一部サービス業におけるブミプトラ撤廃

22日、ナジブ首相は一部サービス業においてブミプトラ優遇措置を撤廃することを決定した。具体的には、コンピューターや福祉、観光、運輸関連など27のサービス部門において、これまで外資は30%以上をブミプトラへ割り当てなければならなかったが、それが完全自由化となったようだ。今回の措置はまだ一部業種に限られているが、これまで、ブミプトラ政策はマレーシアの経済活動において足枷となっていると内外から批判があった。実際、民族間で格差が生じてしまい、マハティール元首相でさえ、ブミプトラ政策の影響で「マレー人には勤勉さが足りない」と悲観的な感情を持っていたようである。

<ブミプトラ撤廃一覧>


コンピューター及び関連サービス
1. コンピュータハードウェアのインストールに関わるコンサルティング・サービス(CPC 841)
2. ソフトウェア導入サービス(CPC 842)
3. データ処理サービス(CPC 843)
4. データ・ベース・サービス(CPC 844)
5. コンピューターのメンテナンス、及び修理サービス(CPC 845)
6. その他サービス

健康、及びソーシャルサービス
7. 獣医業(CPC 9320)
8. 高齢者、及び障害者向け在宅福祉サービス(CPC 93311)
9. 子供向け在宅福祉サービス(CPC 93312)
10. 子供、及び障害者向けデイケアー・サービス(CPC 93321)
11. 障害者向け職業訓練サービス(CPC 93324)

観光サービス
12. テーマパーク(CPC 96194)
13. コンベンション、展示会場(5000席以上)(CPC 97909)
14. 旅行代理店、ツアー業務サービス(CPC 7471)
15. ホテル、及びレストランサービス(4つ星、5つ星ホテルのみ)(CPC 64110, CPC 64199)
16. 食料提供サービス(4つ星、5つ星ホテルのみ)(CPC 642)
17. 飲料提供サービス(4つ星、5つ星ホテルのみ)(CPC 643)

運輸サービス
18. クラスC航空輸送(CPC 7123)

スポーツ、及びその他リラクゼーションサービス
19. スポーツサービス(CPC 9641)

ビジネスサービス
20. 域内流通センター(CPC 87909)
21. 国際調達センター(CPC 87909)
22. 技術試験、分析サービス(CPC 8876)
23. 経営コンサルティングサービス(CPC 8650)

レンタル/リースサービス
24. 船舶のレンタル/リースサービス(CPC 83103)
25. 貨物船のレンタル(CPC 83103)

運輸補助サービス
26. 海運代理店サービス(CPC 7454)
27. 船舶サルベージサービス(CPC 7454)

注)
CPCはCentral Product Classificationの略で、国際的に通用する区分のよう。



今回、ナジブ首相が父アブドゥル・ラザク氏の敷いたブミプトラ政策の一部に手をつけたことは大きな一歩だと言える。ただ、税制や社会保障、土地・住宅購入、教育等々、あらゆる部分をブミプトラ優遇措置はカバーしており、民族間の不公平を長く続けてきている。しかし、完全にブミプトラを撤廃してしまうと、マレーシア経済そのものに甚大な影響が生じることは容易に想像できるし、まだ話題とすることもタブーとされる風習がある。今後、ナジブ首相がブミプトラ政策に対してどのような舵取りをするのか、注目してみたい。

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インド厄介な経済大国 – エドワード・ルース

インド 厄介な経済大国インド 厄介な経済大国
(2008/10/16)
エドワード・ルース

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中国と並んで高い経済成長が期待されるインド。常に中国とインドが比較され、どちらがパートナーとして優れているかが話題にされる時には、いつもインドの民主主義が挙げられてきた。社会インフラ整備の遅れはあるが、同じ価値観を共有する国であるが故、事業を円滑にすすめることができると。

本書によると、インドの総労働人口は4億7000万人いるそうだが、その内、所得税を支払える安定した職に就いている人が7%にも満たない3500万人しかいない。その多くは政府の直接雇用者となっており、近年インド経済を牽引しているITやソフトウェアもバックオフィスやコールセンター関連の企業で働いているのは、総労働人口の0.25%に当たる100万人強に過ぎないという。ただ、これだけの労働人口でインドのIT産業基盤を支えているのであれば、それは驚きに値する。

