貧困のない世界を創る – ムハマド・ユヌス

貧困のない世界を創る貧困のない世界を創る
(2008/10/24)
ムハマド・ユヌス

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本書では、グラミン銀行設立に至った経緯から運営状況、ダノン社との提携、そしてユヌス氏が提案するソーシャル・ビジネスといった内容で構成されている。特に、ダノン社との提携話の部分は興味深い。バングラデシュという国柄から、本書で触れられていない幾多の困難があったことと思うが、氏の意思の強さには敬服する。

ただ、私自身は「利益の最大化を目指すビジネス(PMB)」で働いている人間ということもあり、著者の提案するソーシャル・ビジネスについては疑問が多々残る。とは言え、ユヌス氏はマイクロクレジットをビジネスとして世界的に広めた実績を持っており、「貧困を貧困博物館へ」の考え方は是非とも実現して欲しい。

ニコラス サリバン著の『グラミンフォンという奇跡』と併読すると、さらに面白みが増すかも。

因みに、下記のノーベル賞受賞記念講演の動画では本書の内容が簡潔に触れられている。




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A.T. Kearney、Global Services Location Index 2009を発表

5月18日、米国コンサルティング企業のA.T. Kearneyは、ITサービスやサポート、コールセンター、バックオフィスサポートを含むアウトソーシングサービス拠点に関する報告書『Global Services Location Index 2009』を発表した。

[アジア主要国のGSLI 2009ランキング]
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報告書は50カ国を対象に「Financial attractiveness」、「People skills and availability」、「Business environment」の3項目で評価されている。結果を見ると、アジア諸国がほぼ上位を独占しており、マレーシアはインドと中国続いて第3位に位置している。特に評価が高かったのがインフラ整備であり、アジア域内ではシンガポールに続く高評価となっている。
以前はスキルやインフラの面で優位性を有し、IT関連のアウトソーシングの拠点として躍進したシンガポールだが、他国の押し上げによってその魅力は低下しつつある。逆に、アセアンの発展途上国は堅調に上位を維持しており、それにベトナムが加わる構造になりつつある。

私自身、マレーシアの拠点としての魅力は、ITインフラや契約・法律等のビジネス環境が比較的整備されており、英語が共通語として広く一般化しているところか。また、国内に中国系とインド系を抱えていることも、大きな要素だと考える。

2002年とちょっと古いが、私自身マレーシアを中心として中国とインドと相互に繋がりを持つITアウトソーシングとして『フィードバック型国際分業によるITアウトソーシング』なるアイデアをまとめたことがある。コンセプトそのものは、今でもある程度通用すると思うのだが。

マレーシア、2009年第1四半期のGDP

5月27日、マレーシア中央銀行は2009年第1四半期の国内総生産(GDP)を発表した(BNM Press Statement)

発表によると、2009年第1四半期のマレーシアのGDPは前年同期比でマイナス6.2%であり、大幅な落ち込みとなったことが示された。昨年末からマイナス成長は予想されていたが、落ち込みの度合いは予想以上だったと言える。

[マレーシアGDP推移]
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特に製造業は先進諸国の経済低迷の影響が大きく影響しており、マイナス17.6%との数字が出ている。また、過去2回の景気刺激策で製造業に対する施策内容が貧弱だったことも、一因として作用しているのではないだろうか。他の分野を見ても、建設を除いて軒並みマイナスを記録、唯一前年第4四半期に高い成長率を見せていたサービス業もマイナス成長となっており、事態の深刻さが浮かび上がっている。

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この状況を受け、28日に政府は当初プラスマイナス1%としていた2009年のGDPを、マイナス4~5%へと大幅に下方修正した。同時に、ナジブ首相兼財務相は第3次景気刺激策の可能性についても言及。(それ以上に興味を惹いたのは、過去2回の景気刺激策で42,000ものプロジェクトが実行されていることがメディアで紹介されていたこと。これだけの量、どうやってお金の出入りや成果を管理していくのだろうか・・・)



