希望連盟がマニフェストを発表

今年は6月24日にマレーシア議会が任期満了を迎えるため、遅くとも8月22日まで総選挙が実施される。明確な時期はまだアナウンスされていないが、4月3週目か5月初旬など様々な噂が飛び交っており、総選挙に向け与野党共に徐々に動きが活発化している。また、アンワル元副首相の釈放が6月8日確定と発表されことから、その前に実施される公算が高そうでもある。

前回の総選挙では、得票数では与党連合を上回った野党連合だが、議席数では222議席中与党連合が133議席を獲得し、政権維持をするに至っている。前回が僅差の結果だったため、今回の総選挙では政権交代が実現するかどうかが注目されている。

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そうした中、マレーシアの野党連合・希望連盟がマニフェストを発表、100日以内に実現する10の約束と、5年内に実現する60項目で構成されている。全文がマレー語なので詳細は不明だが、現地英字新聞に記載されている内容を纏めると以下のような内容となっている。



まず100日以内に実現する10の約束として、

* GSTを廃止し、生活費削減の措置を講ずる
* ガソリン価格安定のために補助金導入
* FELDA入植者の債務を廃止
* 主婦向けEPFスキーム導入
* 全国の最低賃金平準化と引き上げ
* PTPTN返済の軽減。RM4,000以下の収入に対して返済延期。ブラックリストポリシー廃止。
* 1MDB、Felda、Mara、Tabung Hajiのスキャンダルに関するロイヤル委員会の結成。 政府機関の改革。
* サバとサラワクの権利を尊重。1963年マレーシア連邦成立協定見直しについて議論。
* プライベートクリニックからの治療を受けるB40グループにおいて、RM500までの資金を設定することが含まれるSkim Peduli Sihatの設立。
* 全ての大型案件の再検討。外国企業が獲得した大規模プロジェクトの詳細調査を開始。

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5年内に実現する60項目は、

* マレーシアの経済成長と競争力を促進
* 100万人分の新規雇用創出
* マレーシア人労働者優先、外国人労働者削減
* 手頃価格の住宅100万棟建設
* 高速道路通行料を段階的に廃止
* 公立大学の無料化を保証
* 最低賃金RM1,500を保証
* BR1M維持
* 主要機関の改革
* 汚職の根絶
* 2018年から連邦政府首相と州首相の任期を2期に制限
* 公共サービス強化
* サバとサラワクを分権化
* 穏健で尊敬されるマレーシアの創造

希望連盟はマハティール元首相を首相候補とすることを決定したこともあり、マニフェストは現実的な内容となることも予想されていたが、ナジブ政権での汚職や腐敗対策に重きを置いた内容のよう感じる。経済面では、国民経済負担軽減策が出ているが、前回総選挙で人民連盟が示した高速道路無料化や公立大学の無料化などを踏襲している項目も残っており、個人的な印象では目新しさがないようにも。

周辺のマレーシア人に話を聞いてみると、中国系の多くは与党連合支持はかなり少なく、ナジブ政権そのものに批判的な立場を示している人が多い。多分、中国系の票は前回の総選挙と同様に『Chinese Tsunami』が再来するように思われる。それでも、一部の事業経営者においては、国家運営をした経験のない野党連合が政権を取って果たして上手く国政をマネジメントできるのか不安を抱いており、現状維持を望む声もある。こうした不安を拭うために、希望連盟は首相経験のあるマハティール元首相を首相候補としているが、92歳という年齢的な問題はかなり大きい。
マレー系についてはあまり本音を語らない人達が多いが、知識層においてはナジブ政権を見限っている人達が多い印象がある。対して、ナジブ政権は公務員や低所得者、農業従事者等に補助金を出すことで人気を維持しており、政権交代となればこうした収入源が絶たれるといった危機感から、地方に行くほど現状維持を望んでいる人達が多いと言われている。

確かに、ナジブ政権においては公共交通機関拡充などの大型プロジェクトの履行、経済活動についてもGDP成長率は5%超を維持しているし、財政赤字も計画通りに削減が進んでおり、数字上では経済政策は順調であると言える。ただ、それに反して物価の上昇など国民の多くは生活が厳しい状況が続いていると感じているようであり、それがナジブ政権批判に繋がっている。また、国民はうやむやにされた1MDBの不正資金問題を忘れた訳ではないし、不動産購入や宝飾品収集といった贅沢三昧を噂されているロスマ・マンソール夫人に対する嫌悪感も無視できない。