ただ、本書を読むと政治家や官僚機構、宗教対立、そしてカーストによる身分の違いが経済活動を阻害していることが見て取れる。特に、政治家の近視眼的な政策は長期に国の国際競争力を押し上げるものではなく、選挙の度に有権者に対するリップサービス的な政策が幅を利かせていることが分かる。また、汚職の深刻さや悪慣習・悪伝統も本書ではかなりのページが割かれており、本書のほとんどはこうしたネガティブな情報で占められている。

私が印象に残っているは、あるアパレル企業が「我々が競争できるのは、中国よりも教育レベルの高い、英語を話す人材を雇い入れられるからなのです。安い製品を作ろうとしても、価格面では中国には太刀打ちできません」と発言している箇所。中国と比較してインドの教育レベルが高いか低いかは分からないが、確かにインドの優位性の一つに英語力がある。ただ、近年では中国の英語教育も盛んであり、私自身、仕事柄中国企業と打合せすることがあるが、英語でコミュニケーションできるビジネスマンは沢山育ってきている。逆に、インド人独特の英語の発音や強引に話を進めていくやり方に戸惑いを覚えてしまう。いずれにせよ、近い将来、英語力はインドだけの優位性ではなくなるだろう。

また、本書の最後のほうでは民間のIT企業やコングロマリット企業の努力により、旧来の考え方が通用しなくなっている事例も紹介されている。カーストによる身分の違いを気にしない、宗教の違いを気にしない等々。こうした価値観を持つ人達が官僚の中に生まれれば、インドは国としてより豊かになり、国としての競争力も飛躍的に高まるだろう。

やりたいことは全部やれ! - 大前研一

やりたいことは全部やれ! (講談社文庫)やりたいことは全部やれ! (講談社文庫)
(2005/05)
大前 研一

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シンガポール出張に際し、空港での待ち時間と機中内での暇つぶしになればと思って手に取ったのがこの本。往復の時間つぶしにするつもりだったが、内容が思ったより少なく、行きの時間だけで読み終わってしまった・・・。

中味そのものは、大前氏の人生論というか、自己啓発本というか・・・。正直、個人的にはあまり刺激的な内容とは言えなかった。ただ、共感する部分は多々ある。日本人は仕事から離れると人生の楽しみ方を知らないなど、老後の日本人のライフスタイルは悲劇的でもある。あと著者の大前氏もそうだが、本書で登場する松下幸之助氏や本田宗一郎氏、盛田昭夫氏のように破天荒で世界市場で通用する人材が少なくなったように感じる。

それと、いつも大前氏の効率的な時間の使い方には感心させられるが、本書でもいくつかエピソードが紹介されている。

RFID World Asia 2009

4月21日~24日の4日間、SUNTEC Singapore International Convention and Exhibition CentreにてRFID World Asia 2009 / Cards Asia 2009が開催された。
ただ、全体的に規模が縮小され、盛り上がりに欠けた印象は否めない。展示会場のレイアウトさえ最後の最後に修正が掛かったし、Conferenceも展示会場内に設置された特設会場にて実施されていた。また、一部の出展ブースはパンフレットと製品展示だけにとどまっており、世界的な景気低迷の影響が及んでいるようにも思えた。


[RFID World Asia 2009 / Cards Asia 2009エントランス]
RFID_World_Asia_2009_1.jpg


今回、私自身SENSTECH RFIDの一員として出展対応を行うこととなった。出展はRFIDアプリケーションに重点を置くとの意向から、航空手荷物管理アプリと木材管理アプリ、そしてオン・チップ・アンテナのデモンストレーションを実施することに。私は初日しか参加できなかったが、社員から最終日は凄い来場者の数で対応に追われたと聞く。何はともあれ、大きなトラブルもなく無事に出展対応を終えることができた。


