マレーシアデジタル経済公社、2016年の実績発表

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3月16日、マレーシアデジタル経済公社は『2016 MSC Malaysia Performance Announcement』を発表(プレスリリース)、2016年のMSC企業による投資額がRM163億を記録したことが示された。その内、RM64.3億は新規投資家によるもので、2015年から40%もの増加。
また、MSCステータス企業による輸出販売も前年から18%増加しており、2015年のRM162億から2016年にはRM191億へ増加している。特に高い伸びを示したのがクリエーティブコンテンツ&テクノロジーで、2016年の輸出販売額はRM11.7億。昨年は、バンダイナムコスタジオがマレーシアにオフィスを構えるなど、日本企業の進出も活発化している。現地企業においても、欧米諸国向け輸出が年々拡大傾向にあり、主要産業の一つの成長する可能性を秘めており、昨年には域内のゲームハブ構想を発表している。主な輸出先はシンガポール、米国、ドイツ、オランダ、英国となっている。

また、e-commerce、IoT、クラウドデータセンター、 ビッグデータ分析/セキュリティーといったニッチフォーカスエリアは、2014年から10倍の成長を記録。2015年の輸出額はRM37億で、2015年から38%の伸びを示している。

MDECのDatuk Yasmin CEOは、「昨年、電子商取引は前年比2倍の好調な成長を見せ、2020年までにGDP貢献額をRM2,110億とするビジョンに近づいている」とし、目標達成に自信を見せている。



マレーシアは、元々デジタルコンテンツに対するアウトソーシング事業において世界的にも高い評価を得ていた実績がある。アニメコンテンツやゲームコンテンツ制作は欧米諸国の高い需要に支えられており、世界的に名の知れたコンテンツをマレーシア企業が手掛けている。更に、教育分野においてもこうしたデジタルコンテンツを支援する大学や専門学校が急増しており、比較的優秀な人材が育っていることも追い風になっている。

連邦政府レベルでも、ナジブ首相は2017年を『Internet Economy』と呼び、マレーシア経済がさらに加速するための新しい成長分野に適用するよう国民に呼び掛けている。

そして3月22日には、ナジブ首相とアリババグループのジャック・マー会長が出席し、世界初となる『DFTZ: DIGITAL FREE TRADE ZONE(デジタル自由貿易区 )』が発表された(MALAYSIA LAUNCHES WORLD’S FIRST DIGITAL FREE TRADE ZONE)。DTFZでは、電子商取引を促進するため物理ゾーンと仮想ゾーンを提供、2020年のGDP貢献額であるRM2,110億の実現を目指している。 同時にマレーシア中小企業の二桁成長、そして2025年までに輸出額US$250億、6万人の雇用が期待されている。

今回のセレモニーで締結されたMoUは以下の通り。

マレーシアデジタル経済公社とアリババグループはDTFZ内でElectronic World Trade Platform構築のため、電子商事業向け、貿易円滑化、中小企業研修、企業向けクラウドサービス、eFulfilment、ロジスティックハブからなる域内ハブ開発を行う。

Malaysia Airports Holdings BerhadとCainiao Networkは、DTFZイニシアチブの一環として、KLIAエアロポリスにて域内電子商取引及びロジスティックハブの開発を行う。

AlipayとMaybank、及びAlipayとCIMBは、マレーシア国内でAlipayバーコード決済を開始、中国本土の旅行者はマレーシア国内で『Alipay e-wallet』を使用することができる。

MDECとCatcha Groupは、クアラルンプールインターネットシティ構築で協同する。











マルチメディアスーパーコリドーは1996年にマハティール元首相の提唱によって設立され、ITに特化した特別区として国内外で大きな話題となった。そしてナジブ政権になってからは、マルチメディアスーパーコリドー対象地域が拡大され、多くの知識労働者を雇用するに至っている。また、多くのグローバル企業がMSC対象地域に拠点を置き、クリエーティブコンテンツやe-commerce、クラウドデータセンターといった分野で強さを発揮している。そしてアリババグループのジャック・マー会長がDFTZに参加したことで、マレーシアが電子商取引において域内ハブとして大きく飛躍する可能性を見せている。マレーシアには海外の優秀な企業家との協同も積極的に進める土壌があることから実現したプロジェクトだと言えるし、スピード感も感じることができる。

