マレーシア2010年度予算案

10月23日、ナジブ首相兼財務相は2010年度予算案を国会へ提出、歳出総額は前年補正後比で11.2%減となるRM 1,915億であった。今回面白いのは、予算案に「1Malaysia, Together We Prosper」というテーマがついていること。来年からF1へ参戦するマレーシアチームも1Malaysiaという言葉が盛り込まれ、「1Malaysia F1」となっている。マレーシア国内、至るところでこの言葉を目にする。今回の予算案スピーチの全文を読んでも、「1Malaysia Development Bhd (1MDB)」、「1Malaysia student discount card」、「1Malaysia Clinic」、「1Malaysia Sukuk(イスラム債券)」、「1Malaysia Retirement Scheme」など、頻繁に1Malaysiaが登場してくる。多分、これから出てくる多くのプロジェクトは、「1Malaysia」という名前を冠して登場するのだろう。

提出された予算案だが、全文はいつも通りかなり長い(スピーチ全文)。まず、今回の予算案の骨子だが、下記3つの戦略から形成されているとのこと。

1. Driving the Nation towards a High-Income Economy
2. Ensuring Holistic and Sustainable Development
3. Focusing on Well-being of the Rakyat(国民)





生活に密接に関係する部分では、

- 個人所得税の最高税率が、27%から26%へ引き下げ
- 個人の税控除額が、年RM 8,000からRM 9,000へ増額
- EPFと生命保険の税控除額が、RM 6,000からRM 7,000へ引き上げ
- 2010年1月1日より、クレジットカード・サービス税開始(本会員RM 50、補助会員RM25)

といったところ。

個人的に注目したのは、「ICT産業」と「Green Technology(環境技術)」、そして「Iskandar Malaysia」に関する政策。

ICT産業については国家レベルでの重要性が認識されているものの、触れられている部分はかなり少ない。現在のマレーシアのブロードバンド普及率は25%であり、韓国95%、シンガポール88%、日本64%、米国60%と比べると低水準となっていることから、コンピューター所有率とブロードバンド接続を高めるべきと述べているがず、具体的な政策は3つしか挙げられていない。
一つはHSBBに関するものであり、2010年3月末までにクアラルンプールとセランゴールにおいて10Mbpsのブロードバンドサービス展開を目指すというもの。その他の地域については、2010年から2012年に整備を進める。二つ目は、ブロードバンド契約料について年間最大RM 500の税控除を時限性で2010年から2012年の間に限って認める。三つ目は、公務員のコンピューター購入に際して特別ローンが適用されるというもの。
もし本当に先進諸国の水準にまでブロードバンド普及率を持っていきたいのであれば、もっと踏み込んだ政策が必要なように感じる。予算案で例示されている韓国は政府主導でブロードバンド環境を整備し、日本もe-Japanという国家レベルでの対応が実施されてきたことで、いまの普及率があると言える。東南アジア地域においては高いブロードバンド普及率を誇るマレーシアだが、もう少しダイナミックな政策が欲しい。

次にGreen Technologyだが、「National Green Technology Policy」(KeTTHAのダウンロードページにあるNational Green Technology Policy - eBook中のPart.3Part.4に英文公開)なるものが、今年8月にリリースされており、今回環境技術促進でRM 15億規模の基金設立が明言されている。来年1月1日から基金が運用され、140社が恩恵を受ける見込み。この他にも、National Green Technology Centreが業界標準となる「Green Technology Development Action Plan」の策定や、2010年4月に開催予定の環境技術に関する国際展示会開催、プロトラジャヤとサイバージャヤを環境技術都市のパイオニアとする開発、そして政府調達において環境技術基準に順ずる製品とサービスの優先などが挙げられている。個人的には、「Green Technology Development Action Plan」が面白そう。