[SENSTECH RFID出展ブース]
RFID_World_Asia_2009_ST1.jpg RFID_World_Asia_2009_ST2.jpg


SENSTECH RFIDの他に、マレーシアからはアクティブタグメーカーのFreeAlliance社が出展していた。この会社の製品は2.45GHz帯を使用しており、モーションセンサーや温度センサーなどがタグに組み込まれている。会社規模はまだ小さいが、将来的な潜在性は高いと期待している。


[FreeAllianceブース]
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チップメーカーで出展していたのはNXPとSTマイクロの2社のみで、NXPはLFとHF、そしてUHFの各々を出展していた。個人的に興味を持ったのは、NXPからNFC携帯が数種類出展されていたことか。


[NXPブース]
RFID_World_Asia_2009_NXP.jpg RFID_World_Asia_2009_NFC.jpg

[STマイクロ出展ブース]
RFID_World_Asia_2009_ST.jpg


ハードウェアメーカーも、大手としてはPsion Teklogixが製品を持ち込んでデモンストレーションを行っていた程度。ただ、最近はRFIDハードウェアメーカーから新製品がリリースされていないこともあり、出展の必要性がなかったのかも知れないが。逆に、アプリケーションを提案する形での出展が増えているように感じる。


[Psion Teklogixd出展ブース]
RFID_World_Asia_2009_Psion.jpg

[RFID in Action (Microsoft, HP)]
RFID_World_Asia_2009_action.jpg RFID_World_Asia_2009_hp.jpg


今回、イベントの規模そのものは小さかったが、私自身はEPC関係者やアジア各国の企業の人達と話をすることができ、有益な情報も入手できたので、ますまずの成果を得られたというところか。

YTLeとサムスン、WiMAX事業で提携

23日、YTLeはサムソンとWiMAX事業での提携を発表した(プレスリリース)。プレスリリース中に『モバイルインターネット』という言葉が何度も登場することから、移動体を主としたサービスの提供を目指しているようである。

スケジュール的には、今後6~8ヶ月後に試験運用を行い、14ヵ月後に商用サービスを開始する見通し。料金体系はまだ公開されていないが、通信速度は下りで8Mbps、上りで2Mbpsを予定しているとのこと。
今回の提携はWiMAX基盤の構築が主体となっており、ニュース記事によると5年でRM25億の投資、サービス利用者として1,400万人をターゲットとして挙げている。ただ、マレーシアの全人口は2,700万人しかなく、1,400万人は全人口の50%以上の占有率となるが・・・。

因みに、提携先となったSamsung Electronicsは、19ヶ国でWiMAX事業に関わっている実績を持ち、日本のUQ COMMUNICATIONSとの事業もサポートしているとのこと。利用者としては、世界水準の品質が享受できれば嬉しいところだが。

フォーブス・アジア、「Forbes 2000」を発表

16日、フォーブス・アジアは2009年の世界優良企業2000社となる「Forbes 2000」を発表した。評価は売上高、利益、資産、そして時価総額で決定されている。その中で、マレーシアはアセアン諸国内において最多となる19社が名を連ねた。最高位はMalaysian Bankingの605位。殆どは政府系投資会社カザナ・ナショナルが出資するGLCであるが、民間企業ではPublic BankやMaxis Communications、YTL、Hong Leong、Gentingなどがランクインしている。

[Forbes 2000におけるマレーシア企業ランキング]
Forbes 2000_1


またアジア域においては、日本が288社で最多、次いで中国の91社、韓国61社、インド47社、台湾45社、香港42社となっている。

[Forbes 2000におけるアジア各国のランクイン状況]
Forbes 2000_2


ナジブ首相、新内閣を発表

4月3日に首相に就任したナジブ首相が、同9日に新内閣を発表した。外国人である私には、今回の新内閣全体のバランスや期待性を的確に理解することはできないが、個人的には古参が殆ど見当たらなくなったとの印象がする。昔であれば、同じ人間が十年以上に渡って同じポストに就くことが慣例のようになっていたが、新内閣の中で私が昔から知っている名前はDatuk Seri Dr Rais YatimとTan Sri Nor Mohamed Yakcopぐらいか。