では、ナジブ政権の支持率がどうなっているかというと、以前であればムルデカ・センターが定期的に政権支持率などの世論調査を行っていたが、ナジブ政権の支持率低下が顕著となったころから同調査は実施されておらず、現状把握ができない状況となっている。唯一、直近では今年1月にマラヤ大学が実施した次期首相に関する世論調査を実施しており、ナジブ首相が21%で首位となっている。ただ、マハティール元首相が18%と3%差で続いており、今後の選挙活動の内容次第では逆転の可能性も皆無ではないだろう。

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とは言え、今回の選挙は希望連盟とPASが共闘しないことから、希望連盟とPASの野党2陣営が与党連合へ挑む構図となり、野党票が割れてしまう。その為、新聞報道などは総合的には与党連合優位との論調が大勢を占めている。いずれにしても、今年の総選挙はマレーシア国民にとって大きなターニングポイントであろうし、ナジブ政権下での経済政策の成功をアピールする与党連合が優位を維持できるのか、それともマハティール元首相を前面に出し、現政権の汚職追求を目指す希望連盟が躍進するのか注目される。

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マレーシア2018年度予算案

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10月27日、ナジブ首相兼財務相は下院議会にて、2018年度の予算案を発表。2018年に実施予定とされている下院総選挙を前にした予算案発表であったが、国民の関心はそれほど高くなかったように感じられる。

マレーシア財務省における2018年度予算案専用ページ






予算案発表に先立って、マレーシア経済指標についての見通しが示されている。まずGDP成長率については、今年上半期の時点で5.7%を記録しており、通年でも5.2%~5.7%へと前回の予想から上方修正されている。インフレーションについては、2017年で3.0~4.0%、2018年は2.5~3.5%。注目された財政赤字については、2017年で3.0%、2018年に2.8%にまで縮小するとしており、2009年の6.9%から大きく改善される見通し。

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次に所得水準についての実績と見通しが示されている。まず国民一人当りの所得については、2010年にRM27,819であったが、2017年はRM40,713、2018年にRM42,777へと増加する見通し。平均月収についても、2014年はRM4,585であったが、2016年には15%増のRM5,288へ、またB40(ボトム40%)の世帯所得も2014年のRM2,629から2016年には14%増となるRM3,000を記録している。

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2018年度予算については、前年度から7.5%拡大してRM2,832.5億、一般予算RM2,342.5億、開発支出RM490億という構成になっている。予算割り当ては8つの主要項目を軸としているが、中身を見ていくと総選挙を意識した内容のように感じられる。例えば、公務員向けの福利厚生拡充や住宅建設、手当支給、また低所得者向けBR1M継続や補助金継続、さらにサバ州及びサラワク州のインフラ開発といったように、特定の有権者に対する手厚い保護が見られる。

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私自身が注目する項目としては、まず公共交通網の拡充で、MRT2事業ではRM320億の予算割り当てを、そしてMRT3事業は2年の前倒しが発表されている。次に、Industry 4.0関連。日本でもIoTやIndustry 4.0が注目されいるが、マレーシアでも予算案の中にIndustry 4.0向けの予算が組まれている。ただ、予算規模がそれほど大きくなく、国全体がそれに向けて動いているとは言い難い。あとは、今年アリババグループのジャック・マー会長と発表したデジタル自由貿易地域の整備で、電子商取引において域内ハブとなることを目指している。

こうした先進的な取り組みを行うことで、マレーシアが国家として世界上位20位に入ることを目標としている。

全体的に見て、総選挙前ということもあり、民族別で差異はあるものの、全ての国民が恩恵を受けられる内容となっている。ただ、総選挙で与党が勝利すれば、2019年度予算案においてはGST増税など国民に痛みを強いる内容になるのではといった憶測も広がっている。

2018年予算案ハイライト

公務員
160万人の公務員は以下のベネフィットを享受
- セカンドラウンドベースプロモーション
- 健康上の理由で退職を余儀なくされた公務員は、定年退職者と同じ恩恵を受けられる
- 教師の特別休暇が7日から10日へ
- ウムラ巡礼向けに7日間の休暇
- 妊娠5ヵ月以上の女性、及び妻の就労場所に近い夫は1時間早く早退できる
- 産休を300日から360日に拡大
- 最低年金をRM1,000へ

