WEF、「The Global Information Technology Report 2009-2010」を発表

3月25日、WEF: World Economy Forumは133ヶ国のIT発達度を調査した「The Global Information Technology Report 2009-2010」を発表した。





マレーシアのネットワーク化準備度指数(NRI)を見ると、今年は27位と昨年の28位から一つ順位を上げている。2003年以降、マレーシアは順位において大きな変動はなく、定位置を維持していると言える。今回の報告書で面白いのは、1人当たりの国民総所得(GNI)によって各国を分類し、その中でも順位付けがされていること。中所得国(US$ 3,856 ? 11,905)に位置するマレーシアは、このカテゴリーでなんと首位に位置している。私自身、いつもマレーシアのIT環境を先進諸国と比較してしまい、物足りなさを感じてしまうが、同じカテゴリーの中ではかなり健闘していることが分かる。

その他のアジア主要国を見ると、上位国では韓国と日本の落ち込みが目立つ。詳細を見ると日本の場合は電話料金の高さが低評価となっており、順位に大きく影響している。逆に下位の諸国においては、中国とインド、ベトナム、そしてインドネシアが大きく順位を上げている。特に、中国とベトナムの成長は2006-2007以降から続いており、成長に継続性が見られる。


[アジア主要国の順位推移]
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各項目別に見ていくと、マレーシアはGovernment Readinessが11位、Government Usage12位と政府対応が高い評価を受けている。実際、Najib首相がNational Broadband Initiativeを立ち上げたり、政府としてブロードバンド普及率の数値目標を設定したりと最近は活発な動きが見られる。ただ、Usageという部分では?である。現地に在住していると、IT化が最も遅れているは政府機関であると感じるのだが。
さらに細分化された項目においては、Level of competition Indexが世界第1位、High-tech exportsで4位、Business telephone connection chargeで7位となっている。逆に低評価だったのが、いつものようにFreedom of the pressの100位。また政府が力を注いでいるBroadband Internetにおいても、Broadband Internet subscribers(60位)とFixed broadband tariffs(56位)では低い評価となった。


[マレーシアのNRI詳細]
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TMのHSBB「UniFi」始動

3月24日、Telekom Malaysiaはマレーシア政府と推進してきたHSBBのサービス開始を発表した。サービス名は「UniFi」ということだが、何の略称なのだろうか?いずれにせよ、セレモニーは政府主要が出席した盛大なものとなった。翌日の新聞各紙のヘッドラインはいずれもこの高速インターネットの話題。

また25日には、Telekom MalaysiaからHSBBサービスの詳細が明らかにされた。詳細は「UniFi」専用ページに公開されている。





まず料金体系だが、家庭向けとビジネス向けの2つがあり、双方に5Mbpsと10Mbps、20Mbpsが用意されている。家庭向けはVIP、ビジネス向けはBIZという名称が付いており、料金体系は、

家庭向け料金体系
VIP5: RM 149
VIP10: RM 199
VIP20: RM 249
IPTV、及びTM電話回線への無料通話などを含む。

ビジネス向け料金体系
BIZ5: RM 199
BIZ10: RM 599
BIZ20: RM 899
10GBのウェブホスティングなどを含む。

2年契約を適用すれば、すべてのパッケージは導入費や付属する通信機器が無料。

私の第一印象は、「予想より遥かに高い!」。結局は、既存のDSLサービスの価格維持を行ったため、このような価格水準になったのだろうか?日本の物価水準に換算すると、20MbpsのVIP20で月額おおよそ2万円程度・・・。この価格で、どれだけの新規顧客を獲得できるのだろうか?今現在、インターネット利用者の月々の出費はRM 50 ~RM100程度と思われる。となると、マレーシアの所得水準からすると、光回線はかなり高価なサービスである。

私自身、インターネット経由でIPTVやVoDは使用しないだろうし、その他の付属サービスも殆ど不要である。当然、セットトップボックスやWiFi対応電話も要らない。単に、ファイルのダウンロードやメール、ウェブ、チャットでしかインターネットは利用しない。できれば、純粋に高速インターネットへ安価に接続できるサービスだけが欲しいのだが。