そしてIskandar Malaysiaは、知識労働者の所得税を一律15%とする優遇措置が発表されている。適用範囲も環境技術、バイオ技術、教育、ヘルスケア、物流、観光と幅広く、外国人も対象に含まれている。ただし、この優遇税制は2009年10月24日から2015年12月末までの時限性。これに対し、FMM: Federation of Malaysian Manufacturersは「FMM’s Comments on the 2010 National Budget」というプレスリリースを発表、所得税優遇をIskandar Malaysiaだけに限定するのではなく、全マレーシアの知識労働者へ適用すべきとのコメントを発表している。またペナン州のLim Guan Eng州首相も、(野党ということもあるが)「Iskandar Malaysia」だけに適用される特別税制に批判的な姿勢を示している(ニュース記事)
確かに、国全体の経済構造を知識主導とする世界の潮流へ速やかに移行するためには、「Iskandar Malaysia」だけに限定せず、より大胆で積極的な施策が求められるのかも知れない。

スポンサーサイト

iPhone 3GS購入までの道のり(2)

10月4日に書いた「iPhone 3GS購入までの道のり」のアップデート。あれから2週間以上が経過したが、Maxisからは何の連絡もない・・・。予約申し込みから2~4週間で製品が届き、SMSが届く筈なのだが。再度、10月21日に会社の秘書に状況を確認してもらうため、Maxis本社のカウンターへ赴いてもらう。が、「ここでは分かりません。カスタマーサービスへ電話してください」と素っ気ない返事。

既に、この時点でほぼ2ヶ月の時間が経過しており、iPhone 3GSに対する興味はほぼ失われた。これ以上待っても仕方がないとの思いから、予約をキャンセルすることに。翌22日、念のため秘書にMaxisのカスタマーサービスへ状況確認の電話をしてもらうと、なんと今度は予約リストの中に私の名前がないとの返答が・・・。Hari Raya休暇明けに、Maxisからわざわざ返金のための電話があっったにも関わらず、今はリストに名前がないとは?秘書が苦情を申し立てると、他のデータベースを調べてみますとのこと。直ぐに折り返し電話があり、「やはり予約リストに名前がありません」と断定。データベースが分散していて直ぐに調べられないという状況もどうなのだろうかと思ったが、予約リストに名前ないという回答は予想していなかった。

さらに秘書が追求し、これまでの待たされた経緯や苦情を申し立て、「今すぐ予約した製品を手配してくれるのかどうか?」と詰め寄る。オペレーターは「I’ll get back to you as soon as possible.」と返答するが、1日経った今日23日に連絡はきていない。

予約リストに名前がないのならば、キャンセルする作業も必要ないので、iPhone 3GSを諦め、結局NOKIAのN97を購入することに。またこれを機に、携帯電話キャリアーも変更することにした。昨年10月に導入された番号ポータビリティー制度のおかげで、電話番号変更の必要もなし。
今回の出来事、単に私が不運だけだったのか、それともマレーシアスタイルの象徴なのか?少なくとも、街中でiPhoneを手にしている人がいるのだから、多分私は不運なケースだったのだろう。いずれにせよ、Maxisからは謝罪の言葉もなく、今回の一件で私はMaxisユーザーを止めることにした。こういった形での事業機会の損失、マレーシアでは結構頻発しているように感じる。

EPCglobal、Electronic Article Surveillance (EAS)ガイドラインを公開

10月14日のRFID Journalの記事によると、EPCglobalがElectronic Article Surveillance(EAS)向けに、「Strategic Overview Guide」と「Technical Implementation Guide」という2つのドキュメントをリリースしたとのこと(ニュース記事)

EPCglobalのサイトを訪れてみると、EPCglobal Implementation Guidelinesのページにて、「GS1 EPCglobal RFID-based Electronic Articles Surveillance (EAS) Strategic Overview v1.0 - September 2009」「GS1 EPCglobal RFID-based Electronic Article Surveillance (EAS) Technical Implementation Guide v1.0 - September 2009」がダウンロード可能となっていた。EPCglobalがリリースしたドキュメントということで相当のページ数を予想していたが、ファイルを開いてみると両方とも10ページ以下の内容。

タイトルだけを読むと難しそうだが、簡単に言うと、「EPC規格に準拠したRFID製品を使用し、アイテムレベルでの電子式商品監視を行うためのガイドライン」といったところか。記事によると、これまでの盗難予防システムと異なり、各商品の固有ID(96bit EPC, SGTIN)による管理が可能となるため、何が不正に持ち出されたのかがリアルタイムで把握できるメリットがあるとのこと。プロセスの概略は、以下の通り。