また一部の省が再編され、「Ministry of Energy, Water and Communications」が「Ministry of Energy, Green Technology and Water」へ、そして「Ministry of Culture, Arts, and Tourism」が「Ministry of Information, Communication, Arts and Culture」へ変更となった。エネルギー・水と環境技術が同一省内であることは納得できるが、なぜ芸術・文化と情報・通信が一緒の省に統合されたのだろうか?統一性があるようには思われないが・・・。
あと、個人的にはEconomic Planning Unitの大臣に就任したTan Sri Nor Mohamed Yakcopの同行に注目したい。マハティール首相の時にはSpecial Economic Adviserとして、アブドゥラ首相の時には第二財務相として手腕を発揮しており、今度はマレーシア5カ年計画策定の要となる職に就いている。

ただ、一般的にナジブ首相に対する期待はそれ程高くなく、新内閣についても新味がないとの評価が体勢を占めている。だが、ナジブ首相自身は閣僚の業績を6ヶ月ごとに評価・見直すことや、先に発表された景気刺激策の進捗をウェブで公開するなど、見える政治をしようとしているように感じる。これまで、多くの国際機関の評価では、政治に対する評価、特に情報公開は周辺諸国よりも低い状況であったことを考えると、大きな第一歩だと言える。
また、就任後はナジブ首相自ら華人街やインド人街に足を運び、ここ数年民族間に噴出してきている対立構造を和らげようとする試みも見られている。

[新内閣]
Prime Minister
Datuk Seri Najib Abdul Razak
Deputy Prime Minister
Tan Sri Muhyiddin Yassin

Ministers in the Prime Minister’s Department
Tan Sri Datuk Dr Koh Tsu Koon (Unity Affairs and Performance Management)
Datuk Seri Nazri Aziz (Justice and Parliament)
Tan Sri Nor Mohamed Yakcop (Economic Planning Unit)
Maj. Gen (R) Datuk Jamil Khir Baharom (Islamic Religious Affairs)


Deputy Ministers
Datuk Liew Vui Keong
Senator Datuk Dr Mashitah Ibrahim
Datuk S. K. Devamany
Ahmad Maslan
Senator T. Murugiah


Finance
Minister: Datuk Seri Najib Razak
Minister II: Datuk Ahmad Husni Mohamad Hanadzlan
Deputy: Datuk Chor Chee Heung
Deputy: Senator Datuk Dr Awang Adek Hussein


Education
Minister: Tan Sri Muhyiddin Yassin
Deputy: Datuk Dr. Wee Ka Siong
Deputy: Datuk Dr Puad Zakarshi


Transport
Minister: Datuk Ong Tee Keat
Deputy: Datuk Abdul Rahim Bakri
Deputy: Datuk Robert Lau Hoi Chew


Plantation Industries and Commodities
Minister: Tan Sri Bernard Dompok
Deputy: Datuk Hamzah Zainuddin


Home
Minister: Datuk Seri Hishamuddin Hussein
Deputy: Datuk Wira Abu Seman Yusop
Deputy: Encik Jelaing Mersat


Information, Communication, Arts and Culture
Minister: Datuk Seri Dr Rais Yatim
Deputy: Datuk Joseph Salang Gandum
Deputy: Senator Heng Seai Kie


Energy, Green Technology and Water
Minister: Datuk Peter Chin Fah Kui
Deputy: Noriah Kasnon


Rural and Regional Development
Minister: Datuk Seri Shafie Apdal
Deputy: Datuk Hassan Malek
Deputy: Datuk Joseph Entulu Belaun


Higher Education
Minister: Datuk Seri Mohd Khaled Nordin
Deputy: Datuk Dr Hou Kok Chung
Deputy: Datuk Saifuddin Abdullah


International Trade and Industry
Minister: Datuk Mustapa Mohamad
Deputy: Datuk Mukhriz Mahathir
Deputy: Datuk Jacob Dungau Sagan


Science, Technology and Innovation
Minister: Datuk Dr Maximus Ongkili
Deputy: Fadillah Yusof


Natural Resources and Environment
Minister: Datuk Douglas Unggah Embas
Deputy: Tan Sri Joseph Kurup