それと、ダウンロード制限も理解できない。月間のダウンロード可能容量は、VIP5:60GB、VIP10:90GB、20Mbps:120GB。また、1日当たりの利用量も制限されている様子。Telekom MalaysiaのCEOは、「全ての顧客へ公平なサービスを提供するため(FUP: Fair usage policy というものらしい)」と言っているが、であれば従量制を採用すべきである。今の時代にあって、(私個人は1ヶ月に90GBも使用しないだろうが)利用制限という制約はあり得ない。

IPTVに関しては、TMとしては衛星放送ASTROの市場シェア獲得を目指してのことだろうが、この戦略はうまくいかないように思う。今の時代、何もわざわざTMが動画を提供しなくとも、インターネット上で好きな動画を無料で閲覧・ダウンロードできるし、そもそもASTROとユーザー層が異なるのではないか。

また、本来の目的である国民の多くが高速ブロードバンドへ接続できる環境という観点からすると、今回のサービス内容は付加価値を加え過ぎ、且つ着目するところが間違っているような印象が強い。今になって思えば、NTTのフレッツ光のような役割をTelekom Malaysiaは担うべきだったのかもしれない。そうすれば、利用者にとって欲しいサービスをISPベースで選択できたはずなのだが。

See you at Dataran Merdeka!

本日3月22日、Telekom MalaysiaでHSBBを担当している友人からメールが。


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「HSI (high speed internet, min 20Mbps FTTH fiber to the home), IPTV and IP Phone」が1つのパッケージになっているとのメッセージが添えられていた。

会社を休んでまで行くことはできないが、すごく楽しみ。





マレーシアの交通事故死亡率改善

日本からマレーシアに来たほとんどの人達は、マレーシアの運転マナーの悪さを口にする。確かに、方向指示器を使わないドライバーが多いし、無理な割込みも頻繁に経験する。車間距離は短く、それが高速道路であろうと気にしていない。
しかし何より、オートバイの我物顔には舌を巻く。どこからでも自動車を追い越し、当逃げもよく目にする。仕事はマイペースなのだが、運転となると性格が変わってしまう。他にも、ミラーで後方確認しない、脇見運転、果てはオートバイに乗ってまで携帯電話を使っている人もいる。
そうした背景もあり、WHOの「Global status report on road safety」によると、マレーシアの交通事故死亡者の実に58%はオートバイ運転者となっている。


[Deaths by road user category (Malaysia)]
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Source: 2007, Royal Malaysian Police


このように事故リスクの高いマレーシアだが、3月9日に運輸大臣はマレーシアの登録車両1万台当たりの死亡率が、昨年の2009年に3.55へ改善されたと発表。因みに、1999年には5.83、2008年は3.63とのこと。また、10億km当たりの死亡率も、1999年の26.79から2008年は17.65と大きく改善された。もう一つの指標、国内10万人当たりの死亡率でも、1999年の25.5から2009年は23.83へと、こちらも大きな改善が見られる。

では、世界の中でマレーシアの事故リスクはどの程度のものなのか?Global status report on road safety 2009によると、アジア域内において国内10万人当たりの死亡率が最も高いのが依然としてマレーシアであり、死亡者数も人口比が大きく異なる日本とほぼ変わらない数字である。
本調査では178カ国を対象としており、10万人当たりの死亡率でマレーシアは58位、日本169位、シンガポール174位となっている。


[アジア主要国の交通事故死亡リスク]
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Source: Global status report on road safety 2009


こうした高い数字の主要因は、やはり運転者のマナーの悪さなのだろう。この他にも、信号機が壊れても平気で数日間放置されていたり、不可解な道路設計、そして容易な運転免許試験といった行政に関する要因もある。運転免許試験に関しては、正規の料金に加えて追加料金を教官へ支払うことで、ほぼ何もなしに免許証が交付されている状況。さらに、事故時における救急車対応、医療水準といったものも影響しているだろう。

近年、マレーシアの事故リスクは10年前と比較しても改善傾向にあるが、それでもまだ十分とは言えない。それにしても、元は同じ国家であったマレーシアとシンガポールの数字の乖離には驚かされる。片やアジア域内で最も事故による死亡リスクが高く、もう一方は同域内において最もリスクが低い・・・。

マレーシア、環境ハブを目指して?