1. 商品受取:EASデータベースへEPCナンバー追加
2. 店舗販売時:購入後、EASデータベースからEPCナンバー削除
3. 店舗入退時:自動検証、未販売商品通過時にアラーム

参画メンバーを見ると、Metro Group、Checkpoint Systems、Best Buy、Wal-Mart、Tyco Electronics、Avery Dennison、Motorola、Impinj、UPM Raflatac、University of Arkansas、American Apparel and Footwear Association (AAFA)と錚々たる企業群。

ただ、UHF帯のRFIDチップにおいてはEPC規格に準拠したチップが市場にかなりの数が出てきているものの、EPCコードとなると利用している企業はかなり少ないとの印象がある。今回のEASに関するガイドラインがいかに有益であろうとも、これだけ普及してしない状況を考えると、活用される機会はまだまだ少ないように感じる。また、現時点において店舗側がアイテムレベルでの不正持ち出し情報を必要としているのかといった疑問も残る。
次に本ガイドラインで定められているエアープロトコルを見ると、パッシブタイプのUHF EPC Gen2が標準規格として定められている。タグの形状や取付け方など、ガイドラインの中では色々と言及しているが、周知の通りUHF帯は水分や金属の影響を受けやすい。故意にタグを手で覆い隠したり曲げたりすることで、EASの有効性はかなり低くなると思われるが・・・。とりあえず、欧米においてどのような形で実導入されるのか、注目したい。

NEC、「NECクラウドプラザ」を開設

10月14日、NECは「NECクラウドプラザ」を開設したと発表(ニュースリリース)。発表資料を見ると、「生産管理/工程管理」と「人事・給与/勤怠管理」において、SaaS(Software as a Service)によるクラウドコンピューティングを利用し、RFID機器を接続している様子(システム概要)。この記事、海外のサイトでは殆ど紹介されていないが、私個人としては、未来のRFIDはクラウドコンピューティングをベースとして発展していくと期待しているのだが。

インターネットに代表される情報通信社会は、あらゆるデジタル情報をネットワークで接続し、誰もが容易に欲しい情報へアクセスできる環境を提供してきた。テキストデータだけでなく、画像や動画といった様々な形態の情報が、PC端末や携帯電話によってアクセス可能となり、生活や仕事のスタイルに大きな変化を与えてきた。
そしてRFID技術は、実際のモノやヒト、環境さえもシームレスに情報ネットワークへ接続することを可能としている。それは、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」を意味するユビキタス社会の形成に繋がってる。

ただ残念ながら、当初の予想よりもRFIDの普及はそれほど活発ではない。一つには、ハードウェアのコストがバーコードなどの従来製品と比較して高価なことが原因とされている。ここ数年でハードウェア関連の価格はかなり安価になってきているのだが、それでもクライアントからは割高感の声が聞こえる。
また、ソフトウェアを含むシステム構築・運用の難易度や煩雑さも、RFID導入の意思決定においてハードルとなっているように感じる。現在、個別案件毎にシステム設計・開発を行っているため、導入までに時間を要し、費用も大きくなってしまう。
RFIDの導入にクラウドコンピューティングを活用することは、このような市場の諸問題に対して有効な手段として働くと思われる。特に、SCMやロジステックにおいては複数の拠点での利活用が前提となるため、高い効果を発揮できるのではないだろうか。

グーグル革命の衝撃 - NHKスペシャル取材班

グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)
(2009/08/28)
NHKスペシャル取材班

商品詳細を見る


MS-DOS、そしてWindowsの誕生により、コンピューターの取り扱いはユーザーフレンドリーとなり、現在の情報通信社会の発展に大きく貢献してきた。その反面、マイクロソフト社は世界市場で独占的な立場を強固なものとし、この帝国が未来永劫に渡って主導的な役割を続けるものと思われていた。90年代、OSやウェブブラウザー、メーラー、オフィス用ソフトウェアなど、多くの企業がマイクロソフトに挑戦してきたが、その強固な牙城を崩すことはできなかった。

しかし最近になり、いくつかの分野においてマイクロソフトが市場を脅かされる状況が見られている。特に、検索サービスをコアビジネスとするGoogleの成長は、その筆頭に挙げられるであろう。本書ではそのGoogleに焦点を当て、経営陣へのインタビューや調査報告が記されている。