私自身、仕事でクリエーティブコンテンツ企業やIoT企業などの経営者と話をする機会が結構あるが、いずれも右肩上がりの成長を続けており、ベンチャーであっても結構大きな仕事を請け負っている。また、彼らの事業対象地域が国内ではなく、ほぼ海外であることも特徴だろう。知識労働者の品質そのものは日本に及ばないものの、政府がこうしたインターネットフレンドリーな政策を打ち出すことで魅力的な産業クラスターが形成される。また、マレーシア政府は外国人であるジャック・マー会長をデジタル経済アドバイザーとして任命しており、本気度の高さを認識できる。そのマー会長は、「中小企業や若者がより公平に世界市場に挑戦できる環境を支援する」と約束、マレーシアから世界的なITベンチャーが生まれる可能性も期待できるのでは。


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マレーシア、国民の9割がスマートフォンでネット利用

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昨年末、マレーシア通信マルチメディア委員会より公開された『Communications and Multimedia : Facts and Figures, 3Q 2016』『Communications and Multimedia : Pocket Book of Statistics, 1H 2016』において、約9割の国民がスマートフォンでインターネットに接続している特徴が明らかにされている。元々、マレーシアは固定回線があまり普及していなかったこともあり、1990年代から携帯電話の普及が急速に進み、ここ数年の普及率は140%台と高い数字を維持している。世帯当たりのブロードバンド普及率も、ここ数年は77%前後を推移している。

[マレーシアの携帯電話普及率]
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[マレーシアのブロードバンド普及率]
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また最近のトレンドとしては、マレーシアユーザーの多くがSNS利用に重きを置いていることだろう。例えば、Facebookによるサービスが開始された際には、マレーシアユーザーは世界で最も友達の数が多いことで有名になったし、Facebookを利用したビジネスも活況を呈していた。そして現在、WeChatやWhatsAppといったサービスがFacebook以上に日常のコミュニケーションツールとして使用されるようになっており、中でも、調査会社Kantar TNSの調査によるとインスタグラムは国内ネットユーザーの7割が利用、アジア太平洋地域内で最大の利用率ということで更なる注目を浴びている。

実際に私の周りでも、Facebook、WeChat、WhatsAppといったアプリの利用頻度はかなり高い印象がある。また、これらサービスを利用しているユーザーの年齢層は幅広く、60代の方々との連絡もこうしたアプリが中心となっている。更に、企業からのDMや案内に関してもこうしたメッセンジャーアプリへ主軸が移ってきており、受け取るメッセージも増加傾向にある。インスタグラムについては、確かに利用者は多いと思うが、年齢層が若い方へ偏っているようにも感じる。

全体的にみて、マレーシアも日本と同様にスマートフォンを四六時中手離せないユーザーが多く、レストランや電車内では多くの人達がスマートフォンを触っている。こうした利用者の嗜好に合致させるため、携帯キャリア各社によるデーター量の競争も激しくなっている。数年前であれば、多くのパッケージで数百MBのデーター量を基本として顧客を争奪していたが、今では数十GBのデーター量に特定動画サイトの視聴やSNS/メッセージアプリの利用は無制限といったサービスも提供されている。こうした傾向は今後も拡大していくことが予想されるし、SNS/メッセージアプリを利用したビジネスが盛り上がりを見せるだろう。

ただ、これだけメッセージアプリが普及している中にあって、マレーシア国内でLINEを利用しているユーザーは圧倒的に少なく、マイノリティ的な存在となっている。街中ではLINEのキャラクターもよく目にするので、知名度は決して低くないと思われるが、私の周りでは日本人及び日系企業で働いているマレーシア人ぐらいしか使っていない。知人に聞いても、LINEは知っているけど周りが使っていないので必要性を感じないとしている。

いずれにしても、マレーシア国内でのSNS/メッセージアプリ利用は域内においても特筆すべき存在であり、最も成長が著しい市場であると言える。

2015年Q4、マレーシアのブロードバンド普及率増加

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5月31日、マレーシア通信マルチメディア委員会より、国内のICT統計をまとめた『Communications and Multimedia: Pocket Book of Statistics, Q4 2015』がリリースされた。

まずブロードバンドの普及率だが、2015年第2四半期に大きく数字を伸ばし、2015年第4四半期は100人当たりで100.4にまで上昇している。契約数で計算しているために複数回答も含まれているが、それでもこの数字は注目に値するだろう。また世帯数で見ても、2015年第4四半期は100世帯当たりで77.3となっており、順調に数字を伸ばしている。ただ逆に、携帯電話の普及率は下降傾向にあることが統計で示されている。2014年第4四半期は100人当たり148.3であったが、2015年第4四半期には143.8にまで下げている。