これまで、マレーシアは政府主導にて域内の様々なハブを目標として立ち上げてきた。例えば、MSCを中心とするITハブ、KLIAの国際ハブ空港、ムスリム食品のハラルハブ等々。中には冗談と思えるような構想もたまに政府からアナウンスされるが、それでも多くの域内ハブが実際に機能している。そうした中、最近のニュース記事を見ていると、環境ハブというのがトレンドとなりそうな勢いがある。

下記動画は、昨年7月に開催された「National green technology policy」でのナジブ首相の挨拶だが、マレーシアが国家として環境問題に積極的に取組む姿勢を示している。





環境といえば、日本などの先進諸国では市民レベルでの環境意識が強く、ビジネスにおいてもそれがインセンティブとして働く傾向にある。しかしマレーシアでは、市民レベルでの環境意識はまだそれ程強くない。というより、関心がないと言った方が適切かもしれない。街中には平気でゴミが捨てられ、省エネという考えはあまり根付いていない。日本人からすると、結構いらいらさせられることもある。とは言え、政府レベル、或いはビジネスレベルでは環境に関する活動が活発化しており、「Green」という言葉がアドバンテージとして作用しつつある。

主要な政府の動きを見ると、昨年12月にコペンハーゲンで開催された第15回締約国会議(COP15)においてナジブ首相は、マレーシアは二酸化炭素排出量を2020年までに2005年比で40%削減すると発表している。先進国からの十分な資金援助と技術移管がなされた場合に限ると条件付ではあるが、それだけ技術を積極的に取り入れようという姿勢が見られる。

そうした政府見解もあり、MOSTI: Ministry of Sience, Technology and Innovationは海外の環境技術の発掘を行っており、有望な技術やプロジェクトには政府予算を割当てる用意があると聞いている。

また、Ministry of Energy, Water and Communication(エネルギー・水・通信省)はナジブ政権となってからMinistry of Energy, Green Technology and Water(エネルギー・環境・水省)へ再編され、環境に関するガイドライン策定などを進める役割を担っている。(同省のDatuk Peter Chin Fah Kui大臣のBlogには、環境に関する記事もある。また、Ministry of Energy, Green Technology and Waterのダウンロードページには、環境政策に関する動画プレゼンテーションなどが公開されている)

この他にも、政府機能が集中するプトラジャヤを環境技術都市とすることが発表され、そして今年1月26日にはRM 15億規模(約412億円)の融資基金「GTFS: Green Technology Financing Scheme」が発足した。このGTFSは、環境に優しいグリーン技術を提供、或いは自ら利用する企業に与えられる低金利融資で、政府が金利の2%を負担するというもの。

あとユニークなのが、「GBI: GREEN BUILDING INDEX」というもの。日本語だと、グリーン・ビルディング優遇税制で、グリーン・テクノロジーを使用した建物の建設を促すために制定された制度。2009年10月24日から2014年12月31日と期間を設定されているようだが、投資税額控除や印紙税の免除などといった税制優遇措置を享受できるという内容。最近KL市内に完成したGTowerは、初めて「Grade A++」を取得した商用ビルとして注目されている。この制度、新規建設物だけでなく、既存のグレードアップも対象と含まれており、今後活用が活発化するものと思われる。

最後に、産業レベルで特に注目を集めているのがソーラー産業で、MITI: Ministry of International Trade and Industryは太陽エネルギー産業を集約する「Solar Valley」の開発を目指すと発表している。どれほど活発なのか調べてみると、独Q-Cellsや米First Solar、米SunPowerといった大手が既に進出しており、これら企業だけでマレーシアはRM100億相当の投資を誘致したとされている。また今年2月末のMIDA: Malaysian Industrial Development Authorityの発表によると、日米欧の企業からソーラー関係で、それぞれRM10億規模の新規投資の見込みがあると言われている。裾野産業への波及も進んでいるようで、MIDAのJalilah Baba長官は、「2010年には、同産業がマレーシアのGDPの最大4%を占める可能性もある」と期待が高い。