Tourism
Minister: Datuk Ng Yen Yen
Deputy: Datuk Sulaiman Abdul Rahman Abdul Taib


Agriculture and Agro-Based Industries
Minister: Datuk Noh Omar
Deputy: Datuk Johari Baharum
Deputy: Datuk Rohani Abdul Karim


Defence
Minister: Datuk Seri Dr Ahmad Zahid Hamidi
Deputy: Datuk Dr Abdul Latiff Ahmad


Works
Minister: Datuk Shaziman Abu Mansor
Deputy: Datuk Yong Khoon Seng


Health
Minister: Datuk Liow Tiong Lai
Deputy: Datuk Rosnah Rashid Shilin


Youth and Sports
Minister: Datuk Ahmad Shabery Cheek
Deputy: Datuk Razali Ibrahim
Deputy: Encik Wee Jeck Seng


Human Resources
Minister: Datuk Dr. S. Subramaniam
Deputy: Datuk Maznah Mazlan (Senator)


Domestic Trade and Consumer Affairs
Minister: Datuk Ismail Sabri Yaakob
Deputy: Datuk Tan Lian Hoe


Housing and Local Government
Minister: Datuk Kong Cho Ha
Deputy: Datuk Lajim Ukin


Women’s Development, Family and Community
Minister: Senator Datuk Shahrizat Jalil
Deputy: Datuk Paduka Chew Mei Fun


Foreign
Minister: Datuk Anifah Aman
Deputy: Senator A. Kohilan Pillay
Deputy: Datuk Lee Chee Leong


Federal Territories
Minister: Datuk Raja Nong Chik Raja Zainal Abidin
Deputy: Datuk M. Saravanan







[関連リンク]
SMPKE, Prime Minister's Office: New cabinet line-up 2009
大前研一「ニュースの視点」: マレーシア・ナジブ氏首相就任~手腕が問われる政界のサラブレット

2009年の賃金上昇率

欧米各国のコンサルティング会社から、賃金上昇率に関する調査報告書が発表された。

ます英国のコンサルティング会社ECA Internationalが世界53ヵ国・地域を対象とした賃金上昇率に関する調査報告書によると、マレーシアの2009年賃金上昇率は前年の21位から17位に上昇。アジア・太平洋域内における上昇率は平均4.8%であり、前年実績である平均6.9%を大幅に下回る見通しとなっている。その中にあって、アジア域から上位にランキングされたインドは10.8%、ベトナム10.6%、インドネシア9%との高い数字。逆に先進国であるシンガポールは2.0%で43位、日本に至っては景気低迷から賃上げを見送る企業が多く、2年連続で最下位の結果となっている。


[Salary Increases Ranking]
ECA_2009.gif


その他にも、Watson Wyatt (M) Sdn Bhdの調査では、マレーシアの2009年の平均増加率は3.0~3.5%で前年の6.5%から低下。またHay Group Sdn Bhdによると、マレーシア企業232社を対象に調査した結果、2009年の平均増加率は4.7%で前年の6.3%から低下。この2社については自社のウェブに調査報告書やニュースリリースが掲載されておらず、新聞記事からの情報となっている。一般公開はしないのだろうか?

Maxis、NFC携帯電話を使用したサービス開始

4月9日、Maxis Communicationsは携帯電話による非接触型決済サービス「Maxis FastTap」を開始すると発表(ニュースリリース)。このサービスにはNFC (Near Field Communication)と呼ばれるRFID技術が使用されており、NokiaとVisa、Maybank、そしてTouch ‘n Goとの協力で実現。NFC携帯を使用した支払いサービスは世界初とのこと。

「Maxis FastTap」の機能そのものは日本の「おサイフケータイ」と同じで、使用した技術がFeliCaかNFCかの違いでしかない。ただ、NFCの場合は13.56MHzの周波数を使用する複数の通信プロトコルを利用できる利点があり、かなり以前からNFCと携帯電話の融合も注目されていた。一般的にNFCはISO 14443 タイプA~C(CはISO認定ではないがFeliCaを示す)へ対応しており、最近ではISO 15693も含まれいてるようである。数年前からMaxisがNokiaと協力してトライアルを行っていたことは知っていたが、まさかマレーシアが世界初とは意外な感じがする。

