経済産業省、RFIDによる国際物流実証試験を開始

LNEWSによると、経済産業省が2008年12月10日より、国際物流におけるRFID技術の利活用について2ヶ月間の実証試験を開始した様子。これまで、経済産業省とジェトロは東アジア域において同様の実証試験を数回実施してきた。マレーシアにおいても、日系の製造業者を荷主とし、国際物流の実証試験が実施されている。今回は、日本-オランダ間での実証試験となっており、21箇所にRFID R/Wを設置することで物流におけるモノの可視化を行うとのこと。
経済産業省が国際物流での実証試験を行う予定であることは、数ヶ月前にGS1 Malaysiaから情報を得ていたが、今回は参加メンバーがかなり豪華である。ハードウェアベンダーにおいては、NTT、三菱電機、マイティカード、丸紅、トッパン・フォームズ、凸版印刷、サトー、NXPセミコンダクターズジャパン、エイリアンテクノロジー、UPMRaflatac、SecuraShield、東レインターナショナルといったように、RFID業界ではかなり世界的に知名度の高い企業が名を連ねている。また今回注目すべきは、EPCglobalが事務局として参加している点であろう。昔の記憶だが、今回同様に事務局に名を連ねているMTIの方が、EPCglobalの国際物流アクショングループのトップを務めていると聞いたことがあるから、その辺の繋がりから今回の組織編制が実現したと想像する。因みに、国際物流業者に挙げられているミスクジャパン(MISCBHD)だが、これはマレーシアに本社を置くMISC Berhadの日本法人と思われる。

実験では、433MHz帯のアクティブタグとUHF帯のパッシブタグが使用され、EPCglobalに貨物トレースシステム仕様などの標準化を提案する様子。国際物流業界においては、かなり昔からRFID技術の導入は検討されてきた。特に、9.11の同時多発テロ以降のセキュリティ強化の一環としても、RFID技術は注目されていた。ただ、実際に同技術が採用されている事例は先進国に限られているというのが私の印象。
マレーシアにおいても、港湾管理企業は積極的にRFID技術の実証試験を受け入れるが、いざ実導入となると中々腰が重く、導入に際して費用を出したくないということを良く聞く。多額の費用をかけてわざわざRFID技術を採用しなくとも、今の設備でも十分問題ないというのが彼らの言い分のようだ。また、アフリカや他の東南アジアなどの発展途上国からもコンテナトラッキングの話を聞くが、彼らのコンセプトは先進諸国が提案しようとしているものと少し形態が異なる。通常、コンテナトラッキングはある程度の通信距離を必要とすることから、433MHz、或いは2.45GHzのアクティブタグが採用され、コンテナの不正開封感知やロケーション管理、追跡等々に利用されている。ただ、途上国の港湾企業や政府にとってアクティブタグは高価な買い物であり、全てのコンテナにアクティブタグを採用することは費用的に難しい。そこで提案されるのが、900MHz帯のパッシブタグを使用することで同様の効果を得ようとする試みである。実際問題としてまだまだ技術的な課題はあるようだが、面白いとアプローチだと思う。

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ユネスコ、「2009年グローバル・モニタリング・リポート」発表

ユネスコより、「2009年グローバル・モニタリング・リポート (GMR 2009)」なるものが発表された。少し前に、国際教育到達度評価学会が行った国際数学・理科教育調査(TIMSS)の情報をこのBlogでも掲載したが、このGMRは識字率などより基礎的なところに焦点が当てられている様子。報告書そのものは477ページとかなりのボリュームであり、特に129ヶ国を対象として調査したEDI指数(教育開発指数)が注目の内容と言える。取りあえず、下記に東アジアの結果を抽出して見たところ、上位のEDIには日本と韓国、そしてマレーシアとの結果が出ていた。