高齢者、障害者、子供
RM17億を以下の分野へ
- 高齢者手当をRM50からRM350へ引き上げるためRM6.03億割り当て
- 障害者手当をRM50/月に引き上げ向けにRM1億割り当て

デジタル自由貿易地域
KLIAエアロポリス内のDFTZ向けにRM8,350万割り当て
輸入品最小額をRM500からRM800へ引き上げ

持続可能な開発
グリーン技術資金スキーム下へRM50億割り当て
無収入水低減プログラムへRM14億割り当て
代替水源としてオフリバーストレージ建設にRM13億割り当て
全土の水害対策向けにRM5.17億割り当て

所得税率低減
個人所得税率の低減
- RM20,001~RM35,000:5%から3%へ
- RM35,001~RM50,000:10%から8%へ
- RM50,001~RM70,000:16%から14%へ
可処分所得RM300~RM1,000(261,000人)は無税

外国人メイド
雇用者はエージェントなしで直外国人メイドを雇用可能に

GST
GSTは変更しないが、政府は特定の品目やサービスを免除またはゼロ化することを提案

ヘルス
ベタークオリティサービス向けにRM270億
医薬品/消耗品向けにRM41億
3つの病院における保健施設、設備、救急車および手術室の整備・維持のためにRM14億
病院と診療所のアップグレードにRM1億
血液透析治療の補助金としてRM5,000万、医療援助基金の向けにRM4,000万
希少疾病の治療向けにRM1,000万、保健コミュニティプログラム向けにRM3,000万
任意健康保険制度向けにRM5,000万

ハウジング
住宅所有増加向けにRM22億

BR1M
2018年、BR1M として700万人への支払いでRM68億割り当て

オランアスリのベネフィット
オランアスリの経済発展と生活の質向上のためにRM5,000万
オランアスリビレッジ開発向けにRM6,000万

インド系、中国系のベネフィット
KOJADIを通じて中国系中小企業融資向けにRM5,000万
1Malaysia HawkersとPetty Traders Foundation向けにRM3,000万
Chinese New Villages向けにRM6,500万、家屋修復向けにRM1,000万
インド系のAmanah Sahamユニット向けにRM15億
IPTA及び公共サービスにおけるインド系の採用を増やす

ブミプトラのベネフィット
UiTM向けにRM24億割り当て
下記イニシアチブ向けにRM35億割り当て
- MARA高等教育訓練奨学金向けにRM25億
- Peneraju Profesional及びSkil dan Tunas向けにRM9,000万
- MARA大学院の人材育成スキームまたはGETS向けにRM2億
- ブミプトラ企業家強化プログラム向けにRM5.55億
- Pelaburan Hartanah Berhad向けにRM1.5億、EKUINAS向けにRM1.5億

国防
軍事向けに総額RM14億(警察RM90億、沿岸警備向けRM9億など)
防衛向け資産の購入とメンテナンス向けにRM30億(11か所の警察署及び6か所の交番建設向けにRM7.2億)
船舶、ボート、ジェティの修理・メンテナンス、及びパトロール船3隻購入向けとしてMMEAへRM4.9億
ESSCOMへRM2.5億
対テロ向け武器強化でRM5,000万
政府は軍人及びその家族向け住居4万戸建設
5つの病院アップグレード向けにRM4,000万

地方開発
FELDA向け 水道及び道路インフラアップグレードでRM2億を割り当て
11.2万人の植民者にRM5,000
FELDA植民者向けにRM4,300万、油椰子改植向けにRM6,000万、第2世代のFELDA植民者住宅5,000戸建設向けにRM1.64億を割り当て
People-centricプロジェクト向けにRM11億(通信インフラ向けにRM10億、地方プロジェクト向けRM9.34億、電力供給向けRM6.72億、水道供給向けRM3億、公共インフラメンテナンス向けにRM5億など)
地方インフラ向けにRM65億(ボルネオハイウエイ向けにRM20億)