「Maxis FastTap」で利用できるサービスは、基本的に「Touch'n Go」と「Visa payWave」での支払いが可能な場所となり、詳細はウェブページに掲載されている。「Visa payWave」についてあまり情報はないが、多分、「Touch'n Go」と同じISO 14443タイプAの通信プロトコルだけを使用していると思われる。
あと、NFCが搭載された携帯電話は今のところNokia 6212 classicのみとなっており、利用者はこの端末を購入する必要がある。日本では「おサイフケータイ」機能が搭載されて携帯電話が一般化していることもあり、その利用範囲は短期間で劇的な広がりを見せた経緯があるのに対し、NFC携帯は潜在性は高いが出遅れているとの印象が強い。ただ、世界大手の携帯電話会社はNFC機能を搭載した端末の開発を発表しており、近い将来、日本と同じような携帯電話を使用したサービスを享受できるものと考える。

マレーシア市場においてこの種のサービスが受け容れられるのかを考えた際、私見としては現時点ではちょっと難しいように思われる。使用できる機種が1機種だけであることもあるが、マレーシア国内の事情として携帯電話の窃盗が高い数値にあり、また「Touch’n go」で駐車場で支払いを行うと料金が割高になってしまう。自動化されたITシステムよりも、人間のオペレーターを介した方が安価ということか・・・。

Note)
NFC携帯の将来像については、NXPとソニーの合弁会社「Moversa」のウェブページに掲載されている動画が分かりやすいと思う。

ペナンとサラワクでWiMAXサービス開始

4月に入り、WiMAXサービスが首都圏以外でも開始されたニュースが新聞に掲載されていた。まずREDtone Internationalが4月1日からサラワク州で、そしてPacket One Networksが4月2日からペナンでサービスを始めた様子である。

しかし、両社ともウェブページのプレスリリースにこの事は掲載されていない・・・。Packet Oneの場合、取りあえず「P1's W1MAX coverage」のページでサービスエリア(Wireless@KLも含む)が確認できるが、REDtoneはWiMAX専用ページがあるものの、詳細は一切不明。REDtoneの場合は当面200件の契約獲得が目標のようなので、それほど本腰を入れていないのかも知れないが。

マレーシアの場合、往々にしてプレスリリースを自社のウェブページに掲載しない企業が多く、それは政府機関についても言える。メディアへ告知する内容をそのままウェブに掲載するだけのことだが、それをしないことによって生じる機会損失はあまり気にしていない様子。今回、ITインフラを手掛ける2社が広報活動においてITのメリットを十分に活用できていないとなると、どうなのだろう?

因みに日本でもWiMAXの試験サービス開始されており、UQコミュニケーションズは下りで40Mbpsの高速通信を月額4,480円で提供している。マレーシアの通貨へ変換すると、RM160ぐらいか。羨ましい・・・。

ESCAPとADB、World Bank、マレーシア経済見通しを発表

アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は3月26日に「Economic and Social Survey of Asia and the Pacific 2009」を、アジア開発銀行(ADB)は「Asian Development Outlook 2009」を3月31日に、そして世界銀行は4月7日にアジア各国の経済見通しを発表した。


[アジア主要諸国の経済成長見通し]
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昨年末の時点では、2009年のマレーシアの経済成長率を国内の主要シンクタンクはほぼ3%台との見通しを示しており、悲観的なものでもまだプラス成長が期待されていた(「2009年のマレーシア経済成長率」を参照)。それから半年も経たないうちに、国際機関が発表した報告書ではよりネガティブな数字が示される結果となった。数字を見ていくと、まずESCAPは0%、世銀マイナス0.1%、ADBマイナス0.2%となっている。東南アジア諸国内で見てみると、輸出依存型の国が軒並みマイナス成長を予想されている。

ただ、2010年以降は景気刺激策が経済を後押しすることも予想されており、ADBでは4.4%の経済成長が示されている。とは言え、ADBの数字を見ると2010年はいずれの国も経済成長が回復傾向にあり、概ね2008年と同じ水準に戻るとの見通し。