[人口当たりのブロードバンド普及率]
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[世帯当たりのブロードバンド普及率]
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[人口当たりの携帯電話普及率]
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次にブロードバンド契約者数を見ていくと、固定回線の契約数は300万程度でここ最近は大きな動きがないものの、モバイル回線の契約は大幅な増加を続けている。統計では、2015年第4四半期の契約数は約2,800万となっており、固定網の実に9倍にも達している。モバイル市場に関しては、各携帯キャリアーが通信価格を大幅に下げてきており、パッケージ内容での競争が激しくなっていることから、消費者にとってより魅力的なサービスが出てくるものと考えられるため、今後も引き続き成長が期待できる。逆に、固定網に関しては数社がほぼ独占状態にあり、価格競争もそれ程激しくないことから、なかなか普及が進まない状況にあると考えられる。また、光ブロードバンドも契約エリアが限定されていたり、容量不足で新規契約ができないなどの問題を抱えており、消費者にとって魅力的なサービスを提供できていない。

[ブロードバンド契約数推移]
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次に携帯電話については、マレーシアではポストペイドよりもプリペイドを利用するユーザーが多く、ポストペイドの4倍にも達している。ただ最近の傾向として、ポストペイドが徐々に増加、プリペイドは減少の傾向を見せている。また、番号ポータビリティを利用するユーザーも増加を続けており、携帯キャリアーを積極的に選択する利用者が多いことが分かる。同時に、携帯キャリアーにおいても既存ユーザーを引き止めるため、各社がサービス内容を充実させるなどの競争を行なっていることから、この市場の成長が高くなっているのだろう。

[携帯電話契約比率:ポストペイドvsプリペイド]
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[番号ポータビリティ依頼数(000)]
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ただ、携帯電話の利用が活発になると同時に、マレーシアではSMSの利用が大きく落ち込んでいる。多くの利用者がスマートフォンを持ち、各種メッセージアプリを利用していることが大きく影響していると言える。6月20日にTelenor社がリリースした『Digital Frontrunners study』においても、マレーシア人の実に62%がメッセージアプリを最も重要なコミュニケーションツールと認識しており、80%以上が毎日それを使用していることが明らかにされている。特に、マレーシアではWhatsAppの利用頻度が高く、実際に住んでいるとプライベートからビジネスまであらゆる連絡がWhatsAppで行なわれている。その為、企業の広告やマーケティング活動においてもWhatsAppがかなり使用されている。

[SMS総数(100万)]
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[契約者毎のSMS数]
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[WhatsAppを使ったマーケティング戦略例]
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最後にテレビについて、IPTVを含む有料放送の普及率がまだ上昇を続けており、2015年第4四半期には100人当たりで73.2にもなっている。マレーシアでは地上波放送のコンテンツがあまり充実していないこともあり、こうした有料放送を利用する家庭が多く、低所得者住宅でも衛星放送のアストロを受信している世帯はかなり多い。

[世帯当たりの有料放送普及率]
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以上のように、マレーシアのICT市場は拡大を続けており、特にモバイル系ブロードバンドが市場を牽引している状況にある。また、マレーシアは世界的に見てもデジタルコンテンツやモバイルアプリの利用が活発であり、それも幅広い層に及んでいるのが特徴となっている。私の周りの60代の方々も、WhatsAppなどのアプリを使いこなしており、デジタルコンテンツに対する関心も高い。更に、固定網におけるサービスの改善があまり期待できないことから、今後数年はこのようなモバイルを中心としたトレンドが続くものと予想される。

Maxis、既存顧客の満足度低下

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ここ数年、マレーシアの携帯電話普及率は140%台を維持しており、クアラルンプールでは200%超の数字を記録、携帯電話は人々の生活やビジネスに欠かせない存在となっている。特に、国内ではスマートフォンの利用が活発であり、アップルやサムスンといったメーカーが高い人気を誇っている。

携帯電話の使われ方にしても、以前は通話とSMSが主流であったが、今はインターネットを中心とした使われ方に変わってきている。通話もメッセージもSNSアプリが使用されており、ユーザーはデータ使用量に重きを置いている。これは若い世代に限った話ではなく、60代以上のシニアにも当てはまる。実際、私の周りの60代以上の人達に会っても、ほぼ皆がスマートフォンを使用しており、連絡のやり取りにはSNSが使用されている。