実際、この手の事業はマレーシアの得意とする製造業の延長線上にあり、域内においてアドバンテージを発揮することができると言える。また、グリーン技術において優位性を持つ日本企業にも大きな事業機会が開かれているだろう。
現在、アジアの産業構造はコスト性を追及するあまり、マレーシアにおいても多くの製造業が拠点を中国やベトナムなどの低賃金国へシフトしてきており、製造業の衰退が深刻な問題として認識されている。こうした背景もあり、次世代産業の一つとして環境技術が特に注目されるに至っている。

ただ残念なのは、国内の自動車産業保護のために、海外のハイブリッド車輸入に際して政府が大胆な優遇策を提示できていないという事実。こうした政策において例外を設けてしまうと、マレーシアが本当に環境問題に積極的に取組もうとしているのか疑問視されることになる。例えば、ニューヨーク市では2012年までに、全てのイエローキャブをハイブリッド車へ置き換えるという政策を発表したが、環境に対してはこれぐらい貪欲に推し進めても良いと思うが。

IT国家への飛躍

3月10日、Telekom MalaysiaはHSBB: High speed broadbandの商用サービスを3月24日に発表することを明らかにした。既に「Is HSBB available in my area?」というページでは、地域別のサービス開始時期が明示されている。因みに、私が在住している地域は今年の第4四半期にサービス開始となっている。
既に122世帯を対象とした実証試験が開始されており、いまのところ計画通りに進んでいる様子。TMのアナウンスによると、昨年末時点で既にRM 19億を投資したとのこと。

また、TMとHSBB事業を競っていたパハン州の業者も、今年7月からクアンタンでHSBBサービスを開始する予定という。TMの本サービス開始が今年第3四半期からということなので、とりあえずパハン州の方がマレーシア初のHSBBサービスということらしい。こちらの投資費用はRM 1.5億。通信速度は30 – 100Mbpsとのことで、今年末までに30,000人のユーザー獲得を目指している。

いずれのサービスも料金体系がまだ公開されていないが、今までIT先進国より割高な料金体系であったことから、HSBBではリーズナブルな価格水準となることを期待したい。

そしてマレーシア中央政府においても、3月4日にムヒディン・ヤシン副首相は、新たに建設される全てのビルに、ブロードバンド環境の義務付けについての考えを示した。副首相のインタビューによると、インターネットも水道や電気のように必要不可欠の設備になっている点を強調している。
ただ、このような法規制がなくとも、オフィスビルを魅力的なものとするためにインターネット環境の整備は既に重要なセールスポイントとなっている。最近では、GTowerという新しいオフィスビルが、Maxis社とMacro Lynx社とのコラボレーションで高速サービスを提供すると発表している。「MACRO LYNX AND MAXIS ROLL OUT COLLABORATIVE END-TO-END SOLUTIONS FOR GTOWER」

副首相としては、政府目標である2010年までにブロードバンド普及率50%を達成ということが念頭にあるのだろうが、私としては先進諸国と同水準のインーネット品質を同程度の価格水準で享受することの方が大事と考える。MSCはマレーシアを域内のITハブとすることを目指して構築され、多くのMSCステータス企業が成長を遂げた。結果として、東南アジア域内において、マレーシアはIT産業において優位な立場を築くことができたといえる。ただ、MSCは地域が限定されたものであり、全マレーシアが利益を享受できるわけではなかった。
そうした中、先に挙げた一連の動向はマレーシアのIT産業にとって嬉しいニュースであり、大きな飛躍に繋がるものと期待する。