今後の見通しとして、マレーシア中央銀行とマレーシア政府は下期には経済に改善が見られ、第4四半期にはプラス成長に転じると期待しているようである。ただ、最近マレーシア中央銀行の経済見通しはあまり当てにならないのだが・・・。

(関連データ)
Department of Statistics Malaysia

Wi-Net、HSBBでTMと契約

TMがHSBB(High Speed Broadband)の説明会を行ってから2ヶ月(過去記事)、マレーシア北部でISPサービスを行っているWi-NetがHSBBプロジェクトでTMと契約を締結したと発表した。
両社ともプレスリリースを行っておらず詳細は不明だが、ニュース記事によるとWi-Netは今後5年間でRM10億をワイヤレスサービスに投資するとのこと。そのうちRM2億5,000万がHSBBへの支払い。




Wi-NetのLee Wai Tuck社長によると、「2010年までに全国2,000箇所、そして5年間で4,500箇所でのサービス提供を目指している」とのこと。ちなみに、今現在同社がサービスを提供しているのはKulim、Sungai Petani、Alor Star、Langkawiなど100箇所のみとなっている。
まず今年第3四半期にマレー半島の北部と南部でサービスを開始し、首都圏Klang Valleyへは2010年に開始の見通しとか。気になる通信速度だが、2.45GHzのWiFIを使用し、20Mbpsを予定している様子。これまで最速で数Mbpsの通信環境しかなかったことを考えると、20Mbpsはかなり魅力的と言える。あと気になるのが価格帯だが、3年間で100万のユーザー獲得を目指しているとのことなので、そこそこ安価な価格帯で出てくることを期待したい。

またTMによると、HSBBのサービス提供に関しては10以上の業者と話が持たれているとのこと。個人的には、有線で数十Mbpsのサービスを家庭向けに提供して欲しいのだが。

WHO、World Health Statistics 2009を発表

世界保健機関(WHO)が21日に発表した『World Health Statistics 2009』によると、2007年時点でのマレーシアの男女平均寿命は72歳となり、2000年の71歳から1歳平均寿命が長くなった。男女別で見ると男性が70歳、女性が75歳となっており、女性の方が5歳平均寿命が長い。

[アジア主要国の平均寿命]
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次にアジア域内で見てみると、マレーシアは概ね中位に位置しているものの、日本の男女平均と比較すると11年も平均寿命が短いとの結果が。マレーシアに住んでいると、日本における食の安全や医療環境の充実等々が際立っていることを再確認させられる。
マレーシアにおいても、低所得者も医療サービスを受けられるよう、政府系の病院はかなり安価な料金で対応することで、皆医療の環境を整えてはいる。私の近くにある政府系の病院では、診察と薬込みでローカルであれば医療費はRM1(約30円)のみで、実際に料金が掛かっているのはRegistration Feeのみのようだ。外国人でもRM10程度だったように記憶している。ただ、これだけ安いと多くの患者が病院に溢れ、結果、診察までに長時間を要してしまう。また、政府系病院での医師・看護婦不足も深刻となっており、それが更なる悪循環を招いている。私の知人も医師から癌を告知され、緊急の手術が必要とのことだったが、順番待ちで数週間を要する結果に。せめて手術まで入院しようにもベッドの空きがないと断れ、空きがでるまで自宅療養を指示されていた。日本でも、近年医療に関する問題が指摘されているが、マレーシアのそれはより深刻に感じる。

IMD、World Competitiveness Yearbook 2009を発表

20日、IMD(International Institute for Management Development)は世界各国の国際競争力を評価した『World Competitiveness Yearbook 2009』を発表(プレスリリース)。詳細は無料公開されていないが、「経済的成果」や「企業の効率性」、「政府の効率性」、「インフラ」などが評価されている様子。総合ランキングにおいて、マレーシアは日本に次いで18位の結果で、アジア域においては5位となっている。アジア諸国の総合ランキングを見ると、香港の2位が最高位で、シンガポール3位、日本17位となっている。