現在、Googleはインターネットに接続できる環境とウェブブラウザーさえあれば、メールは勿論のこと、文書作成や表計算、プレゼンテーション、或いは画像編集・共有、スケジュール管理、動画管理等々が提供できるサービスを無料で享受することができる。クラウドコンピューティングの台頭により、さらに多くのサービスをウェブブラウザー上で実現できる社会が到来するのもそう遠い将来の話ではないし、それが具現化されれば、マイクロソフト社のソフトウェアを全く使用しなくとも支障の生じないことになるだろう。とは言え、本書で紹介されている「Google漬け」の生活には、違和感を感じるが。

また本書のエピローグに、大学生が論文作成に検索結果で得られた記事をコピペして仕上げているとの記述が紹介されていたが、私も同様の事例をよくマレーシアで目にする。これだと、提出されるレポートの殆どが見通った記述となるだけでなく、文章までが全く同じになりかねないと思うのだが。なによりも、何のための論文作成か意味が分からなくなってしまう。これが学生時代だけであればまだ許せるのだが、会社員になっても同様のことをしている人間も目にする。
私が学生のころは、課題に関係する書籍を読み漁り、必要な情報を消化し、結論を導き出し、手書きでレポートを作成させられた記憶がある。とは言え、Googleに代表される検索機能は調査に掛ける時間を節約でき、幅広い情報を世界中から取寄せることができるメリットを有しており、うまく活用できるかどうかは、使う側の人間次第なのであろう。

あと印象的なのは、グーグル副社長のマリッサ・メイヤー氏が、「今から20年後には、人類は保有する全ての情報をカバーする検索エンジンが存在することになると思います」と述べている部分。いまでも、紙の文書がスキャンされることでオンラインでの検索が可能となり、動画検索もYouTubeの登場によって飛躍的な成長を遂げている。ただ、これらは全て、デジタルデータとして保管できる情報にしか範囲が及ばない。個人的には、RFID技術の活用が実際のモノやヒト、そして環境をアイテムレベルでデジタルネットワークへ接続することを可能とし、マリッサ・メイヤー氏の言う「全ての情報」という究極目標に寄与できると考える。

Merdeka Center、ナジブ政権支持率を発表

10月8日、Merdeka Centerよりナジブ政権支持率に関する3回目の調査報告書がリリースされた(ニュースリリース)。9月4日~14日に1,027人を無作為に選び、電話による調査を実施したとのこと。

まずナジブ政権に対する評価だが、「満足」との回答は前回の65%から若干下がって56%となっている。民族別では、マレー系が64%、インド系が68%が「満足」との回答で高い評価となったが、中国系は36%と大きく下げている。

[ナジブ政権評価の推移]
PM_200910.gif


次に国家の方向性についての質問では、47%が「正しい方向に向いている」と答え、34%が「誤っている」、19%が「無回答」となっている。特に、中国系において「正しい」との回答は18%しかおらず、ここでもマレー系 (59%)、インド系 (70%)と意見が大きく分かれる結果となった。一つには、連立与党の一角であるMalaysian Chinese Association(MCA)内部におけるごたごたも影響し、与党離れが進んでいるのかも知れない。民族の違いを超えた『One Malaysia』を標榜するナジブ政権にとって、中国系の支持率の低さをいかに改善していくかが、今後の大きな課題と思われる。

そして個別政策に対する質問については、下記のような結果となっている。

「犯罪防止」:満足39%、不満48%

「汚職撲滅」:満足35%、不満50%

「教育システム改善」:満足56%、不満29%

「政府効率化」:満足54%、不満29%

「犯罪防止」と「汚職撲滅」については、相変わらず満足度が低い。実際、経済低迷の影響から若年層の犯罪が増加しており、政府が打ち出した対策もそれほど大きな成果をあげていない。疑問なのは、「教育システム改善」と「政府効率化」での満足度が高いところ。まず教育システムだが、先日、政府は理数科目の英語教育廃止を葉発表し、多くの国民から反発が寄せられていたはずだが。また政府効率化においても、目新しいシステムや制度ができたとは記憶していない。国際機関の調査報告書からも、この分野におけるマレーシアの評価は低く、周辺諸国と比べても劣っていることは明らかなのだが。実際、政府機関での手続き業務にうんざりさせられることが多々あり、現地の人でさえ問題だと認識しているのだが。ただ、質問の詳細が示されていないため、私がイメージしているものとは異なる内容かも知れないが。

