表

4月21日、フォーブスは2010年版の世界企業上位2000社となる「Global 2000」を発表した。





日本では、昨年3位だったトヨタ自動車が360位に転落したことで注目を浴びている。また今回の発表に対し、評価結果への偏りや、日本企業の凋落ということが特に騒がれている。確かに、昨年の発表で日本企業は上位200社に288社が入っていたが、今年は163社へ大きく落ち込んでいる。中国との差も縮まっており、それが危機感となっているだろう。

マレーシアにおいては、昨年首位だったMalayan Bankingにかわり、CIMBが圏外から493位とマレーシア首位に躍り出た。CIMBグループのCEOがナジブ首相の弟であることから、最近は積極的な動きが目立つ。またマレーシア第2位はSime Darbyの599位で、昨年の1380位から大きく躍進している。 総数でも、18社が上位2000社にランクインしており、昨年の14社から4社増加している。
(昨年のランキング記事)


[マレーシアのForbes上位2000社]
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アセアン諸国内で見てみると、マレーシアはシンガポールと総数で並んでおり、東南アジアでは首位。ただ、2020年に先進国となることを目指しているのであれば、台湾や韓国の水準まで押し上げる必要があるように感じる。


[アジア主要国におけるForbes2000企業数]
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倒壊する巨塔- Lawrence Wright

倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道
(2009/08)
ローレンス ライト

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倒壊する巨塔〈下〉―アルカイダと「9・11」への道倒壊する巨塔〈下〉―アルカイダと「9・11」への道
(2009/08)
ローレンス ライト

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本書の第一印象は、膨大な情報量とその充実した内容。米国側の視点に偏ったのではなく、イスラム国家やアルカイダ首脳陣の私生活情報までもがカバーされている。また、いかにして原理主義的な考え方が波及していたったのかが時系列的に記されており、9.11に至るまでの時代背景がしっかりと説明されている。

本書においては、米国におけるテロリストに対する危機感が9.11までは希薄であったことが明らかとなっている。私自身、冷戦終結後は『国家対国家』から『国家対テロ組織』という構図が浮かび上がった時代であり、特に米国はそのことに注意を払っているものと認識していた。しかし実際には、FBIやCIA、NSAなど組織間の連携は官僚的な縄張り争いでしかなく、危機感はそれほど高くなかったようである。

アルカイダについては、ニュース報道などで得ていた印象とは違うことが本書に示されている。ウサマ・ビンラディンにしても、サウジの富裕層でありながら、イスラムの理想に傾倒たカリスマというものだったが、実際はかなり異なる人生であったようだ。

その中でも特に印象深いのは、原理主義者に殺害された日本人被害者の存在、そしてクアラルンプール会議によって計画されたテロ計画。私自身、日本人としてマレーシアに住んでおり、イスラム教徒と近い位置におり、決して他人事とは思うことのできない一冊であった。

あと、下の動画は本書の著者である Lawrence Wright氏によるレクチャーの様子。






ナジブ政権支持率上昇

日本においては、鳩山内閣の支持率下落が止まらない。小沢一郎民主党幹事長らの「政治とカネ」の問題に加え、米軍普天間飛行場移設問題に進展がないことに批判が集まっていると聞く。4月に時事通信が行った世論調査では、ついに支持率が23.7%という数字に。マレーシア国内のニュース記事においても、鳩山首相の影は薄い。殆どのマレーシア人が、「日本の首相は?」と尋ねられても答えられないような印象が…。

逆にマレーシアにおいては、ナジブ政権に対する支持率は上昇傾向にある。Merdeka Centerが今年3月に行った世論調査では、過去最高の68%を記録(「Najib's Approval Rating Moves Upwards To 68 Per Cent」参照記事)。政治に関しては情報操作が行われるマレーシアだが、この数字はかなり信頼できるものだと思う。


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実際、ナジブ政権では「1Malaysia」というビジョンを中心に、これまでの政権では着手してこなかった政策を次々と具現化してきている。特に、ブミプトラ政策改革にまで踏み込んだ政策には、海外からも高評価を受けている。
また、多民族国家であるマレーシアにおいて、民族間の問題についてナジブ首相はかなり神経を使っていることもよく分かる。中国系やインド系のイベントに参加したり、この前は中国系の大臣と一緒に街中の中国系カフェでコーヒーを飲みながら談笑したりといったパフォーマンスもしている。