マレーシア政府、新燃料補助金制度の導入を中止

今年1月中旬、マレーシア政府による補助金付燃料の販売制度の見直し案が示された。新聞記事等によると、その骨子は下記の3つ。

- 外国人に対する補助金付き燃料の販売停止
- エンジン排気量に応じた補助金額
- 身分証明などを組み込んだ多機能スマートカード「Mykad」による購入

こり制度ではMyKadに自動車情報を記録することで、1人1台の自動車に補助金を適用、5月1日の実施が予定されていた。それから1ヵ月半後の3月4日、Ministry of Domestic Trade, Co-operatives And Consumerismはこの制度の中止を決めたことを確定。





このプロジェクト、当初からFeasibility studyが十分でないことは明白であり、当然、国民や業者からかなりの不安が出ていたようである。私自身、利用者にとって利便性が悪く、システムとしてもかなり無理があるというのが第一印象であった。

まず利便性だが、今現在我が家の場合では、給油機にBonusLinkカード(ポイントカード)を挿入した後にクレジットカードを入れ、認証の後に給油開始となる。が、政府案では我が家の手順は、機械へMyKadカード挿入→指紋認証→BonusLinkカード挿入→クレジットカード挿入→給油となり、かなりの煩わしさを余儀なくされてしまう。尚且つ、補助金の適用を受けるなら自動車の所有者が操作しなければならない。現金払いの場合でも、窓口にて専用端末でMyKadを読み取り、指紋認証を行うことが必要となる。いずれにせよ、私はマレーシア人ではないので、この制度の適用外となるが。

次にシステム上だが、MyKadで本人確認を行うことができても、自動車がMyKadに記録されたものであるのか否かをどのようにして識別するのか?給油所の作業者がこれを行うのであれば、システムは容易に破綻するであろう。また、MyKad情報と自動車情報を紐付けするのであれば、それなりの期間を設けて情報の登録・統合作業を行う必要がある。とても1月に発表して5月から本稼動という訳にはいかない。
また、MyKad読取機器などの新規設備の費用負担についても、5月からの開始に向けて各ガソリンスタンドへ整備を義務付けるのであれば、とてもではないが対応することは不可能であっただろう。

今回の燃料補助金制度とMyKadを使用したシステムの提案だが、私自身は数年前から耳にしており、政府関係者から提案を求められたこともある。その時は、低所得者向けの優遇価格ということであったが、どう考えてもシステムの最適化が描ききれず、そこで終わってしまった。

マレーシアにいると、このように国レベルでの計画だけが持ち上がっても、Feasibility studyが十分なことから中止されるプロジェクトをよく目にする。また政府、及び政府系企業入札案件でもそれは同じで、私も中止の事態に直面した経験がある。入札資料の中には、明らかにシステムとして破綻を起こしそうなものも結構あり、こうしたものは事業化することなくほぼ中止になっている。
一般に発表する前に、実現性については十分精査すべきと思うが。このような事態が継続されれば、政府アクションに対するCredibilityに影響が及ぶようにも。

PROTON、ハイブリッド・コンセプト車を発表

3月4日から開催されているジュネーブ国際モーターショーにおいて、プロトン社がハイブリッド・コンセプト車を発表。車名はEMAS(Eco Mobility Advanced Solutionsの略)で、3つのモデルが用意されている。

- Emas: 5ドア4人乗り
- Emas Country: 3ドア5人乗り
- Emas3: 3ドア4人乗り

今回のコンセプト車だが、デザインはデロリアンなど工業デザインで有名なItaldesign Giugiaroが担当し、ハイブリッドエンジンは英ロータスが提供している。各社とも専用ページを作成し、積極的なプロモーション活動を行っている。ただ、いずれも燃費についての数字が記載されておらず、この辺は不明瞭のまま。また、この協力関係の中でのプロトンは役割も見えてこない。単に開発のための資金提供を行い、自社ブランドでのコンセプトカーを作らせたのであれば、プロトンの技術は何も活用されていないことになるが・・・。