いずれにせよ、就任してまだ半年しか経過していないので、成果を期待できる時期にはまだ達していない。ただ、以前は触れることのできなかったブミプトラ政策を見直したり、矢継ぎ早に政策を出していることは評価できる。個人的には、ナジブ首相自身が透明性のある政治を念頭に置いているような印象を持っている。

QS World University Rankings 2009

10月8日、英タイムズとQuacquarelli Symondsは「QS World University Rankings 2009」を発表。

報告書によると、米英の大学が上位10位を占め、東アジア域では東京大学の22位がトップ。マレーシアからは5大学が上位400位にランクインし、トップはUniversity of MALAYA (UM)の180位、以下、Universiti Kebangsaan Malaysia (UKM) 291位、Universiti Sains Malaysia (USM) 314位、Universiti Teknologi Malaysia (UTM) 320位、Universiti Putra Malaysia (UPM) 345位であった。University of MALAYAは、2006年以降の調査結果において最高位を記録。あと注目は、Universiti Teknologi Malaysiaが着実に順位を上げているところか。


[マレーシア国内の大学の順位]
WU_2009_Malaysia.gif


東アジア主要国で見てみると、19大学が上位400に入っている日本が最多。それに韓国、中国が続く形となっている。マレーシアは香港と同じく5大学が上位400にランクインしているものの、香港はその全てが上位200にも入っていることから、その質の違いが明らかとなっている。


[東アジア各国の上位400]
WU_2009_Asia.gif


教育レベルの高さは国の競争力にも大きく反映されることは明らかであり、マレーシアが国家として最優先で取組むべき課題であるといえる。先日発表されたUNDPの調査報告書「Human Development Report 2009」においてはマレーシアの低就学率が示され、また政府は英語での理数教育廃止を決定、そしてマレー人優遇措置など、国内高等教育の脆弱さを感じる。民族の隔てなく、能力があって勉学を継続したいと考える学生に対し、公平に就学の機会を与えれば、マレーシアの国際競争力は短期間で飛躍的に高まると考えるが。非マレー人の場合、仕方なく海外の大学を選択しているケースも多い。ただ、国内の大学と比較すると費用も割高であり、奨学金の枠も限られているため、大学進学を実現できる学生は富裕層か高成績者に限られてしまう。費用負担や就学環境を考えると、国内の大学への進学が理想なのであろうが。

国連開発計画、「Human Development Report 2009」を発表

10月5日、国連開発計画(UNDP)は「Human Development Report 2009」を発表。平均寿命、15歳以上の識字率、全体の就学率、1人当たり国内総生産(GDP)の各項目を総合して算出したHuman Development Index (HDI)という指標により、人々の生活の質や発展度合いが国別に示されている。因みにWikipediaでは、当該指標をベースとして色分けされた世界地図が公開されている。







マレーシアに目を転じると、総合評価においては182ヵ国中66位で「High Human Development」というカテゴリーに位置している。そして1991年からのデータを見てみると、マレーシアは概ね60位前後に位置しているものの、最近は下降傾向にあるように感じる。項目別では、平均寿命(74.1歳、55位)、15歳以上の識字率(91.9%、62位)、そして一人当たりのGDP(US$13,518、61位)は総合順位に近いものの、唯一全体の就学率(71.5%、102位)が足を引っぱる形になっている。詳細はここをクリック。
周辺諸国においては、シンガポールの23位が最も高く、次いでブルネイの30位、タイ87位、フィリピン105位、インドネシア111位などとなっている。


[東アジア主要国のHDI順位の推移]
HDI_2009_01.gif


因みに1990年代前半をみると、日本は常に上位3ヶ国の間で推移していたことに驚く。ただ、近年は10位前後を推移している様子。何が低評価なのか確認してみると、マレーシアと同様に全体の就学率が低い・・・。