政治家の名家に生まれたナジブ首相はサラブレッド的な存在として見られていたが、首相になるまで政策力などに関する評価はあまり高くなかったと思う。どちらかというと、ポリティックな駆け引きに長け、陰で糸を操るような存在といった感じがした。

ところが実際に首相の座についてみると、印象はかなり違っていた。特に驚きは、SNSをフルに活用することで、国民との距離や情報の透明性を大事にしているところ。FacebookやFlickr 、Twitter、YouTubeをこれだけ使っている首相も世界的に珍しいのではないだろうか?

ナジブ政権がマハティール氏のような長期政権となるか否かは分からないが、いまの政権には活力や意志の強さを感じる。


ナジブ首相、『New Economy Model』を発表

3月30日、ナジブ首相は「Invest Malaysia 2010」でのスピーチにて、「NEM: New Economy Model」を発表した。NEMの基本は、国民一人当たりの所得を現在のUS$ 7,000から、2020年までにUS$15,000~20,000へ引き上げることを目指している。US$15,000~20,000の所得となると、東欧のチェコやエストニアがこれに該当するが、果たしてこれが先進国と呼べる水準かどうかは疑問が残る。





スピーチの全文は、National Economic Advisory Councilのウェブ中『PM's keynote address at Invest Malaysia 2010』に掲載されている。

また同サイトの『Download option for New Economic Model for Malaysia 2010』http://www.neac.gov.my/node/235にて、NEMのフルテキストをダウンロードできるが、209ページとかなりのボリューム。時間に余裕があれば全文を読んでみたいが、取り合えず斜め読みで内容を確認してみた。全体的には、国際機関の調査・統計資料によって政策を補強する形となっているが、この辺は大学生のレポートといった印象を受ける。とは言え、いまマレーシアが世界市場の中でどこに位置し、どこへ向かうべきかといった方向性を示す上では、良くまとまっていると思う。

報告書では、『高所得』、『持続性』、『包括性』という三原則を基本としており、その上で以下の4項目が行動政策として挙げられている。

- It must be market friendly(マーケットフレンドリー)
- It must be merit based(能力ベース)
- It must be trabsparent(透明性)
- It must be need based(必要性ベース)

いずれも国の成長において基本的なことではあるが、特にマレーシアにおいて透明性は海外の機関からも批判を受けている項目となっている。ナジブ政権となってからは、この部分の改善に重きが置かれいることを感じることができる。

さらに、戦略的改革イニシアチブとして以下の8つが挙げられている。

(1) 成長牽引のための民間セクターの再活性化
(2) 高品質労働者育成、及び海外労働者依存低減
(3) 競争力ある国内経済の形成
(4) 公的セクターの強化
(5) 透明性、及びマーケットフレンドリーな積極行動
(6) 知識ベースのインフラ構築
(7) 成長資源の促進
(8) 成長の持続性を確保

同時に、具体的な改革案も報告書では示されている。例えば郵便事業を担うPOS Malaysiaだが、改革案ではカザナナショナルの所有する株式売却、及び非採算部門の売却が言及されている。確かに、同社の事業は国営企業特有の体質であり、国内の評判もあまり良くない。政府としてここにメスを入れた判断は正解だと思う。個人的に驚いたのは、マレーシア工業開発庁(MIDA)を企業化し、マレーシア投資開発公社となること。ただ、昨今のアジア域内における投資環境の変化を考えると、より積極的に投資誘致を促進させる機能がMIDAに必要であったことも理解できる。

今回のNEM政策においては、期限と数値目標、そしてどのようにそこへ辿り着くのかといった戦略が政府から示されたことは大いに評価できる。多分、国民の期待も高いと思う。
欲を言えば、全国民が理解できるような情報公開をもっと行うべきかも知れない。スピーチ原稿の全文や、政策の解説書は全容を理解する上では大いに有益なものではあるが、そうしたものに目を通す国民はそれ程多くないはずだから。



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