教育
TVET生徒向け奨学金にRM490万
TVET向けにRM49億を割り当て
ボトム40家庭向けPTPTN基金追加でRM2億
PTPN返済割引を2018年12月31日まで延長
320万人の学生に各RM100、総額RM3.28億
食糧援助、教科書、連邦奨学金向けにRM29億
学校の維持管理にRM25億(半島RM5億、サバRM10億、サラワクRM10億)
プリプリスクール4校、Permata学校9校、自閉症児センター2校、小学校48校建設向けにRM6.54億
教育開発向けにRM616億

TN50
Bukit Jalilスポーツ学校向けにRM2,000万
新規スポーツコンプレックス14施設建設向けにRM1.12億
スポーツ強化のためのスポーツイニシアチブ向けにRM10億
コミュニティの問題を解決するために社会的企業やNGO資金向けにRM5,000万
1Malaysiaトレーニングスキームにおけるオープンインタビュープログラム向けにRM4,000万
全学生及びフォーム6向けに図書券配布
大学院での就学する10,600名の学生向けMyBrainプログラムにRM9,000万
世界の大学トップ100の地位を達成するため、高等教育の公的機関への研究開発奨励金RM4億をマレー大学へ特別割り当て
JPA、高等教育省、保健省の奨学金向けにRM22億
文化経済開発局の設立向けにRM2,000万
2,000の教室をスマート学習教室へアップグレードするためにRM1.9億
初等及び中等教育カリキュラムにおけるコーディングプログラムを含む現在のコンピューターサイエンスモジュールを強化
科学・技術・エンジニアリング・数学センター建設向けにRM2.5億
2018年1月から2022年1月に生まれた子供向け特別基金設立
事故や重度の病気を含む障害者の雇用者に対する税制救済
全ての自治体において新規建設の建物に託児所の設置を義務付け

公共交通機関
ティオマン島新空港の検討
Mukah新空港建設、コタバル空港及びサンダカン空港拡張
ペナン国際空港、コタキナバル国際空港アップグレード
TumpatからMusangの地方鉄道向け補助金RM5,500万
高速バスの移動向けバイオメトリクス管理システム開発にRM4,500万
河口浚渫などジェティの修理と建設にRM9,500万
バスやタクシーなどの資産の購入、設立資金向け公共交通基金向けにRM10億
海上資産、エアロスペース技術開発、鉄道向け交通開発基金向けにRM30億

インフラ
Bukit Kayu Hitamに特別国境経済地区を開発
パンコールを免税地区に認定
RaubからBentongまでのcentral spin roadプロジェクト継続にRM2.3億
BantingからTaipingまでの東海岸沿岸高速道路向けにRM50億
MRT3プロジェクトを2027年から2025年へ前倒し
Sg Buloh-Serdang-Putrajaya間のMRT2プロジェクト向けにRM320億
ポートクランへの代替道路提供にRM1.1億

ツーリズム
メディカルツーリズム押上のためMalaysian Healthcare Travel CouncilへRM3,000万割り当て
ツーリズムのプロモーションと開発向けにRM5億
ツーリズムインフラ開発基金にRM10億
ツーリズムにおける中小企業向け基金にRM20億

農業
収穫待ちの農家に3ヶ月間、RM200/月を補助
ゴム移植にRM2億、オイルパームの開発・移植・プロモーションにRM1.4億
農業インフラ改善向けにRM5億
農業コミュニティ向けインセンティブ及び支援でRM23億
小規模農家、農業・漁業コミュニティ向けにRM65億割り当て

その他ハイライト
家具輸出産業向けで70%の政府保証にRM1億
SME Corpによる訓練、助成金、ローン向けにRM2億、ハラル製品・産業開発向けにRM8,200万
70%の政府保証ローン向けにRM20億
企業の創業資本向けにRM50億
ビジネスファイナンス保証制度向けにRM70億
2020年までに中小企業のGDP寄与を40%
2018年までに民間投資RM2,600億達成見込み
国全体の投資は6.7%増、2018年のGDPに占める割合は25.5%
今年8月に輸出額RM800億を達成、二桁成長を記録
3つの国際信用格付け機関の評価はA-で安定見通し
2016年の民間投資はRM2,110億




マレーシアの外国人労働者事情

2016年2月と3月は、マレーシアの外国人労働者に関して大きな動きがあり、それをプレゼンテーション形式でまとめてみました。特に、連邦政府の決定は二転三転し、労働者市場が混乱する事態になっています。最終決定が発表された後も会社経営陣から不満が出ており、更なる見直しが行われることも予想されます。