- PROTON: PROTON CONCEPTS

- Italdesign Giugiaro

- Lotus Engineering: Lotus hybrid power for the PROTON Concept


各社の専用ページの中でも、特にItaldesign Giugiaroが作成したプロモーションムービーは綺麗に仕上がっており、車体がコンパクトであるにもかかわらず、広い社内空間が確保されていることがアピールされている。





出展に際しては、プロトン社の顧問を務めるマハティール元首相がスピーチを行い、ハイブリッド車の本格生産の早期実現に期待を示していた。現在の予定では、2012年までの生産開始を目指している様子。ということは、2年の間に量産モデルの設計から生産体制構築までを行わなければならないことに。これまでのガソリン車より複雑で電装系部品を多用するハイブリッド車においては、下流のサプライヤーやメンテナンスサービスの育成を行うだけでも、かなりの時間を要すると思われるが。
またその前に、現在市販されているガソリン車の品質改善、そしてComproエンジンだけに依存している状況を何とかする必要があるようにも感じる。エンジンについては、世界的OEMメーカーとの提携によって解決を図ることが目論みとしてあるようだが、交渉に遅れが生じているようにも。





今のところ、マレーシア国内で販売されているハイブリッド車の中で市場占有率が高いのは、ホンダの「CIVIC 1.3 Hybrid」、そしてトヨタ「PRIUS 1.8」の2車種。マレーシア政府は、時限性で今年末まではハイブリッド車輸入・販売許可取得業者に対し、完成車輸入税の100
%免税、物品税の50%減税規定しているが、それでも割高感は否めない。マレーシア政府としては、ハイブリッド車の国内生産を誘致することで自動車産業の成長を促進したいところだが、今のところどの海外メーカーもマレーシアでの生産計画はない様子。

そうした中、プロトンがどの程度の価格水準でどの程度の性能のハイブリッド車を市場に出してくるのかは興味がある。世界的にも、先進諸国の自動車メーカーだけでなく、中国メーカーもハイブリッド車の開発を積極的に行っており、自動車メーカーとしてはある意味ハイブリッド車投入は必然のものになっている。特に、プロトン社のナショナルフラッグカンパニーとして政府からの優遇を受けながら成長してきた企業だけに、ハイブリッド車生産は不可避な戦略であると言える。同市場において、プロトン社が世界をリードする存在になることは不可能に近いが、戦略次第では大手が注目してこなかった市場が開拓ができるかも知れない。ただ、裾野産業の育成や環境整備といった条件を満たさなければならないが。


フリー – クリス・アンダーソン

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
(2009/11/21)
クリス・アンダーソン

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著者のクリス・アンダーソン氏は「ワイアード」誌の編集長というだけあり、内容はかなり面白い。取り上げられている題材も、GoogleやYouTube、Skype、Facebookなど私自身が使用しているフリーサービスを提供している企業のため、分かりやすくまとまっていると思う。

インターネットサービスが始まった1990年代、多くの企業はネットワークによって国境や時間の制約を受けない環境を手に入れ、仕事の仕組みそのものが大きく変わった。従来の事業環境であれば競争力のあった手法が、突如インターネットという技術によって不利になったりもした。しかし、この新たな情報通信技術の登場によって、多くの人間がより生産性の高い仕事へ移行することが可能となり、事業機会を大きく高めた。本書でも、フリーという現実を受け入れ、メディア業界やエンターテイメント業界は新しいビジネスモデルを採用すべきと提案している。

また、本書では海賊版についても多くのページを割いている。マレーシアも、中国ほどではないが違法コピーが氾濫している国の一つである。最近は取締りが厳しくなっているが、数年前までは音楽や映画、ゲーム、ソフトウェアなどあらゆる海賊版が市場に溢れていた。
そうした背景もあり、個人のPCに日本で買えば高額で決して買おうとは思わないようなソフトウェアがインストールされていたりする。そして、普通にそうしたソフトウェアを使いこなしているユーザーが多数存在している。結果として、マレーシアのソフトウェアスキルを向上させてもいる。
多分、発展途上国において海賊版を撲滅することは不可能であろうし、そのことを理解した上でのビジネス戦略の組み立ては面白みがある。