貧困の光景 - 曽野綾子

貧困の光景 (新潮文庫)貧困の光景 (新潮文庫)
(2009/08/28)
曽野 綾子

商品詳細を見る


本書は、JOMAS(海外邦人宣教者活動援助後援会)の代表を務める曽野綾子氏が、最貧国での支援活動において実際に体験したことを記している。乞食が施しを受けるため、赤ん坊が道具としてレンタルされているなど、マレーシアでも耳にする事例が結構紹介されている。マレーシアは最貧国ではないのだが・・・。

最貧国への支援の難しさは、物資やお金が必要な人のところに十分に届かないということであろう。政府レベルの支援でさえ、輸送途中に物資が盗まれており、民間となればさらに不当な税金や賄賂が要求されることも多々ある。こうした経験から、著者は直接現地に物資を届け、さらにその後の調査にも足を運ぶ姿勢を貫いている。この行動力だけでも尊敬してしまう。

また私自身、特に印象に残っているのは、マザー・テレサの行為について触れている部分。「人間を動物ととらえるのか、魂を持つ存在と考えるのか」。詳しくは、本書にて。

RFID/USN KOREA 2009

10月6日、韓国仁川市で開催されていた「RFID/USN KOREA 2009」を訪れた。200企業・400ブースとの触込みだったが、開催初日の早朝だったことも影響したのか、来場者は少ないようにも感じられた。場所も不便で遠いが・・・。因みに、USNはUbiquitous Sensor Networkの略。


RFID_USN_2009_01.jpg

RFID_USN_2009_02.jpg


まずRFIDに関しては、ハードウェアや媒体関連の製品が充実しており、これほど多くのRFIDメーカーがあるのかと驚かされた。また、展示されている製品の多くが実導入済みとの説明とのことで、単なるプロモーション用の製品でなかったところが興味深い。ハードウェア/媒体共に、ユニークな製品が目を惹いた。マレーシアでは、なかなかクライアントが費用対効果等に対して懸念を拭い去れない状況にあり、消極的な姿勢が顕著であるのとは対照的なのかも知れない。あと、日系企業からはSATOやTOSHIBA TEC、OMRONが出展参加していた。
RFID以外では、ZigBee製品が目を惹く存在であった。元々、韓国では早い時期からZigBeeに注目が集まっていた記憶があるが、今回のイベントではその利活用が事例と共に数多く紹介されていた。

今回は打合せを兼ねての来場であったため、会場を見て回る時間が限られてしまった。また、ほとんどのブースにて英語があまり自由に通じなかったこともあり、余計に時間をとられたことが残念。来年はもう少し余裕を持って訪問したいところだが。

iPhone 3GS購入までの道のり

8月末、2年間使い続けたノキアの携帯電話が突如故障。修理すると結構な費用になりそうなので、これを機にiPhone 3GSへの乗換えを決意。早速秘書にMaxisへ電話してもらったところ、オペレーター曰く現在「Out of Stock」とのこと。2週間後に製品が入ってくる予定なので、その時に連絡を下さいと。そんなにもマレーシア国内で需要があるのかと疑問に思いつつ、とりあえず2週間待つことに。

2週間後となる9月中旬、秘書よりMaxisのオペレーターへ再度在庫確認の電話をしてもらう。するとオペレーター曰く、iPhoneはまず事前登録を行い、デポジットを含めた費用を納めてもらった後にMaxisがApple社へ発注を掛けるとの回答が・・・。iPhoneが届いたら、SMSで連絡しますので、その時に取りに来てくださいとのこと。前回のオペレーターの回答とこれまで待たされた2週間は何だったのかと思いつつも、仕方がないのでオペレーターの指示に従ってHari Raya休暇前に全ての手続きを完了させる。

そしてHari Raya休暇明け、今度はMaxisのオペレーターから会社に電話が。今度は、費用はiPhoneが届いた後の支払いで、今の時点ではデポジットだけでしたと修正してきた。ついては支払った費用を取りに来て欲しいとのこと。会社のスタッフに支払った費用を回収してもらったところ、再度オペレーターから電話があり、現時点ではデポジットも必要ないですとのこと・・・。