こうした変化を受け、携帯電話キャリア各社は数年前からパッケージ内容を大きく変えてきた。特徴的なのは、需要の低下している国内通話とSMSは定額無制限とし、需要の高まっているデータ使用量を大きく引き上げている点であろう。以下では、今年2月時点での大手携帯キャリアによる主力パッケージをまとめている。

[主要携帯キャリアーの主力パッケージ比較(2016年2月時点)]
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各社とも、通話とSMSは無制限とし、7GB以上のデータ量を含めたパッケージをRM100以下に抑えていることが分かる。ただ、その中でMaxisだけは1GBのデータ量でRM98という高額パッケージとなっている。月額料金/GBで見ると、Maxis以外の携帯電話キャリアはRM10前後であるのに対し、Maxisの料金はM98とほぼ10倍の格差が生じている。その結果、SNS上ではこうした違いに対して不満を爆発させたMaxisユーザーの投稿が目立つようになってきていた。

競合他社がデータ使用量を拡大する戦略を採っているのに対し、Maxisは相変わらず高い料金設定でデータ使用量はわずか1GB。同社の他のパッケージもそれ程大差なく、データ使用量は競合他社より低く設定されている。そのため、たくさんのデータを使用するならば、Maxisユーザーはかなりの出費を強いられることになる。

当然、既存のMaxisユーザーの多くがMNPで他社への乗り換えを選択することになる。しかし、そこでMaxisが採った戦略は、他社に対抗するための競争力のあるパッケージをリースするのではなく、他社へ乗り換えようとしているユーザーがいると即座に電話連絡を取り、月額RM68で5GBのデータ量(サバ・サラワク州は7GB)と電話・SMSは無制限というオファーをピンポイントで出してくるというもの。これはウェブ上に出ていないパッケージ内容であり、ある意味既存の顧客を引き止めるための隠し玉的な戦略と言える。

当然、この戦略は既存の顧客に対してフェアではない。他社より高い料金でデータ量も少ないが、10年以上も同社の通常サービスを利用しているレギュラーカスタマからすると、腹立たしい限りである。結局、多くのレギュラーカスタマーがSNS上で更なる不平・不満を爆発させる事態に発展、最終的にこうしたアンフェアな対応に嫌気が差し、他社へ乗り換えたユーザーの投稿も結構目にした。こうしたユーザーは、二度とMaxisに戻ってこないだろう。

こうした事態を受け、MaxisはCEOが謝罪を動画で表明、同社のMaxisOneのデータ使用量を増やすことで事態の収拾を図ろうとした。しかし、適用対象がMaxisOneユーザーだけであること、さらに競合他社と比べて競争力のある内容ではなかったことなどが再び槍玉に挙がっている。




[MaxisOneの旧パッケージと新パッケージのデータ量]
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ただ、Maxisの顧客対応問題はかなり根深いし、マレーシアの大企業の体質を象徴していると感じる。カスタマーサポートに電話しても誰も受話器を取らない、質問に対して的確な回答ができない、また光ブロードバンドでも予約日にエンジニアが来ないといった苦情をウェブ上で見ることができる。私もMaxisへ電話問い合わせすることがあるが、本当に誰も受話器を取らない。因みに、フロスト&サリバンが2014年末に調査した報告書によると、携帯キャリアー変更理由の首位は『顧客サービスに対して満足できなかったため』となっており、58%もの数字になっている。

10年ほど前であれば、Maxisは最新技術に対して素早く投資を行い、カバーエリアが競合他社と比較して圧倒的に広いなどのアドバンテージを有していた。また、プロモーション展開においてもMaxisの企業イメージは先進的であり、マレーシアで最もクールな携帯キャリアとしての地位を確立していたと思う。今でも、Maxisはカバーエリアでは国内では最も広い範囲をカバーしているし、設備投資に対しては積極的だと言える。しかし、最大手である驕りからか、『既存の顧客を大事に扱う』、『顧客ニーズに素早く対応する』という部分が疎かにされていたように感じられる。また、競合他社も積極的な設備投資を行っていることから、カバーエリアは満足できるものになっているし、品質も悪くない。パッケージ内容や料金体系もほぼ横並びの状況になっている。であれば、利用者としては優れた顧客対応というのも、携帯キャリアを選択する上で大きな要素になるのではないだろうか?