[アジア域におけるWCY2009ランキング]
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全体を見ると、香港とシンガポールが上位に、そして17位と30位の間にアジア7ヶ国が集中し、インドネシアとフィリピンが下位に位置する状況となっており、三極化の様相を呈している。また時系列で見ると、台湾に大きな落ち込みが見られ、中国も下降傾向にあることが分かる。


(関連情報)
Statement From YB Dato’ Mustapa Mohamed, Minister Of International Trade And Industry Malaysia

民主国家vs専制国家 激突の時代が始まる - ロバート ケーガン

民主国家vs専制国家 激突の時代が始まる民主国家vs専制国家 激突の時代が始まる
(2009/01)
ロバート ケーガン

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本書は民主主義国の代表を米国、そして中国とロシアを専制独裁主義国の代表として捉えることで全体が構成されている。そして双方の比較と実際の情勢を分析した上で、2008年のアメリカ大統領選挙で共和党大統領候補のマケイン氏が訴えた「世界規模の民主主義国家の協調または連合の設立」と同じことを提唱している。あとがきを読んで、同氏がマケイン氏の外交政策顧問を務めたことで納得。

また、民主主義国を構成する国としてEUやインド、オーストラリア、そして日本などが挙げられているが、日本に関するの記述は驚くほど少なく、第8章で「日本の大国主義」との題名で取り上げられているのみ。その中身も偏った見識でまとめられており、加藤紘一氏の言論だけが紹介されているなどから、あまり日本に関する知識はないのかも。

UNIDO、Industrial Development Report 2009を発表

12日、The United Nations Industrial Development Organization (UNIDO) は「Industrial Development Report 2009」を発表、各国の2000年と2005年のCPI: Competitive Industrial Performance (工業競争力)が示された。

報告書によると2005年の首位はシンガポールで、アイルランド、日本、スイス、スウェーデンが続いている。マレーシアは2000年に13位であったが、2005年は16位に順位を落としている。アジア域で見てみると、特に中国の工業力向上が際立っている。2000年に入ってマレーシアに拠点を持っていた製造業の多くは中国へ重点を移してきており、それが今回の順位に反映されていると思われる。今後、おそらく東南アジア域内においてマレーシアは高い競争力を維持できるであろうが、中国の競争力はそれを上回る速度で向上しており、近い将来にそれは逆転される可能性が高い。それに備え、マレーシアが如何にして知識を付加価値として工業力を高められるかが鍵になるだろう。

[アジア各国の工業競争力]
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(IDR2009, IDR2002/2003より)

Quacquarelli Symonds、Asian University Rankings 2009を発表

QS: Quacquarelli Symondsが発表した「Asian University Rankings 2009」によると、マレーシアの大学6校が上位200校に選ばれ、マレーシア国内ではUniversiti Malayaが首位となった。詳細は下記の通り。

39位: Universiti Malaya (UM)

51位: Universiti Kebangsaan Malaysia (UKM)

69位: Universiti Sains Malaysia (USM)

82位: Universiti Teknologi Malaysia (UTM)

90位: Universiti Putra Malaysia (UPM)

171位: MULTIMEDIA University

日本は同ランキングの中で最多の56校が名を連ねたものの、1位と2位は香港の大学で、日本の最高位は東京大学の3位となっている。上位200校を国別に分類してみると、日本と韓国、中国が桁違いの数字であることが分かる。香港とシンガポールは大学数そのものが少ないこともあるが、いずれも上位にランキングされており、教育レベルの高さが理解できる。東南アジア各国は概ね似たような数字で横並びとなっている。印象深いのは中国とインドの状況。インド経済を牽引しているIT産業の成長から、インドの大学の教育レベルは高く、そこが中国との比較の際のアドバンテージとよく耳にしていたが、実際には中国の教育レベルが高いことが今回の調査結果から分かる。