EDI_2009.gif

項目別に見ると、マレーシアに対する評価が高かったのが「小学校への入学率」であり、129ヶ国中2位との結果が出ている。発展途上国であれば、家が貧しいために学校へ行けないということも良く聞くが、この辺、マレーシアはずいぶん努力しているとの印象を持つ。私が知っている範囲では、教科書などは有料で購入しなければならないが、所得の低い家計の子供に対しては、無料で政府が貸出するサービスを行っており、多くの児童がこのサービスを享受している。
これに対し、「成人の識字率」はかなり低い評価となっている。実際、私の周りの中国系マレーシア人の中には、英語は全く分からない、マレー語も日常会話程度、そして中国語も会話はできるが読み書きはできないといった知人が多数いる。多くは中学校を卒業したにも関わらず、残念ながらこのレベルである。就学率は高いが教育レベルはまだ途上段階にある、これがマレーシアの実情だと思う。


2009年のマレーシア経済成長率

年末が近づき、各機関から来年の経済成長予想が次々に発表されている。特に、今年第4四半期からの世界的な経済の冷え込みにより、来年の見通しに注目が集まっている。下表は、2009年のマレーシア経済成長予測をまとめたものである。

Malaysis_GDP_2009F.gif

最も悲観的な数字だったのが、英国の調査機関であるEIUの1.5%(報告書)。貿易黒字の大幅縮小とともに、政情不安定が低成長の理由として挙げられている。逆に楽観的な見解を出しているのがマレーシア中央銀行のゼティ総裁で、11月28日の段階では5.0 - 5.5%という強気の見通しを発表している。その理由して、「銀行の貸し付け業務が縮小傾向にない」、「国内で大量解雇が発生していない」、「堅調な内需」、「資産バブルが存在しない」を挙げている。ただ、雇用に関して言えば、半導体などの製造業においては新規雇用を見合わせるなどの動きが出ており、既に雇用市場縮小の兆候が見えている。またアジア通貨危機以降、マレーシアの失業率は概ね3.5%前後で推移していたが、マレーシア経済研究所のモハメド・アリフ専務理事は、2009年の失業率を4.5%という高水準の予想を可能性として出している。アジア通貨危機直後で3.9%であったから、来年はそれを上回るということになる。また資産バブルについては、既に不動産市場は飽和状況にあり、供給が需要を上回っているとの見方もある。

欧米だけでなく、日本においても大手企業が大量解雇に踏み切るなどの暗いニュースが飛び交っており、世界的な経済の落ち込みは避けて通れない状況にある。米国やシンガポール、中国、そして日本を最大貿易相手国とするマレーシアにおいても、経済失速の影響は避けて通れない状況と言える。ただ、マレーシアの場合は政府系プロジェクトや政策が国内経済の牽引役を果たしている体質にあることから、ある程度は政府の対応で経済失速の程度が緩和できるものと思われる。

国際数学・理科教育調査結果

日経新聞を読んでいると、12月10日に国際教育到達度評価学会が行った国際数学・理科教育調査(TIMSS)の結果が掲載されていた。紙面にはトップ5しか掲載さていなかったが、アジア諸国が上位をほぼ独占。TIMSSというものは聞いたことがなかったが、Wikipediaで調べてみると、「TIMSSは学校で習う内容をどの程度習得しているかを見るアチーブメント・テスト」とのこと。

早速マレーシアの結果を調べてみると、就学8年(日本の中二に相当)の数学で20位、理科で21位とほぼ中位の位置付けとなっていた。ただ、マレーシアの今回のスコアー平均は全平均を下回っており、理数共に過去最低のスコアーであった。過去の結果を見てみると、2003年の数学の評価で10位という好結果を残している。

Mathematics (Year of Schooling: 8)
TIMS2007_M.gif

Science (Year of Schooling: 8)
TIMS2007_S.gif

マハティール氏が首相を務めていた際に、同氏は特に理数教育に重点を置いていたと記憶している。理数系の教育を強化することで産業構造の向上を図り、ローテクからハイテクへ、請負製造から開発立国への戦略が謳われていたと思う。しかし、最近はマレーシアでも日本と同じように、教育の質の低下や就学意欲の低下が顕著であると感じる。


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