マレーシア政府 、バングラデシュからの労働者受け入れを凍結

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2月8日、マレーシア政府は今後3年間で150万人の外国人労働者をバングラデシュから受け入れる計画であると発表。そして18日、両国政府はMoUを締結。これが実現すると、外国人労働者の総人口が800万人(不法労働者含む)に達し、中国系マレーシア人の人口を上回ることになる。総人口3,100万人の国家にあって、外国人労働者が800万人という数字はかなり多い。ただ、国内の反発が予想以上に高かったためか、その後、政府は全ての外国人労働者の受け入れを凍結すると発表している。







マレーシアの労働市場を見ると、工場や建設現場、プランテーション、メイド、清掃といった仕事で外国人労働者が多く登用されている。国内の市庁舎においても、街や道路の清掃には外国人労働者を採用しているところが多い。私が住むAmpang地区においても、清掃業務を担っているのは外国人労働者で、ごみを散らかすのがマレーシア人となっている。2014年の政府の発表では、正規の外国人労働者が約200万人、不法の外国人労働者が約450万人、合わせると650万人にも達し、ある意味マレーシア経済の根底を支えている存在になっている。また、マレーシア人労働者もこうした仕事を3D労働(Dirty、Dangerous、Difficultの意味で、日本の3Kに該当)として敬遠している傾向にあり、特に若い世代になればなるほど、こうした3K労働の仕事が敬遠されている。

[業種別外国人労働者数(2013年9月末)]
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[国籍別外国人労働者数(2013年9月末)]
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日本では、こうした3K労働も国内の日本人が担っていることから、質の高いサービスを提供でき、各々がプロフェッショナルとしての専門性を持ち、どのような分野でもイノベーションを起こすことができている。私自身、日本では工場勤務で技術開発を行っていたが、毎日作業着でメッキ作業や機械調整、カーボン粉末が舞う中での組み立て作業を行ってきた。しかし、そこで働く社員は日々の業務改善などを通じて、作業効率や品質、安全性を向上させていた。どんな単純作業でもそうしたことは可能であり、国の技術力の発展や労働生産性の向上に寄与していると思うし、それが日本の強みにもなっているだろう。

また、私の周りのマレーシア人の友人に話を聞くと、職選びのポイントは何をするかではなく、給与はいくらかといったことに重点を置いている人が比較的多いように感じられる。だから、他にもっと良い給与の仕事を見つけるとすぐに転職してしまう傾向にあるし、転職は給与アップの機会にもなっている。その結果、マレーシア国内は転職が多い状況に陥ってしまうのだろう。ただ、給与が高くとも工場勤務は嫌だという声も多く、3D関連の仕事は選択肢としてはかなり下位になっている。

マレーシアは2020年までに高所得国家となる事を目指しており、そのためにETPやGTPと呼ばれる政策を導入、知識労働へ重きを置こうとしている。最近では、最低賃金制度の導入、外国人労働者の登録徹底といった政策が出された事から、一般にはマレーシア政府は国内の雇用機会のほとんどをマレーシア人に割り当てようとしているように思われていた。しかし、今回のバングラデシュ人労働者150万人受け入れの発表により、その方向性があやふやになってきている。

一般的に外国人労働者を雇用するのは、国内労働者を知識労働のようなより高レベルの仕事に集中させることで労働生産性を高めること目的としており、マレーシア政府の狙いもそこにある。しかし、雇用する側のマレーシア人の狙いは、ただやりたくない仕事を外国人労働者に託す、或いは就労したがるマレーシア人労働者がいない、コスト競争力維持のために低賃金の外国人労働者を雇用しているなどの理由となっている。実際、私自身もエビ養殖業を営んでいるが、2つめの理由から労働者は全て外国人労働者に依存している。そのため、外国人労働者がいないとエビ養殖実務に携わる労働者を見つけることはほぼ不可能となる。同じような環境下にある産業は多数あり、外国人労働者がいなくなるとマレーシア経済は立ち行かなくなるだろう。マクロ的に見ても、マレーシアの失業率は長期にわたって3%前後で推移していることからほぼ完全雇用の状況にあり、3D労働では外国人労働者を受け入れなければならないほど労働者不足が深刻なのかもしれない。