[Asian University Rankings 2009国別分類]
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QSのマレーシアに対する評価としては、留学生受け容れ(100カ国から5万人の生徒)などが好意的に受け止められている。海外からの留学に際しては、確かにマレーシアは物価・学費が安価であり、治安も良いことから魅力的な就学先となっているようだが、国内の学生、特に非マレー人にとってマレーシア国内の大学は狭き門だといえる。もともと、マレーシア国内においては大学総数はそれほど多くない状況だが、ブミプトラ政策の影響から民族別の割当に制限がかけられているため、優秀な学生が国内の大学に進学できないというジレンマを抱えている。唯一、MULTIMEDIA Universityが門戸を幅広く開放して設立され、内外から注目されていたが、最近はそれも形骸化してきたと聞く。

次世代プロジェクトリーダーのためのすりあわせの技術 - 山本 修一郎

次世代プロジェクトリーダーのためのすりあわせの技術次世代プロジェクトリーダーのためのすりあわせの技術
(2009/03/13)
山本 修一郎

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プロジェクトマネージメントの仕事をしている中で、多くのステークホルダーとの折衝や調整等々にいつも頭を悩ませている状況もあり、タイトルに惹かれて本書を手に取ったが・・・。中味を読むと、全225ページ中183ページまでが「202X年の新しい教育サービス開発プロジェクト」と題し、未来におけるプロジェクトの進め方がストーリー形式で書かれている。多分、著者は将来のプロジェクト業務は高度な専門性に細分化され、それをすり合わせによって「無理・無駄」をなくすことで、成功の確率を高めると言いたいのだろう。また、理解を容易とするためにストーリー形式とされたのだろうが、反対に私としては内容を把握しづらいし、正直得るものはなかった。

闇の子供たち – 梁石日

闇の子供たち (幻冬舎文庫)闇の子供たち (幻冬舎文庫)
(2004/04)
梁 石日

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本書中に描かれている子供を対象とした残酷なまでの性描写、そしてそれを弄ぶ行為には吐き気を感じざるを得ない。内容そのものはフィクションではあるが、実際にマレーシアの中国系の友人たちに話を聞くと、タイでの性産業がかなり活発であり、本書に描かれているような子供を対象とした売春も跋扈していると聞く。また、多くの日本人が常連となっていることも有名なようで、残念ながら日本人の需要がこの産業を牽引している状況にある。更に、タイに不法滞在している日本人もかなりの数に上り、安価な性産業の恩恵を享受していることもよく耳にする。

昨今、タイではタクシン派と反タクシン派による大規模なデモが実施され、空港が閉鎖されたり国際会議が中止に追い込まれたりなど、国の経済活動に多大な影響が及んでいる。ただ、デモ参加者は小遣いを貰えたり、三度の食事が提供されるなどの理由から参加している人間も多いようである。このような動機はタイに限ったことではなく、マレーシアのデモも似通っているが、タイほど大規模なものは発生していないし、政治的な腐敗もまだ軽微であると感じる。このような理由もあり、マレーシアのビジネスマンの多くがビジネスを難しい国としていつも指摘いるのがタイとインドネシアである。自動車産業では集積化が進み、有望な投資先として見られているタイだが、同時に国内の貧困や汚職によって最底辺から抜け出せない国民も多く、事態は深刻であると言える。

GS1 EPCglobal Roadshow: EPC/RFID - Shaping the Future of Supply Chain

4月28日、GS1 MalaysiaInternational RFID Business Associationの共催で、「GS1 EPCglobal Roadshow」が開催された。場所はFMM(Federation of Malaysian Manufacturers)のJohor Bahru支部。

私もSENSTECH RFID / FEC Internationalとしてイベントに協力。ただ、当日は他の予定が入っていたため、残念ながら会場入りできず。イベントそのものは小規模なもので、特にFMMのメンバーにRFID技術のことを知ってもらうことが主眼と言える。特に、今回はGS1 MalaysiaとRFIDba共に現地の方が全てをアレンジしており、マレーシアでのRFID産業発展のために尽力されている。


[GS1 Malaysia挨拶、司会進行]
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[SENSTECH講演]
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[SENSTECH展示]
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このイベント、今年中にペナンとトレンガヌでも開催する予定となっており、できれば毎年の恒例イベントとし、徐々に規模を拡大したいところ。


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