日本よ、「戦略力」を高めよ - 櫻井 よしこ(編集)

日本よ、「戦略力」を高めよ―「憲法九条」「国連至上主義」の呪縛を解く日本よ、「戦略力」を高めよ―「憲法九条」「国連至上主義」の呪縛を解く
(2009/10)
櫻井 よしこ

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本書、櫻井よしこ氏の著書かと思いきや、小さく「編集」の文字が・・・。「はじめに」と「日米両国民に訴える-ソフトパワーの限界」の章だけが櫻井氏によって記されており、その他は田久保忠衛氏と島田洋一氏、そして冨山泰氏の三名の記述。

内容としては、中国が台頭する時代にあっての日米関係、そして朝鮮問題が本書の中心となっており、米国の識者とのインタビュー記事が要所で紹介されている。ただ、本書の扱っている範囲は広いが、内容は簡潔すぎるために物足りなさ感がある。

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プレゼンテーションZen - ガー・レイノルズ

プレゼンテーション Zenプレゼンテーション Zen
(2009/09/07)
Garr Reynoldsガー・レイノルズ

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私自身、パワーポイントを頻繁に使っているが、主目的はプレゼンテーションというよりも要約版を作成する意図で使っている。フルドキュメントはワードで作成し、パワーポイントで要点を取り纏め、関係者に配布するといった具合に。そのため、私のスライドは本書で指摘されている箇条書きや情報量が多すぎるといったコンテンツだと言える。ただ、プレゼンとしてではなく、単に配布資料としてであればこのやり方が適しているのではないだろうか?遠い国のクライアントに対し、直接プレゼンを行うことができない状況にあってスピーチをしなくとも要点を理解できるスライドは、それなりに効果があると思う。

とは言え、本書で紹介されているテクニックや表現方法はかなり参考になる。まさにクライアントの前で行うプレゼンであれば、視覚と聴覚に効果的に訴えることができるであろう。また、著者はプレゼンテーションZenのウェブページを持っているが、そこからより多くの情報やアイデアを得ることができそう。

因みに、サンプルスライドとしてマレーシアから、Universiti Sains Malaysiaのアイーシャ・サード・アブダル・ラヒム博士の芳香族化学に関するスライドが紹介されていた(ただし、本書中に記載されているURLはすでに無効・・・)。

ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝 - ラビア・カーディル

ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝 中国に一番憎まれている女性ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝 中国に一番憎まれている女性
(2009/10/16)
ラビア カーディルアレクサンドラ カヴェーリウス

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台湾やチベットほどには大きく扱われるのことのない新疆ウイグル自治区の問題だが、今年7月5日に起きた暴動によって世界の注目が集まった。中国政府は暴動を弾圧で抑え込み、197人が死亡したと発表。ただ、Xinjiang Universityは400名が死亡、またビア・カーディル女史が総裁を務めるWorld Uyghur Congressは約800名が死亡と伝え、数字の乖離が見えている。(UNPO Report: “Repression in China- Roots and Repercussions of the Urumqi Unrest”より)

私自身、本書を読むまでラビア・カーディル女史については殆ど知識を持っていなかった。本書にはラビア・カーディル女史の意思の強さや実行力が記されており、鉄の女と呼ばれたマーガレット・サッチャーやマザー・テレサを思い起こさせるものがある。離婚の後に洗濯屋を起こし、それから様々な事業を展開して遂に中国十大富豪の7番目に登りつめた同女史だが、漢人ではないとの理由で様々な障害に直面する。役人からの賄賂の要求、時には警察に商品を全てを没収されて大損失を招くなど。

本書の中で最も衝撃的なのは、留置されている時の記録。人権を無視した留置生活の過酷さは壮絶。そして何より、それは遠い過去の話ではなく、江沢民政権、そして現在の胡錦濤政権の時代に行われたという事実。

戦場の掟 – スティーブ・ファイナル

戦場の掟戦場の掟
(2009/09/25)
スティーヴ・ファイナル

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本書、2008年度のピューリッツァー賞受賞作品ということだが、私の第一印象は翻訳がスムーズなこと。なるほど、訳者の伏見威蕃氏は『グリーン革命』や『フラット化する世界』の翻訳も手掛けている人物。

本書では、イラク復興における民間警備会社や米政府の現地での対応、またそこで働く傭兵の実際のストーリーが記されている。イラク復興において、米軍や民間企業が警護業務を民間へアウトソーシングしていることは聞いていたが、本書を読むまでその実態についてはほとんど知識を持っていなかった。

イラク人に拉致・殺害されたジョン・コーテは著者とのインタビューで、「この国は金をこしらえる機械だ」と言っていた。本書を読み進めていくと、なるほどアメリカ流のビジネスモデルが成立していることが理解できる。そこには需要と供給があり、この事業のために驚くほどの大金が動いている。

しかし、本書で紹介されている民間警備会社の事例からは、モラルや道徳性、或いは統率性というもが感じられず、事態を悪化させていることさえ多々ある。傭兵が無意味に人を殺し、罪に問われない状況。日本の自衛隊の活動は現地住民から感謝されたと聞いていたが、その落差はあまりに大きい。本書を読んでいると、イラク復興が実現不可能な印象さえ受ける。

Deloitte Technology Fast 500 Asia Pacific

12月11日、Deloitte Touche Tohmatsuはテクノロジー企業成長率ランキング「Deloitte Technology Fast 500 Asia Pacific 2009」を発表(ニュースリリース)。ランキングは、TMT(Technology, Media & Telecommunications)業界における過去3年間の収益(売上高)成長率から算出されおり、対象はオーストラリア、中国(香港)、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、台湾、タイの9ヶ国。

