2012年までにブロードバンド普及率50%

1/28のローカル紙に、『Much more needs to be done to push wireless broadband』と題したWiMAXプロバイダー企業の経営者のインタビュー記事が掲載されていた。その記事を読んでいて、マレーシア政府は「2012年までにブロードバンド普及率50%」を目標に挙げていると書かれているのを目にした。WiMAXのライセンス発行に伴い、各プロバイダーに数値目標が課せられていたのは知っていたが、国家目標も設定されていたとは・・・。多分、殆どの国民がこの目標値を認識していないように思うが。

ともあれ、このブロードバンド普及率の数字だが、多分世帯数ベースの普及率のことと思われる。インターネット人口でみると、現在マレーシアの普及率は7%にすぎず、世界的に見ても2007年時点の数字ではデンマークの36.3%(ITU発表)が世界一となっている(参考データ)。世帯数ベースであれば、現在、マレーシアのブロードバンド普及率が17%と言われており、これは2003年の日本(同19.0%)とほぼ同じ数字であり、それから4年後の2007年に日本は50.9%の数字を達成している。つまり、日本と同等のスピードでブロードバンドが普及していけば、政府目標は達成可能となる。ただ、現実的にみて、2012年までに50%は達成困難な数字であろう。何より、国内における業界の競争がそれほど激しくないため、価格は各社とも同水準の高値で停滞しており、且つ通信速度の向上もこの数年ほとんど見られていない。WiMAXによって利用者の選択肢は増えたが、それでもインターネット利用者を劇的に増やすだけの起爆剤にはならない印象である。

もし、マレーシアが本気で2012年までにブロードバンド普及率を50%にまで持っていきたいのであれば、韓国のビジネスモデルを採用するなど国家が主体性を発揮できる戦略が必要と考える。昨年、調査会社のニールセンが行なった調査では、「マレーシア人はデジタル・メディアやオンラインの娯楽に熱中する度合が強いことが分かった」と発表があった。マレーシア人は娯楽目的のデジタル・メディア利用率は52か国中5番目であり、オンラインに対する需要はかなり高い状況にある。であれば、国民が欲しているのは、より安価でより高速なブロードバンド環境であり、決して横並びの選択肢を増やすことではないと思うが。

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失業と犯罪の増加

2009年を迎え、外資のマレーシア工場閉鎖やレイオフといった暗いニュースを新聞紙上で頻繁に目にするようになった。実際失業の憂き目にあっている労働者が増加傾向にあり、それと同時に犯罪も増えているように思われる。私自身、KL市内のコンドミニアムに住んでいるが、犯罪に気をつけるよう至る所に告知が貼られたり、入館の監視が厳しくなるなどの措置が採られている。実際、最近になって私の周りで路上強盗に襲われたり、押入り強盗の被害にあったりする人が後を絶たない。

そう言えば、昨年11月に政府から総額RM 70億の大型景気対策が発表され、マレーシアにおける景気後退の影響は小さいと強気の発言をしていた。その大型景気対策の中味だが、主だったものは以下の内容。

 - 投資ファンド設立:RM 15億
 - 低・中コスト住宅の建設(2万5,000戸):RM 12億
 - 道路や公共ホール、橋梁等のインフラ維持事業:RM 6億
 - 警察署や軍施設のメンテナンス:RM 5億
 - 学校や病院などの公共施設改修:RM 5億
 - 地方部の道路建設・改修:RM 5億
 - 主要都市部の公共交通システムの改善:RM 5億
 - コリドー事業などの迅速化:RM 4億
 - 技能訓練プログラムを目的とするファンド設立:RM 3億
 - 各民族語学校、宗教学校:RM 2億
 - 中途放棄の住宅開発事業の再開:RM 2億
 - 若者層の人材開発:RM 2億
 - 1~6才児の就学前教育:RM 2億
 - 若者対象プログラム:RM 1億
 - 小都市の美化・商業地区の増加:RM 1億
 - 肥料・セメント・鉄鋼製品の輸入関税5%の撤廃
 - 大型小売店の営業時間の延長(平日は午後11時、週末は午前1時まで)
 - 従業員積立基金(EPF)への自己拠出率の引き下げ