先日、同社の今年第1四半期の収益は昨年同期のRM4.1億からRM5.1億と26.3%の増加を記録していることが発表されたが、今後も企業体質が変わらないようであれば、顧客離れが加速していくように思われるが。



大手通信キャリアー、100Mbpsのサービスを開始

今年3月末、大手通信キャリアーのTMとMaxisから、100Mbpsの光ブロードバンドサービスがリリースされた。

通信マルチメディア委員会の発表によると、昨年第2四半期でのマレーシアのインターネット普及率は91.7%、世帯当たりでは72.2%にも達している。国内でもSNSやeCommerceの利用が活発であり、インターネットは生活にとビジネスにおいても欠かせない存在となっている。

しかし、通信環境における利用者の満足度は低く、低速で高額なことが常に問題視されてきた。実際、昨年にAkami Technologiesが発表した報告書では、マレーシアのインターネット速度が隣国のタイやスリランカよりも低速であることが明らかにされており、SNS上でも話題になっていた。

こうした状況に対し、サレー・サイド通信・マルチメディア相は、マレーシア人は低速でも安価なインターネット環境を好む傾向にあると記者会見で述べている。数字を見ても、71%のインターネットユーザーは384Kbps〜1Mbpsのインターネット環境を利用しているらしい。

この背景の一つには、利用料金が周辺諸国と比べても割高なことがあると思われる。ただ、光ブロードバンドのような高速通信の普及が進まないのは、他にも理由を挙げることができる。まず、カバーエリアがまだ主要都市圏だけとなっており、地方の小さな都市ではサービスが提供されていない。私自身、ペラ州の小さな町でエビ養殖業を営んでいるが、利用できるサービスは限定的となっており、当然光ブロードバンドは利用できない。ビジネスで高速通信が必要なことも多々あるが、低速な通信環境で我慢している状況にある。

他方、首都圏においても、低所得者住宅に対しては光ブロードバンドは対応していない。所得水準が低いから需要が期待できないということかも知れないが、居住者の多くは衛星放送を利用している世帯が多く、光ブロードバンドを利用したい潜在ユーザーは多いと思われる。実際、低所得者住宅に住んでいる知人数世帯は光ブロードバンドを申し込んだが、対象エリア外ということで仕方なく低速のブロードバンドサービスを使用している。

また、私が住んでいるエリアでは、光ブロードバンド回線数が上限に達したため、新規契約ができない状況となっており、高速ブロードバンドを利用したくてもできない状況になっているらしい。政府としては、HSBB 2や SUBB: sub-urban broadbandというプロジェクトを展開することで、2019年までに420,000棟が光ブロードバンドに接続できる環境とすることを目指している。また、通信速度も従来の最大20Mbpsから100Mbpsへアップグレードすることが計画されている。

そうした中、今回大手通信キャリアであるTMとMaxisから100Mbpsの高速サービスが提供開始されたことで、マレーシアのブロードバンド環境は一歩前進したと言えるのだろう。また、100Mbps導入に伴い、5Mbpsなどの低速の光ブロードバンドサービスは廃止されている。ショッピングモールに足を運ぶと、TMのブースでは新しいパッケージのプロモーションが行われていた。

TM LAUNCHES ITS NEW LOOK TMPOINT OUTLET AND UNVEILS ITS NEW UNIFI PRO PLAN
MaxisONE Home with Malaysia’s first Maxperts service aims to deliver better home fibre broadband experience



ただ、両社の100Mbpsのパッケージを見た第一印象は、かなりの高額商品だということ。TMのUniFiだと月額利用料金がRM299から、MaxisではRM398から(MaxisOne非ユーザーの場合)となっている。日本円だと月額1万円前後にもなる計算であり、所得水準から見ると通信費が占める割合はかなり高くなってしまうだろう 。また、日本だと1Gbpsの光ブロードバンドサービスがこれよりも安くに利用できるので、やはりマレーシアの料金は割高といえる。Mbps毎の通信コストで比較して見ても、マレーシアのサービスだとRM2.99~RM3.98、対して日本はRM0.124~RM0.136であり、20倍から30倍もの開きがある。

この利用料金の高さのためか、両社では100Mbpsのプロモーション自体をそれ程活発に行っていないように感じる。実際の店舗に足を運んでも、月額利用料金がRM200以下となる10Mbps~30Mbpsのブロードバンドサービスを推奨されるので、この辺の価格帯が売り筋と見ているのだろう。

マレーシアは高速ブロードバンドに対して高い需要があり、インターネットの利活用も活発だと言える。優れた通信環境を提供することができれば、マレーシアのIT産業や裾野産業はかなり大きな広がりを見せるだろうし、産業全体の競争力を押し上げることができると考える。連邦政府は光ブロードバンドについても2020年を一つのターニングポイントと位置づけており、あと4年でどれだけ改善できるのか期待したい。




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