国別のランクイン数を見ると、台湾の99社が最多、次いで中国の97社となっている。マレーシアからは8社がランクインしており、日本に次ぐ順位。とは言え、両国の開きはかなり大きいが。


[国別ランクイン企業数]
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ランクインした8社の中で、最高位はJF Microtechnology Sdn Bhdの30位、成長率は808.685%。残る7社は下表の通りで、全てMSCステータスを取得している企業となっている。産業別では、ソフトウェア5社、インターネット2社、半導体・電子部品1社。老舗的な存在であるIris社が、ソフトウェアのカテゴリーでランクインしているのが少し驚きか。


[マレーシアのランクイン企業]
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首位の台湾については、半導体/電子部品で52社がランクインしており、元々強みを持っていた産業での成長がいまだに高い。マレーシアも、元々はこの産業が国家経済の牽引役を果たし、産業集積が進んだ筈なのだが、残念ながら台湾のような成長を遂げるには至っていない。

産業別の表を見ると、ソフトウェア産業におけるインドの60社が際立っている。世界のITアウトソーシングの中心地だけに、他を圧倒する数字。中国で目を惹くのは、バイオとグリーン技術がいずれも首位であること。この分野では日本企業がアドバンテージを有しており、成長著しいと想像していたのだが・・・。そういえば、12月1日にMalaysian Institute of Economic Research主催の「National Economic Outlook Conference 2010-2011」において、AHMAD HUSNI第2財務相は、「第10次マレーシア計画においては環境に配慮した産業、バイオテクノロジー産業などの技術革新産業やニッチ産業に力を入れている」と言っていた。MSC同様のビジネス環境が整備されれば、近い将来、バイオとグリーン技術においてマレーシア企業がランクインするかも知れない。


[国/産業別ランキング]
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プロトン社、2011年にハイブリッド車の量産を計画

日本自動車販売協会連合会が12月4日に発表した「車名別新車販売の総合ランキング」によると、11月にトヨタのハイブリッド車プリウスが2万6,815台の販売台数を記録し、6ヶ月連続で首位を維持。日本国内において、ハイブリッド車の需要が高いことが改めて示された。環境へ意識の高まりもあり、日本のみならず欧米でも同技術への関心は高い。欧米メーカーはトヨタとホンダに後塵を拝したものの、いまは積極的にハイブリッド車の市場展開を行っている。

日本だけでなく、世界的に注目されていてるハイブリッド車だが、12月2日のマレーシアのローカル紙によると、プロトン社が2011年を目処にハイブリッド車の量産を目指しているとのこと。現在、英国にて今年発表したMPV車の「Exora」をベースとしたハイブリッド車を開発中で、来年初旬には試作車を完成させる見通しとか。記事の内容や背景から想像するに、開発は子会社のロータス社が行っているはず。
そう言えば、昨年2月にロータスが発表した「Lotus Announces Introduction of Hybrid & Electric Vehicle Group」というニュースリリースでは、思いっきりGen2の写真が掲載されていたし、マレーシア国内でも実車が紹介されていた。





であれば、ハイブリッドの方式はトヨタやホンダとは異なり、低価格が売りの「Series hybrid」か。ニュース記事には、「ハイブリッドによって車体価格は少し高くなるが、燃料消費を30%節約できる」と書かれていた。ただ、マレーシアのガソリン価格は日米と比べるとかなり安い。30%の燃費節約で、消費者にインセンティブが働くだろうか?

プロトンの戦略としては、まずはマレーシア政府に公用車として納入し、その後にPOS MalaysiaやDHL、タクシー会社への展開を図る方針を示している。政府公用車は上意下達で導入することは難しくはないだろうが、民間会社はどうだろうか?特にタクシー会社の場合、燃料費の安いNGV車両を使用しており、NGVへの改造費もそれ程高くない。タクシーはコスト性が重視される市場だけに、初期のターゲットとしては難しいようにも感じるが。
日本の場合は環境に対する消費者意識の高さ、そして原油価格高騰や「エコカー減税」が追い風となり、爆発的な消費の伸びとなった背景がある。マレーシアにおいては、いずれの要素も十分でない印象はある。

ただ、今後数年の自動車産業の進展を考えた場合、脱ガソリンは避けて通れない道であり、プロトンの積極姿勢は評価できる。ニュース記事によると、将来的にはSagaとPersonaへもハイブリッド適用を検討しており、さらにこの2つの車種での電気自動車開発も行っているという。また、海外への展開にも積極な姿勢を示しており、来年第2四半期にはExoraを英国とオーストラリア、中東で発売、さらにインド市場へSagaやSavvyを投入することで、輸出比率を現在の23~24%を3年以内に50%とする目標を示している。
そして注目されるOEM提携先についても、来年の上半期中には何らかのアナウンスが行われる雰囲気。現時点では、2005年に提携交渉が決裂したVolkswagenが最有力と言われている。

この提携話に関連して驚いたのが、MIDF Researchの報告書でプロトン社のTanjung Malimのプラントの生産能力が年間100万台あるにも関わらず、現在は年間15 万台しか生産されていないという事実。稼働率15%・・・。
マレーシア全体でも新車販売市場規模は50万台前後しかなく、輸出比率も決して高くない(Malaysian Automotive Association資料)。なのに100万台の生産能力を持つプラント。MIDF Researchは、海外OEM企業との提携によって余剰生産能力を解消できるとしているが、そう簡単に話は進むのだろうか・・・。


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