政府発表によると、RM 70億全てが支出されれば、国内総生産を1%押し上げる見通しだとか・・・。ただ、「低・中コスト住宅の建設」は建築業にとっては嬉しいニュースだが、就労者の殆どは安い海外の労力に頼っているため、新たな雇用の創出にはならないように感じるが(そのためか、政府は国内労働力の活用推奨、不法就労者の取締り強化を推し進めている)。また、地方は分からないが首都圏では(最近、住宅購入は投資目的となっていることから)住宅供給が需要を上回っている印象があり、内需拡大といった景気刺激にはつながらないように思われる。概ね景気対策の主目的は公共事業の仕事を増やし、失業率の増加に歯止めをかける狙いがあるようだが、大型景気対策発表後にもかかわらず、マレーシア経済研究所やRHBリサーチは2009年のマレーシアの失業率を4.5%と予想している。これは1997年ののアジア通貨危機を上回る数字であり、現実のものとなればマレーシア経済は深刻な状況に陥るだろう。

[マレーシアの失業率推移と予想]
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日本経済研究センター、「世界50カ国・地域潜在力調査」発表

1月23日、日本経済研究センター「世界50カ国・地域潜在力調査」結果を発表した。本報告では、競争力を決める要因として「国際化」、「企業」、「教育」、「金融」、「政府」、「科学技術」、「インフラストラクチャー」、「IT」の8項目を挙げ、それぞれを順位付けしている。

まず2008年の総合評価では、香港とシンガポールがそれぞれ1位と2位、そしてマレーシアは28位と中位の位置付けとなった。1980年代から見てみると、マレーシアは概ね25位から30位の間を推移しており、あまり大きな変動は見られない。


[東アジア主要国の順位変動表]
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[東アジア主要国の順位変動グラフ]
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次にマレーシアの個別評価の推移を見ると、「国際化」と「金融」が1980年から高い評価とされている。私自身マレーシアで働いているが、確かに「国際化」の高さは実感としてある。どんなに小さな企業でも海外企業との商取引が普通に行われ、国境を越えたビジネスは盛んである。この背景には、マレーシア国民の多くが英語を普通に使えるということが根底にあるが、その他に中国系やインド系といった多民族性も国際化に優位に働いていると思われる。

また、近年は「インフラストラクチャー」に対する評価が急激に高まっていることがグラフから読取れる。確かに、国内企業の競争力向上のため、港湾施設や国内ロジスティックスの整備が進められ、アジア随一の規模・品質が視野に入れられている。

これら高評価に反し、『対米累積特許件数』と『人口当たりR&D研究者数』が評価指標として使用されている「科学技術」の評価はかなり低い。マレーシアはルックイースト政策以降、企業にインセンティブを与え、日本や韓国から先端技術導入を積極的に進めてきたにも関わらず・・・。確かに、マレーシアは積極的に先進諸国から技術を受け入れているが、その技術の基礎を理解し、使いこなし、そして応用できている実例は少ないことが影響していると言える。多くの技術はマレーシアへ移転されても、それを如何にしてビジネスへ反映していくかが重要視されてしまい、それ以降の技術改善や発展が見られないことが往々にしてある。更に、この問題は「教育」における低評価も影響していると思われる。特にブミプトラ政策の影響で、優秀な中国系、そしてインド系の学生が大学進学を諦めなければならない状況にある。マレー人優遇を排したマルチメディア大学においても、近年は非マレー人の進学が難しい状況になっていると聞く。非マレー系に対してもう少し平等な扱いができれば、マレーシアの順位はもっと上位に食い込むだけの潜在性を持っていると思うのだが。


[マレーシア個別評価順位推移表]
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[マレーシア個別評価順位推移グラフ]
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経済自由度ランキング

ヘリテージ財団と米経済誌ウォールストリートジャーナルは、2009年度版の世界各国・地域の経済自由度ランキング「The 2009 Index of Economic Freedom」を発表した。

世界ランキングの1位と2位は、いつものように香港とシンガポールとなり、マレーシアは同58位、「Moderately free」のカテゴリーへ位置づけられた。また、アジアパシフィック内では41ヵ国中9位の結果で、台湾、韓国に次ぐ好評価であった。
調査では「ビジネス」、「貿易」、「国庫」、「政府の介入」、「通貨」、「投資」、「金融」、「不動産利権」、「汚職度」、「労働」の10部門について評価が行われ、マレーシアは「投資」、「金融」の2部門が世界平均を下回っていた。平均を下回った「投資」においては、ブミプトラ政策と外国投資に対する規制が投資抑制要因として挙げられている。


[東アジア主要国の自由度データ]
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[東アジア主要国の自由度スコア]
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[マレーシアの自由度スコア推移]
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