[マレーシアの失業率推移]
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それでも、マレーシア労働組合会議の事務局長は3D労働に対して適切な賃金を払えば、若者を呼び込むことができるとしている。実際、30万人ものマレーシア人がシンガポールで3Dの職に就いているらしい。ただ、私が若い層に話を聞くと、彼らのマインドは3D労働に向いていないようにも感じる。たぶん、小さい時から3Dの仕事は外国人労働者のやることであり、自分たちは彼らよりも上の存在であると意識しているようにも思える。



とはいえ、今のマレーシアの外国人労働者への依存は労働生産性の停滞、犯罪の増加などを助長しているだろう。さらに、違法労働者は警察官や役人の汚職・賄賂の温床となっている話も聞くし、人身売買も大きな問題として国際的にクローズアップされている。外国人労働者によって国内の労働者不足を補い、自国民は質の高い仕事に就くことが理想だが、バランスを取ることはなかなか難しいだろう。

あと最近のマレーシア政府の発表見ていて気づくのが、今回のバングラデシュ労働者受け入れや外国人労働者の人頭税引き上げなどのように、突如政策を発表して結果として業界団体や国民の反発から凍結や中止に至る事態が目立つ。よく言えば、柔軟性に富んでいると表現できるのだろうが、こうも続くと本当に国会で真剣に政策が審議されているのかと疑問を感じざるを得ない。

マレーシア、2016年予算案見直しへ

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2016年早々、ナジブ首相兼財務相から2016年度予算案の修正を行うと発表が行われた。記者会見において、石油価格の下落、リンギ安、中国経済減速が見直しの主因となっている。



昨年の予算案発表時、原油価格は1バーレル45ドルであったが、いまは30ドルにまで落ち込んでいる。国民は石油価格下落によってガソリン価格も安くなったことから、普段はRON95しか給油しない人達がRON97を利用するなど、歓迎ムードといった印象。しかし、石油価格の下落はペトロナスからの配当金や税金、ロイヤルティといった納付金が落ち込むことを意味している。5年程前だと、ペトロナスからの収益がマレーシア歳入の約40%程度を占めていたが、2014年には約30%にまで落ち込んでおり、今後はさらに依存度が低下していくことになるだろう。またクレディ・スイスの見通しでは、ペトロナスからの配当収入は今年がRM160億、来年はRM100億となり、GDP比で0.5%に相当する減少となる。

また、急速なリンギ安はマレーシア経済に大きな影響を及ぼしており、国民車メーカーを含む自動車メーカー各社は車体価格の値上げに踏み切っている。中国経済の減速に関しても、マレーシアの貿易において中国は最大のパートナーとなっているだけに、不安が広がっている。リンギ安で輸入原材料が上昇し、最大の輸出先である中国経済が減速という構図は、マレーシア産業界にとって痛手だろう。更に1-9月の投資認可額を見ても、2014年のRM1,800億から昨年はRM1,532億に減少、特に不動産セクターはRM529億からRM210億にまで落ち込んでいる。こうした状況から、世界銀行はマレーシアの2016年の経済成長が4.5%に減速すると予想している。



今回の予算案見直しでは、高速道路補助金削減、液化石油ガス料金補助削減、そして公的機関への交付金削減が予想されており、補正予算案の上程は1月28日に予定されている。ただ、こうした補助金削減策は、GST導入や各種値上げで冷え込んでいる消費者心理に追い討ちをかける可能性が高いだろう。また、財政健全化を目的として導入されたGSTについては、財政に与えた影響が限定的であったとし、格付け会社のMoody's はマレーシア国債のアウトルックを「ポジティブ」から、「安定的」へと引き下げている(『Moody's revises Malaysia's sovereign rating outlook to stable, affirms A3 rating』)。(連邦政府は引き下げではないと強調)



マレーシアの政府債務残高は2014年時点で54.8%とされており、これは法定上限の55%に限りなく近いことから、ナジブ政権では財政健全化を最優先事項としている。そのため、新聞などを読むと歳出削減に重点が置かれるといった見方が多い。外部環境の悪化に加えて、民間消費の鈍化、こうした中でどのような補正予算が組まれのか注目したい。


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