最後に下記動画、Googleで行った「Free」の講演が無料で公開されている。本書でも頻繁に好事例として引き合いに出されているGoogleにおいて、著者がフリーについて講演するという構成が面白い。





DiGiもiPhone発売へ

3月1日、DiGi.ComはiPhoneを販売することでApple社と合意したと発表(DiGi to launch iPhone deals in coming months)
契約期間は3年で、数ヶ月中にはリリースされる見通し。既に専用ページで積極的なアピールが展開されている。同社は最近になって、高速データ通信においてTurbo 3Gなどのサービスに力を入れており、スマートフォンはその中で重要な位置付けにある。


[Dennelind Says Digi.Com to Sell iPhone in Malaysia: Video]



今回の契約、日本に例えると、ソフトバンクだけでなくAuもiPhoneを取扱うといった感じ。同時に、CelcomもiPhone発売に前向きとの情報も入っており、実現すれば大手キャリアー全てからiPhoneが買えることになる(ここまでくると、SIMフリーで販売した方が良いようにも・・・)。過去には1国1キャリアーという原則があったようだが、欧州ではマルチオペレータが実現していることから、マレーシアもそれに倣った形と言える。意外なのは、Maxisが独占契約をAppleと締結していなかったこと。通常マレーシア企業であればExclusive contractと言ってくる筈だが、今回はAppleがiPhoneというイニシアチブを持っていたことから、思い通りの契約ではなかったのかも知れない。

またマレーシアのスマートフォン市場においては、結構iPhoneの占有率が高いように感じる。NOKIAやサムソン、LGなど各メーカーが対抗馬を出しているものの、デザインや操作性、アプリの豊富さからiPhoneの人気はかなり高い。国内では、Appleのロゴを堂々と刻印した「なんちゃってiPhone」も市場に出回っている。私が目にしたものは、中国製で価格はRM200。ほんとうに外観だけコピーで、中味はまったくの別物。あとLow Yat Plazaにある携帯電話のショップへ行くと、本物のiPhoneが数多く陳列されており、比較的若い層がiPhoneを購入している印象がある。国民所得からするとiPhoneは結構な負担となるはずだが、携帯電話に対する消費意欲は高い。

今後の注目は、DiGiがMaxisと料金体系でどのような差別化を図るのかといった点。そしてCelcomの動向。iPhoneばかりが注目されているが、個人的にはもっとNOKIAにがんばって欲しいところ。ただ、今のところはN900の販売が控えているのみ。同機ではいろいろと新しい試みを採り入れているようだが、OVIのアプリが圧倒的に少ないのが残念・・・。


[NOKIA N900紹介]



たまたま – Leonard Mlodinow

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学するたまたま―日常に潜む「偶然」を科学する
(2009/09/18)
レナード・ムロディナウ

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原著は「The Drunkard’s Walk」というタイトルで、「How randomness Rules Our Lives」という副題がついているが、「たまたま」という日本語タイトルの方が面白みがある。

本書、確率や統計についての記述が多くを占めているが、身近な話題を取りあげるなどして分かりやすく纏められていると思う。私自身、技術者の時に標準偏差や正規分布は頻繁に使用していたため、全体的にあまり苦なく読み進めることができた。

とくに印象深いのは、「能力は偉業を約束してはいないし、偉業は能力に比例するわけでもない。だから重要なことはその方程式の中の別の言葉-偶然の役割-を忘れないようにすることだ」という部分。著者は、コントロールも予測も不可能なランダムネスが果たす役割の大きさを説明している。そして同時に、成功に至るにはコントロール下にあるいくつかの要素(打席に立つ数、危険を冒す数、チャンスをとらえる数)の重要性も示している。自身のこれまでの出来事にオーバーラップさせてみるとと、なるほどと思わせる部分がいくつもある。


[「The Drunkard’s Walk」会見、FORA.tvより]

Full programで1時間6分。


[Googleでの講演]

Googleでの講演の方がいろいろなスライドを活用しているので面白いかも・・・。



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