一体、どれが標準の手続きなのだろうか・・・?というより、なぜMaxis内でiPhone購入手続きに関してオペレーターがバラバラな認識を持っているのか?マレーシア国内において、MaxisはiPhoneのために巨大なビルボードをいくつも設置し、テレビでもコマーシャルを展開するなど企業戦略上かなり力を入れているような印象を持っていたが。







オペレーターレベルで話が二転三転し、時間だけが無意味に経過している。Maxisはマレーシア国内において最大手だが、このような対応をしていて事業機会を逃すことにならないのだろうか?マレーシアだから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、10月4日今日現在で、いまだにiPhone 3GSを入手するに至っていない・・・。iPhoneを手にするのはいつになることやら。

クラウドの衝撃 - 城田 真琴

クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まったクラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった
(2009/02/06)
野村総合研究所 城田 真琴

商品詳細を見る


クラウドコンピューティングについては漠然とした理解しか持っていなかったが、本書は平易な文章で説明されていることもあり、容易に読み進めることができた。個人的には、面白いテーマだけにもっとボリュームが欲しいところ。

グーグルが積極的にクラウドコンピューティングを展開していることは有名だが、アマゾンも同様にクラウドコンピューティングサービスを提供していることは知らなかった。ただ気になるのは、これだけ世界的に注目されているにも関わらず、日本企業の影の薄さ。本書でも、米国企業が中心となっている。

1990年代、インターネットの登場によって世界中どこにいても、シームレスでインタラクティブな情報交換がメール等の手段によって可能となった。そしてクラウドコンピューティングの台頭によって、享受できるベネフィットはさらに広がりつつある。それも低価格で。
ただ、マレーシアのような発展途上国ではネットワーク接続速度が遅いこともあり、クラウドコンピューティングを十分に活用するにはまだストレスを感じる環境かも知れない。

私個人としては、RFIDアプリケーションとクラウドコンピューティングというものを一つの可能性として検討してみたいところだが。

グリーン革命 – トーマス・フリードマン

グリーン革命(上)グリーン革命(上)
(2009/03/20)
トーマス・フリードマン

商品詳細を見る

グリーン革命(下)グリーン革命(下)
(2009/03/20)
トーマス・フリードマン

商品詳細を見る


本書を読んでみると、前作の『フラット化する世界』の続編であるかのような印象。ただ、仕上がりは前作に比べて格段に質が落ちているよう感じる。内容は当然環境問題に対するないようだが、著者は2001年1月1日をエネルギー気候紀元(ECE)元年と位置付け、温暖化とフラット化、そして人口過密をキーワードして全体を構成している。

特に私が強く感じたのは、全てにおいて米国中心に語られ、米国が環境問題に対して主導的役割を果たすべきと著者は強く主張しているが、実際の環境改善に関して頻繁に取り上げられているはトヨタのプリウスとなっている点。これは日本発の技術なのだが・・・。それに対して日本に関する記述は驚くほど少なく、世界有数の節約、省エネの国として紹介されているに過ぎない。逆に、中国の環境問題に対してはかなり楽観的な姿勢を見せているように感じた。

また、本書において著者はゴア氏を高く評価し、同氏の活動が米国の環境問題を大きく前進させているとしている。これを読んで思い出されたのが、2000年の大統領選。当時、民主党からゴア氏が、そして共和党からはブッシュ氏が立候補しており、ゴア氏は環境問題対策を選挙公約に挙げていた。だが、当時国民が選んだのはブッシュ氏であり、環境問題は等閑にされた経緯があるのだが・・・。それでも、米国内での有益な取り組みが実際の効果と共にいくつか紹介されており、環境対策が実際の事業活動においてプラスに働いていることが示されている。

あと、10年以上前に読んだ『ゼロ・エミッション』という本の中で、いまの製造業では歩留まりが製品の良否を判定する重要な指標になっているが、将来はリサイクル率や廃棄率が良否判定の重要な要素になると書いていたと記憶している。そして現在、日本においては消費者市場において『エコ』という言葉が消費者行動に大きな影響を与えるまでになっている。
私としては、日本の先進的な取り組みや技術が世界中でもっと認知され、多くの分野でデファクトースタンダードとして採用されることで、ハイブリッドカーのように主導的役割を果たすことを期待している。


| ホーム |
Page Top↑
▲ Page Top