[アジア主要諸国の経済成長推移と見通し (ADB)]
ADB_GDP_2009.gif


マレーシア国内においても、3月25日に中央銀行バンク・ネガラが発表した「Malaysia Annual Report 2008」をみると、経済成長はマイナス1~1%、失業率は4.5%との見通しを示しており、上述した機関とほぼ同じ内容であると言える。ただ、中央銀行ゼティ総裁は昨年第4四半期の時点で、2009年の経済成長を5%台と予想しており、且つマレーシアに雇用不安はないとまで言い切り、世界同時不況の影響は軽微なものであるとの認識を示していた。日本で言えば日銀に相当するバンク・ネガラだが、ここまで大幅な見直しを行っても国内から何も批判がでないのは不思議な感じがする。

大統領特赦 – ジョン・グリシャム

大統領特赦〈上〉 (新潮文庫)大統領特赦〈上〉 (新潮文庫)
(2007/02)
ジョン グリシャム

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大統領特赦〈下〉 (新潮文庫)大統領特赦〈下〉 (新潮文庫)
(2007/02)
ジョン グリシャム

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久しぶりに、ジョン・グリシャム氏の本を手にとって見た。が、これまでの法廷ものとは趣が異なり、諜報小説との印象が強い。本来とは異なる分野であるためか、全体的な背景やITに関する部分は緻密さに欠けているように感じる。また、いくつかの登場人物が中途半端な形でストーリーから消えてしまったりと、過去の作品のような複雑な相関関係から各々のストーリーが一つに繋がるといったグリシャム節がないように・・・。
ただ、白石朗氏の翻訳はさすがに読みやすく、最後まで苦なく一気に読むことができた。

世界経済危機 日本の罪と罰 - 野口 悠紀雄

世界経済危機 日本の罪と罰世界経済危機 日本の罪と罰
(2008/12/12)
野口 悠紀雄

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本書はアマゾンでのカスタマーレビューが好評だったので手にとって見たが、私の個人的感想としては少し期待外れの印象。今日の世界同時不況についてマクロ経済学の観点から色々と分析がされているが、まず参照とすべき章やデータがあちらこちらに点在しており、私としては読み難さを感じた。
また今回の世界的な不況には、日本経済の仕組みが大きく影響していると解説し、そこにかなりのページが割かれている。当然、IT技術等々の発展で世界経済がボーダレスとなった世の中にあって、日本の経済構造も多くの影響を与えてたであろう。ただ、他にも中国や欧州等々、様々な諸国の経済構造が複雑に関係していたのではないだろうか?だが本書を読んでいると、今回の世界的な不況は全て日本の経済構造から起因しているような錯覚を受ける。本のタイトルが「世界経済危機 日本の罪と罰」だから日本に注目しなければならならず、日米の経済構造に重点が置かれたのだろうが・・・。

他に印象に残っている部分として、同氏は食糧問題について「比較優位」の観点から、「比較劣位の財は輸入することで豊かになる」との論理を展開している。同時に、(安全性・安定性、政治的における)リスク低減として、比較劣位の財の供給先分散の重要性を説く。この辺の考え方は、大前研一氏にかなり近いと感じる。実際、農業政策において保護主義に走った日本、その結果日本国内の食品価格は恐ろしいほど高くなっている。私自身、海外のスーパーマーケットで買い物をする時には、日本との価格差を強く感じる。理想論で言えば、同氏の考えに賛同するが、ただ現実問題としてそれを具現化することは難しいと考える。

また日本では、追加経済対策として総額2兆円の定額給付金が支給されることになっているが、GDP比で0.4%程度に過ぎないとの情報が載せられていた。そこでマレーシアで実施された経済対策に目を転じると、GDPが総額でだいたいRM6,418億であるのに対し、昨年の経済対策がRM70億、今年の経済対策がRM600億であったから、それぞれ約1%と約9.3%の計算になる。昨年と今年の2回の経済刺激策は対GDP比で10%超。ただ、日本の定額給付金は景気刺激策の中の一つにしか過ぎないため、総額でみるとマレーシアのそれを大きく上回ると思われるが。


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